国際観光学部 塩路研究室3年生4人が、2018年11月10日、熊本県美里町でWaWくまもと国際シンポジウム、11日にはインターナショナルウォークに参加しました。11月に来日した英国の Walkers are Welcome UK Network の会長1名と理事2名が熊本県で、英国でのフットパスと地域づくりの活動について講演を行い、シンポジウムが開催されました。塩路ゼミ4人の学生は、当日のシンポジウムのお手伝いをすると同時に、英語での講演やその他パネリストのコメントなどを聞きました。さらに翌日には、英国から来た人々と一緒に美里町周辺でフットパスウォークに参加しました。今回は、学生が熊本での体験と学びについて報告します。

熊本フットパスから見えてくる新しい発見
 3年生 吉田 翔一

 11月10日、熊本県美里町でWaWくまもと国際シンポジウム、11日にインターナショナルウォークに参加しました。初日のシンポジウムでは、熊本県美里町が第一の地域創生事業として取り組むフットパスについて深く学びました。英国から来日されたWalkers are Welcome UK Networkの理事長や理事の方々の講演では、フットパスと日本のまち歩きに対する見方、考え方について聞く機会があり、地域活性化戦略としてフットパスをどのように活用していくか、また日本での課題などフットパスが盛んな英国と比較しながらの講演は、新しい考え方や学びに繋がりました。
 翌日のインターナショナルウォークでは、県外からの参加者や美里町文化交流センターひびきの方々と実際にフットパス日本大会で最優秀賞に選ばれた熊本県芦北町を歩きました。熊本名物「馬刺し」についてのフランクな会話から現在に至るまでの熊本フットパスの歩みや取り組みについてまで歩くことを通じてリラックスした状態で会話することができました。これもフットパスの魅力の一つだと私は感じました。歩くことで気持ちにゆとりが持て、コミュニケーションを取ることが楽しくなることに地域活性以上の良さがあると感じました。
 スタート地点に行く時には肥薩おれんじ鉄道を利用しましたが、電車に施されたラッピングが様々で、また一両で可愛い田舎の小さな列車でした。大阪に住んでいて電車の数や種類は様々ありますが、あまり凝視して見ることは少ないです。その意味で、熊本県を走るオレンジ鉄道には愛着が湧き、それは自分にとって新しい感覚でした。

 歩いていると峠を登るにつれて息が荒れてきましたが、フットパス芦北の皆さんの人柄の良さと奥が深い話を聞くことができ、3時間のフットパスは非常に短く感じました。フットパスに取り組む上で、地域住民間の繋がりと人柄はまち歩きをする上で最も重要な要素で、持続可能な社会の構築に貢献するのだと私は推測しました。そうした環境が整っているからこそ芦北町は最優秀フットパス・ルートに選定されたのだと思いました。
 加えて、これまで大阪府柏原市や藤井寺市、兵庫県但東町においてゼミ活動でまち歩きを行いましたが、熊本県は県全体でフットパスの広報に取り組んでいることが分かりました。特に田舎と呼ばれるような小さな駅がある地域とその周辺は、フットパスの旗や掲示板が多く見られ、参加を募り地域づくりに専念していました。こういった活動は、私が今まで歩いた市町村では少なく、簡単でありながら、どこか難しい取り組みだと思いました。このように熊本県のまち歩きから見えてくる発見を今後の活動に活かしてフィールドワーク地での活動について熊本のように質を高めて取り組んで行きたいです。
 最後になりますが、美里町文化交流センターひびきの方々をはじめとするWaWの理事、シンポジウムの準備・役割担当で私たちに手順を教えてくれた北九州大学、東海大学の学生さん2日間本当にありがとうございました。

歩く人を歓迎する熊本のまちづくりをみて
 3年生 三枝 寛和

 先日、「WaWくまもと国際シンポジウム」に参加しました。WaWというのはWalkers are Welcomeの略で、「歩く人を歓迎する」という意味です。熊本県美里町は、フットパスなどで「地域を歩いて楽しむ」人たちを歓迎するまちづくり活動に取り組んでいます。今回参加したシンポジウムは、WaW UK networkの方々の講演などによって、熊本県に歩く文化が定着し、地域が元気になることを目指して開催されたものです。
 1日目はそのシンポジウムでしたが、私たちは学生スタッフとして運営のお手伝いをしました。会場のセッティングや登壇される方のアテンドなどの仕事を行いました。そのためシンポジウムをゆっくり聞くことは難しかったですが、1つとても印象的だったお話があります。それは、WaW UK networkの理事ランダルさんの事例報告です。イングランドのオトリーがWaWの指定都市になったという内容でした。オトリーがWaWの指定都市になれた理由に、フットパスを保護してきた地元住民ボランティアの存在があると聞きました。地元住民の、「歩く人を歓迎する」という意識が地域にとって大きな力であるということは、いくつもの地域を歩いてきて私自身感じています。歩くことで住民の方々と交流する機会は少なくありません。そこで「フットパスか?」などと声をかけてくれるだけで嬉しいものです。居心地が良ければその地域への滞在時間は長くなり、経済効果が生まれたり、地域の魅力を再発見することに繋がったりします。オトリーでは、ボランティアがその意識を持っていたからこそ、「ウォーキングするならオトリー」と言われるまでになったのでしょう。また、案内冊子を有料で提供しており、案内表示とその冊子があればセルフガイドで回ることができる点は面白いと感じました。日本でも取り入れるべきだと思います。
 2日目は、実際に熊本のフットパスを歩きました。私は芦北フットパスを歩きました。約8kmの長いコースでしたが、全体を通して非常に面白いコースでした。海水浴場に建っている脚立みたいなものが実は昔の飛び込み台が残っているものだったり、すぐ近くにある小さな島は干潮時には歩いて渡れるものだったりと、芦北のガイドさんの話に面白い発見がたくさんあり魅力的でした。おもてなしにいただいた、地域で作られた和紅茶やかりんとうなどはとても美味しくいただきました。それらのお菓子は、ゴール地点の温泉センターで購入することが出来ます。温泉にも入れ、塩むすび館という施設で塩作り体験が出来たりと、地域への経済効果までしっかり考えられた非常に良いコースだと感じました。
 2日間WaW構想について学び、熊本県が全国の先駆けとして取り組むこの活動を応援したいと感じました。日本のまちづくりの新たな可能性として、WaWやフットパスという概念はこれからもっと認知され、理解されていくべきだと考えます。私も、これからのゼミ活動では今まで以上に積極的にフットパスによるまちづくりついて学んでいきたいと考えています。

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