産官学の連携は、松村ゼミが最も重きを置くキーワードの一つであり、国際観光によるあいりん地区の活性化にはこの三つの連携が不可欠です。
 この観光案内所の開設と運営にあたっては、多くの方々からのご支援をいただきました。
 その極め付けが今回のレポート!!
 先日来訪いただいたたばた(田端)正広・衆議院議員が、何と、衆議院の予算委員会で観光案内所の存在と阪南大学の観光学科の学生が運営しているという事実を報告してくださいました!!
 それを知り、関係者全員が盛り上がった一日のレポートです。

国会予算委員会第八分科会にて

 2月6日(金),西成区を含む大阪3区選出のたばた(田端)正広衆議院議員が,我々の運営する観光案内所を視察に来られました。その様子は松ゼミWalker vol.7で久保田早也佳がレポートしてくれているので,ぜひご覧ください。
 さて現在,第171回通常国会が開催されていて,平成21年度総予算をめぐる質疑応答がくり広げられています。2009年2月20日(金)開催の予算委員会第八分科会では,観光行政を所管する国土交通省の予算についての質疑応答が行われました。
 21日(土),田端議員の秘書から簡宿組合へ「ちゃんと国政の場で紹介して,皆さんの取り組みが今後とも上手くいくよう,国土交通大臣に支援を要請しました。」との連絡が入り,松村先生にもその連絡が伝わったそうです。

えらいこっちゃ!!

 23日(月)午前,松村先生が案内所に来られ,「えらいこっちゃ,この前に来はった田端議員が,国会でこの案内所のことを言うてはるわ。」と興奮気味。私たちは「???…???…」。「ネットで見れんねん,ほら…」と,松村先生が案内所のパソコンで『衆議院TV』の田端議員の様子を流した。質問に立たれた田端議員は,先日のあいりん地区の視察を踏まえて,あいりん地区での国際観光振興に向けた取り組みを紹介しつつ,金子一義国土交通大臣と以下のようなやりとりがなされました。以下は国会議事録からの抜粋。 
☆田端正広衆議院議員の質疑
 「ビジット・ジャパンが,平成19年834万,平成20年835万ということで,ちょっと足踏みしていると思います。2010年1000万ということはこれだと厳しい状況だなと私は思いますけれども,ぜひこういう芽を育てていただくということで,ちょっと二,三,提言させていただきます。
 一つは,道路標識は外国人の人にわかるような,例えば英語,ハングルとか中国語とか,そういうものの案内を表示してあげるとかいうことが一つです。大阪の場合はまだ全然その辺ができておりませんので,ぜひ大阪市とも話し合っていただきたい,こう思います。
 それから,今実はこの地域で阪南大学が,観光学科の教授と生徒たちが1月26日から1カ月間,2月27日まで,案内を買って出て,事務所を設けて観光案内を今やってくださっています。そして,訪ねてきた外国人にいろいろなアドバイスをし,大阪市内とか関西一円の観光まで含めて計画を立ててあげたり,通訳してあげたり,こういうことで延べ150人の生徒がこれに今参加していただいているわけであります。
 中国語とか英語とか韓国語とか,そういうことを駆使しながらこの人たちはやっていただいていますが,こういうボランティアに対して何か励みになるような支援をしていただければ,1カ月で今もう終わってしまうんですが,さらにまた続いていくと思うんですけれども,ぜひお願いしたいというのが二点目です。
 もう一つは,「ロンリープラネット」という世界共通のガイドブックがありまして,この「ロンリープラネット」を持って欧米から来られる方はこれを見ていろいろなところへ行くんですが,この中に,実は今言ったような日航ホテルとかそういう宿泊のところを書いているんですけれども,ここのこういう簡易宿泊所組合の,宿泊できる,しかもこんな安い値段でできるということがもし一行でもここに入っていれば,これを頼りに来る外国人の人から見れば,すごくいい要素になると思います。
 そういったこともお考えいただいて,このビジット・ジャパンが今行き詰まっているという中で,年々一万,二万という形でふえているわけですから,ぜひ今申し上げたことを御検討いただいてお取り組みいただきたいと思います。よろしくお願いします。」
 この質問を受けた金子国土交通大臣は「いいアドバイスをいただきました。浅草で,東京でも同じ方がおられた。東京でもこういう方が今,本当に簡易宿泊所をこういう形で生かすということで,外国人をどんどん引っ張ってきて,これもボランティアを連れて浅草かいわいを案内しているというような,非常にいいことであると思いますので,今の「ロンリープラネット」,こういうものに登録させるといったようなことを通じて,今先生がいろいろ御紹介いただきましたあいりん地区の件について,さらにそれがうまく活用されるようにやってみたいと思います。」と前向きな姿勢で応じられた。
 私たちはその画像を見終わっても,よく意味がわかりません。松村先生からその意義を説明していただき,ようやく納得。早速,ボランティア参加してくれている仲間に,「国会中継を見ろ」とメールを回しました。改めて,「私たちのやっていることは国会でも話題になるほど素晴らしいことなんだ。あと1週間頑張って,次の展開につなげよう。」と真剣に思いました。何よりも,国会で阪南大学の名前を出して,私たちの活動を紹介していたいたことが励みになります。簡宿組合やOIG委員会との産学連携に行政の支援が加われば,あいりん地区での国際観光を活かしたまちづくりは,さらに発展することでしょう。田端議員,ありがとうございました。今後とも,よろしくお願いします。(レポーター:丸市将平)

観光案内所の近況

  • 安い宿を付き添いで紹介した台湾人姉妹と新世界でばったり再会,お好み焼き屋『狐狐』に誘い夕食をともにして記念撮影

  • 太子にある洋食の名店「レストラン・タカラ」のマスターと記念撮影(ボランティア活動の合間を縫ってタカラへ昼メロを見に行くゼミ生が…,マスターからは段ボール箱いっぱいのミカンの差し入れが…感謝)

衆議院TV【http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm】

09年2月20日 予算委員会第八分科会 田端正広衆議院議員 19分頃からの質疑

松村先生からの長めの一言

 今回はさすがに驚きました。田端議員が来られた時は,あいりん地区での国際観光振興に向けた課題や夢を語らせていただきました。観光立国を本気で目指すならば,あいりん地区の空間編成はとても重要な戦力であり,日本の観光全般に変革をもたらす可能性を秘めている,と従来からの自説を力説しました。
 田端議員はとても熱心に聴かれていました。小選挙区制度のもと,衆議院議員は国政における地域の代弁者でもあるので,「ほんまに頼みますわ」との想いも強かった。
 それにしても,田端議員のスピーディで大胆な行動,現場をしっかりと歩いて見て学び発言するという姿勢に驚かされました。田端議員,本当にありがとうございました。これからもぜひ,地域を代表する国会議員として,我々の活動を見守りご支援ください。
 地元の柳本顕市会議員も観光案内所を頻繁に訪れ,ボランティアの学生たちをねぎらい,励ましてくれます。簡宿の経営者や従業員の方々,地元の商店街の方々からも,暖かい言葉をいただき,時には「学生さんらでこれ食べて」と差し入れをいただくこともあります。こうしたあたたかいまなざしや声援が何よりもの励みになります。
 松村ゼミの掲げる現場共育は,地域社会との良い関係がなければ成り立ちません。これからも,松村ゼミは,何よりも地域の実態を見極め,自分たちで出来る活動をしっかりと見極め,ひとつひとつ,ぼちぼちと,プロセスを楽しみながら,淡々とやっていきましょう。
 わかったか!?