ITビジネスプランコンテスト応募を組み込んだ大学ゼミ教育と企業新人教育の一貫した教育プログラムの開発

活動テーマ:ITビジネスプランコンテスト応募を組み込んだ大学ゼミ教育と企業新人教育の一貫した教育プログラムの開発
連携先:㈱CIJ、㈱CIJネクスト、ヒロセバレエ教室

 ヒロセバレエ教室の公演の中の一つの“ルポアソン”の演目について、チームで演技するための各人のポジションを明確にするフォーメーション提示ソフトを開発し、納品しました。本ソフトは、演技中の12人の演技者の全体的な位置を各人のマーカをつかってアニメ—ションするソフトです。これは、団体競技において、レッスン場が異なる場合や、時間的制約で全員が集まって練習できない場合に非常に有効です。
 個人レッスンだけでは、全体の自分の位置を把握しにくいという問題を解決できます。さらに、指導者が全体のイメージを発想する際にも、全員の競技者の動きを確実に把握し、競技者のポジション移動時の同線を考えるうえでも有益なソフトを作ることができました。
 最も難しかったことは、ダンスの動画を正確に撮影してフォーメーションの基本情報をすることでした。様々なアイディアを議論しました。そのうち、ドローンによる撮影という面白い案がありました。これは、ダンス動画は前方情報から斜めに撮影するのがベストなのですが、会場の都合やレッスン道具の配置なので、前方右斜め上にカメラを設置できない場合があります。どのような状況においてもドローンで空中から撮影すると最適な動画が撮影できるのではないかという発想でドローンでの撮影に取り組みました。しかし、騒音やバッテリーの問題により簡単には実現できないということがわかりました。したがって、プログラマブルドローンの導入により、自律的に動作できる撮影用ドローンの開発に着手することとなり、さらなる発展に向かって進歩し続けています。

経営情報学部 4年生 芥子 晶彦
  • メンタルヘルス打ち合わせ(学生北山)

  • メンタルヘルスセミナーの様子

  • ヒロセバレエ打ち合わせ

  • ダンス動画作成中

学生活動状況報告

 ㈱CIJの榎田氏と協同して、学生時の勉強と新入社員研修を継続的に実施できる教材の開発を行いました。今回の教材のテーマはメンタルヘルスケアとしました。メンタルヘルスは業界、業種にかかわらず、近年非常に注目されている問題です。せっかく入社したにもかかわらず、人間関係などのメンタル系の問題で早期退職するケースが増えています。それらを学生時代からしっかりと知識を身に着け、セルフコントロールの方法を学ぶための教材をつくることとしました。
 今回はメンタルヘルスケアを学ぶための講義用教材とそれをもとに演習するワークシートを作成しました。これらは㈱CIJの産業カウンセラーの榎田氏から提供いただいたものを、協同で学生用、または就職前教育に発展させたものです。講義用教材ではメンタルヘルスケアの基本的なことから、就職活動と就職後に役立つ知識と理論が提示されます。演習用ワークシートは自己の中の外的キャリアと内的キャリアを明確にするためのチェックリストとそれを考察していくためのワークシートです。
 これらの教材を利用して、実際に2月に一般学生を対象としてセミナーをハルカスキャンパスで実施しました。午前の部は20名の参加者、午後の部は24名の参加者となりました。メンタルヘルスというまだ新しい分野のセミナーに参加者の評判はよく、アンケート結果も満足したが8割以上となりました。

経営情報学部 3年生 北山 裕樹

参加学生一覧

池田 光一、大西 慧生、北山 裕樹、堰 敬太郎、中原 和也、花崎 大輔、福田 一樹、吉永 龍太郎、米田 政道、安野 辰哉、池田 竜也、芥子 晶彦、高岡 亮太、高林 祐樹、竹島 遼、武田 全史、辻野 翔、山本 あかね

連携団体担当者からのコメント

ヒロセバレエ教室 廣瀬 貴子 氏

 初めて大学関係者の方々と協同でダンスフォーメーションソフトを作りました。動画撮影時には様々なセッティングやドローンなどの最新機器が登場し、工夫しながら実施している様子がよくわかりました。
 また、学生の皆さんが頑張って作成した動画とフォーメーションソフトは非常に有用です。個人レッスンの場合はもちろん、全体のイメージを把握するのにも役立ちました。
 今後の要望として、まだ全員の競技者がダンスをできない段階、つまり、指導者が構想を練っている段階で、全体像をイメージできるようなソフトがあればより便利になると感じました。今後も学生さんの斬新なアイディアで様々なことにチャレンジしていってほしいと思います。

教員のコメント

経営情報学部 花川 典子教授

 今年度はヒロセバレエ教室と㈱CIJにお世話になりました。まず、ヒロセバレエ教室では、チームでのバレエダンス演目に対して、複数人数の演技者の全体の中での位置を確認するダンスフォーメーションソフトを開発し、納入しました。本ソフトの取り組みの狙いは、バレエという全く異文化の業界において、最新情報技術がどのように応用され役に立つかを学生に体験させることでした。
 一番の問題点は、12人以上のダンサーがダンスする動画の撮影方法でした。最も良い方法は12人全員が収まる範囲を斜め上前方からの撮影です。しかし、ダンスレッスン場の制約やカメラを設置する場所の制限などで、理想の配置が難しい状況となりました。そこで、ドローンを利用するという発想となり、ドローン技術によって撮影を実施しました。ドローンを利用したときも騒音やバッテリーの問題が発生し、さらにプログラマブルドローンの発想となり、現在はドローンをプログラムで自動制御することに取り組んでいます。このように学生の豊かな発想によって最新技術を応用したシステムが提供できたことが良かったと思います。
 さらに、㈱CIJとの共同の教材開発において、当初はプログラミング教育の教材をターゲットとしていました。しかし、現在の新入社員の問題は技術力というよりもメンタルヘルス系の方が多いという現実を知り、メンタルヘルスのセルフコントロールを学生時代から勉強すべきと考え、メンタルヘルスの講義資料と演習用ワークシートの開発に取り組みました。
 教材開発するだけではなく、実際に一般学生に向けてセミナーを実施しました。就職を前にした4回生、就職活動に取り組む3回生が25名ほど参加し、非常に充実したセミナーとなり8割以降が満足であるとアンケート回答をいただけました。メンタルヘルスの勉強は大学ではほとんど実施されていないので、とても学生にとって有益であると実感しました。
 今後もこのような活動を実施していきたいと思います。