参加した学生は、国際観光学部4回生の泉田真美子さん・今福義明君・井本有亮君・北山亜純さん・孔シュさん・河野充宏君、3回生の植林明日香さん・王欣さん・岡本英里香さん・高飛娜さん・ラッターナアムポン=ターウィトリーさん、2回生の磯野晃君・福崎美帆さん・赤坂貴之君・石田淳君・掛尾敦史君・片山依莉さん・菅野樹彦君・小石川幸福君・坂井大記君・阪本妙恵さん・坂本愛美さん・長坂恵さん・布廣有紀さん・馬場ふみなさん・平池晴菜さん・三好千夏さん・村田真菜さん・山入端海月さん・山本歩さん・山本紗希さん・渡瀬菜花さん、1回生の峯松健君・上江洲清輝君の34人です。以下、活動の内容を学生たちの報告記事で綴ります。
※なお、この学生教育研究活動は阪南大学学会と国際観光学部教育改革推進費より補助を受けています。
黄色いてんぷらと黒蜜ところてん
国際観光学部4回生 泉田真美子
初日は北のコースをめぐる1班につきました。探検は松原市役所の館内から始まりました。市役所の職員から各部屋の説明を聞き、市議会などが行われる本会議場にも入らせていただきました。私たちにとっても貴重な体験です。子どもたちは緊張していたのか、黙って話を聞いていました。最初ですので子どもらしさがまだ出ていません。次に向かったのは阿保神社です。松原市役所からは少し距離があり、なおかつ猛暑でしたが、感心なことに、子どもたちは弱音を吐かずに歩きました。阿保神社へ着くと、宮司さんが神社の歴史や神社へ参る時のマナーを詳しく教えて下さいました。神社の近くには「清水の湯」という、昔ながらの銭湯があります。ご主人から銭湯の良さと歴史の話をうかがいました。脱衣場の棚の上には常連客のお風呂セットが置いてあり、生活感があふれています。最近の子どもたちは銭湯にあまり行かないようで、見るものすべてが珍しいのか、興味津々の様子です。「それでは」ということで、お風呂場の中まで入らせていただきました。銭湯の向かいには喫茶店があり、その中でしばし休憩をとります。「昔なつかし黄色い天ぷら」の看板が立っています。その天ぷらと凍らせたチューペットをいただきました。天ぷらを頬張る子どもたちは口々に「おいしい」を連発しています。微笑ましい表情です。
遊ぶ手・作る手によって生まれるつながり
国際観光学部4回生 北山亜純
2日目は阪南大学の南キャンパスで宝探しをしました。大学生と小学生が2人1組になり、宝の隠し場所へ導く「宝の地図」を順番に探し当ててゆくゲームです。私とペアになった女の子は、大学生のお姉ちゃんが苦手なのか、あるいは1対1なので緊張しているのか、子どもらしさが出てきません。地図を探す子どもが首から下げている水筒は、どう見ても邪魔なように思えましたので、ルールを破って持ってあげました。すると、動きやすくなったのか、子どもらしい元気さが出てきました。早く宝を見つけたくて辛抱できない様子です。一目散に次の地図が隠された場所へ走ってゆきます。こちらはついていくのがやっとで、息が切れます。ようやく見つけた宝は色ガラスのおはじきが詰まった小袋でした。
家に招かれ、思わぬ交流ができました
国際観光学部4回生 孔シュ(KONG SHU)
私が担当した班は、小学5年生のフウキ君、4年生のアン君、3年生のコウタ君とメイちゃん、2年生のアコちゃん。男の子3人、女の子2の5人グループです。フウキ君は一番年上で、やる気も満々です。アン君とコウタ君は元気に走り回ります。女の子2人は話が少ないけど、将来の夢はしっかり持っています。アコちゃんは大人になったらケーキ屋さん、メイちゃんはお花屋さんになりたいとか。メイちゃんは妹が嫌いだそうで、わけを聞けば、まだ赤ちゃんでよく泣くからだそうです。やはりまだ子どもです。 活動は南キャンパスでの宝探しから始まりました。ここは大学生が主に付き添います。そして、楽しい宝探しのあと、福祉施設の「えるで」を訪問しました。障碍をもつ人たちが一生懸命にモノづくりをしていますが、ゆっくりです。1人でできる仕事を何人もの人がやっています。「効率が悪いのでは」と内心で思いましたが、センター長の話しを聞いて納得しました。「不自由な人も働くことによって社会の一員として生きている意識が強まります。社会のなかでの自分の大切さも実感できます。自分の手で作った商品をお客様に提供することによって、自分の価値も表わせるのです」との説明でした。子どもたちにも、その意味がよくわかったようです。
意外な自分を見つけました
国際観光学部4回生 河野充宏
2日目は、阪南大学の南キャンパスで宝探しです。ビー玉・おはじき・ガラス小物を小さなビニール袋に入れて宝としました。その場所を描いた地図を隠し、その地図の場所を描いた地図をまた隠し、最後の地図を子どもに渡します。子どもの学年に応じて地図の枚数を調整しています。大学生と子どもが2人1組になって探します。学生は地図と宝の場所をすべて記した虎の巻を密かに持って、子どもを誘導します。これも楽しい遊びですが、ヒントの出し方にコツが必要です。私とペアを組んだのは6年生のハヤト君。参加した25人の子どもの中で最もやんちゃな「ガキ大将」です。もちろん、宝探しの難易度は最高レベルで、6年生でもなかなか見つけることができません。そのうちハヤト君の口から「暑いし、分からんから答え早く言ってよ」「ほんまにここにあるんか」と愚痴が出ます。私も一緒に悪戦苦闘しましたが、何とか宝を見つけることができました。思わずハヤト君も「全部見つけたぞ」とガッツポーズ。大きな達成感を味わっていました。その後、余った時間で学生と子どもたちが鬼ごっこを始めました。私も童心に帰って加わりましたが、季節は真夏です。全員が汗だくになりました。
質問攻めで子どもの殻をやぶりました
国際観光学部3回生 植林明日香
森田屋さんに着くと、奥さんが私たちを出迎えてくれました。ここで子どもたちが体験するのは、浴衣の着付けです。奥さんの計らいで、子どもたちの着付けは私たち学生が担当することになりました。私の担当はミナちゃんです。とくに気にかけていた女の子です。まだ恥ずかしさは残るものの、夢中になっているうちに打ち解けてきました。「帯がきつくない?」と尋ねると、はっきりと答えてくれました。次の上田ファームでは、実っているトマトを収穫して、その場で試食をしました。思いのほか、子どもたちはトマトが好きです。蜜蜂の巣ものぞきました。おっかなびっくりですが、このあたりから子どもたちがはしゃぎ始めました。最初の心配がウソのようです。
アクシデントでやり直せたラジオ収録
国際観光学部3回生 ラッターナアムポン=ターウィトリー
お寺と神社の参り方を学べました
国際観光学部3回生 王欣
7日も南キャンパスを基地としましたが、こんどは河内天美駅の周辺まで街角探検に出かけました。コースは森田屋・敬恩寺・上田ファーム・本キャンパスの順番です。森田屋は呉服店で、奥さんが子どもたちの活動に理解があって浴衣の試着体験をさせてくださいました。浴衣の正しい着方を勉強します。また、昔の子どもたちの遊びや服装など、いろいろな話をして下さいました。留学生の私にも、一昔前の日本を知る絶好の機会となりました。敬恩寺の奥さんも子どもたちの活動に熱心です。本堂にあがると、まずは仏様に挨拶をしなければなりません。子どもたちに正座をさせます。こういう作法はなかなか教えてもらえません。いい勉強です。また、仏教や敬恩寺の歴史を聞きました。新しい町だと思っていた松原に古い建物や文化が残されていることに驚きました。上田ファームは自然の力で野菜を作っています。子どもたちは新鮮なミニトマトをいただきました。本キャンパスにも仕掛けがあり、ここにも街角写真クイズが2ヶ所も仕掛けられていたのは驚きでした。
男の子ばかりの最強軍団
国際観光学部3回生 高飛娜
7日は南キャンパスを基地として河内天美駅の周りを歩く活動でした。北野貴也君という松原高校の学生がカメラマンとして同行してくれました。探検隊の活動はあとで市民に報告するらしく、写真班やビデオ班が別に作られています。写真撮影は主に松原高校写真部の学生が引き受けてくれました。最強の男の子軍団は元気すぎて困ることもありますが、やるべきことはしっかりやります。この日は活動も3日目でしたので、5人はすっかり仲良しになり、結束はどの班よりも固くなったように思いました。街角写真クイズ、お地蔵さん見学、敬恩寺参拝、インターネットラジオ出演、魚屋さん見学と、炎天下を歩き回りましたが、最後まで元気でした。
数々の発見をした探検隊
国際観光学部2回生 掛尾敦史
松原市役所を基地とするコースは、北の阿保神社へ向かうコースと、南の柴籬神社へ向かうコースの2通りです。私たちの班はまず阿保神社へのコースを探検しました。神社では宮司さんからお参りの仕方を教わります。阿保は「あほ」と読んでしまいますが、村の人は「あお」や「あぼ」と言っています。阿保神社の近くには銭湯があります。松原市内に9件しか残ってないうちのひとつです。金網工場や豆腐工場も村の中にあって、探検する場所は豊富です。次の日は南のコースを探検しました。消防署や商工会議所を訪れたあと、皿池を見学しました。池は松原中学校の北側にあって、長さは中学校の敷地いっぱいに広がり、200m以上あるのに対し、幅は5mばかりしかありません。どうみても溝ですが、ため池として使われてきたということで、「池」とされています。「これが、池?」と、子どもたちも驚きました。途中の上田町では「西田家を探せ」クイズで、実に西田姓が多いことにも驚かされました。柴籬神社では前日に教わったお参りの作法を実践しました。歯の神様と呼ばれる翁の顔の石があります。その歯に触ると、虫歯にならないということで、子どもたちだけでなく、スタッフも次々に触っています。みんな虫歯は嫌なのでしょう。3日目は南キャンパスのどこかに隠された宝を、地図を頼りに探し出す遊びを楽しみました。これは子どもたちに一番人気のイベントでした。子どもはひとりずつ地図をわたされ、学生がペアになってサポートします。学生は答えが記された地図を隠し持ってアドバイスを出しますが、私とペアになった子どもは賢くて、ヒントを出すまでもなく、どんどん見つけてゆきます。あっという間にクリアしました。私がチャレンジしても、そんなに早く見つけられなかったことでしょう。
子どもの気まぐれを見守る寛容さ
国際観光学部2回生 馬場ふみな
探検隊のマップ作りと発表会
国際観光学部2回生 山本歩
まず、子どもたちは探検した場所を地図上で探し、シールを貼ってゆきます。5日間でそれぞれ違うコースを回り、探検した場所もかなりの数になりますので、思い出しにくい場合もありましたが、そのようなときは、こちらが行程表を見てヒントをあげます。「どこかでお参りをしなかった?」「どこかで何かを食べなかった?」などといった言葉をかけて、記憶をたどらせます。そうすると、子どもたちも思い出し、地図の上で場所を探し出します。見つけたときには、顔いっぱいに嬉しさを表します。そのようにしてシールで場所を確認したあとは、一人ひとりが好きな場所を選び、その場所のイラストを描きます。ひとつの場所を丁寧に仕上げる子どももいれば、自分が回った場所をできるだけたくさん描いてゆく子どももいます。それぞれですが、子どもたちが描いた絵はどれも素敵で、私たち大人でとは違った視点をもって、うまく特徴をとらえている作品もあります。イラストが仕上がれば、貼り付け作業に入ります。地図の周りにイラストを貼り付け、シールとイラストを結びます。それは定規で線を引くのでなく、毛糸を使いました。そのほうが簡単で味があります。この作業には子どもたちも大喜びで、わいわいと騒ぎながらも、器用に糸を張ってゆきます。手伝う必要もありません。私の役目は糸を固定するセロテープを適当な長さに切って渡すだけでした。子どもたちの作業は順調に進み、こんどはヒントをもらうことなく終わらせました。そして最後の仕上げです。空白の箇所やイラストの周りにコメントを書き込む作業です。地図のいたるところに店舗や神社などの説明が加えられてゆき、そのうち地図がイラストと説明で埋め尽くされました。驚くほど充実したマップです。
仲間と遊ぶ楽しさを取り戻す
国際観光学部2回生 村田真菜
私が担当したのは2班で、5年生のイクミ君、4年生のカンスケ君、コタロウ君、ミナちゃん、1年生のサヤノちゃんの5人です。5つの班のなかでは、一番まじめな班でした。担当日の8月9日も暑い日でしたが、予定通り阪南大学の南キャンパスで宝探しを始めました。学生はすべての隠し場所を記した地図を子どもに見せないようにして持ち、わかりづらい時にだけヒントを出します。子どもたちには次の地図の隠し場所が記されている小さな地図を手渡します。猛暑の中、子どもたちは元気いっぱいにキャンパスを走り、次の地図を探し回ります。暑さにも負けず、とても嬉しそうな顔をして一生懸命に探している子どもたちの姿が印象的でした。わくわくしている姿を見ると、こちらまで嬉しくなります。見つけたときには「やったあ」という声をあげます。本当に子どもは気持ちを素直に表現するものだと、改めて感じました。宝探しを終えたあとに聞いてみると、「楽しかった」「またやりたい」との感想。宝は小さなビニール袋に入ったガラスのおはじきやビー玉です。全員が終わるまでの空き時間に、そのおはじきを使って遊びました。童心に帰った気分でした。近頃はテレビゲームやスマートフォンが普及していて、こどもたちはついつい一人で遊ぶことが多くなり、外で友達と遊ぶ機会が少なくなったと言われます。宝探しゲームやおはじき遊びは、そういう子どもたちに本来の遊び方を教える絶好のきっかけになったのでは。
人見知りをするとのことでしたが
国際観光学部2回生 三好千夏
7日のコースは、南キャンパス内での宝探しゲームと福祉施設「えるで」への訪問です。私がペアを組むことになったのは2年生のカンスケ君です。事前に保護者の方に書いていただいたプロフィールを読むと、「人見知りをします。打ち解けるのに時間がかかるかもしれません」と書かれていました。「初対面で年の離れた私と仲良くなってくれるだろうか」と心配になりました。ですが、宝探しが始まり、一緒に歩き回ってヒントを出したり、宝の地図を見つけて喜んだりするうちに、自然と打ち解けることができました。宝探しが終わり、「えるで」に行くまで、子供たちが見つけた宝のおはじきで遊びました。子供たちはおはじきが上手です。指を使う遊びは大切だと聞いています。コンピューターゲームがあふれている今でも、こういう昔ながらの遊びに子どもは喜びます。本来の遊びではないかと思いました。宝を早くみつけたため、まだまだ時間がありました。おはじきのあとは、キャッチボールをしたり、追いかけっこをしたりと、学生と子どもたちが仲間のように遊びました。子供たちはどれだけ走っても疲れを見せません。その元気さには驚かされます。「えるで」では障碍をもつ方々が百円均一ショップに卸す商品の袋詰めやハンガーの組み立てなど、さまざまな手作業をされています。遊んでいるときはやんちゃだった子どもも、部屋に入るときにきちんと挨拶をします。むしろ私たちが学ぶべき姿でした。
子どもを引きつけるコツを習得しました
国際観光学部2回生 小石川幸福
いざ活動を始めると、やはり最初はなかなか思うように距離を近づけることができません。子どもたちもそういう空気を感じたのか、緊張して、あまりしゃべりかけてきません。一方、3回生や4回生の先輩は子どもの扱いに慣れているようで、積極的に子供たちに話しかけ、先頭を歩いてコースを案内しています。見習わなければなりません。先輩たちは急に参加を決めたようで、活動の内容については、あまり聞いていなかったようです。それなのに、いきなりしっかりと役目を果たしています。その臨機応変の柔軟な行動力に感心しました。負けてはいられないと、私も積極的に働きかけました。「どんなスポーツが好きなの?」「どんなアニメに興味があるの?」と、子どもが自慢げに答えてくれそうな話題を出して、引きつける工夫をしてみました。話を聞いていると、私たちが小学生だったころとは違うゲームや遊びが流行っているようです。松原市まちの案内人のおじさんやおばさんは孫のように年齢の違う子どもたちとのギャップを感じておられることでしょうが、私たち学生と今の子ども世代とも、すでに大きなギャップがあるのです。そうしているうちに、活動の後半になると、こんどは子供たちから話かけてくれるようになりました。少しずつきずなが強まり、ギャップが埋まってゆく感じがしました。
松原のことが知りたくて参加しました
国際観光学部2回生 赤坂貴之
その日のコースは松原市役所のなかを探索することから始まりました。普段は立ち入ることができない市長室や会議場に入らせていただき、子どもたちといっしょに説明を聞きます。「他に何か聞きたいことがありますか」。説明が一段落したあと、子どもたちは職員から逆に質問を受けました。いきなりの質問に子どもたちは固くなり、質問が思い浮かばなかったようです。そういう私たちも同様ですので、常にそういう気構えで人の話を聞くことの大切さを実感しました。次に訪れたのはパームコートという老人福祉施設です。そこから阿保神社をめざします。市役所から1.5kmばかりあります。その日は猛暑日で、5日目ということもあって、さすがに子どもたちも疲れています。探検は暑さとの戦いとなりました。子どもは探検に必要な荷物を色々と持っていますので、そのうち私が荷物持ちになっていました。阿保神社と近くにある銭湯の「清水の湯」を見学したあと、銭湯の向かいにあるカフェ「さわ」に入り、「昔なつかし黄色い天ぷら」を頂きながら涼をとることができました。子どもたちも我々スタッフも一息つけました。そのあとで訪れた「とうふキッチン」の工場では、近くの店舗で販売されている豆腐食品を製造しています。工場へ入ると、室内はサウナ状態で、小学生も暑さに耐えきれません。外へ飛び出そうとしますが、そこは我慢です。作業員の方が私たちのために、わざわざ豆腐を作ってくださいました。感謝の気持ちでいっぱいです。その後は中高野街道に沿った店舗に移り、そこではトコロテン作りを体験しました。子どもたちは押し出したトコロテンを袋に入れ、お土産として持って帰りました。
私たちが作った宝探しゲーム
国際観光学部2回生 片山依莉
他の男の子たちはやんちゃで、私には持て余しそうでしたが、ヒロタカ君なら何とか付き合えそうです。ただし、その分静かで、あまり話しかけてくれません。逆の意味で気をつかいます。宝探しゲームは基礎演習の授業で実際に学生たちが試みて、方法を検討しました。キャンパスの地図を頼りに次の地図を探し、何度か地図を探し当てて、最後の地図に宝のありかが記されているのです。最初の地図を渡すと、ヒロタカ君はさっそく探し始めました。ところが、意外に場所がわかりにくく、なかなか探し当てられません。「このあたりじゃないかな」などとヒントを出して導きます。自ずと会話が生まれます。おとなしいヒロタカ君もそのうち子どもの無邪気さが出てきて、さかんに話しかけてくれるようになりました。子どもとの距離が縮まってゆくのは嬉しいものです。そして最後には「見つけた!」と大声をあげて宝物を差し出し、笑顔で走ってきました。全身で喜びを表しています。私たちの試作段階では、「こんなもので本当に子どもが楽しんでくれるのか」「今の子どもは白けるのではないか」などといった不安の声もありましたが、やってみると大成功。子どもたちが最も喜んでくれたゲームとなりました。宝探しが終わったあと、「えるで」を訪問するまでに空き時間がありましたので、学生ラウンジで休憩していたところ、子どもたちの誰かが「鬼ごっこがしたい」と言い始めました。私たちも時間をどうつなごうかと考えていたところでしたので、「やろう、やろう」ということになったのですが、これが大変なことになりました。子どもたちは男の子ばかりですので、行動がすばやく、なかなか追いつけません。山入端さんは体力があって、負けずに遊んでいますが、私は全然ダメ。全く追いつくことができませんでした。「こんな暑い日に、よく走れるものだ」と感心し、そしてあきらめました。子供たちの体力は無限です。
使命は子どもたちを守ること
国際観光学部2回生 山本紗希
コースは普通の街角ですので、車もよく通ります。子どもたちは話に夢中になると、注意が散漫になり、もともと周りのことをあまり気にしません。とくに大通りを歩くときは車が勢いよく走ってきますので、注意が必要です。グループは学年をわざと揃えていませんので、年齢が違い、歩くスピードも違います。列が自ずと長くなり、下手をすると切れてしまいます。それに加えて、耐えられない暑さです。すぐに疲れて、神経を配れなくなります。それでも私たちは使命を忘れず、子どもたちの交通安全を図ることに全力を傾けました。正直に言って、大変な活動でした。それでも、得るものはたくさんありました。子どもたちとの交流を図れたこともそうですが、街角での発見も少なくはありませんでした。
子どもたちの意外な力に感心しました
国際観光学部国際観光学科 坂本愛美
駅の近くにある地蔵尊のところにやってきました。この石仏は道標も兼ねていて、地名が刻まれています。そこに「大坂」の文字がありました。今は「大阪」と書きますが、江戸時代には坂の字を使っていたようです。このことに興味を持ったようで、その理由を聞いていました。その北にある敬恩寺では、ご住職の奥さんが子どもの教育に熱心で、参拝の作法を子どもに教えているということでした。普段は入ったこともない本堂の厳粛な雰囲気と、奥さんの毅然とした教え方で、先ほどまでわが物顔にはしゃいでいた姿とは一変して、子どもたちは静かに正座をして聞き入りました。ところが、奥さんが作法の説教を終えて、籠の話に切りかえたとき、再び子どもたちの目が輝き始めました。前に置かれた籠は昔のご住職が出かけるときに使われていた乗用の籠です。また、担ぎ手が着ていたという衣装もあります。その衣装を身につけた男の子は大はしゃぎ。この日一番の笑顔を見せてくれました。ただ、籠は思ったより重たかったようで、「ほんとに昔の人はこんな重いものを持っていたの?」と首をかしげ、必死の形相で持ち上げようとしますが、子どもの力ではあがりません。そこで学生が代わりましたが、持ち上げるだけで精一杯。こんな重いものを持って走っていたとは。みんなは改めて昔の人の力強さを感じたようです。
世間の評価をくつがえす男の子たち
国際観光学部2回生 布廣有紀
近くの上田町では「西田家を探せ」というユニークなクイズラリーを行いました。昔ながらの町や村は親戚が集まって住んでいますので、同姓の家が多いものですが、上田町では西田姓の家がやたらと多いのです。たまたま松原市まちの案内人を率いてこの活動に協力していただいている西田孝司さんがそのお一人でしたので、近所の西田家の表札を撮り、シートに写真を並べて、家を探すゲームを作ったのです。学生は答えの地図をもっていますので、子供たちにヒントを与えながら、すべての西田家を探させました。子どもたちはクイズを楽しむと同時に、日本の町や村の有り方に気づいたことでしょう。このころから学生と子どもたちとのコミュニケーションができてきました。
感動を素直に表現する子どもたち
国際観光学部2回生 長坂恵
1日目は私たちの面白写真が活躍します。街角で撮った、子どもが喜びそうなスナップ写真をプリントに並べ、歩きながら写真の場所を見つけるゲームです。子どもが見つけると、学生がシールを貼ってあげます。単純なクイズラリーですが、これがけっこう人気でした。見つけると「あった。シール貼って」と叫んで駆け寄ってきます。これがすごいパワーで、そのときだけは暑さを忘れたようでした。探検したのは河内天美駅の周辺です。歩道が狭いところや、歩道のないところは車や自転車に気を使います。さかんに道の端に寄るよう注意しなければなりませんが、素直に「は〜い」と返事をしてくれるところが子どもの可愛らしさです。魚屋さんでは子どもたちの目の前でご主人が魚をさばきました。スーパーでは切り身の魚が多いので、そういう光景は私たちもあまり慣れていません。上手に素早くさばく技に子どもたちは驚いた様子です。「魚は好きじゃない」という子どもがいましたが、それでもおじさんの包丁さばきには興味津々。近寄ってじっと見ていました。インターネットラジオ局のスタジオでは、マイクを向けられての質問に戸惑う子どもたちでしたが、何度か練習をしているうちに、ハキハキと答えるようになります。私たちもインタビューされて戸惑いましたが、いい体験ができました。
予想以上に高い子どものレベル
国際観光学部2回生 磯野晃
参加したのは活動も終盤にさしかかった8月9日でした。河内天美駅の周辺を歩き、地域の人々や歴史にふれる活動でした。子どもたちの体験活動を補助しながら、案内してくれる方々や学生たちも含めて、人々の表情をカメラに収める仕事を任されました。この活動では記録を重んじています。活動の終盤というだけあって、子どもたちの知識もかなり増え、説明を冷静に聴く耳ができています。「その話はもう聞いたよ」という声もあがります。子どもたちも遊んでばかりいるようで、真剣に活動を行っているのです。子どもたちが求めるレベルは意外に高い。そう感じました。天美西商店街の魚屋さんは何回も訪れた子どももいて、魚をさばく主人の姿も慣れた様子で見ていました。私たち大学生が思いつかないような質問も出ます。子どもはこんなことも考えているのだと、ただただ感心するだけでした。そういう子どもですが、低学年はまだやはり幼児から抜け出せず、シャイな態度を見せるところに安心させられます。
熱中症の心配も吹き飛ばす元気
国際観光学部2回生 平池晴菜
子どもたちのバランスを考えました
国際観光学部2回生 菅野樹彦
8月5日は南キャンパスを基地にして、宝探しゲームをしたあと、東隣にある福祉施設「えるで」に行き、手作り体験をする予定となっています。宝探しは学生5人が子ども5人につき、2人1組になって行う予定でした。そのため宝探しのコースも5人分が用意されていたのですが、初日ということもあって要領を得ず、子ども5人が全員かたまって始めてしまいました。最初の地図を渡した瞬間に男の子たち3人が勢いよく走り出し、メイちゃんとアコちゃんが出遅れました。女の子2人がうろうろするうちに、男の子たちは早くも次の地図を見つけています。このままでは男の子3人だけのゲームになってしまいそうです。そこで私はみんなを集めて落ち着かせ、全員に地図を眺めさせました。探し出すタイミングを揃えたのです。これで女の子たちも平等に楽しめます。もちろん、女の子にはこっそりとヒントを与え、目ざとい男の子たちとのバランスを図ります。そのうち探すコツを覚えたのか、女の子からも「宝の紙を見つけたよ」という喜びの声があがるようになりました。遊びの領域ですが、集団のバランスを図る大変さと面白さを実感しました。結局、1人ずつに分けて行う予定であった5つのコースを5人が共に楽しめて、結果オーライでした。それにしても子どもたちの元気さには驚かされます。炎天下のキャンパスを走り回っても、疲れることもなく、ゲームを楽しみました。
松原高校の生徒たちに助けられました
国際観光学部2回生 阪本妙恵
少し涼んでから、敬恩寺へ歩いて向かいます。子どもたちにも個性があり、銘々が違う行動をします。その行動を観察していると、普段の生活ぶりまで見えてきます。少し寂しく感じたことは、街を歩いているときも、道端で休憩するときも、気の合う友達だけで離れ、他の子どもたちに親しむことなく孤立している2人組がいたことです。そこにはすでに大人の顔が見えています。子どもたちに接すると、きれい事だけで済まない問題にも突き当たります。子どもたちの嫌な面にも向き合い、解決する努力をしてこそ、真の子育て支援ができるのだと痛感しました。
たくさんの弟ができました
国際観光学部2回生 山入端海月
いよいよ8月になり、5日から10日までの6日間にわたる探検隊活動が始まりました。私は5日と6日の2日間の活動に参加させていただきました。自分たちが工夫した宝探しゲームの補助を担当できたのは幸いでした。もともと子どもが好きですので、活動には抵抗なく参加できましたが、実際に接してみると、大変です。ガキ大将みたいな男の子がいて、言うことを聞かず、勝手な行動をします。一方で、おとなしい子がいて、輪に入れません。これをどうまとめて楽しませるのか。こういう状態で、本当に宝物を探しあてられるのか。困惑しながら始めました。ところが、ゲームも後半になると、子どもたちどうしが仲よくなり、続いて私たちにも打ち解けてくれました。遊びで心がつながったのです。思いっきり汗を流し、次々と隠された地図を見つけていく子どもたちの姿は、微笑ましいものです。そのうち私は人気者になりました。宝探しのあとの休憩時間に腕白な子どもたちが近づいてきて、「ミヅキさん、遊ぼうよ」と無邪気に声をかけてきます。なにか本当の弟たちができた感じです。鬼ごっこをして遊びました。それにしても子どもは疲れを知りません。さすがにこちらは走り疲れましたが、いい汗でした。
印象に残った二つの体験
国際観光学部2回生 福崎美帆
印象に残った体験を2つ紹介しましょう。宝探しゲームとラジオ出演です。宝探しはその名を聞いても楽しそうなゲームです。基礎演習の授業で来村ゼミの2回生が準備をして下さったようで、感謝しなければなりません。場所は南キャンパスの全域で、庭木やベンチ、立て看板、水撒きの水道、物干し台、置物の下など、特徴のある隠し場所を探し、小さな地図の中に点をうち、裏には学生たちがイラストを描いてヒントにしています。その地図を見ただけでわくわくします。地図を読めない子どもも、そのうちにコツを覚え、隠し場所まで走ってゆきます。地図は小さなビニールの袋に入れられ、開けて見ると、次の地図のありかが記されているのです。そして最後の地図には宝物の隠し場所が。という仕掛けを、学年に応じて難易度と枚数を変えて準備しているのです。大変な苦労ですが、終了後のアンケートでは、子どもたちの一番人気で、「とても楽しかった」「もう一度やりたい」という感想が圧倒的でした。