産官学連携先:栗山町

 政治や経済などの東京一極集中が続く中、2018年に東京圏への転入超過が約14万人となりました。特に、高校卒業後に東京に進学する若者が多く、全国の大学生の約3割が東京にある大学に通っています。このような動きに歯止めをかけるために、政府は2015年から「地方創生」の名のもとに総合的な戦略に注力してきましたが、未だ大きな成果を上げることができていません。
 一方、スポーツ庁、文化庁、観光庁では、スポーツや文化芸術資源の融合により、国内観光および地域の活性化を図るための取り組みを「スポーツ文化ツーリズム」として3庁が連携して魅力あるコンテンツを創生する活動を推進しています。加えて、地域の人口減少や高齢化問題を解決するために総務省が主導している「地域おこし協力隊」の募集要項でもスポーツは重要なキーワードの1つとなるなど、地方創生を実現するうえでスポーツにかかる期待が年々高まってきています。
 そこで本キャリアゼミでは、交流人口の増加に力を入れている北海道夕張郡栗山町(以下、栗山町)でスポーツ文化ツアーを実践し、その結果に基づいて首都圏に住む若者が訪れたくなる町づくりについて提案することを目的としました。

学生活動状況報告

流通学部4年 仁尾谷 昂正
 2025年2月1, 2日に学生4名と教員1名で北海道の栗山町を訪れ、若者の関係人口を増やすことを目的としたスケボーイベントの手伝いをさせて頂きました。
 まずは、栗山町役場の原田さんと阪南大学OGである北山先輩からイベントの詳細と、我々の役割について説明をして頂きました。その後、翌日のイベントに向けて、使わなくなったスケボーでそり滑り(通称:スケそり)をするための雪の滑り台を制作しました。積もった雪でコースを作るのは大変な労力がかかりましたが、完成した際には雪国でしか体験できない達成感がありました。
 イベント当日の主な仕事は、3対3で技を競い合うスケボーゲームの参加者の案内や、誰でも参加できるスケそり選手権の運営で、未就学児から高齢者まで男女問わず100人以上の参加者に対応しました。参加してくださった人が笑顔で楽しんでもらえるイベント運営が行えました。次回は安全面を強化した運営を行いたいと考えています。
 栗山町での活動を通じて、雪国ならでは遊びや運営の難しさを学ぶことができました。今回の学びを今後の成長に繋げていきたいと考えています。 
  

  

参加学生一覧

川端 大雅、 三栄 北斗、 東谷 悠司、 細川 智生、 前田 純、 勘田 真史、 仁尾谷 昂正、 大柱 海斗、 松尾 颯太

連携先コメント

北海道栗山町ブランド推進課 観光・賑わい推進グループ
主査 原田 恭兵 様

 本年の連携事業では、町が主催するスケートボードイベントの支援をしていただきました。栗山町のスケートパークでは夏まつりに合わせて年1回コンテストを開催していますが、冬の北海道では全てが雪に埋まってしまい、屋外でのスケートボードや運動そのものが制限されてしまいます。そこで、スケートパークに隣接するコミュニティ施設でイベントを開催しました。真冬に、しかも室内で開催するのは初めての試みです。
 またイベントに合わせて、参加者の家族や保護者も楽しめるよう廃スケートボードを再利用したそり滑り大会を開催し、その準備や運営を学生たちに担っていただきました。前日のコース整備やイベント会場設営、当日の受付や進行など、学生たち自ら率先して考えて行動してくれ、大変頼もしく助けていただきました。そり滑りがあったことで家族や保護者にも楽しんでいただくことができ、イベント全体の満足度を大きく高めることに繋がりました。
 人口減少や若者の流出が加速する地方ですが、今回のように若者の力は大きな助けや気づきの機会になります。また、学生たちにとっても活動を通じて企画・実践力を身に着ける一助になれば、お互いにWin-Winの関係が続けられるのではないでしょうか。何よりも、このような機会が本町のことを初めて知るきっかけとなり、今後は関係人口として何かしらの関わりが続くことが地方創生の第一歩になると思います。

教員コメント

経営学部 経営学科
早乙女 誉 教授

 今年度で4年目となった北海道夕張郡栗山町でのキャリアゼミ活動に、2024年9月4名、2024年2月4名、合わせて8名の学生が参加しました。そして、今回も2019年にこのキャリアゼミで栗山を訪れ、卒業後に地域おこし協力隊となって現地で活躍している北山先輩にサポートして頂きました。このように、卒業生と現役学生が交流できる機会はゼミや大学にとって非常に貴重な財産になります。
 この北山先輩と上司である栗山町役場の原田さんのサポートのもと、夏と冬に貴重な体験をさせて頂きました。参加した学生全員、昨年度と同様にすっかり栗山町が好きになったようです。特に、都会にはない人の暖かさを強く感じている様子でした。こういった経験が先輩の口から後輩たちに伝わり、この活動に参加したがる学生が年々増えております。これこそが、北山先輩が在学中にまとめた関係人口を増やすためのサイクル「知る → 感じる → 伝える」です。連携先と本学との物理的距離が離れているため、少人数で年2回程度しか現地に行けませんが、その分、実際に訪問した際はできるだけ密度の濃い活動をして、その魅力を次のメンバーに伝え、少しずつ栗山町の関係人口を増やしていきたいと考えております。