塩路ゼミ2年生が国立民族学博物館を見学(その1)

2020年11月22日に、国際観光学部 塩路研究室2年生13人が、大阪府吹田市千里万博記念公園を訪れ、国立民族学博物館(みんぱく)を見学しました。常設展示場では、東南アジア、南アジア、東アジア、アメリカ、オセアニア、ヨーロッパなどの世界の各エリアに分かれて、2名から3名のグループで展示を見て周りました。今回は、東南アジア、南アジア、東アジアを担当した学生が、関心をもった点やテーマ、展示から考えたことなどについて報告します。
※写真撮影時のみマスクを外しています。

初めて万博記念公園を訪れて
2年生 宮原 帆乃香

 私は11月22日、初めて万博記念公園を訪れました。万博記念公園駅の近辺には、エキスポシティ、ニフレル、そして万博記念公園などの様々なアミューズメント施設があり、駅は多くの人で溢れ返っていました。モノレールから見た景色や目的地に向かうまでの道のりで見た景色は全て初めて見るものばかりで、人の波に飲み込まれそうでした。万博記念公園に行く前は、周りにそれほど多くの施設があると思いませんでしたが、コンビニやカフェなどのフードサービスや大規模な駐車場も設備されていて、大阪県外から来る観光客も訪れやすい場所だと感じました。
 そして、私たち塩路ゼミは万博記念公園の中にある「国立民族学博物館」に向かいました。そこには世界各国の衣食住や伝統芸能、伝統文化にまつわるものが多く展示されていました。外国から実際に取り寄せられたものや、本格的に再現された展示物もあり、前者は当時実際に使われていたものであるため、見て行く中で年季を感じ、とても感慨深かったです。
 私が調べた東南アジアの地域は、仏教徒、イスラム教徒、キリスト教徒、ヒンドゥー教徒がそれぞれ分布する地域であるので、興味深いことが多くありました。特に印象深く感じたことは、東南アジアのマレーシアやインドネシアを中心にイスラーム化が進んでいることです。イスラーム色の強い音楽を好み、ベールを着用する女性が増えているようで、博物館では様々な種類のベールが展示されていました。私たち日本人の多くは基本的に仏教を信仰している人が多く、他宗教の人と隣り合わせに生きていくことはあまりありません。一方で、東南アジアのような様々な宗教を信仰している人々が集まった国々では、イスラーム化といった言葉が生まれるほどに宗教は人間に大きな影響力を与え、他宗教を信仰する人と隣り合わせに生きていると考えると、東南アジアの宗教に対してより関心が高まりました。また、インドネシアの中でも唯一バリ島だけはヒンドゥー教を信仰している人が多くいるようです。
 宗教のほかにも、影絵人形や水上人形といった芸能も盛んであり、巧みに人形を操る人々の映像を観ました。また、舞踊の際に使用する仮面が展示されていて、滑稽な表情の仮面から怖い鬼のような顔をした仮面まで、様々な種類があり、見ていてとても楽しかったです。この場所での学習は、私たち日本人の普段の生活と比較しながら見ることによって、それぞれの地域の特徴や各国の独自性をより感じることができました。
 帰り道では、万博記念公園のシンボルである太陽の塔を間近で見ました。およそ50年前、この場所で日本万国博覧会が行われていたと思うと不思議な感覚になりました。万国博覧会が開催された当時の風景とは大きく異なりますが、現在に至る万博記念公園の景色や雰囲気を楽しみ、これからも有名な観光地であり続けてほしいと感じました。
 初めて万博記念公園を訪れて、国立民族学博物館では世界中の民族文化に触れ、世界の宗教の奥深さや各国の伝統文化について学ぶことができ、とても貴重な体験となりました。また、多くの観光客を誘致していることが分かったので、私も観光客として再び万博記念公園に訪れたいと考えます。

東南アジア文化の魅力とは
2年生 白崎 葵

 今回、塩路ゼミ2回生全員で、万博記念公園の中にある「国立民族学博物館」を訪れ、フィールドワークを行いました。ここには、アメリカやヨーロッパなど12の国と地域の展示に加え、音楽や言語の展示もしています。展示の内容には、実際に世界各国から持ってきた伝統的な展示物もあり圧巻でした。私たちはそれぞれの国や地域にわかれ、早速調査を始めました。本報告では、私が担当した「東南アジア」について詳しく紹介していきます。
 東南アジアは、森と海に囲まれていて、気候は熱帯・亜熱帯になります。そのためこの地域に暮らす人々は、早朝の涼しい時間から働き始めます。40度近くに達する日中では、屋内で昼寝などをして暑さをしのいでいます。夕方、スコールが通り過ぎた後は、少し暑さが和らぐので、人々は買い物や農作業に出かけます。日が落ちて涼しくなると、友人や家族と屋台に出かけたり、演劇を見たりして余暇を楽しみます。こうして東南アジアの地域の人々は一日を過ごしていきます。
 私が東南アジアの展示物でまず興味を惹かれたのは、衣装です。東南アジアの地域では、民族ごとに伝統的な装いが異なります。しかし、グローバル化の影響で民族衣装を日常的に着る人は減ってきていますが、今でも冠婚葬祭の正装は民族衣装です。展示されている衣装を見てみると、装飾が豪華できらびやかな衣装や、逆に黒を基調としたシックなイメージの衣装もあって、見ていてとても心を惹かれました。日本ではなかなかない斬新なデザインなので、興味深く感じました。そのため、それらの観光客への生産が増えているのも理解できました。
 次に目にとまったのは、芸能の展示です。東南アジアでは仮面や人形を用いた芸能が盛んで、さまざまな行事や儀礼に伴い上演されています。そこでは、仏教説話、かつて栄えた王国を舞台にした物語をはじめ、多様な物語が演じられています。興味を持った芸能のひとつに影絵があり、日本でも手で表現する手影絵があるので、やはり、同じアジアの地域なので、似ている芸能文化があるのだと親近感がわきました。さらに、1回生の時に「観光人類学」の講義で勉強したバロンダンスで使われる、バロンとランダも展示されていて、より一層理解を深めることができました。
 国立民族学博物館は、東南アジアだけでも沢山の展示物があり、内容もかなり充実したものであったので、大変勉強になりました。観光を勉強している者として、世界の文化を知ることは今後の自分の糧になると感じました。この経験を次に活かして、今後は東南アジアに限らず、他の国や地域の文化にも触れてみたいと思いました。

色々な国の知恵と技術
2年生 横井 香穂

 今回ゼミの2回生全員で万博公園を訪れました。万博公園を入るとすぐに太陽の塔がありました。私は何度か万博公園には来たことがありますが、いつ来ても迫力があります。落ち葉やどんぐりが落ちている所で秋を感じながら皆でお昼ご飯を食べました。そして国立民族学博物館を訪れました。同博物館に行くのは初めてだったのですが、各国の衣食住や宗教などを見ることができ勉強になりました。
 私が調べた南アジアについて紹介します。南アジアの展示品は、多様な技術が用いられ、手作業で作られた糸や、刺繍、染めや織りなどが多く展示されていました。一つ一つとても細かく全て手作業とは思えないほど、柄のずれがなく、綺麗に染まっていました。南アジアでは、昔から村落の女性によって作られる自家用の衣装や刺繍布は、生活のなかで母から娘へと継承されて、そこには着古した衣装の再利用や、貴重な布や糸を無駄なく活用するための知恵や工夫がされているそうです。今私たちが着ている服は機械で大量生産されています。服を手に入れることは非常に簡単になっており、着なくなったらすぐに捨てたりしてしまいます。昔の人は手作業で時間をかけて衣服を作っていたと考えると、今の時代の有り難さと贅沢さを感じます。なんでも簡単に手に入るようになり便利な反面、昔からの母から娘に教わる伝統がなくなる悲しさも感じました。
 また、私は朝鮮半島の文化の展示に興味を持ちました。時代劇の韓国ドラマに出てくる建物や衣服、有名なチマチョゴリや、昔の建物が展示されていました。韓国の豪邸のミニチュアのようなものもありました。テレビで見たことがある建物を細かく見ることができ、韓国を訪れた気分になりました。誕生、儒学修練、婚礼の場面で使われる平生図(ピョンセンド)は屏風に似ているなと感じました。絵の感じも日本と似ていました。やはり韓国と日本は近いだけあり似ている部分が多く、互いに影響し合っていると思いました。
 私は今回、国立民族学博物館で沢山の国の文化や衣食住を学ぶことができました。タイのアカ族の村境にある門は、日本の鳥居と似ている入り口であり、日本と似ている文化だと感じました。しかし、一つ一つ詳しく見ていくと作り方や込められた意味などが違いました。エリアごとの特徴や個性があり、各エリアの伝統や知恵が現在にも人々の間で使われていることに感動しました。大学の「観光人類学」の授業で学んだバリ島のバロンとランダの衣装なども見ることができました。ビデオや写真で見るより実際に見ることによって、授業の内容をより理解することができました。

様々な民族の歴史や文化にふれて
3年生 平山 聖翔

 国立民族学博物館では、人類文化の多様性と共通性、そして地球規模での社会の動態について調査研究を続けており、様々な民族・地域ごとの宗教・食・衣装など幅広い観点からの歴史や事実を知ることができます。また仏像や衣服のレプリカが展示されており大きさや色などが非常に伝わりやすく、より当時の実物に近いものに触れることができます。その中でも私が特に興味・関心をもった2つの地域について考えたいと思います。
 1つ目はアイヌの文化です。やはり日本の先住民というもあり最も興味を惹かれたエリアでした。アイヌは北海道を中心に日本列島北部とその周辺に暮らしており、極寒な自然環境の中、独自の文化を育み過ごしてきた先住民です。民族学博物館ではアイヌの人々の生活を伝わりやすいように家の中が忠実に再現されていました。家は、藁で作られた分厚く頑丈な屋根や壁で、中には土間に農具や薪が置かれていました。火棚には当時から食べられていたと思われる肉や魚を燻製にしている様子も再現されており当時の生活感や工夫が伝わってきました。熊が襲ってこないように監視するための窓やそれに対処するための銃や罠など細かい部分で忠実に再現されていました。
 もう1つは南アジアです。インドなどを中心とした衣装やアクセサリーなどが展示されていました。サリーといわれる布のようなものが展示されていましたが、細かい刺繍や美しい色彩で組み合わされていて昔からこの高度な技術で作ることが可能だったのかと驚きました。南アジアはヒンドゥー教を中心とした宗教が盛んで多くの神様や仏像が多いという印象でした。それから現在に至るまで経済が発展して、工芸の多様性や活気溢れる大衆の文化が紹介されていました。またグローバル化が積極的に行われており時代の流れや変化を感じることができて感慨深かったです。   
 展示では細かい部分まで再現されていて当時の雰囲気や生活の知恵などみればみるほど伝わってきました。アイヌと南アジア以外でも、例えばアフリカの奴隷に使われていた手錠やその歴史の説明文などを目にして恐怖まで感じました。頭で何となく知っている知識でも展示されているそのモノや当時の写真をみると、想像していたこととはまた違う感覚や事実を知ることができ、その事柄についてより深く知りたいという気持ちが生まれました。
 国立民族学博物館で触れた様々な民族の歴史や文化は、現在の私たちの生活と照らし合わせみると似ている部分ももちろんありましたが、それ以上に狩りの様子や宗教的な考えなど違う部分も多かったことから貴重な体験ができたと思います。

万博の跡地で学ぶ歴史と文化
2年生 寺田 観洋

 11月22日、私たちは吹田の国立民族学博物館(みんぱく)を訪れました。万博記念公園やエキスポシティが近くにあり、かつ連休の真ん中ということもあり、周辺は多くの人で賑わっていました。私たちも初めに万博公園で昼食を済ませ、そこから博物館へ向かいました。
 みんぱくは、1977年に大阪万博の跡地を利用して開館し、今年で43年になります。館内では、世界の多くの文化や歴史を紹介した展示や、語学や外国の本などの展示がされていました。各エリアを回っていくと、実際に自分が受けていた講義の内容について詳しく説明されており、展示品などを通して理解を深めることができました。また、この日は世界の先住民に関する特別展が行われており、スタンプラリーを楽しみながら、その地域の先住民の暮らしや成り立ちなども学ぶことができました。
 全員で館内を一周した後、各グループに分かれ、各エリアについて調査を行いました。私は東アジアのアイヌを中心に調査しました。アイヌ民族については、旧蝦夷地の発展に貢献したと高校の世界史で少し学んだ程度だったので、今回、絶好の機会だと思い、詳しく調査を行いました。アイヌとは「人間」という意味を持ち、北方地域や東北の一部で現在でも数百万人が生活しているといわれています。弥生時代に、北海道は寒冷のため稲作の文化が定着せず、現地の縄文人が独自の文化を持ち始めたことが始まりとされています。そして、竪穴式住居や土器が用いられなくなって初めてアイヌ文化の特色が形成されたといわれています。水田耕作が行われず畑作で穀物や豆などを育て、海に生息する魚やシカなどの獣肉を組み合わせて生活していました。住居もアイヌ独特の作りを持ち、コタンといわれる集落で、河川などに独自の竪穴式の住居が立ち並んでおり、人々は生活を行っていました。これらは明治時代に姿を消し、やがてアイヌの地域、蝦夷も北海道となり日本の文化へ定着し始めていきました。しかし、現在でも自身はアイヌ民族だと考える人は少なくないらしいです。今回の調査でアイヌ民族の形成や文化、歴史について理解をより深めることができました。
 私は初めてみんぱくに行きました。そこには教科書には載っていない地域の歴史や文化を間近で学ぶことができました。世界には私たちの知らない多種多様な文化があり、それらの文化がその地域を形成していくものだと考えます。しかし、時代とともに昔の文化は失われたりもします。その文化を継承していくためにもみんぱくは重要な施設であり、私たちは先人から多くのことを学ぶべきだと考えます。今回の活動で、まだ知らなかった文化について理解を深め、観光を学ぶにおいて必要な知識を身に付けることができました。

日本と朝鮮半島の文化の違い
2年生 里田 裕理

 11月22日、私はゼミ活動の一環で大阪府吹田市の国立民族学博物館に行きました。館内は、アジアやヨーロッパ、アメリカなどの9つの地域のブースで分かれていて、それぞれ、たくさんの文化的な展示がありました。そして、展示エリアの他にビデオを見るところや図書室などもあり、多くのことを見て学ぶことができます。館内に入るまでの前庭にトーテムポールがあるなど館内以外も工夫がされていました。
 実際に民族学博物館に訪れる前に、授業でホームページを見て調べていましたが、想像していたより館内は広く、展示物も多く、想像していたより大きいものもあり、まるで世界一周している気分でした。コロナウイルスの影響で実際に伝統的な住居の展示物の中に入ることができませんでしたが、ところどころに写真スポットがあり、工夫がされていてとても楽しむことができる空間でした。
 私は、これらの多くの地域から東アジアの中の朝鮮半島の衣食住に焦点を絞り、詳しく調べていきました。まず、衣において、いくつかの伝統的な衣装、朝鮮半島の婚礼衣装などの展示などがありました。新郎は朝鮮時代の文官の常用服を着て、新婦は王室や特権階級であった両班の婦女子の礼服で着飾り、結婚式に限って、一般の庶民たちも普段は禁じられている衣装を着ることが許されたそうです。
 次に食において、朝鮮半島の食膳の展示がありました。御飯、味噌汁、キムチ類が基本であり、これにおかずが数品つきます。日本では茶碗を持ち上げて御飯を食べることが基本ですが、朝鮮半島では御飯と味噌汁は匙で食べ、どの食器も持ち上げないのが礼儀です。国が違うだけで、礼儀の文化が違うのだなと感じました。
 最後に住において、朝鮮半島の南西に浮かぶ済州島の民家の展示がありました。済州島の屋根の形態は強風のため、半卵型の流線型になっています。そのうえ、茅葺き屋根が飛ばされないように茅縄を綱状に掛け、括り付けています。気候によって、建てる家の構造に工夫があって、人間の知恵の素晴らしさを感じました。
 私は韓国ドラマをよく見ていたので、そこに出てくるような衣食住を実際に展示物として見ることができて、非常に興味深かったです。朝鮮半島の衣食住の文化と日本の衣食住の文化とを比較し礼儀作法や文化の違いを学ぶことができました。
 そして、朝鮮半島だけでなく、全ての地域の展示物を映像と音声ガイドを使い、説明を聞きながらまわることもできました。展示物に番号が書かれていて、この展示物はどの説明映像を見るべきなのかが分かりやすく、とても役に立ちました。日本語だけではなく、英語や中国語などの表記もあったので、外国人も見てまわることができます。
 自分が調べる地域はかなり時間をかけてまわりましたが、全ての地域をまわるだけでも2時間くらいかかりました。それだけ展示物が多く、リアリティーがあり、1つ1つの展示物の説明も分かりやすいものばかりでした。
 全ての地域をみて、今まで高校の歴史の授業で習ったものを実際に展示物として見ることができ、知っていたこともより深く学ぶことができたり、新たに知らないものを吸収することができた1日になりました。館内は多様な工夫がなされているので、国立民族学博物館は歴史や文化に興味のない方でも楽しめる施設であると思います。