来年度の松村ゼミの主要活動は、外国人個人旅行者向けの大阪街歩きツアーの実施です。先にその概要を発表しましたが、その日程・コンセプト・コースなどの詳細が決まりましたので報告します!!
 ガイドブックに掲載されていないところをあえて厳選し、掲載されているところはその裏路地に入るツアーばかりです。私たち地元学生の案内やインタープリテーションがなければ、絶対に味わえない大阪ならではの魅力、それを充分満喫できるコース設定になっています。
 国際観光学の分野からは、着地型観光の実験的な試みとして注目されること間違いなしです。現在松村ゼミが試験的に運営している観光案内所と、この外国人個人旅行者向けの街歩きツアーがうまくリンクできれば、大阪は必ず国際観光都市への第一歩を歩み出します。
 松村先生も私たちゼミ生も、本気でこの試みが日本の国際観光を変えると信じています。皆さんの目でその詳細をチェックして確かめてください!!!

Let's walk around OSAKA! (大阪を歩こう!)

大阪はエキゾティックな魅力にあふれる都市

 京都や奈良と比べて,「大阪の街は歴史がない」と言う人がいます。神戸や東京と比べて,「大阪の街はダサイ」と言う人もいます。ところがどっこい!! 大阪は京都・奈良・神戸はもちろん,東京にもないエキゾティックな魅力にあふれる街です。
 かつて,東京は江戸幕府のもと武士文化の影響が強く,京都は天皇の御所を中心とする公家文化の発信地であったのに対し,大阪は商人を中心とする庶民文化が洗練され花開いた場所であった。世界無形遺産に登録された文楽は大阪が発祥地であり,歌舞伎や能楽も大阪で独自の発展を遂げてきた。
 明治時代に入ると,大阪は庶民文化の伝統を守りながら,日本の近代化をけん引する産業都市へと変貌していった。日本各地から流入してきた人々が大阪に住みつき,大阪の庶民文化をさらに豊かにしていった。現代大阪の都市空間は京都や奈良にない庶民文化の魅力で満たされている。京都や奈良で日本の歴史的建造物を堪能したならば,大阪では大阪人の「ありふれた日常」と「ささやかな非日常」を気軽に見て歩こう。
 大阪のローカルな庶民文化はガイドブックには紹介されていない。大阪人の「ありふれた日常」や「ささやかな非日常」を一般の外国人個人旅行者(Foreign Individual Tourists: FIT)が観ることは容易ではない。

外国人個人旅行者向けの街歩きツアーの提案

 私たちは大阪南部に位置する阪南大学国際コミュニケーション学部国際観光学科で,国際観光を振興する方法や国際観光を活かした地域づくりを学ぶ学生です。私たちはガイドブックに載っていない地元大阪の魅力を日々研究しています。私たちと一緒にガイドブックに載っていない大阪の街を歩き,私たちと一緒でないと絶対に体験できない大阪の魅力を味わってみませんか。学生ボランティが運営しているので,参加費は無料,交通費や飲食費などの実費のみ各自が負担してください。
 2008年秋,大阪市・大阪観光コンベンション協会・大阪商工会議所などが連携して,大阪コミュニティ・ツーリズム推進連絡協議会を設立しました。この協議会は街歩き観光の魅力を発信しています。しかし,従来の街歩き観光の主なターゲットは日本人の中高年の団塊世代。FITは外国人の若者が多いので,彼らの楽しめる街歩きコースはとても少ないのが現状です。
 松村ゼミがプロデュースするFIT向けの街歩きツアーは,大阪コミュニティ・ツーリズム推進連絡協議会とも連携して,従来の街歩き観光の空白を埋めるべく企画されたものです。Let's walk around OSAKA!は,FITに大阪の「ありふれた日常」と「ささやかな非日常」を楽しむ街歩きを提案します。学生たちがプロデュースしたコースを学生たちの案内で歩き,決して背伸びをしない等身大の「大阪」を外国人に見てもらう。大阪の観光振興や都市再生はそこから始まるかもしれません。

5回の街歩きツアーの告知

1:大阪の繁華街の裏路地を歩く(道頓堀・千日前・日本橋):2009年4月21日(火)開催

 道頓堀・千日前は大阪で最も賑やかで歴史の長い繁華街であり,ロンリープラネットでも紹介されている地域である。江戸時代の道頓堀と千日前は大阪の市街地の最南端に位置し,芝居小屋やお茶屋が立ち並ぶ遊興のための空間であった。大阪の市街地に住む豊かな商売人たちが船で乗りつけ,お茶屋で遊び芝居や演芸を観た。
 道頓堀と千日前には魅力のあるスポットが並ぶ細い裏路地が多い。この地域の魅力は間違いなく裏路地にある。このツアーでは,道頓堀・千日前の裏路地を歩きその過去と現在を体感する。ツアー終了後に実費負担でのフレンドシップパーティも予定しています。
   集合日時:2009年4月21日(火) 13時集合・16時頃解散予定
   集合場所:JR新今宮駅東口下車すぐ ホテル中央ロビー
   ツアー定員:約15名
   使用言語:英語(中国語・韓国語も個別に対応します)
   実費負担:5〜10US$

2:大阪のディープサウスを歩く(天王寺・新今宮):2009年5月21日(木)

 大阪環状線の南側の天王寺から新今宮にかけての地域は,昭和時代を象徴する繁華街と戦前期に建設された住宅街が残る庶民の生活空間が広がる。大阪では道頓堀あたりが「ミナミ」と呼ばれ,天王寺あたりはそのまた南に位置するので「ディープサウス」とも呼ばれている。
 この地域は大阪のなかでも間違いなく最もディープなところであり,日本人でも地元大阪人でさえも驚き戸惑い心が揺さぶられる。このツアーでは,ディープな大阪の生活空間を歩き,大阪のダウンタウンでの生活を体感する。ツアー終了後に実費負担でのフレンドシップパーティも予定しています。
   集合日時:2009年5月21日(木) 13時集合・16時頃解散予定
   集合場所:JR新今宮駅東口下車すぐ ホテル中央ロビー
   ツアー定員:約10名
   使用言語:英語(中国語・韓国語も個別に対応します)
   実費負担:5〜10US$

3:大阪の職人芸を歩く(住吉大社・堺):2009年6月20日(土)

 大阪はかつて東洋のマンチェスターと呼ばれた産業都市であり,技術力の高い中小企業が多く,今なお伝統的な手工業の職人芸が生き残っている。また日本でも結婚式の多いシーズンである六月の土日の吉日には,日本各地の神社で伝統的な神道形式の結婚式が行われている。
 このツアーでは,住吉大社で伝統的な結婚式を見学し,堺市の旧市街地を歩き,戦国時代からの続く伝統産業である和菓子づくりと刃物づくりの現場を体験する。ツアー終了後に実費負担でのフレンドシップパーティも予定しています。
   集合日時:2009年6月20日(土) 13時集合・16時頃解散予定
   集合場所:JR新今宮駅東口下車すぐ ホテル中央ロビー
   ツアー定員:約15名
   使用言語:英語(中国語・韓国語も個別に対応します)
   実費負担:15US$

4:大阪の伝統集落を歩く(平野):2009年7月12日(日)

 大阪市の西部に位置する平野は,中世に形成された市街地の構造と古い街並みが残る伝統的な集落である。歴史のある寺院や神社を中心とする平野の市街地を歩くと,時間が止まったような錯覚を覚える。
 7月12日は勇壮なことで知られる杭全神社の夏祭りが開催され,平野が最も活気づき賑わう一日である。このツアーでは,平野の市街地を歩き杭全神社の夏祭りを楽しむ。ツアー終了後に実費負担でのフレンドシップパーティも予定しています。
   集合日時:2009年7月12日(土) 13時集合・16時頃解散予定
   集合場所:JR新今宮駅東口下車すぐ ホテル中央ロビー
   ツアー定員:約15名
   使用言語:英語(中国語・韓国語も個別に対応します)
   実費負担:10US$

5:大阪のマイノリティの三角地帯を歩く(鶴橋・芦原橋):2009年7月19日(日)

 大阪環状線の外側にはマイノリティの三角地帯と呼ばれる地域が広がる。環状線の東部の鶴橋駅周辺は在日韓国・朝鮮人やコリアンジャパニーズが住む日本最大のコリアタウンである。彼らは,コリアンでもジャパニーズでもない独自の「ザイニチ」文化を生み出し,日本人社会と共生している。
 7月19日はコリアタウンの御幸森神社の夏祭りが開催され,神輿がコリアタウンを練り歩く。このツアーでは,大阪人権博物館を見学して大阪の社会的マイノリティの歴史と現状を学び,鶴橋界隈のコリアタウンを歩き夏祭りを体感する。ツアー終了後に実費負担でのフレンドシップパーティも予定しています。
   集合日時:2009年7月19日(土) 13時集合・16時頃解散予定
   集合場所:JR新今宮駅東口下車すぐ ホテル中央ロビー
   ツアー定員:約10名
   使用言語:英語(中国語・韓国語も個別に対応します)
   実費負担:10US$