【松ゼミWalker vol.226】平野郷杭全神社の夏祭りツアーへ

 平野郷杭全神社の夏祭りは,毎年,7月11日から14日に行われます。なかでも,最も盛り上がるのが,7月13日の9台の地車(だんじり)による宮入神事。松村ゼミは,2010年から毎年欠かさず,新今宮の宿泊施設で外国人旅行者の参加者を募り,この平野郷の夏祭りを見に行くツアーを催行してきました。そして,今年も当然,外国人旅行者らと一緒に夏祭りを楽しんできました。
 今年の7月13日は平日の木曜日。その前日の水曜日の放課後,2回生のゼミ生有志3名と松村が,新今宮のホテル東洋へ行き,ツアーのチラシを配って,外国人旅行者を直接勧誘しました。例年なら,新今宮界隈のホテル10軒余りでチラシを広く配布するのですが,今年は平日開催ということもあり,学生側のマンパワー確保がやや心配。外国人旅行者が集まり過ぎても困るということで,ホテル東洋限定での勧誘にしました。
 集合は13日17時30分にホテル東洋玄関前,集まってくれた外国人参加者は,ちょうどいい感じの9名。梅雨明けの7月から8月にかけてはインバウンドのハイシーズン,ホテル東洋以外でも勧誘していたら,おそらく20名近い参加者が集まったと思います。女性はイングランド人1名のみ,残りの8名は全員男性で,フランス人3名,ウェールズ人3名,スウェーデン人1名,韓国人1名でした。松村ゼミからは4回生4名,3回生9名,2回生4名に松村が加わり,18名が参加しました。2回生は今回が初めてのまち歩きツアーでしたが,積極的に外国人参加者へ話しかけていて,なかなか心強く思いました。

 地下鉄で谷町線平野駅へ着いたのが18時頃,出口を出て大阪羽曳野線,通称・南港通りへ。南港通りを歩き始めてすぐ,宮入二番手の脊戸口町のだんじりが,引き手に囲まれて,路上で,宮入前の休憩をとっていました。
 初めてだんじりや祭り装束を見た外国人参加者たちは,道路沿いに立ち並び,だんじりや休憩中の引き手の様子を,スマホで写真撮影していました。すると,脊戸口町の世話役の方々が見つけて近づき,「どこの国の人らなん,わざわざ来てくれたん」と声をかけてくださり,「暑いからこれでも飲んで,これも食べて」と,キンキンに冷えたお茶とアイスクリームをいただきました。外国人参加者だけでなく,学生たちも…ちゃっかりと。平野郷の夏祭りに来ると,毎年,日本の,大阪の,平野郷のホスピタリティを感じます。
 ツアーの一行は,南港通りの大阪信用金庫前へ先に向かい,脊戸口町のだんじりが来るのを待ちました。すると,行ったり来たりを繰り返しながら,脊戸口町のだんじりが,大阪信用金庫前へやってきて,路上でだんじりの片方を持ち上げたり回転させたりするパフォーマンスを展開。夕陽に照らされたその雄姿を私たちは見守りました。
 その後,一行は杭全神社へ向かい,鳥居をくぐって,参道の露天を見ながら境内へ。杭全神社をみんなで参拝してから,再び杭全神社の鳥居前へと19時過ぎに戻りました。

 この鳥居前が宮入のクライマックスが展開する場所。私たちが到着した頃,ちょうど宮入一番の西脇組のだんじりが,最後の曳行を披露中でした。19時30分過ぎ,西脇組のだんじりが鳥居を通過したのを見届けて,私たちはJR平野駅からJR新今宮駅,ホテル東洋への帰路につきました。
 さて,ツアー後のゼミ生らとの反省会で,こんなことが話題になりました。ツアーで外国人参加者と一緒にまちを歩いていると,彼らは色々なことを質問してきます。「なぜ,だんじりを引っ張るのか」,「神社とお寺の違いはどこにあるのか」,「だんじりとおみこしの違いは何なのか」,「お祭りの準備期間はどのくらいあるのか」,「女性はだんじりを引っ張っていないが,なぜか」などなど。どう答えればいいのか分からない質問も多く,私でも「うーん,何でやろう」と考え込みことがあります。説明しようにも,適当な英単語が思い浮かばないことも頻繁にあり,悔しい思いをします。
 こうした現場で感じた「もどかしさ」や「はがゆさ」が,主体的な学びへつながるのではないか,ゼミ生たちとはそう話し合いました。退官された吉兼秀夫教授がよく,「自文化の自分化が大切」というフレーズを好んでお使いでしたが,その真意は,今日のような,外国人と関わる経験から体得できるのではないでしょうか。