活動テーマ:フットパスをつかった豊かな地域づくり
産学連携先:吹田歴史文化まちづくり協会


 塩路ゼミは、吹田歴史文化まちづくり協会の協力のもと、「フットパスとまちづくり」をテーマとして活動を行いました。大阪府吹田市は、豊かな自然や歴史的建造物、繁華街など幅広い地域資源を持ち、それらを巡るフットパスもまた多種多様なコースが考えられます。しかし、それらの地域資源やフットパスコースは吹田市民や近隣市民にあまり知られていません。本ゼミは、国内外の地域の事例を参考にしながら、フットパスを通じて吹田市の魅力を知ってもらうことや、地元住民の愛着を醸成することを目的として活動しました。
 4月、5月には、同協会の「吹田まち案内人」の方々の案内で、「まち歩き」を実施しました。その後学生たちだけで歩き、地域の歴史文化資源や休憩場所など、新たな発見をすることができました。その発見を活かし、7月の「吹田フットパス交流会」では学生からの提案や意見交換を行いました。また、10月には大阪府柏原市においてもフットパス調査を行いました。大阪以外での活動としては、9月に熊本県阿蘇市で開催された「全国フットパスカレッジフォーラム」に参加、11月には宮城県柴田町での全国フットパスの集いと熊本県美里町でフットパスの国際イベントに参加しました。12月には、それらの活動でわかったことを、東京で開催された日本観光研究学会においてポスターセッションで発表しました。

学生活動状況報告

 1年間のキャリアゼミ活動を通して、フットパスや地域活性化についての知識、経験を、実践的に学ぶことができました。特に、吹田歴史文化まちづくり協会の協力で吹田市に新たなフットパスコースや要素を提案した取り組みには、やりがいを感じました。2018年4月、同協会の「吹田まち案内人」の方々による案内のもと、北千里公園コース・北千里水辺コース・岸部地区の3つに分かれ「まち歩き」を実施しました。5月には学生だけで同じエリアを歩き、新たな地域資源を発掘することができました。7月の「吹田フットパス交流会」では、若者ならではの視点で、歩いた地域の良さを詰め込んだフットパスコースを提案し、好評をいただきました。地域の人々と意見交換をすることで、地域内外双方の目線から、まちづくりに貢献することができました。改めて、観光の特性である「交流」の重要性を感じました。
 また、9月には熊本県阿蘇市で開催された「全国フットパスカレッジフォーラム2018」に参加し、他大学のフットパスを学ぶ学生と意見交換を行いました。10月には、大阪府柏原市と藤井寺市においてもフットパス調査を行いました。11月は、宮城県柴田町で「全国フットパスの集い in 柴田」に、熊本県美里町で「WaWくまもと国際シンポジウム」に参加しました。これらのフットパスイベントでは、基調講演や実際のフットパスウォークを通して、フットパスの先進事例を学びました。
 12月には東京都で開催された日本観光研究学会においてポスターセッションを行いました。学会で発表する貴重な経験だった一方で、フットパスの認知度の低さや、私たちの研究不足を痛感させられました。次年度は、より一層の活動からフットパスの認知度を向上させ、地域活性化に繋げたいと考えています。

国際観光学部 三枝 寛和

参加学生一覧

(2年)
谷口 彰汰、市川 達哉、大林 一貴、沖村 ほのか、米田 数馬、武田 侑大、中島 和香、長峯 由季、日根 美咲、堀内 和真、本城 優喜、宮村 里沙、山崎 拓実、山本 名桜、横道 聖香
(3年)
遠藤 菜緒、井手 駿介、上田 綾子、歌川 ひいな、大橋 麻実、川本 策也、三枝 寛和、島田 麻衣、田村 晃大、中田 亮輔、中山 大輔、永野 実優、橋本 優希、古川 英希、前田 果歩、藪内 拓真、吉田 翔一
(4年)
庄田 美幸、山口 大葵、平 大貴、上村 瞳、大西 風香、岡本 和哉、岸村 優子、新田 里咲、畑田 麻奈、早川 啓太、福喜多 大輝、松本 拓誠、山口 智也、山下 和樹、山西 駿祐

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

吹田歴史文化まちづくり協会
瓢風 正男氏

 吹田まち案内人のガイドボランティアの実態は、予定されたコースを歩きながら、名物・見どころを説明して、吹田市を知って頂き、顧客に喜んでもらえるようサービスと同時に予定した時間に終わることに勤めています。数年前に、漫然としたまち歩きから脱却をめざして「うまいもんミステリーツァー」を企画し、飲食店の数件の協力をお願いして、まち歩きとそのお店の自慢の一品を食べる、取り組みを実施しましたが、3回で挫折した経験があります。
 今回、阪南大学の学生が、定められた地域の中を歩きながら、美味しいものを発見したこと、珍しいものを発見したことなどを喜々とした報告を聞いて、吹田まち案内人の方向性を探るヒントを得たと感じました。
 顧客・ガイドと地域の人々とが一体となったふれあいの中から、如何に街の活性化に繋げていくかをまち案内人全体で検討課題として提起していきたいという「忘れていた宿題」を、阪南大学の学生たちの報告会を聞いて思い出しました。

教員のコメント

国際観光学部 塩路有子 教授

 本年度も、吹田歴史文化まちづくり協会の「吹田まち案内人」の方々にお世話になり、吹田市内で未踏の3コースを歩きました。さらに、2018年7月に交流会、2019年3月には吹田への提案もふくめた今年度のゼミのフットパス活動最終報告会を行い、そこでも意見交換や貴重なご意見をいただきました。吹田歴史文化まちづくり協会の理事の方々からは、ときに厳しい質問やコメントをいただき、学生たちにはおおいに活動や研究への刺激となりました。
 吹田以外では、昨年度に引き続き、兵庫県但東町にお世話になり、高橋地区に3泊4日で2年生が滞在、フットパスづくりと地域の魅力探しを行いました。そこでも学生たちは、地域の方々の熱い思いに直接触れることができ、異なる地域で異なるニーズや思いがあることを学んだように思います。
 また、「全国フットパス大会in柴田」、「カレッジフットパスフォーラム」「WaWくまもと国際シンポジウム」などに学生たちが参加しました。国際シンポジウムでは英国からWalkers are Welcome UKネットワークの会長や理事が訪れ、直接交流することができ、国を超えたフットパスによる地域づくりについて学ぶ機会となりました。他大学の学生や教員、NPO団体、行政、地域住民、海外活動家など、多様な人々に出会い、意見を交換することで、学生にとっては日本の地域社会の多様性を知り、世界に視野を広げることのできた1年だったと思います。