塩路ゼミ3年生が吹田市山田をまち歩き

2022年5月21日に、国際観光学部 塩路研究室3年生が吹田市山田エリア(旧山田村)を訪れ、吹田歴史文化まちづくり協会の吹田まち案内人の方に説明していただきながら、第1回目のまち歩きを実施しました。今年度も吹田市においては同協会と連携して「フットパスと豊かなまちづくり」というテーマでキャリアゼミの活動をしていく予定です。今年は、吹田市の山田エリアと江坂エリアの2チームに分かれて、1回目は案内人の方々と共に歩き、2回目は学生たちが自由にそのエリアを探索し発見するまち歩きを実施します。7月には同協会の拠点である吹田市浜屋敷で交流会を予定しています。今回は、山田エリアを初めて歩いた学生たちが報告します。

吹田旧山田村まち歩き
3年生 福住 未来

 5月21日にまち歩きをするために大阪府吹田市の旧山田村エリアを訪れました。私は大阪府に住んでいるのですが、吹田市の旧山田村エリアを訪れるのは初めてでした。当日は心配していた雨は降りませんでしたが、風がとても強かったです。私はまち歩きも初めてだったのでとても楽しみでした。当日は阪急山田駅に集合して、国際観光学部の塩路ゼミメンバー6人とまち案内人の方2人と活動しました。まち案内人の方は多くの場所を案内してくれました。その中でも私が感じたこと、考えたこと、学んだことを報告します。
 初めに、阪急山田駅はなぜ山田駅というのかをまち案内人の長岡さんからお話を聞きました。阪急山田駅は南千里駅と北千里駅の間に挟まれている駅です。なぜ中千里駅とならなかったのか教えてくれました。山田駅は、千里ニュータウンに含まれていない場所で、万国博西口駅が廃止となった後開業した駅です。その土地の名をとって山田と名づけられました。駅前は高いマンションが立ち並んでいて、広く、緑も多く清潔で綺麗と感じました。そのあと、旧山田村を訪ねるコースを順番にまわりました。その中でも山田伊射奈岐神社に興味を持ったので紹介します。
 山田伊射奈岐神社は、大阪府指定文化財に登録されていて、吹田の中でもかなり大きめの神社です。日本書紀や古事記にも載っているとおり、日本の国を作った神様が二人いて、男の神様の方が伊射奈岐、女の神様の方が伊射奈美といいます。ここの神社は山田伊射奈岐神社といいますが、祭られているのは伊射奈美の神様です。こことセットになっているもう1つの伊射奈岐神社に伊射奈岐の神様が祭られているそうです。それ以外にも4つの神様が祭られていました。神様の数え方は知らなかったのですが、最近はやりのアニメでもあるとおり、「柱」と数えると知りました。伊勢神宮の宇治山田にもといた神様が山田の土地にやってきたそうです。それによりこの場所が山田になったといわれています。江戸時代からある鳥居も見ました。地震で倒れたそうですが、とても大きかったです。中国の伝説の獣「走獣」が狛犬でした。なぜ中国の獣が狛犬になっているのか気になったのですが、山田に住んでいた方が、中国の満州のお城の獣を見て、記録して持ち帰ったものを模して作ったと言われているそうです。そして別のよくみる狛犬もありました。
 また、まち歩きをしているときに、道にとても興味を持ちました。昔からある道は曲がり角が多く幅も狭くなっていて、新しくできた道は幅も広く一直線になっていることが多かったです。それは、第2次世界大戦中に爆薬を爆薬庫に運ぶためだと学びました。そのため、無理やり作られた道は、元々あった建物と平行になっていませんでした。そして、家紋が書かれている家が多かった印象がありました。
 今回のまち歩きを通して、山田エリアは全体的に見て、歴史的なエリアだと感じました。教科書に載っていることというよりも人々の生活などの詳しい歴史が学べました。大阪府には、こんなにもたくさんの財となるものがあると知ることができました。旧竹中家の「馬上門」は、マンションの前に大きな表門が残っていました。マンションを建てる際、これだけは残そうと地域の方が言って残ったそうです。そして、もともと村長だった人の家の跡地は子供も遊ぶことができ、運動する遊具もある公園になっていました。旧山田村地域の温かさも感じることができました。このように、自分たちだけでは知ることができないことを、今回、案内人の方がついてくれて歩くことで、学ぶことができ、貴重な体験となりました。

歴史深い旧山田村
3年生 中田 すず

 私たちゼミ生6人は、5月21日に山田へフィールドワークに行きました。吹田まち案内人の方に案内してもらいながら旧山田村を訪ねました。
約5㎞のコースを歩きました。①阪急山田駅②夢つながり未来館③王子池公園④三ツ辻道標⑤九十九橋⑥小野原街道⑦愛宕社⑧山田上会館⑨石仏群⑩弾薬庫への運搬路⑪旧竹中家馬上門⑫紫雲寺⑬山田伊射奈岐神社⑭圓照寺⑮あずき火山灰層を訪れました。
 それぞれを簡単に紹介していきます。
①阪急山田駅
西改札側が津雲台のような千里ニュータウンが広がっています。東改札側は新しいマンションが様々な方向に建っており、千里ニュータウンのエリアではありません。
②夢つながり未来館
子育て・青少年活動の施設、地下には図書館があります。
③王子池公園
ため池です。昔は農業をする際に田に送水するために、王子池に水を溜めていました。今では、王子池の周りは、人工で水草を生やして、環境を整えています。王子は神様を指します。
④三ツ辻道標
昔の山田村の中でひとつになっていた山田街道と小野原街道が分かれるところに建っています。
⑤九十九橋
山田川に架かる橋です。九十九(つくも)橋の名前から、後に現在千里ニュータウンの1つである津雲台の名前がつきました。
⑥小野原街道
小野原街道には屋根に三鱗の家紋が付く大庄屋が数軒あります。街道に沿って集落が作られました。
⑦愛宕社
高台にあって、集落を見下ろすことが出来ます。高台から山田の火事を守るために作られたと言われています。愛宕社の名前は、京都の愛宕山にならって名称されたと言われています。
⑧山田上会館
旧山田村の山田上と言う地域に昭和43年に建設された会館です。
⑨石仏群
元々寺であったところに、15の石が置かれています。これは、豊臣秀吉が、大阪城を作るときに、石を持って行かれないように土の中に隠していた石です。
⑩弾薬庫への運搬路
太平洋戦争中、万博付近にあった弾薬庫への運搬路弾薬庫へ爆弾を運ぶためのまっすぐの道を指します。
⑪旧竹中家馬上門
昔に山田中村の庄屋を営んでいた竹中家の屋敷の門です。現在は、屋敷は売り、門だけが残り、屋敷の部分には新しいマンションが建っています。
⑫紫雲寺
本堂の天井に森祖仙が描いた動物、鳥の絵が飾られています。
⑬山田伊射奈岐神社
女の神様いざなみを祀っている神社です。
⑭圓照寺
境内に時の鐘があり、一日の決まった時間に自動で鐘が鳴ります。
⑮あずき火山灰層
90万年前に500キロ離れた大分から降ってきた火山灰が積もっている場所です。水の中に埋もれていたという言い伝えがあるため、昔は、この場所は海であったと考えられます。

 山田地域は、山田伊射奈岐神社や圓照寺のような神社や寺が点在していると感じました。古い家が残っている部分もあり、昔の家と新しい家が混在しているように感じました。15カ所回った中で印象的な場所は、愛宕社です。愛宕社は、山田の高台に建てられており、その場所からの景色はとてもきれいで歩いた疲れが取れました。集落の防火にとって守りの役も果たしていて、住民は愛宕社の神様に見守られていると強く感じていたそうです。コース内には、フルーツ餅やフルーツ大福で有名な和菓子屋である松竹堂がありました。2回目のまち歩きの際は、松竹堂によって休憩しようと思います。

魅力ある山田エリア
3年生 藤原 奈々

 5月21日、大阪府吹田市山田にてフットパスを行いました。阪急山田駅からスタートして約3時間半のコースを歩きました。初めに、スタート地点である山田駅について教わりました。1970年に大阪万博が開催され、それに伴って現在の山田駅は万国博西口駅として開設されまた。しかし、万博終了3年後の1973年には山田駅として再開設されました。
 次に、山田駅の隣には「ゆめつながり未来館」があります。1995年に建てられた施設で、子育て・青少年活動などの支援センターや、地下には図書館があります。地元民からは「ゆいぴあ」と呼ばれています。王子池公園はもとは農業用水池として利用されていました。山田の地域は谷のようになっており山田駅から東に降りていくと川があります。昔は高地に田んぼがあり川からの水を高地に流すことは不可能でした。そのため、ため池として王子池を利用していました。現在の王子池は季節ごとに鳥の鑑賞などができる自然共生型公園となっているそうです。王子池では水鳥が生活しやすい環境を作るために、地元の小学生にも協力をしてもらい、水鳥の生活に必要な草を植えたり、浮島を作ったりしています。
 王子池公園を過ぎ、次に向かったのは三ツ辻道標です。小田原街道と山田街道の分岐点に位置する三角柱の江戸時代からの道標です。そのすぐ脇には「九十九」と書いて「つくも」と読む、「九十九橋」がありました。その後、昔ながらの小田原街道を南に進んで行きました。小田原街道では三鱗の家紋が付いた大庄屋屋敷や他にも様々な家紋の付いた家が立ち並んでおり、歴史を感じました。また、小田原街道を外れ、一本右の道に出ると、直線で道幅が広い道に出ました。これは弾薬庫への運搬路でした。太平洋戦争中に、万博付近にあった地下弾薬庫に弾薬を運ぶ道路として作られました。当時は狭くクネクネとした道が多く、弾薬庫への運搬には不向きでした。そのため新しく運搬しやすいように道幅は広く、直線で進みやすい道が整備されたそうです。
 次に訪れた山田伊射奈岐神社はとても立派な神社でした。神様は男の伊射奈岐様と女の伊射奈美様が存在します。山田伊射奈岐神社は名前とは違い、女の伊射奈美様が祀られています。伊射奈岐様は同じ吹田市の佐井寺にある伊射奈岐神社に祀られています。由緒正しき神社として有名です。
最後に訪れたあずき火山層は約90万年前に大分県猪牟田カルデラの噴火により堆積した地層です。驚いたことは、500キロも距離の離れた場所でも火山灰が降ってくることです。また、火山灰は陸上に舞い落ちても風や雨で流れていきます。しかし、あずき火山層は昔は池であり、水中の底で蓄積しており、最近まで残っていたそうです。
 今回のフットパスではガイドの方に話を聞きながら、これまでは行くことのなかった山田について深く知ることができました。2回目のフットパスでは、同じ山田エリアで、自分たちで行く場所を決めて歩きながら地域のことを学んでいきます。今回のフットパスを活かしてより深くフットパスと山田について知っていきたいと思います。