現代GP成果フォーラム(レポーター:窪堀愛子)

 3月13日(金)は阪南大学本キャンパスのフロンティアホールで,『現代GP成果フォーラム「実学指向型総合的キャリアシステムの構築」』がありました。松村ゼミを代表して,佐藤有さんと石橋涼子さんが活動報告をするということで,私も見学に行きました。
 いつもならかなり前に松村先生から連絡が回ってくるのですが,今回の成果フォーラムは間際になって連絡が来ました。松村ゼミではつい2週間ほど前に観光案内所の試験的運営を終えたこともあり,ゼミ生の大多数はOFFモード。日本や海外に旅行に出かけている者や,アルバイトの代役が見つからない者も多く,数名しか参加できませんでした。発表者の石橋さんも,12日に香港・マカオの旅から帰国したばかり。観光案内所で頑張った丸市君も,今頃はポルトガルを旅しているはず。
 肝心の松村先生も当日は東京出張中で会場にはいらっしゃいませんでした。発表の数日前,松村先生は佐藤さんに簡単なアドバイスをしただけで,「その日は江戸で観光庁の会議があるから,そっちで吠えてくるわ。しゃあから,当日は涼子と相談して,君らだけで何とかしてな。頼んだで。」と言い残し,東京へ楽しそうに旅立ったそうです。
 大槻眞一学長の開会の挨拶に続いて,吉兼秀夫先生から現代GPの取り組みの概要について説明があり,キャリアアドバイザーの服部さんからCCR(キャリアコミュニケーションルーム)の活動成果報告がありました。CCRでは学生の将来についての相談や就職についてのアドバイスなどを,個別に行なっていただけるそうで,ぜひ活用したいと思いました。今回の成果フォーラムでは6つのゼミから活動報告がありました。どのゼミもパワーポイントを使用し,活動内容・趣旨・成果などを発表していました。キャリアゼミの学生だけあって発表やパワーポイントの使い方なども工夫されていました。
 松村ゼミ以外は全て3回生が発表するなか,松村ゼミからは2回生の佐藤さんと石橋さんの二名が発表。発表前の二人は少し緊張している様にも見えましたが,壇上に上がると全く動じず堂々としていました。まず佐藤さんが松村ゼミの活動の概要を説明し,続いて石橋さんが活動の成果と今後の課題などについて説明しました。二人の発表はとてもスムーズで息が合っていて,大槻学長を初めとする先生方や企業の方々も時々大きくうなずき,真剣に聴き入ってらっしゃいました。質疑応答がはずまなかったので,石橋さんは「イマイチ手ごたえがわからんわ」と不完全燃焼気味でしたが,同じ国際観光学科の森山正先生が「立派な発表だった」と褒めてくださったそうです。松村ゼミは人材が豊富,そのなかでも,しっかり者の佐藤さんと発表上手で受け答えのうまい石橋さんのコンビは最強です。
 この後,吉兼ゼミの飛鳥ファッションの披露があり,キャリアリーダーの流通学部4年生の原田英明さんの活動報告などがありました。阪南大学の現代GPではキャリアゼミをさらに増やすそうで,今後ともますます活動範囲を広めていくそうです。松村ゼミに4月から所属することになるので,私もキャリアゼミの一員になります。先輩方の感想や松村ゼミに入ることが決まってからの活動などから,4月からもゼミ活動に積極的に参加してキャリアアップを目指し,自分の可能性をもっと広げたいと思いました。

松村先生からの一言

 現代GPフォーラムでのゼミ発表,うまくいったようで何よりです。有の作ったパワーポイントがよく出来てたし,口の達者な涼子も一緒なので,安心して江戸へ向かいました。
 しかし,レポーターの愛子も,たいがい色々な経験を積んでるはず。ダンスウエストの西尾智子プロデューサーのお世話になっているから,能楽師の梅若玄祥先生や落語家の桂南光師匠など,ほんまもんと話す機会が何度もあったことでしょう。そうした貴重な経験からの学びは,アルバイトや教室での講義からは絶対に学ばれへんから,とても意味がある。
 一番賢い奴はどんな奴か? 昔から多くの人々が議論してきました。私が知る最も説得力のある回答は,古代ギリシャの哲学者ソクラテスの言う「無知の知」です。つまり,「自分は何もわかっていない,ということをわかっている奴」が一番偉い。何故なら,そういう奴は学ぼうとするので,常に成長するから絶対に賢くなる,という論理です。この論理を踏まえて次に重要となるのは,自分に刺激やインスピレーションを与えてくれる環境や人々のなかに自分を置くことです。何回か前の松ゼミWalkerで「しゃべれるバカより通じ合えるアホを目指せ」と述べましたが,その真意はソクラテスの言葉の中にあります。わかったか!?

観光庁の会議に出席して(松村嘉久)

会議場はオーストラリア大使館の横

 3月12日・13日の日程で観光庁主催の「第4回 観光関係人材育成のための産学官連携検討会議」に参加しました。会場は港区三田の閑静な大使館街の一角で,近くに慶応義塾大学がある。伯母がかつてこの界隈に住んでいたので,不慣れな東京にもかかわらず,この界隈だけは地理を熟知していた。
 初日12日は観光庁の本保芳明長官の開会挨拶に始まり,経団連観光委員会委員長の大塚陸毅氏の基調講演,産学官連携のあり方に関する議論,観光立国教育の先進事例の報告としてTOSSの取り組みの紹介,観光関連学会の活動報告などがあった。会議の後は場所を移動して懇親会が開かれた。

初日の会議

 私は最初から最後まで参加したが,初日はいわばありきたりの話が多いなか,小中学校教員の教育研究サークル「TOSS」の方々による観光立国教育のデモンストレーションが印象に残った。懇親会でもTOSSの先生方が一番元気で活き活きされていた。
 意外かもしれないが,私は少人数で実質的な議論をする酒席は大好きで得意であるが,社交ベースで当たり障りの無い話をする大人数の懇親会は大の苦手。私なりにぎこちなく頑張り,本保長官ほか,列席の皆様十数名と名刺交換と情報交換を行った。

二日目の分科会にて

 二日目の13日は朝9時半から,「観光統計のあり方に関する分科会」・「観光地域づくりにおける大学の役割の関する分科会」・「観光関連大学の教育における産学官連携に関する分科会」の三つに分かれて,活発な議論が行われた。私は「観光地域づくりにおける大学の役割に関する分科会」に,積極的発言を行う参加者として,メインテーブルで発言する機会に恵まれた。
 50名くらいの聴衆が見守るなか,メインテーブルには,コーディネーターの観光庁の笹森秀樹氏のほか,立命館アジア太平洋大学の轟博志先生・私・近畿日本ツーリストの黒田裕治課長・東洋大学の井上博文先生・大阪観光大学の中尾清先生・神戸夙川学院大学の小野寺金司先生・流通経済大学の香川眞先生・山梨県立大学の吉田均先生・鈴鹿国際大学の捧富雄先生が座った。轟先生・中尾先生・捧先生とは何度かお話したこともあったが,それ以外の先生方とは初対面だった。
 各自の発言時間はわずか5分くらい,私はあいりん地区におけるこれまでのゼミ活動をざっと説明し,産学連携と地学(地域と大学)連携はとてもうまく行っているが,そこに「官」がなかなか絡んでこないため,産学・地学連携でどうしようもできない課題が残されている,と力説した。分科会のタイトルにある「大学の役割」とはかなり趣旨の異なる発言であったが,ゼミ生とともに厳しい地域の最前線で行ってきた活動の成果なので,聴衆の方々の反応は良かったとの印象を受けた。地域に対する関わり合いの深さと地域への実質的な貢献度の高さでは,私たちの取り組みが最も評価されたのではなかろうか。
 メインテーブルからの発言が終わって,聴衆も含めた討論の時間となり,議論は多岐に及んだ。大学生を観光の現場に連れて行く苦労話,大学生のやる気を出させる手段や方法,観光地域づくりのリーダーはどうしたら発見・育成できるのか,などなど。
 私たちの分科会で議論された様々な論点は,コーディネーターの笹森氏がうまくまとめて,三つの分科会が集う全体集会で報告された。ちょうどその頃,阪南大学の本キャンパスではゼミ生の佐藤有と石橋涼子が現代GPの成果フォーラムで発表していた。東京で私が,大阪でゼミ生たちが活躍した1日となった。

東京出張の合間に…

 さて,今回の東京出張では会場の三田まで徒歩でアクセスできる浜松町に宿泊した。浜松町界隈は山手線とモノレールが交錯し高層ビルが立ち並ぶ近代的な景観が広がる。そのなか,東京湾へとつながる河川沿いには船宿が数軒あり,屋形船で船遊びもできる。大阪にも「なにわ探検クルーズ」という観光ベースの遊覧船があり,落語家の話術で楽しませてくれるが,浜松町界隈の船宿には「粋な船遊び」という風情が漂い,今に残る江戸文化の底力を感じた。また今回の出張は半年ぶりくらいの東京であったので,贅沢にもタクシーを飛ばして山谷や浅草にも行き,最新の状況を見聞してきた。その他にも,会場から歩いて数分のところに「在日韓人歴史資料館」があったので,会議が始まる前に1時間ほどかけてたっぷりと見学できた。大阪ではJR芦原橋駅近くの大阪人権博物館でザイニチの資料や展示が観れるが,この資料館と同じような施設が鶴橋かコリアタウンにあればなあと痛感した。