桜満開の大阪を楽しむ(レポーター:久保田早也佳・仲田美穂)

桜は確かに外国人も魅惑する!!

 2010年の松村ゼミ第1回の外国人向け街歩きツアー,「桜満開の大阪を楽しむ」を3月31日(水)に開催しました。JR新今宮駅からJR桜ノ宮駅へ,大川沿いを歩き造幣局へ,造幣博物館を見学してから大阪天満宮まで向かい,天神橋商店街を歩くという行程です。2回生にとっては初めての街歩き,3回生にとっても初めてのコースとなりました(学年は全て3月末日現在のもの)。2月末のセレーネでのモニター宿泊の際にFWと下見を行い,「出身高校(扇町総合高校)が近いから,私の庭のようなところ」と話す石橋涼子(7代目副ゼミ長)を中心にツアーの行程を練って決めました。今回も手作りのポスターを作成し,ツアー5日前から新今宮TIC周辺の8軒のホテルとTICに掲示して参加者を募りました。
 新今宮TICの利用者は3月下旬に入って急激に増え,花見や大相撲大阪場所のことを尋ねる人が多くなりました。3月の毎日運営は,松村ゼミ3年生を中心として,1回生・2回生の若い力を借りて運営しました(右写真はとある日のTICスタッフ)。「毎年この季節は桜を見に来る外国人が増えるから,参加者も多なるんちゃうかなぁ」との松村先生の言葉に,ゼミ生は少し緊張気味でした。ツアーの数日前までの天気がイマイチで,「桜咲くんかなぁ」,「雨が降るんちゃいますか」など,不安の声もちらほら聞こえていました。

何人集まるのか…?!

 街歩き当日,夕方から雨という天気予報で,決していい天気とは言えませんでしたが,歩くにはちょうどいい気温でした。春休み期間の3月,毎日運営していたTICもこの日が最終日。街歩きツアー参加組とTIC居残り運営・打ち上げ準備組の三つのグループに分かれて行動しました。
 今回のツアー,前日までの参加申込みは9名でした。「ポスター見て,申し込みせんと直接来る人も多いから,何人になるかはホンマに動き出すまでわからへん…」と聞き,ドキドキで集合時間を向かえました。茶谷みなみ・安達七菜が前日からホテルセレーネに泊まり込み,早朝から近隣ゲストハウスのフロントを回って,参加者の人数を最終確認しながら勧誘されました。集合時間までに確認できたツアー参加希望者は17名でした。
 集合場所は新今宮TICとしていましたが狭いので,ホテルセレーネのロビーに変更。TICにツアー参加者が来ると,セレーネのロビーへと案内しました。結果,集まった外国人参加者は15名,TICスタッフ(高橋はる香)が造幣局まで連れて来た遅刻合流組も含めると18名。「昨夜飲みすぎた…」と参加希望者で来られない人もいれば,飛び込みの参加者もいました。

相変わらずの民族大移動!!

 国籍で見ると,イギリス4名,シンガポール3名,フィンランド2名,香港2名,オーストラリア2名,ドイツ2名,タイ・スペイン・アイルランド1名。東京に住むタイからの語学留学生,博士号取得を目指すドイツ人,福岡で英語の先生をするイギリス人などなど。日本語のわかる人もいらしたので,街歩きでは英語・中国語・日本語が飛び交いました。
 案内する側も街歩き初回でかつ毎日運営最終日ということもあり充実。松村ゼミからは松村先生ほか,石橋涼子・笹部和平・丸市将平・王頴・河嶌友紀・茶谷みなみ・久保田早也佳・窪堀愛子・山岸枝里子・高橋はる香(以上3回生),勝元暁美・前島佑香・仲田美穂・橋本果奈・キントゥザー=マウン(以上2回生)の16名が参加し,井上咲季・昌山志保・田端優(以上1回生),小林ゼミの木村祥子・川瀬杏奈(3回生),森山ゼミの韓国人留学生(2回生)の6名が応援に駆け付けてくれました。
 外国人と案内する側を合わせると実に総勢40名,移動するだけでも大変な人数となりました。案内スタッフの事前の打ち合わせで,先頭・中盤・しんがり・英語解説・レポート・記録・受付などの役割分担が確認されました。

桜並木でお約束の記念撮影

 集合時間は12時設定,11時45分頃からセレーネのロビーに参加者が続々と集まってきました。安達七菜が事前に作成した参加者名簿で名前を確認して,首からつるす名札を書いてもらい待機。ツアー開始のあいさつとツアー行程の説明は笹部和平が行い,終了後は参加者から拍手を浴び,12時15分には出発できました。
 まずは最寄りのJR新今宮駅へ,切符売り場は大混雑。運賃ほかは参加者も私たちスタッフも実費負担なので,各自で170円の切符を購入。他のお客さんが少ない車両に全員が乗り込みましたが,車内では数名ずつのグループで会話が盛り上がり,わずかながらいらした他の乗客には迷惑だったかもしれません。
 20分ほど電車にゆられ桜ノ宮駅に着くと,駅のホームから桜が見え,ツアー参加者のテンションが一気にあがり大喜び,駅に到着するなり夢中でデジカメで撮影される方もいました。
桜ノ宮駅の改札口で丸市将平が,駅名の由来・花見の文化・武士道と桜の関係などを説明しました。大川沿いの桜並木は5分咲きくらいでしたが,造幣局までの水辺空間は家族連れやカップルが花見を楽しみ,大道芸人らもいて賑わっていました。外国人参加者にもこの華やいだ気分が伝わったようでした。桜並木でお約束の集合写真を撮影。

造幣局へ

 ゆっくり時間をかけて歩き30分程度で造幣局へ到着。造幣博物館見学の待ち時間を利用して,勝元暁美(2回生)が造幣局の説明を行いました。松村先生から100円硬貨に桜が描かれていると補足説明があり,あちこちで100円硬貨を取り出して確認し出し,他の硬貨の図案は…と話は広がりました。ワイワイガヤガヤと待っていると,案内の女性が来て下さり,造幣局のパンフレットとクリアファイルをいただき,造幣局を紹介する英語ビデオを20分ほど鑑賞しました。日本の硬貨の特色,作成技術,作業行程,勲章ほかの作成などなど。500円硬貨の特殊加工技術の説明が詳しく,外国人参加者は自分の財布から500円硬貨を取り出し見入っていました。
 造幣博物館では英語対応の音声ガイドを借りて,50分ほどかけて自由見学しました。硬貨の製造工程,昔の貨幣や記念硬貨,海外の硬貨などの展示もあり,外国人参加者は私たちよりも熱心にじっくりと見学されていました。松村先生は「あとは(石橋)涼子に任せたからよろしく」と,山岸枝里子を連れて打ち上げパーティーの買い出しのため鶴橋へ。外国人向け街歩きツアーをゼミ生たちだけに任せて,松村先生が途中で抜けるのはこれが最初,残って案内する私たちは気合が入りました。

商店街はコロッケでしょう!!

 次に天神橋筋商店街へと向かいましたが,途中に何軒かのコンビニがあり,朝から何も食べていない外国人参加者が集団を離れてなかへ…,ゼミ生たちから「私が連れていくから先に行って」との声がちらほら,3回生はもう慣れたもので,個々人を上手くコントロールしながら集団で歩けるようになりました。南森町から天神橋筋商店街を少し南へ入り,大阪天満宮へ15時15分くらいに全員が到着。門前で集合写真を撮ってから,本殿前に集まり,茶谷みなみ(3回生)から天満宮と参拝方法の説明があり,久保田早也佳(3回生)がその横で参拝方法の実演を行いました。
 続けて,河嶌友紀(3回生)が,日本一長いこの商店街を自分で歩いた証明の「満歩状」を持参して,商店街の歴史や魅力を紹介。ちょうどタイミングよく,そこへ松村先生から,天神橋筋商店街で有名な中村屋のコロッケが差し入れで届きました。石橋涼子らが集団から離れて先に中村屋へ走り,「40個ください」とかなり無茶な注文をして,大量のコロッケをゲットして合流。多くの参加者が昼食を食べていなかったこともあり,全員から拍手喝さいでした。外国人参加者のほとんどがコロッケ初体験,1口食べて「Delicious!」の声があがりました。松村ゼミの鉄板のひとつは商店街での買い食い,美味しいコロッケは欠かせない…。

TIC運営・買い出し準備に感謝!!

 15時30分くらいになり,前島佑香(2回生)からツアー終了の挨拶,アンケート調査への協力依頼,今後の予定の説明がありました。ツアー当日は3月毎日運営の最終日でもあるので,17時30分から新今宮TICの打ち上げパーティーが企画されていました。途中で分かれた松村先生やTIC居残り組がその準備を進めているはずです。外国人参加者にも「1,000円の実費負担でこれに参加しませんか,とても活気のある天神橋筋商店街を私たちと一緒に歩いて新今宮まで戻りましょう」,とお誘いしました。ほぼ全ての参加者が行動を共にしてくれ,天神橋筋商店街を当初は大名行列のように歩き,その後は小さな集団に分かれてバラバラに行動して新今宮へと向かいました。
 打ち上げパーティー会場は,当初ホテルオアシス屋上を予定していましたが,雨天が予想されたため,大阪市立大学西成プラザへ変更。今回の打ち上げパーティーは牛すき焼き・豚しゃぶしゃぶ・鶏鍋でした。松村先生が子供の頃から買い出しに行っていたという鶴橋の肉屋さんで,「牛4キロ,豚4キロ,鶏4キロちょうだい」という男前な買い物をされたそうです。

SUKIYAKI,SYABUSYABU, BEER, BIRTHDAY, PARTY!!

 集まったのは松村ゼミ,新今宮TICのボランティアスタッフ,今回の街歩き参加者ほか約40名。3台のカセットコンロをフル活用しての鍋料理で,三つの味が楽しめたので外国人も大喜び。インターナショナルなどんちゃん騒ぎのなか,ホテル中央グループの山田英範社長が,よく冷えた大量の差し入れビールを持って駆け付けて盛り上がり,シンガポールからの参加者がこの日たまたま誕生日だったので,皆でHAPPY BIRTH DAYを歌い盛り上がりました。色々な国の人が何の隔たりもなく一緒に鍋をつつくという光景は,新今宮TICならではのものだと思いました。
 20時を少し過ぎた頃,助っ人で来ていただいた英語ペラペラの木村祥子(小林ゼミ3回生)の終わりの挨拶でパーティーは終了しました。ゼミ生たちは速攻で後片付けを終え,松村先生は何人かを引き連れ新世界の隠れ家へ,何名かの外国人参加者はゼミ生有志らと歩いて天王寺のカラオケボックスへ向かいました。
 外国人向けの街歩きツアー,新今宮TICの運営,打ち上げパーティーの準備,この三つを同時進行でこなせるのは,これまでのゼミ活動での経験の蓄積があったからだと実感しました。これこそチームワーク力。今回の街歩きからは2回生・1回生の新戦力も加わって大活躍,松村ゼミは確実にパワーアップしています。

松村先生からの一言

 街歩き経験の抱負なゼミ生やスタッフが多いので,私の仕事と心配は減り,学生たちにマネジメントを任せて,私は途中で抜けられるようになりました。海外留学から帰ってきた者,これから海外留学へ行こうとする者,高いコミュニケーション力を持ったスタッフが増え,ますます私の出番が無くなりつつあり,喜んでいます。
 2010年の街歩きでは,外国人参加者に街歩きに関するアンケート調査にご協力いただこうと思っています。今回の街歩き前日,私もホテルセレーネに宿泊して,アンケート調査用紙を練って仕上げました。今年の日本観光研究学会ではこの外国人向け街歩きツアーの成果を発表したいと考えています。
 ゼミの先輩がゼミの後輩や将来ゼミに入るであろう学生たちを指導しつつ,色々なノウハウも教えて継承してゆく…,新今宮TICを核とした良い「学びの循環」が生まれつつあります。7代目ゼミ生(3回生)たちは,試行錯誤して苦労して経験とノウハウを蓄積していきましたが,8代目ゼミ生(2回生)たちはそれらを軽やかに引き継ぎ,新たなことをし始めようとしています。
 今回の花見ツアー参加者からは,極めて高い評価をいただき,季節ものの新たな鉄板の街歩きネタが増えました。最近,2009年の第1回街歩きツアーに参加されたシンガポール人から,この4月末にまた大阪に来る予定があり,必ず新今宮TICに立ち寄りたい,との連絡もありました。嬉しいことです。