【新今宮TIC報告 vol.32】 2014年1月の新今宮TIC運営報告

※この学生教育研究活動は阪南大学学会の補助を受けています。

2014年1月4日(土)新今宮TIC運営報告(4回生 村上恵美)

【スタッフ】橋田翔子(3),村上恵美(4)
【利用者】6組7名。このうち3組3名が海外からの利用者で,タイ,韓国からの方々でした。
【来訪者】松村先生,高橋菜央(OG),坂田悠貴(OG)の計3名。

 2014年がいよいよ始まりました。2020年東京オリンピックまで,もうあと6年。新今宮は,西成は,大阪は,日本は,どう変わっていくのでしょうか。最近,松村先生はよく,新今宮は日本やグローバルな社会という海にポツリと浮かぶウキのような存在,とおっしゃいます。日本社会の変化の兆しは,今年も必ずここ新今宮で感じられることでしょう。写真は東京オリンピック開催決定のポスター(松村先生撮影@羽田空港)。
 今年の最初の利用者は,東京からふと思いついて夜行バスに乗り大阪まで来た,という日本人男性でした。「東京へ今日帰りたいが,一番安く帰るにはどうしたいいのか?」とのことでした。色々と調べてみましたが,お正月のUターンラッシュに入ったこともあり,LCCはもちろん,新幹線の乗車率もすごい状態。夜行バスならばごくわずか空席があるとわかったので,出来るだけ早く予約することをアドバイスしました。この他に今日は,イチゴ狩りへ行きたい,日本製の杖を買いたい,という問い合わせもありました。
 韓国から来られた若い男性は,「携帯電話をレンタルするか,シムカードを買いたい」とのことでした。携帯電話については,日本は独自の進化を遂げた孤島ガラパゴス。外国人が気軽に利用できる携帯電話はありません。関西国際空港まで行けば,外国人も利用できる携帯が契約できるが,まちなかのショップではまず不可能,という事実をお話しました。この方はしきりに「Why? Why?」と連発されていました。

 逆に考えると,新今宮で外国人旅行者向けの携帯電話ショップを開いたら,ビジネスチャンスがあるかもしれないし,少なくとも外国人向けの事業が展開できるかどうか,確かめられるのではないでしょうか。
 お昼前,松村先生がOGの高橋菜央さんと一緒に新今宮TICへ来られました。高橋さんは就職され東京に住まわれているのですが,お正月休みで関西の実家へ帰郷中。久しぶりに大学時代の友人たちと会食することになり,新今宮で待ち合わせていたところ,ばったりと松村先生とお会いしたそうです。数分後に同じくOGの坂田悠貴さんも来られ,松村先生と一緒に昼食へ出かけられました。
 高橋さんは「私のことを知らない学生やったら恥ずかしいから」,と新今宮TICの前を通り過ぎられたそうですが,OB・OGの方々,どうぞご遠慮することなく,新今宮TICを待ち合わせ場所にしてください。
 本日最後の利用者は,国際コミュニケーション学部の陳力先生のゼミを数年前に卒業された日本人男性でした。友人と新世界で待ち合わせていて,少し早く到着。新今宮TICの存在は,在学当時から知っていて,前を通り過ぎた際に,「あ,ここだ。」と思われたそうです。

【松村先生からのひと言】

 松村ゼミにかかわらず,阪南大学のOB・OGの方々や在学生の保護者の方々は,ぜひとも気軽に新今宮TICへお越しいただき,在学生たちの活動をねぎらい,励ましていただければ幸いに存じます。

2014年1月5日(日)新今宮TIC運営報告(2回生 ジャンタパット)

【スタッフ】松川和矢(3),山下喜央(3),ジャンタパット(2)
【利用者】3組5名。全て海外からの方々で,フランス,マレーシア,中国からの方々でした。
【来訪者】松村先生のみ。
 私は今日が2回目のスタッフ入りで,まだ新今宮TICの案内業務に慣れていません。今日は昼前に松村先生が来られ,二人の先輩に新今宮TICの運営を任せて,私に地域を案内して回ってくださいました。
 新今宮TICが提携しているゲストハウスを順番に回り,ゲストハウスの名前や宿泊している人の特徴などを教えてくださいました。ホテル中央オアシスやホテル東洋では,客室のなかも見せていただき,フロントのスタッフに「新しいゼミ生でタイからの留学生です」と紹介していただきました。ホテル中央オアシスのマネージャーは,「去年の夏くらいから,タイからの観光客が本当に増えきたので,タイ語をしゃべれる人材はとても貴重。頑張ってくださいね」と声をかけてくださいました。

 さて,今日の利用者からの問い合わせは簡単なものばかりでした。昼から来られたフランス人とマレーシア人は,「ホテル東洋はどこにありますか」という問い合わせでした。ホテル東洋は先ほど松村先生から教えていただいたところ,松川先輩と一緒に同行案内をしました。
 歩きながら英語で,「今着いたばかりですか?」,「どこから来たのですか?」,「大阪ではどこへ行く予定ですか?」,「明日の予定は?」など,色々とコミュニケーションしながらホテル東洋へ向かいました。新今宮TICへ帰ってから記録ノートに,コミュニケーションした内容も含めて,思い出しながらその方のことを書きました。
 新今宮TIC内では松村先生が過去の記録ノートを見ながら,パソコンで作業をされていました。新今宮TIC利用者のデータベースを作成していらっしゃるそうで,近々,2013年の利用者について報告されるそうです。
 今日は,新今宮TIC宛に,大阪歴史博物館から特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」(平成26年1月15日から3月10日まで)の大判ポスターとチラシが届いていました。英語のタイトルは,The Power of Manga: Osamu Tezuka and Shotaro Ishinomoriとなっていました。
 日本のマンガはクールジャパンのひとつでタイでも大人気,「ドラえもん」や「ドラゴンボール」や「ONE PIECE」はタイ人もみんな知っています。テレビでも日本のマンガ,アニメは大人気です。タイ人だけでなく,この特別展を見に行きたいと思う外国人は絶対に多いと思います。意外でしたが,松村先生の息子さんたちが大のマンガ好きだそうで,松村先生はこの特別展をぜひ家族で見に行きたいとおっしゃっていました。

【松村先生からのひと言】

 子供向けの伝記マンガに,「手塚治虫」,「石ノ森章太郎」,「藤子・F・不二雄」があります。子供に読み聞かせながら,すごい先人たちがいたのだな,といい年の大人が感動しました。大阪歴史博物館のこの特別展は,絶対,子供たちと一緒に見に行きます。最近,大阪歴史博物館はとても面白い特別展を連発しています。外国人目線も強く意識されているようで,そのセンスは確かです。この頑張りに応えてあげたい,外国人の入館者をもっと増やしてあげたい,応援したい,と心底思う今日この頃です。

2014年1月11日(土)新今宮TIC運営報告

【スタッフ】吉田あゆこ(4),ジャンタパット(2),小山舞(1)
【利用者】5組8名。全て海外からの利用者で,中国,マレーシア,フランス,アメリカ,韓国からの方々でした。
【来訪者】濱中勝司さん(OB),大宅和佳(4)の計2名。
 本日のスタッフは,2回生のジャンタパットさん(愛称ジーン)と,1回生の小山さんと行いました。スタッフの経験が浅いこともあってか,OBの濱中さんが午前中に,4回生の大宅さんが午後に,様子を見がてら来訪してくれました。

【松村先生からのひと言】

 これからジャンタパットさんは愛称のジーンで呼びたいと思います。もう一人,ジーンの同級生で台湾からの留学生の張均竹さんがいますが,彼女の愛称はジュディ,ジュディもこの呼び方で行きたいと思います。

2014年1月12日(日)新今宮TIC運営報告(2回生 ジュディ・2回生 ジーン)

【スタッフ】橋田翔子(3),ジーン(2),ジュディ(2)
【利用者】10組18名。このうち9組17名が海外からの利用者で,マレーシア,オーストラリア,台湾,タイ,韓国からの方々でした。
【来訪者】松村先生,松川和矢さん(3),マウンさん(M2),ユさん(台湾から旅行に来たジュディの友人)の計4名。
 今日,私(ジュディ)は初めて新今宮TICのお手伝いに行くので,同級生のジーンや友達から,新今宮TICの場所を何回も確認しました。けれども朝一番に早めに到着したので,シャッターが閉まっていて通り過ぎてしまい,先輩の橋田さんが9時前に来られて,ようやくその場所がわかりました。
 今日は利用者も多く,来訪者も多い1日でした。来訪者のユさんは日本留学経験のある私の台湾人の友達です。3回生の松川先輩は,午後,就職活動の合間にスーツ姿のまま来訪され,そのままの姿で大衆演劇のポスターを集めに自転車で回ってくださいました。1月分だけでなく,2月分も貰ってきていただき,本当にありがとうございました。松村ゼミで大学院生のマウンさんは,修士論文の相談で松村先生と新今宮TICで待ち合わせをされていました。
 さて,今日最初の利用者はマレーシアから来たご夫婦で,「六甲への行き方」を尋ねられました。このご夫婦は昨年も新今宮TICを利用されたそうで,年度を跨いだリピーターでした。
 お昼前に松村先生が来られたのですが,ちょうどその時,台湾からの男性旅行者がいました。私が中国語で対応していたのですが,松村先生も会話に加わり,旅行の予定を詳しく尋ねられました。その方は,神戸,姫路,和歌山へ行きたいとのことでした。
 それを聞いて松村先生は,JR西日本が外国人向けのみに発行する「Kansai Area Pass」,その1日乗り放題チケット(2,000円)か,2日乗り放題チケット(4,000円)がいいのでは,とお薦めされました。神戸,姫路へ行くには,やはりJR西日本が早くて便利です。新今宮から姫路を往復し,特に神戸でも降りるならば,この1日乗り放題チケットが断然お得で,このチケットはパスポートを持参すれば,JR新今宮駅西口のみどりの窓口で購入できるそうです。彼も納得した様子で,みどりの窓口へ行くとのことでしたので,その場所を案内しました。驚いたことに,彼も昨年,新今宮TICへ来たのですが,平日で閉まっていて利用できなかったそうです。

 今日一番印象に残った利用者は,タイから来られたお母さんとお祖母さんと息子さんの三世代旅行者でした。今日のスタッフにはタイからの留学生ジーンがいて,彼女は今日が三回目のスタッフ入りだったのですが,これまで1度もタイ人利用者がなく,「タイ人と会えないなあ」と言っていました。
 この三世代旅行者は大阪城へ行きたいとの問い合わせでしたが,話を伺うと,大阪観光は初めてで他のところにも行きたいとのこと。それならば大阪周遊パスを利用した方が絶対にお得なので,ジーンが説明したところ,ぜひそれを利用したいとおっしゃいました。
 大阪周遊パスは少し使い方が複雑で,買えるのも地下鉄の駅長室。私もジーンも地下鉄動物園前駅の駅長室の場所を知らないので,松村先生も一緒に,みんなで大阪周遊パスを買いに,駅長室へと向かいました。そして,駅長室のなかで,大阪周遊パスのクーポン券を見せながら,大阪暮らしの今昔館,大阪城天守閣,大阪歴史博物館,とんぼりリバークルーズへ行き,最後は通天閣へ登ったらどうか,というプランをジーンの通訳でお薦めしました。最後は地下鉄堺筋線の改札口まで送り,お祖母さんやお母さんとハグして握手して分かれ,私たちもジーンも喜びました。(以上,ジュディ)
 今日の7組目もタイから来た女性の若い旅行者でした。彼女は「大阪城公園と神戸へ行きたい」ということでしたが,大阪観光の情報はほとんど知りませんでした。そこで私(ジーン)は,大阪周遊パスというお得なチケットがあること,神戸もいいところですが奈良や京都もいいなど,たくさんの情報を伝えました。そうしたら,ぜひ大阪周遊パスを買いたいとおっしゃったので,今日2回目,また私とジュディで動物園前の駅長室まで同行案内しました。
 大阪周遊パスには英語版もあるはずなのですが,動物園前の駅長室には日本語版しかありませんでした。漢字やひらがなの読めない外国人でも,英語ならばだいたいわかりますが,日本語は全くわかりません。これだけ外国人の利用者が多いところなのに,なぜ英語版の大阪周遊パスを売っていないのか,とても不思議に思いました。

 タイからの大阪へ来た観光客はタイ語での情報が少ないので,とても困っていることが,今日スタッフとして活動してよくわかりました。2組のタイ人は,大阪周遊パスのことを全く知りませんでした。ホテル中央セレーネのマネージャーのお話では,2013年の夏にタイからの観光客がとても多くなったのですが,タイ語の大阪観光情報が少なくて本当に困っているそうです。
 大阪周遊パスを使ったら,普通なら4,5千円かかる旅のプランでも2千円,タイ人も絶対利用したいお得チケットなので,ぜひもっとタイ語で宣伝して欲しいと思います。JRのお得チケットも,もし知らなかったらとても損をした気持ちになると思いますから,私もどんどん宣伝したいと思います。今日はタイ人の観光客と会えてタイ語で案内でき,とても喜んで感謝してもらえました。
 ジュディとも話したのですが,私たちはできる限り外国人の利用者を助けたいという気持ちでいます。外国へ旅行に行くと,言葉の不安は誰にでもあります。私はタイ語,ジュディは中国語を使い,タイや台湾から来てくれた人のお役に立てるのは,本当に嬉しいことです。
 今日は新今宮TICの運営が終わってから,私とジュディとジュディの友達のユさんは,松村先生と一緒に動物園前商店街の「すし寛」へお寿司を食べに行きました。そこの壁にも大衆演劇のポスターが貼ってありました。私とジュディは「現代日本事情」という講義のなかで,大衆演劇についての松村先生の授業を聞いていたので,その話をしていると,「いいチャンスだから見に行こう」とみんなでオーエス劇場へ行くことになりました。お芝居で男役をしていた男の人が,踊りになると美しい着物姿の女性で出てきて,誰が誰だかなかなかわかりませんでしたが,楽しみました。とても充実した1日でした。(以上,ジーン)

【松村先生からのひと言】

 ジュディもジーンも,何か他人のお役に立ちたいという「おもてなし」の精神がとても強く,言葉もできるので,新今宮TICのスタッフに向いています。今日のジーンの活躍が,将来の日本の観光立国を担う,と私は本気で思っています。

2014年1月18日(土)新今宮TIC運営報告(2回生 速水朋香)

【スタッフ】江畑知恵(3),池田千紘(3),袁麗萍(3),川内麻央(2),速水朋香(2)
【利用者】2組6名。全て外国人で,台湾,香港からの方々でした。
【来訪者】松村先生,インプリージョン社長の小田切聡さんの計2名。

 川内と速水の2回生は初めてのスタッフ入りで,とても緊張していました。この日のスタッフは江畑さんが英語・韓国語を,袁麗萍さんが英語・中国語・広東語を話せ,池田さんはとても面倒見が良いということで,松村先生によると,最高に後輩に優しいデビュー戦だとのことでした。
 ところが残念なことに,今日の天気は曇で途中少し雨が降り,とても寒い1日でした。予想通り人通りも利用者も少なく,両替する場所を探している台湾人男性5名のグループと,でんでんタウンへ行きたいという香港人男性のみ。活躍したのは袁さんでした。
 初スタッフ入りする私たち2回生を気遣ってか,松村先生が11時半頃にフラっと立ち寄ら,「お腹すいたわ,めし食べに行かへん,何にする…。」と昼食に誘っていただきました。ところが,私たちスタッフは袁さんの強い希望で,11時過ぎに「あなぐま亭」へ予約電話を入れていました。松村先生にその事情をお話したところ,「あなぐま亭で,ええやん。何の問題もないよ。」とのことでした。
 あなぐま亭へ行く前後のまち歩きで,松村先生は色々と現場の前で,地域の事情を説明しながら歩いてくださいました。パチンコ屋のマルハンが購入したフェスティバルゲートの跡地のこと,現在は廃墟となっている馬渕生活館や,恵美須東と恵美須西の歴史などなど。

 江畑さんから「次にスタッフ入りしたら,今度は西成側へ食事に行かなあかんなあ。」とおっしゃったので,「もう一度,難波屋さんに行きたいと思っています。」と答えると,「ええ,何で難波屋,知ってんの。」と驚かれました。
 実は,私と川内さんは松村ゼミ入りが決まった2013年11月27日(水),松村先生の案内で,西成区の最もディープなところを歩き,難波屋での西成ジャズライブも楽しみました。この時は,松村先生の「なにわ大賞」受賞を記念して,「なにわ名物開発研究会」のメンバーが,ディープ西成を歩くイベントがあったのですが,それに同行させていただきました。
 この日の難波屋でのライブには,松村先生や臣永西成区長,なにわ名物開発研究会のメンバーたちも来られるということで,SHINGO☆西成さんにも声がかかり,飛び入り参加されました。ライブ終了後には,SHINGO☆西成さんと記念撮影も…,それを3回生の先輩たちにお話しすると,「うそー,めっちゃええやん」と羨ましがられました。普通,松村ゼミでの新今宮デビューは,新世界,恵美須西,動物園前・太子地区,難波屋,萩之茶屋地区という順番なのだそうですが,私たちはいきなり上級コースから入った珍しいケースのようでした。
 さて,今日は運営が暇だったので,池田さんと江畑さんに,記録ノートの書き方を教えていただき,「食べ歩きMAP」や「大阪・新世界ガイドブック」にどんな情報が載っているのか,チェックして時間を過ごしました。松村先生が来られてからは,昨日3回生の松川さんが取りに行った大衆演劇のポスターを張り替え,看板を外へ出しました。

【松村先生からのひと言】

 近々,松村ゼミ12 代目のニューフェイスを対象として,釜ヶ崎の本格的なフィールドワークを行いたいと思います。このフィールドワークを経験して初めて,本当のスタッフと言えます。

2014年1月19日(日)新今宮TIC運営報告(3回生 関伽緒里)

【スタッフ】ジュディ(2),関伽緒里(3),弘田愛美(3),原田雪帆(3)
【利用者】1組1名。トルコからの男性でした。
【来訪者】松村先生,濱中勝司さん(OB),英語落語会を主催する水本さんの計3名。

 今日は朝から雪も降るとても寒い1日になり,利用者はたったの1名。トルコから一人旅で日本に来られた男性で,大阪全体の地図が欲しいとのことでした。1枚ものの地図の在庫がなかったため,エリア別の地図を何枚も渡しました。
 後で松村先生から伺ったのですが,かつて大阪の地図は,大阪観光コンベンション協会からご提供いただいていたのですが,同協会が大阪観光局になってから,担当者との連絡がつかなくなり,その連携が止まっているそうです。
 ところが,地図に関しては,大阪観光局のウェブサイト(http://www.osaka-info.jp/jp/guidebook/)からPDFファイルでダウンロードできるようになっているので,そのサイト情報を案内すればいいとのことでした。最近はスマートフォンやiPadを持っている旅行者が多いので,その方が便利かもしれません。新今宮TICのスタッフはぜひ必ず,このサイトを確認してください。日本語,英語,中国語の繁体字と簡体字,韓国語の各種地図やガイドブックがダウンロードでき,とても便利です。
 お昼前,松村先生が来られて,ランチがてら西成区と浪速区を案内していただきました。最初,西成区の今池本通商店街の「日松亭」へ向かいました。途中で,外国人もよく宿泊するシェアハウス「よっこら諸島」の場所を確認し(写真参照),大阪市立更生相談所,略して市更相(しこうそう)の前を通って日松亭へ。
 松村先生からは市更相が地域でどのような機能を果たしてきたのか,などの説明を受けました。市更相の横には現在運営は行っていない日雇い労働者向けの「あいりん銀行」の窓口があり,なぜそのような銀行が必要であったのかなども教えていただきました。私たちが活動する「あいりん」地域が漢字で書くと「愛隣」だと初めて知りました。
 さて,私たちの目的地であった日松亭,日曜日は定休日で閉まっていました。なので,今度は,弘田さんのリクエストから,動物園前の商店街を北へと歩き,ジャンジャン横丁も通天閣も超え,新世界本通商店街の「大阪王将」へ行きました。この間,松村先生はずっとジュディの近くを歩き,まちの歴史,面白いお店,観光客の動きや好みなどについて,お話されていらっしゃいました。
 新今宮TICの運営終了間際,英語落語の「てんのじ村寄席」を主催する水本さんがいらっしゃって,2月9日(日)開催分のポスターとチラシを置いていかれました。松村先生とのまち歩きで,山王地区はかつて「てんのじ村」とも呼ばれ,戦前から焼け残った古い住宅街が広がり,漫才や落語の芸人さんが数多く住んでいたところだと学びました。

【松村先生からのひと言】

 今日のランチブレイクはよく歩きました。通天閣を中心とする周辺の地域は,とても特徴があり面白いところばかりです。阿倍野,天王寺,山王,飛田,あいりん地域,恵美須西,新世界,日本橋,黒門市場,動物園,天王寺公園,寺町などなど。少し歩けば,全く特徴の異なる地域が連続してあり,魅力は尽きません。この強みをぜひ観光振興で活かしたいものです。

2014年1月25日(土)新今宮TIC運営報告(2回生 宗政巨地)

【スタッフ】栃原智美(2),宗政巨地(2),井上航太(2),井原礼香(1),竹本紗也香(1)
【利用者】2組4名。全て日本人でした。
【来訪者】松村先生,産経新聞記者の計2名。

 今日のスタッフは1・2回生のみ,経験も少なく英語対応にも不安がある1日でした。私も井上君も,1回生の井原さんも竹本さんも初めてのスタッフ入り。1回生の二人は,松村先生に直接スタッフ入りしたいとのメールを送り,ようやく実現したとのことでした。なかなか勇気のいることです。
 おそらくそうした情況を心配されて,松村先生が10時過ぎに来られました。先生は来られてすぐ,「今は一番外国人が少ないシーズンやから,今日はたぶん暇なはずや。」とおっしゃいまいた。
 その予想はズバリと当たり,外を通る外国人も少なく,利用者は日本人のご年配の女性3人組とかつて松村先生の講義を聴いたという卒業生1名のみ。女性3人組は新世界の朝日劇場へ大衆演劇を見た帰り,新今宮TICの前を通りかかり,大衆演劇のポスターを見て立ち止まられて,こちらへ話しかけて来られました。「このオーエス劇場というのはどこにあるの?」など,西成区側の劇場に興味を持たれており,松村先生と楽しそうに会話されていました。今日のスタッフで大衆演劇を見たことがあるのは栃原さんのみ,私たちは会話について行けませんでした。
 お昼休憩で外出すると,松村先生の案内でプチまち歩きが始まりました。とても興味深かったのは,通天閣の西側にある新世界市場でした。シャッターの閉まったお店が多い商店街なのですが,開いている商店に,面白いキャッチコピーのポスターが掲げられていました。若いカップルがカメラを持ってポスターを撮影して回っている姿も見ました。松村先生の説明によると,新世界市場には若い人が新しく開いたお店も何軒かあり,最近,とても注目されている場所だそうです。ただし,人通りは多くなったものの,それがなかなか消費へつながらない,商店街の店舗で買い物しないというのが,大きな課題だそうです。

 午後からは産経新聞の若い男性記者が新今宮TICに来られ,松村先生から2013年の新今宮界隈の情況を詳しく取材されていました。2013年,太子1丁目にある8軒のゲストハウスのみで,外国人が年間12.2万泊したそうで,この半分以上のゲストハウスの客室稼働率が90%を超えたそうです。新今宮TIC内での取材後,松村先生はその記者と二人の2回生を連れて,地域のゲストハウスを案内して回られました。
 記事に掲載されるかどうかわかりませんが,新今宮TICの運営風景も写真撮影して帰られました。スタッフのうち4名が初めての参加でしたが,松村先生は,「ラッキーやん,滅多にないチャンスやから,写っとき。」とのことでした。ホテル東洋のフロントでも,記事用の写真を撮影されたそうです。
 記者が帰られてから,先生と栃原さんを中心に,今後のゼミ活動の展開について話し合いました。最近,新今宮TICの利用者数が減少しているそうで,「新たな活動へ踏み出すチャンスだ」と松村先生はおっしゃっていました。新今宮TICの運営日数を少し減らして,新今宮TIC発の半日か日帰りのまち歩きツアーをもっと充実させたらいいのでは…など,色々な案が出ました。

【松村先生からのひと言】

 2013年の新今宮界隈は,大きな変化の予兆をひしひしと感じた1年でした。タイやマレーシアからの旅行者が増え,人気のあるホテルは連日「満室」,予約を入れるのが遅いバックパッカーは,萩之茶屋地区へ流れました。2020年東京オリンピックの開催決定も,あいりん地域へ今後,大きな影響を与えることは間違いなく,その予兆も感じた1年でした。ニュース性は十分あるお話だったと思います。

2014年1月26日(日)新今宮TIC運営報告(2回生 平山あかね)

スタッフ】武石彩芳(3),山中彩帆里(3),袁麗萍(3),平山あかね(2),南亮輔(2)
【利用者】5組9名。全て海外からの利用者で,ギリシャ,アメリカ,オーストラリア,カナダ,ポーランド,フランス,韓国からの方々でした。
【来訪者】濱中勝司さん(OB),許善美(3),松村先生,松川和矢(3),橋田翔子(3),袁麗萍の友人の計6名。

 今日は小雨が降ったり晴れたりと,不安定なお天気の1日でした。

 10時頃,韓国ソウルの慶熙大学から松村ゼミで学んだ交換留学生の許善美さんが,松村先生や同級生を訪ねて来られました。もうアパートは引き払い,帰国する1月30日までの間,学割の早割の1泊3,100円で,ホテル中央セレーネに宿泊されているそうです。この日,松村先生は1回生を連れて,鶴橋・空堀・淀屋橋などのまち歩きを案内されていて不在,許さんはとても残念そうにされていました。
 今日の利用者で面白かったのは,4組目に来られたカナダ人・ポーランド人の女性2名とフランス人男性1名のグループでした。この方たちはバラバラに大阪へ来たのですが,ホテルダイヤモンドで同宿して意気投合し,3人で一緒に行動されているそうです。通天閣への行き方と奈良の観光情報について尋ねられました。
 この方々が立ち去られた直後,1回生を引率されていた松村先生が松川さんと橋田さんと一緒に,新今宮TICへ来られました。松村先生はこの3名が通天閣へ行くと聞いて,有効期限が残り少ない通天閣の無料優待チケットがあるので,「あげたらいいやん」とおっしゃいました。それを受けて,武石さんと山中さんが3人の後を追って走り,お渡ししたところ,大喜びされていました。松村先生もバックパッカーをしていた若い頃,よく旅先で外国人と仲良くなり,一緒に行動されたそうで,「いい友達がいっぱいできた。」とのことでした。
 さて,この日は松村先生が来られてからが大変でした。新今宮に帰って来られたのは,萩之茶屋地区の「なべや」というお店へ行って,すき焼きを食べるつもりだったからだそうです。ところが,この「なべや」は日曜日が定休日で今日はお休み。松村先生や松川さんらは,「もう口がすき焼きになってしもうてる!!」という状態。そのなかで新今宮TICには,すき焼き用の鍋とコンロが1セット常備されています。
 そこで「みんなで買出しに行ってすき焼きを食べよう」ということになりました。松村先生と南君が自転車で新世界市場の「肉のさかもと」ほかで食材を買いまわり,15時半くらいに戻って来られました。食材はホテル中央セレーネの厨房を借りて,私と袁さんとで切り,16時過ぎには準備完了。シャッターを半分閉めてから,新今宮TIC内にてみんなですき焼きをいただきました。
 松村先生はその後,袁さんとその友人を連れて,おでんの成田屋へ西成ジャズを聴きに行き,私たちは解散しました。しかし,レポートやエントリーシートの提出時期だったので,パソコンとプリンターを利用するため,山中さんや武石さんはそのまま居残られました。

【松村先生からの長めのひと言】

 新今宮界隈でのすき焼きパーティは,かつて何度か盛大に行ったことがあります。最近の松村ゼミの懇親会では,安易に飲食店で行うのではなく,自前ですき焼きパーティを準備することが多いのですが,私は本気で,すき焼きパーティに教育効果があると思っています。短時間で準備して食べて楽しみ,ちゃんと後片付けをするには,それなりのノウハウとチームワークが必要です。個々人の性格や適性なんかもよくわかります。また何よりも,普通に懇親会を行うよりも,ずっと美味しいものを安く楽しめます。