※FIT…外国人個人旅行者 ※新今宮TIC…Shin-imamiya Tourist Intormation Center

新今宮観光インフォメーションセンター,遂に再開しました!! (レポーター:久保田早也佳・丸市将平)

正式名称は…?!

 前回の記事でも紹介したように,2009年7月11日(土)朝9時,私たちがこれから毎週土日,夏休みは毎日運営する施設が予定どおり再開しました。場所は試験的運営のところと同じで,新今宮のビジネスホテル中央の玄関の西隣。試験的運営での反省を踏まえて,外観や内装は大きく変わり,施設のコンセプトや活動内容もパワーアップしました。
 正式名称は,新今宮観光インフォメーションセンター(Shin-imamiya Tourist Information Center,以下では新今宮TIC)と決まりました。松村ゼミでは,これからこの新今宮TICを拠点として,色々な取り組みを展開していく予定です。さて,ここでは,準備段階のエピソード,オープン初日のドタバタと手ごたえを,地域の方々の協力やゼミ生の奮闘をまじでて,久保田早也佳と丸市将平がレポートします。

イメージはたこ焼き屋さんで!!

 6月22日(月)午後,ホテルオアシスのロビーで,新今宮TICのオープンに向けて,OIG委員会を中心とする会議がありました。ここに松村ゼミから,丸市将平・石橋涼子も参加しました。この会議でホテル中央グループの山田英範社長から,新今宮TICを利用しやすくするため,外観を変えたらどうか,という提案がありました。山田社長はさらさらとイメージ図を書きながら,「イメージはたこ焼き屋さんやねんけど…」。試験的運営では「利用者が入りにくい雰囲気がする」,「中から外の様子がみにくい」といった課題が浮かび上がりました。その最大の原因は入口が狭いという構造上の問題でした。
 山田社長が書いたスケッチは,広く壁をぶち抜いてカウンターを作り,その横に奥へ入るドアを取り付ける,といったものでした。「道案内やとか地図だけくれっていう人はカウンターで充分,たこ焼きならお持ち帰り。旅行プランやとか,チケットの話やとか,ややこしい場合は,奥に入ってお召し上がりくださいっていう感じ」と山田社長。松村先生も含めて一同,「それはええわぁ」の大絶賛。
 しかし,オープン予定の7月11日までに工事は間に合うのか,誰がお金を出すのか…。「先生と学生さんたちは,内装や室内のレイアウト,運営方法なんかを詰めてください。工事関係は全部私の方で,何とかします。」と山田社長の心強いお言葉。私たちが内装の飾り付けを始めた7月9日(木)には,広く明るいカウンターが仕上がっていて,壁にはクーラーが取り付けてありました。山田社長に感謝!!

さあオープンに向けて準備や!! 準備初日

 新今宮TICのオープンに向けた準備は,オープン直前の7月9日(木)・10日(金)の丸二日間を費やし,一挙に行いました。9日13時,松村先生・佐藤有・王雪・丸市将平・OB濱中勝司が新今宮TICに集まりました。シャッターを開けて中に入ると,以前のままの状態で放置されていて,約4ヶ月という時の流れを実感すると同時に,「ようし,ここからやり直すぞ!!」という気持ちになりました。
 とりあえず全ての備品を外へ運び出して掃除をはじめました。松村先生が白シャツに鉢巻き姿で,率先して楽しそうに掃除機をかけるという信じられない光景が…。研究室を掃除している姿は目撃したことがありません。掃除がひと段落すると,山田社長の軽自動車を借り,松村先生・佐藤・丸市の三名で,今宮のコーナンとニトリへ新たな備品を買出しに行きました。購入したのは,本棚三つ,お洒落なカウンターチェア二つ,大きめのコルクボード二つ。「こんなん教員研究費では落とされへんし,キャリアゼミ予算でいけるんかなぁ」と不安げな松村先生が全て立て替えてくれました。新今宮TICに帰ってから本棚とカウンターチェアを組み立て,1日目の準備は終了。

準備2日目

 準備2日目の10日は,朝10時から松村先生・OBの濱中勝司・4回生ゼミ長の山田裕也・佐藤有・石橋涼子・山岸枝里子が集まり,あいにくの雨模様のなか準備再開しました。いよいよ内部の飾り付けにも着手。センスの良い石橋と山岸が,山田ゼミ長の運転する車で飾り付け用の買出しに向かいました。居残り組は昨日同様,のんびりと室内の整理やレイアウトを行いました。昼からは松村研究室に置いてある資料や冷蔵庫などの備品類をとりに,山田ゼミ長が松村先生と佐藤を乗せて阪南大学へと向かいました。大学にて丸市と松村先生が入れ替わり,松村先生はそのまま大学に居残り会議三昧。車への搬入を終えると,新今宮TICへとんぼ返り。その帰路の車中後部座席では,この2日間の準備で誰よりも頑張った佐藤が爆睡。本当にお疲れ様です。
 TICに戻ると,留守番の石橋と山岸がカラフルな看板を完成させていました。新今宮TICの正式な看板は近々できあがります。この看板は当座をしのぐ仮設看板,とはいえこれが一番大事なので,両名渾身の力作となりました。Shin-imamiyaがShinimamiyaとなっている…。まあぁいっか,仮設やし…。レイアウトも装飾もほぼ完成,看板を堂々と表に掲げると一挙にそれらしい雰囲気になりました。後は,ホワイトボードに路線図を書いたり,ブラックボードの看板を書いたり,細かい詰めの作業をしました。

フライング利用者来訪!!

 室内で作業をしていると,看板を見た外国人が早速,カウンター越しに「今から何もすることがないが,何か面白いところ,お薦めのところはありませんか?」と質問してきた。インド人のバックパッカーで,8ヶ月間で世界を回る旅の途上だとのこと。「あと30分ほどで準備作業も終わるから,よかったら一緒に晩御飯でも食べにいかない」と食事に誘い,18時に再度このTICで合流する約束をしました。その後も,ホテルの場所を尋ねる韓国人女性2人組,日本橋への行き方を尋ねる欧米のカップルが来て,オープン前日にして,3組5名の利用者がありました。広く明るいカウンターと石橋・山岸作の看板,声をかけやすい雰囲気が漂っているようです。
 17時半過ぎ,松村先生から,「入門ゼミの学生らと天王寺の街歩きしてんねんけど,手は足りてるか」との連絡が入りました。準備はもうほぼ終わり,18時過ぎからインド人バックパッカーと食事に行く約束をしていると伝えると,「ほんなら,とりあえず,新入生ら連れてそっちまで行くわ。その後,先に狐狐に行っとくから合流しようや。」ということになりました。その日は松村先生にお好み焼きをおごってもらい,ゼミ生たちは即解散で明日に備えて帰りました。松村先生らは通天閣方面へ向かったとのこと。松村先生は明日のオープンに備えてホテルオアシスに泊まるらしい…,長い夜になったのでは…。

いよいよオープン!!

 オープン初日は始球式ならぬ挨拶大会で始まりました。松村先生,西口OIG会長,山田社長の順で手短な挨拶が終わると,プレイボール!! 3回生のゼミ生はほぼ全員参加で業務開始。スタッフは充実していました。まずは,新今宮TICのオープンを知らせるチラシを持って,近隣のゲストハウスへの挨拶まわり。パソコンのお気に入りの整理をする者,関西圏の主要な観光地までの所要時間や運賃などのメモ書きを作成する者,皆が協力しながら働き始めました。記念すべき最初の利用者はイギリス人。その後も来訪する外国人が続き,好調な滑り出しとなりました。

 お昼過ぎ,西口OIG会長の案内で,新今宮TICから歩いて1分のところにある「動楽亭」の見学に行きました。ここは桂ざこば師匠が席亭をつとめる寄席です。ざこば師匠のお姉さんと西口OIG会長や松村先生とが顔見知りで,「新今宮TICでも是非宣伝しよう,その前に実際に寄席を見学しとかなぁ」,ということで学生も同行させていただきました。松村先生はここで桂ちょうばさんの独演会を見ていますが,他のゼミ生たちは初めて。楽屋,お囃子が入る鳴り物部屋,舞台にもあがらせていただきました。舞台の周りはとても新鮮で心地よいヒノキの香りが…。松村先生は「金かかってるでぇ。さすがざこば師匠やなぁ。」と感心しきり。
 松村先生は大の落語好き,動楽亭は新今宮の貴重な地域資源。「こんなんOIGのゲストハウスのロビーにも動楽亭のチラシを張って宣伝したらええやん」と西口さん。「ビジネス客も多いからねえ,ゲストハウス側にとってもええ話ですね」と松村先生。この二人が画策すると,いつも何かが動きだします。近い将来,動楽亭をめぐって新たな動きがあるかもしれません。

メディア取材も受けました!!

 オープン初日はありがたいことに,いくつかのメディアの取材が入りました。朝10時過ぎ,関西テレビのお昼のニュース「FNNスピーク」の取材クルー3名が来られました。松村先生・佐藤有・利用者のフランス人男性がインタビュー取材を受け,クルーは11時過ぎに車で帰られました。ニュースのOAは11時45分から正午まで,関西ローカルのニュースは後半でしょうが,皆の頭のなかは「ほんまに間に合うの?」でした。11時半過ぎになって,松村先生・佐藤有・濱中勝司・松原歩美の4名が,レストラン・タカラへ食事に向かいました。「きっとOAチェックや」と思いました。タカラ組の情報によると,インタビューでは佐藤有とフランス人男性のコメントが採用され,松村先生は一瞬見切れただけだったそうです。
 メディアのフットワークの良さとその反響には,相変わらず驚かされます。午後になると,「ニュースを見たで」という人が来たり,通りすがりの人が「テレビ出てたなぁ」と声をかけてくれました。14時過ぎには読売新聞の記者が来られ,松村先生や河嶌友紀が取材を受けました。これとは全くの別件で,松村先生が読売新聞の取材を受けていたとのことで,その日の読売新聞夕刊に新今宮TICオープンの紹介記事が掲載されました。

初日は大盛況のうちに店じまい

 さて,店じまい少し前,「釜ケ崎のまち再生フォーラム」のありむら潜事務局長,同フォーラム主催のスタディツアーの案内人と参加者たちが,新今宮TICに立ち寄ってくれました。その他にも,近隣のゲストハウスのスタッフ,NPOのスタッフ,実に色々な地域の方々が訪ねて来て下さいました。来訪者の数は二十数名に及びました。本当にありがとうございます。
 忙しかった記念すべき初日,新今宮TIC利用者は合計で14組18名。国籍もイングランド・フランス・カナダ・アメリカ・スペイン・韓国,と本当にバラバラでした。試験的運営の時と比べると,カウンター形式にした効果もあって,断然立ち寄りやすくなっているようでした。ただ,それゆえに,利用者の滞留時間が以前よりも短くなっているとも感じました。しかしながら,初日はスタッフ数が多かったこともあり,新今宮TICの特徴である近場の付き添い案内も,翌12日のFIT向けの街歩きの勧誘も,積極的に行えました。
 さて,夏のハイシーズンにFITが増えることは間違いなく,これからどんどん忙しくなる予感がしています。7月中はゼミ生が中心となって運営しますが,8月からは経験の浅い一般学生スタッフも参加してくれます。まだまだ山も谷もありそうですが,楽しみながら学びましょう!!

松村先生からの一言

 さすがに初日はバタバタしました。しかしながら,ゼミ生たちもすでに経験したことのある業務ばかりで,以前よりは上手く,余裕を持ってこなせるようになっていました。4月末のフィールドワークで蓄積した経験も役立っていました。ゼミ生たちも,確実に成長しています。カウンター形式の対応は,色々な意味で大正解。7月の土日のいわば肩慣らし運営で,新しい新今宮TICの意義と方向性を見定め,8月の全力投球に臨みましょう。ボチボチと,確実に,一歩づつ…。