太子町(大阪府南河内郡)は、万葉集にも読まれ、石器材であるサヌカイト産出地としても周知される二上山、中国の敦煌などを連想させる石窟寺院である国史跡鹿谷寺跡や国史跡岩屋、聖徳太子墓とその守護のために建立された叡福寺、「日出処天子」の国書を携え遣隋使として海を渡った小野妹子の墓、推古天皇・敏達天皇・用明天皇・孝徳天皇など教科書にも登場する誰もが知る著名な天皇の御陵、双方墳という極めて珍しい形状を呈する国史跡二子塚古墳、日本最古の国道である日本遺産「竹内街道」、その街道沿いに建てられた国登録有形文化財の大道旧山本家住宅など、その歴史資源の豊さは全国屈指のレベルです。
このような歴史資源のポテンシャルを文化財保護の展開とともに観光振興の展開にも活かしていきたいと考える太子町役場からの依頼に基づき、国際観光学部和泉研究室は、2023年度から3年間の予定で、太子町役場との共創的な取り組みを進めます。具体的には、町内の歴史資源をつなぎ、自然や人のあたたかさなども感じながら歴史を楽しむことができる観光振興の展開の創造、所謂、「ヘリテージ・ツーリズム」の成立を目指すものです。
なお、この取り組みは、一過的に終焉するものではなく、その持続性、ひいては、文化財の地域マネジメントの可能性などにもつなげていきたいと考えています。このことから、地域住民のみなさんの参画も視野に入れたいと考えています。
この活動は和泉研究室の2回生が担当しています。
この活動の一環として、2023年10月21日(土)に開催された「第15回 竹内街道灯路祭り」において、登録有形文化財である大道旧山本家住宅を活用したイベントを企画・実施しました。イベントは、太子町のおすすめスポットなどを書き綴った「どきどきわくわく 太子みくじ」、ゼミ生のサポートを受けながら、会場である大道旧山本家住宅にまつわるクイズにチャレンジする「クイズQ 山本家」、太子町の文化財などのイラストとともにお菓子を釣り上げる「お菓子釣り」の3つのコンテンツで構成しました。また、私たちの取り組みを紹介するパネルも設置し、その周知に努めました。
灯路イベントは、夜間という時間帯での開催となること、また、情緒・風情を楽しむことが中心となるため、どうしてもこども向けのコンテンツに欠けるところがあります。しかし、夕方の時間帯などは、比較的こどもも多く、何よりも地域のこども達に早い段階から地域の歴史・文化財に触れる機会を提供することは、地域の文化財の保存・活用などのマネジメント人材の育成につながる可能性など、その意味は大きいのではないかと考えています。
また、このように学校の授業時間以外において、地域の歴史や文化財に触れる経験は、地域の歴史・文化財に対する日常性が高まるのではないかと考えています。
引き続き、活動を展開していきます。地域のみなさん、よろしくお願いいたします。
分担しながら準備を進めます。
太子町のおすすめスポットが書かれている「太子みくじ」。笑顔での触れ合い、良いですね。
クイズの答えはこの住宅のどこかに!
上手に釣れるかな?
making photo 遣隋使・遣唐使も通った日本最古の国道「竹内街道」で。楽しく学ぶ!