国内研究記その1 ITビジネスコンテストを組み込んだ教育手法が世界的に評価されました

 6月にイタリアのフィレンツェで開催されたThe 37th International Conference on Software Engineering(ICSE2015)にて、“Contest Based Learning with Blending Software Engineering and Business Management”のタイトルにてソフトウェア工学教育に関する発表を行いました。
本国際学会はソフトウェア工学の世界一のトップカンファレンスで、そのメイン会議にて発表できるのは日本人では数年に一人という非常に審査が厳しく、さらに世界の一流研究者のみの投稿でも非常に採択率が低い会議です。本会議にて論文採録され発表できることは、世界一流の研究者であると認められたということです。ちなみに、花川はこれで2度目の発表です(すいません、ちょっと自慢です)。
 フィレンツェの会場に到着すると、2000人規模の参加者の学会ですので、非常に大きいです。世界の著名なソフトウェア工学研究者が集結しています。早速、顔見知りの研究者に会い、“Congratulation! Noriko!”と採録を祝ってもらいました。ちょっと、うれしいですね。また、ソフトウェア工学分野では歴史的な人物たちにもこの会議で会えます。いまや主流となったオブジェクト指向開発方法論を提案したIBMのBoochや、私の研究のきっかけとなったUniversity of Southern CaliforniaのBarry Boehmです。古典的な著書の中でしか存じ上げない人々が、現役に論文投稿・発表、講演して直接に対話できる非常に重要な機会です。私も、古典的なすばらしい著書のなかでしか存じ上げないBooch先生にどきどきしながら、たどたどしくご挨拶しました。でも...それ以上は緊張して話になりませんでした...情けないです。

 さて、肝心の私の論文発表ですが、他の国際会議の英語論文発表は緊張もなく楽々とこなせのですが、さすがにICSE2015となると、一流の研究者というプレッシャーで久しぶりに緊張しました。「しょーもないって思われたらどうしよーー」とか、「私の英語が伝わらなかったらどうしよーー」とか、いつに無く不安いっぱいです。まあ、しかし、場数をこなしてきていますので、発表は難なく終了しました。しかし、チェアマンからの質問の意味が理解できず、返答に詰まってしまいました。なんか...学生のようにおろおろして、ちょっとみっともなかったです。しかし、内容は非常に評判が良かったです。
 世界的に評価をいただいたのが、経営情報学部で実施されているITビジネスコンテストへの応募を前提とした、ITビジネスプラン作成教育です。ITなどのコンピュータ知識はもちろん、ビジネスプラン戦略やマーケティングなどのあらゆる知識を必要とするITビジネスプラン作成は学生の成長に大きく役立ったという内容です。ソフトウェア工学の研究の中でも、ソフトをつくるだけではなく、ソフトとなにかを組み合わせるべきであるという研究方向に進んでいます。その最先端を阪南大学の経営情報学部が教育として取り組んだ結果、世界のトップカンファレンスで一流の研究者たちに認められた教育だと考えます。今後も経営情報学部は積極的に新しい教育に取り組んでいきたいと考えています。