2022年度のキャリアゼミは、連携先の吹田歴史文化まちづくり協会にご協力いただき、3年生が初夏に吹田まち案内人の方々と吹田市内のまち歩き(2コース)を行い、7月に吹田市内の浜屋敷において市民と意見交換する「吹田フットパス交流会」を開催しました。それらを踏まえて、昨年度に引き続き、歩いたエリアについて英語でのパンフレット作成にも取り組みました。また、吹田市の魅力発見という視点から2年生が千里万博記念公園を訪れ、国立民族学博物館を見学しました。
 さらに、吹田市と他地域の「フットパスとまちづくり」を比較するため、3年生が9月に日本のフットパスの中核的な存在である熊本県美里町を訪れ、フットパスを実際に歩き、地域の食を体験し、関係者から話を聞くなどの活動を行いました。また、4年生が11月にクアオルト・ウォーキングでコミュニティが活性化している山形県上山市を訪れ、実際にクアオルト・ウォーキングを体験し、フットパスとは異なる視点からまちづくりについて学ぶことができました。
 以上の塩路ゼミの2022年度キャリアゼミ活動の具体的詳細については、大学HPに研究室記事として学生の報告文を掲載しています。

学生活動状況報告

 私たち塩路ゼミ3回生は、2022年5月と6月の二度にわたり、山田と江坂の二つのチームに分かれて、吹田市でまち歩きを行いました。1回目のまち歩きは、吹田まち案内人の方に、普段歩くだけでは知ることのできないまちの歴史や吹田の魅力について教えていただきました。2回目は、前回のまち歩きで訪れなかった場所や自分たちが関心を持ち、より詳しく調査したいと思う道を歩きました。
 その後、7月に吹田市の浜屋敷で吹田まち案内人の方々やまちづくりに関心のある市民の方々とフットパス交流会を行いました。この交流会では、二回のまち歩きを通して発見した魅力や課題、その改善策の提案をしました。どのようにして地域活性化できるのかを考える貴重な経験になり、改めてまちづくりの難しさを知ることができました
 9月には、熊本県美里町で二泊三日のフットパス合宿を行いました。美里フットパスは、地域が主役のフットパスです。いつでも自由に歩いてよいフットパスコースを作るには、地域の良さを知っている地域の人々の協力が必要です。草切りなどの維持管理、歩きに来た人たちとの交流、コース作成時のスポット提案などを地域の人々が行うからこそ最良のフットパスコースが完成するのだと考えました。
国際観光学部 澤井 悠

ゼミ集合写真

参加学生一覧

荒川 和音、 市村 まい、 菊崎 陽登、 國方 勇成、 里田 裕理、 白崎 葵、 竹内 良輔、 寺田 観洋、 西井 咲優香、 平山 聖翔、 宮原 帆乃香、 宮本 采芽、 横井 香穂、 井上 歩夏、 小池 亜依、 宇野 萌花、 澤井 悠、 梶田 深友、 安本 律希、 後藤 滉稀、 中田 すず、 早野 悦次、 藤原 奈々、 福井 亜沙美、 杉尾 愛実、 福住 未来、 福山 星汰、 淡野 めぐみ、 磯辺 佑介、 江原 葵香、 奥野 陸希、 京谷 胡李、 佐々木 雪那、 瀬澤 歩、 中西 蓮、 中野 慶華、 平田 玲子、 藤澤 斗葵、 森田 甫也

連携先コメント

吹田歴史文化まちづくり協会
佐藤 和彦 様(まち案内人代表)

 今年度の塩路ゼミの「吹田市内まち歩き」の学生さん達は、入学以来対面での授業は殆ど無くオンラインでの授業が主だったと聞いております。年齢的に一番行動的かつ好奇心が旺盛な時期にコロナ禍の為、学生同士、サークル活動でのコミュニケーションを図る手段が様変わりし、行動が大幅に制限されてしまったのは非常に残念な事でした。しかし、「吹田市内まち歩き」と「交流会」を通じ、多少なりともコミュにケーションの機会が取れたのではと思っています。
 私は、今年度は交流会のみの参加となりましたが、過去数回の報告会を通じて毎回感じている事は、情報収集の手段としてスマートフォン等を上手く利用して、素直な分かり易い文章で説明している事です。もう一つは、歩くコースによって異なりますが、歴史に関する言葉以外では、「コンビニ」「スーパー」「感じの良いお店」「閑静な住宅の街並」「公園」等に関する言葉が多い様に感じられました。特に女子学生の目が公園に向けられた時、「子供達が安心して遊べる遊具か」「家族が楽しめる環境か」との言葉の中に、自分たちの将来の生活を見据えた視点でまち歩きをしているなと感じました。塩路ゼミのメインテーマの「フットパスと豊かなまちづくり」を確かな目で感じ取っているなと思っています。

教員コメント

国際観光学部
塩路 有子 教授

 2022年度はコロナウイルス感染がやや落ち着き、キャリアゼミ活動を大阪だけでなく、九州や東北でも行うことができました(各詳細は研究室記事に掲載)。
 大阪では、7年目となる吹田歴史文化まちづくり協会との連携で、3年生が2回のまち歩きと吹田フットパス交流会を行いました。今年度は、同協会の吹田まち案内人が推薦する「山田村」と「江坂」コースを歩きました。案内人の方々や浜屋敷関係者などが参加して開催することができたフットパス交流会では、山田村コースの魅力として学生たちがあげた火山灰の地層や高級スーパー、和菓子屋などは参加者には若者の視点として新鮮に映ったようです。江坂コースでは学生たちは新旧の街並みを比較して町の変化を知ることができ、歩くことで気づく道標の歴史や特徴など、交流会の意見交換でさらに新しい知見を得ました。学生たちは実際に地域を歩いて住民と話をすることで、地域に暮らす人々の「まちづくり」に関する考えと外からきた若者の視点が異なることも実感したようです。また、吹田市の文化的資源を知るために2年生が千里万博記念公園と国立民族学博物館を訪れ、吹田市民の憩いの公園を歩き、世界の多様な文化に触れて吹田で世界一周を体験することかできました。
 次に、9月に2泊3日で3年生が訪れた熊本県美里町では、美里フットパス協会にお世話になり、3つのフットパスコースを歩きました。途中で出会った住民の温かい対応や地元の果物などのおやつ、歩いた後には地域の食材を使った伝統的な食事など、自然や風景だけではない、人や食も含めた地域のありのままの姿を感じることができる美里フットパスの魅力を学びました。
 最後に、11月に2泊3日で4年生が訪れた山形県上山市は、ドイツの健康保養地を参考にしたクアオルト・ウォーキングが盛んなまちです。学生たちは市民のイベントに参加してフットパスとは異なるクアオルト・ウォーキングを体験しました。歩く途中で地域産の果物をおやつにいただき、歩いた後には地域の食材を使ったクアオルト弁当を味わいました。住民自身が歩くことで行うまちづくりの実際を体験し、まちづくりの多様性を学びました。 
 各学年のゼミ学生たちは、キャリアゼミ活動の経験に合わせて、それぞれ地域を歩き、住民と交流し、地域の文化や食を体験することで、都市や地方を含めた日本社会の今後のあり方を多様な視点から考える機会となりました。