国際観光学部オリエンテーションイベントに参加して
生みの苦しみをこえて—事前準備 坂本美紗
4月のあるゼミの時間でした。先生がオリエンテーションイベントの説明をしてから、突然「ワークショップの準備をしましょう」と切り出しました。「夢と不安」というテーマです。
まずは、「将来の夢」について話し合いました。その結果、将来の夢(就きたい職業)がすでにあるグループ(以下、夢G)と、今はまだ将来の夢が決まっていないグループ(以下、未G)とにわかれました。 夢Gの「将来の夢」は、旅行業界や観光協会、鉄道会社に就職したいとか通訳になりたいというものです。また、未Gに対しては新たに「では、あなたはどのような大人に憧れますか」という質問があり、「外国語をぺらぺら話せる大人」という答えでまとまりました。
次に、その夢や憧れをかなえるために、大学時代に身につけておくべき能力として何が必要か考えました。それぞれのグループで話し合った結果、夢Gからは、将来仕事で相手にする人の多くが知らない人や年上の人なので、初対面の年上の人と話ができるコミュニケーション能力が、また、未Gからは、当然ですが、外国語力が必要だという結果になりました。ここまでは順調に進んでいました。
ところが、それらの能力を高めるために、グループのみんなで協力し、お互いを高めあいながらできることにはどういったものがあるかという質問を受けたところから、苦しくなり始めました。個人でできることはすぐに意見が出るのですが、みんなでとなるとなかなか意見が出ません。ようやくのことで、夢Gから「学内の知らない学生や先生を巻き込む」、未Gから「皆で外国の映画を外国語で見て、わからない表現などを学ぶ」という意見が出ましたが、先生から「学内の知らない学生や先生では、コミュニケーション能力を高めるための『初対面』や『年上』という要素が弱いですね」「実際に話すことによって学ぶという案は考えられませんか」と言われたとたん、私たちの話し合いは止まりました。私たちの発想では学内や自分たちだけでできることが限界だったのです。先生の言葉をきっかけに学内から学外へ転換を図った結果、地域の方や外国の方と直接触れ合うべきだという意見が出てきました。
では、それらの人々と具体的にどのように触れ合うのか、という次の課題で、2度目の行き詰まりです。SAの先輩から学部で行われるイベントを利用してみるのはどうかという提案があり、私たちはその中の七夕祭について検討することにしました。
そして、夢Gからは、学外(特に商店街)の方々を対象とした催しを行おうという案が出ました。その催しとは商店街のお店を訪問し、お店の方に星型の紙にお店の紹介を書いてもらい、商店街を天の川に見立てた地図をつくってその星型の紙を貼ったり、イベントに来てくださった方々を案内したり、織姫彦星コンテストで投票したり審査委員をしてもらったりすることです。私たち学生は知らない大人の方々とコミュニケーションをとることができ、お店の方にとってはほんの少しかもしれませんが宣伝になる、というように双方に良い効果があると考えました。未Gからは、Global Spaceの先生方や留学生に家族や友人で、日本語があまりできない方を紹介してもらって、外国語で招待状を出し、当日は浴衣を着てもらった後、外国語で七夕祭の説明をし、願い事コンテストや織姫彦星コンテスト等のイベントに参加してもらって自分たちが通訳をしようという案がでました。こちらも私たちにとっては外国語を使う場ができ、外国の方には日本文化の体験ができ、双方に良いと考えました。
事前準備でなんとか形になりました。
まずは、「将来の夢」について話し合いました。その結果、将来の夢(就きたい職業)がすでにあるグループ(以下、夢G)と、今はまだ将来の夢が決まっていないグループ(以下、未G)とにわかれました。 夢Gの「将来の夢」は、旅行業界や観光協会、鉄道会社に就職したいとか通訳になりたいというものです。また、未Gに対しては新たに「では、あなたはどのような大人に憧れますか」という質問があり、「外国語をぺらぺら話せる大人」という答えでまとまりました。
次に、その夢や憧れをかなえるために、大学時代に身につけておくべき能力として何が必要か考えました。それぞれのグループで話し合った結果、夢Gからは、将来仕事で相手にする人の多くが知らない人や年上の人なので、初対面の年上の人と話ができるコミュニケーション能力が、また、未Gからは、当然ですが、外国語力が必要だという結果になりました。ここまでは順調に進んでいました。
ところが、それらの能力を高めるために、グループのみんなで協力し、お互いを高めあいながらできることにはどういったものがあるかという質問を受けたところから、苦しくなり始めました。個人でできることはすぐに意見が出るのですが、みんなでとなるとなかなか意見が出ません。ようやくのことで、夢Gから「学内の知らない学生や先生を巻き込む」、未Gから「皆で外国の映画を外国語で見て、わからない表現などを学ぶ」という意見が出ましたが、先生から「学内の知らない学生や先生では、コミュニケーション能力を高めるための『初対面』や『年上』という要素が弱いですね」「実際に話すことによって学ぶという案は考えられませんか」と言われたとたん、私たちの話し合いは止まりました。私たちの発想では学内や自分たちだけでできることが限界だったのです。先生の言葉をきっかけに学内から学外へ転換を図った結果、地域の方や外国の方と直接触れ合うべきだという意見が出てきました。
では、それらの人々と具体的にどのように触れ合うのか、という次の課題で、2度目の行き詰まりです。SAの先輩から学部で行われるイベントを利用してみるのはどうかという提案があり、私たちはその中の七夕祭について検討することにしました。
そして、夢Gからは、学外(特に商店街)の方々を対象とした催しを行おうという案が出ました。その催しとは商店街のお店を訪問し、お店の方に星型の紙にお店の紹介を書いてもらい、商店街を天の川に見立てた地図をつくってその星型の紙を貼ったり、イベントに来てくださった方々を案内したり、織姫彦星コンテストで投票したり審査委員をしてもらったりすることです。私たち学生は知らない大人の方々とコミュニケーションをとることができ、お店の方にとってはほんの少しかもしれませんが宣伝になる、というように双方に良い効果があると考えました。未Gからは、Global Spaceの先生方や留学生に家族や友人で、日本語があまりできない方を紹介してもらって、外国語で招待状を出し、当日は浴衣を着てもらった後、外国語で七夕祭の説明をし、願い事コンテストや織姫彦星コンテスト等のイベントに参加してもらって自分たちが通訳をしようという案がでました。こちらも私たちにとっては外国語を使う場ができ、外国の方には日本文化の体験ができ、双方に良いと考えました。
事前準備でなんとか形になりました。
最優秀賞をいただいて—発表当日と後日談 寺地広将
当日のワークショップは2時間しかない中、全員が頭も手もフル回転で動かしました。まずは、事前準備で出た案をもとに、それぞれのグループで、七夕祭の前に準備すべきこと、当日すべきこと、事後にすべきことをまとめていきました。その後、役割を決めて、模造紙の作成や発表用原稿の作成などにとりかかり、みんなで集まって発表の練習を始めたのは残り時間15分くらいのときでした。短い時間ですべてのことをするのはとてもハードでしたが、一人一人が自分のやるべきことに一生懸命に取りくみ、また、お互いに助け合いながらやりきりました。
発表のため50周年記念館4階のホールへ入ると、そのきれいさと、人の多さに驚き、一気に緊張感が高まりました。じゃんけんで発表の順番を決めた結果、私たちはトップバッターになったので、緊張は最高潮に達しました。発表自体はスムーズにいきましたが、発表時間3分、交代時間2分では短すぎるので、発表時間を5分は確保してもらいたかったです。終了後は、みんな力を出しきったという満足感あふれる顔をしていました。最後の成績発表で「最優秀賞、中山ゼミ」と聞いたときは心底うれしかったです。
このワークショップを通して、自分たちに連帯感や仲間意識が生まれました。しかしこれはどのゼミも同じでしょう。私たちのゼミに特有のことはなんだろうと考えてみると、全員が苦しみながらも意見を出し合い真剣に話し合った、ということです。また、自分たちだけ、学内だけで考えるのではなく、学外の方々とつながる視点を持てたこともとても大きかったと思います。これらが最優秀賞という結果に繋がったのかもしれません。
七夕祭を主催する「学生」委員の方に私たちが考えた案を実践してもいいか、尋ねました。5月20日のゼミの時間に「学生」委員の方から、自分たちはイベントにかかりきりになりサポートはできないけれど、企画書を出してくれたらできるかどうか検討します、と回答がありました。しかし、時間的に問題がありました。5月27日からはゼミの時間にガイダンスが続くので七夕祭の準備ができる授業はあと3回しかありません。私たちが考えたプランを実践しようとすると、準備不足で七夕祭そのものをつぶしかねないという話になりました。先生からは責任をもって遂行しないといけないので、規模を小さくして実践する提案(具体的には、商店街全店ではなく一部のお店を対象にする、招待外国人も人数を減らす)がありました。また、もし七夕祭で実践しないなら、近畿圏以外のゼミ生の出身地の観光資源を調査して、実現可能なツアープランを作成するという授業をしようと思うということでした。
そこで、七夕祭と地域調査のどちらをするか、一人一人が理由とともに意見を言うことにしました。私は1番最初に発言することになり、地域調査を選択しました。その理由は、規模を小さくしても七夕祭までに準備を完璧にすることができないと思ったことと、知らない人とコミュニケーションをとることは地域調査でもできると思ったからです。全員が自分の意見を述べた結果、「地域調査8」対「七夕祭5」となりました。さらに話し合って、全員が納得して地域調査をすることに決めました。
発表した内容を実践に移すことができないのは残念ですが、地域調査でそれを上回るような学びをして、またこのような報告ができるよう頑張りたいです。
最後になりましたが、「学生」委員の皆さん、SAの先輩、先生方、学生生活の第一歩を仲間とともに楽しく踏み出せる機会を与えてくださり、ありがとうございました。
発表のため50周年記念館4階のホールへ入ると、そのきれいさと、人の多さに驚き、一気に緊張感が高まりました。じゃんけんで発表の順番を決めた結果、私たちはトップバッターになったので、緊張は最高潮に達しました。発表自体はスムーズにいきましたが、発表時間3分、交代時間2分では短すぎるので、発表時間を5分は確保してもらいたかったです。終了後は、みんな力を出しきったという満足感あふれる顔をしていました。最後の成績発表で「最優秀賞、中山ゼミ」と聞いたときは心底うれしかったです。
このワークショップを通して、自分たちに連帯感や仲間意識が生まれました。しかしこれはどのゼミも同じでしょう。私たちのゼミに特有のことはなんだろうと考えてみると、全員が苦しみながらも意見を出し合い真剣に話し合った、ということです。また、自分たちだけ、学内だけで考えるのではなく、学外の方々とつながる視点を持てたこともとても大きかったと思います。これらが最優秀賞という結果に繋がったのかもしれません。
七夕祭を主催する「学生」委員の方に私たちが考えた案を実践してもいいか、尋ねました。5月20日のゼミの時間に「学生」委員の方から、自分たちはイベントにかかりきりになりサポートはできないけれど、企画書を出してくれたらできるかどうか検討します、と回答がありました。しかし、時間的に問題がありました。5月27日からはゼミの時間にガイダンスが続くので七夕祭の準備ができる授業はあと3回しかありません。私たちが考えたプランを実践しようとすると、準備不足で七夕祭そのものをつぶしかねないという話になりました。先生からは責任をもって遂行しないといけないので、規模を小さくして実践する提案(具体的には、商店街全店ではなく一部のお店を対象にする、招待外国人も人数を減らす)がありました。また、もし七夕祭で実践しないなら、近畿圏以外のゼミ生の出身地の観光資源を調査して、実現可能なツアープランを作成するという授業をしようと思うということでした。
そこで、七夕祭と地域調査のどちらをするか、一人一人が理由とともに意見を言うことにしました。私は1番最初に発言することになり、地域調査を選択しました。その理由は、規模を小さくしても七夕祭までに準備を完璧にすることができないと思ったことと、知らない人とコミュニケーションをとることは地域調査でもできると思ったからです。全員が自分の意見を述べた結果、「地域調査8」対「七夕祭5」となりました。さらに話し合って、全員が納得して地域調査をすることに決めました。
発表した内容を実践に移すことができないのは残念ですが、地域調査でそれを上回るような学びをして、またこのような報告ができるよう頑張りたいです。
最後になりましたが、「学生」委員の皆さん、SAの先輩、先生方、学生生活の第一歩を仲間とともに楽しく踏み出せる機会を与えてくださり、ありがとうございました。