塩路ゼミ3年生のオーストラリア調査旅行

国際観光学部 塩路研究室3年生の4人が、夏休みにオーストラリアのメルボルンに調査旅行に行きました。各自が個別の調査テーマを設定して現地で観察、体験しました。今回は、コロナ禍を経て、学生たちにとっての初海外旅行ということもあり、現地での新しい体験なども含めて報告してもらいます。

オーストラリア最大都市“メルボルン”
3年生 平田 玲子

 私たち塩路ゼミは、韓国、オーストラリア、アメリカの3つのチームに分かれて夏休みの調査旅行として各国を訪れ、それぞれ現地で“フットパス”を行いました。私は、8月29日から9月10日までの約2週間、私を含め4人でオーストラリアのメルボルンへ旅に出ました。
 事前に訪れたい施設や場所をあらかじめ計画し、宿泊先の最寄り駅であるSouth Yarra駅とメルボルンで最も栄えているFlinders Street駅を中心に散策しました。移動手段は電車やバス、そして徒歩で各地を訪れました。 
 私自身、このオーストラリアが初海外で、日本とは別世界の環境でたくさんの刺激を受けました。特に衝撃を受けた公共交通機関に焦点を当て、日本との違いについて触れていきます。メルボルンでは、Myki(マイキー)という専用のカードを1日ごとにチャージしてトラム(路面電車)や無料シャトルバスや電車を利用できるというシステムがあります。電車は、掲示板に路線ごとで色分けをして表示されているので日本よりもわかりやすかったです。しかし、電車のドアを開けるのが手動であったり、自転車を持ち込めたり、ペットと一緒に乗車できたりすることは海外ならではの自由さを感じました。次に、トラムと呼ばれる路面電車は、通常の電車よりも利用率が高く、気軽さも感じられました。そして、無料シャトルバスも含め、公共交通機関の駅ごとにだいたいスタッフの方が配置されているので、困ったときに尋ねることができ、安全性もあってとても配慮の行き届いた環境であると認識しました。
 活動期間が2週間あったので、多くの場所を訪れることができ、比較的予定通りに進めることができました。ここでは、特に印象に残っている場所を幾つか取り上げていきます。まず、初日に訪れた「ビクトリア国立美術館」は、館内がとても広く、作品の数も多かったです。ピカソやモネなど誰もが知っている有名な画家の描いた作品もあり、その世界観に引き込まれました。また、「ビクトリア州立図書館」は、壁一面が本で囲まれており、螺旋状に配置されたテーブルが美しく、入り口自動扉が映画に出てきそうな雰囲気を演出していました。そして、ロイヤル植物園の敷地内にある「戦争慰霊館」では、これまでの優雅な街の印象から一変し、展示品や当時の映像などで過去の悲惨な出来事について改めてとても考えさせられる施設でした。第二次世界大戦では、オーストラリアと日本が敵対国であった歴史を改めて学ぶことができた良い機会になりました。
 メルボルンは、オーストラリアの中でも特に栄えている都市で、都会でありながらも緑が多く、自然豊かな街で素敵でした。犬を飼っている人が多い印象で、ペットを連れたまま店内に入ることができるのには驚きました。初めての海外で、最初はハプニングや言語が上手く伝わらないこともありましたが、親切な現地の方々にも助けていただき、皆で協力し合いながら充実した2週間を送ることができました。2週間も滞在していたので若干の寂しさもありますが、次はより英語を上達させてもう一度訪れたいです。

オーストラリアの街中を歩く
3年生 瀬澤 歩

 私たちは、8月29日から9月10日の2週間、ゼミメンバーの4人でオーストラリアのメルボルンへ行きました。ホテルに泊まるのではなく、実際にアパートの一室を借りて、自炊をしながら宿泊しました。そして、メルボルンのサウスヤラ駅からフリンダースストリート駅周辺でまち歩きを行いました。その中でもメルボルンに実際に行ってみて興味を持ったのは街並みについてです。ここでは、メルボルンの街並みや建造物について気がついたことを書きたいと思います。
 メルボルンは、古都であり、オーストラリアでシドニーと並ぶ最大都市の一つだと言われています。英国風の建物が多く並び、芸術に触れる機会も多く、カフェも多かったです。
街並みは、とにかく高い建物で左右対称のものが多い印象でした。想像通りの洋館の外観をしていて、窓が均等に並べられていて、レンガの壁なので、おしゃれだと感じました。調べてみたところ、メルボルンでは建物の保存と再開発のバランスを取りながら、古い市街地を高層化しているようです。
 建物の中や庭園も同様です。例えば、「ビクトリア州立図書館」の中は、どこからみても左右対称になっていて、机の位置やバルコニーの位置、飾られている小物の位置も計算されているように感じました。また、「メルボルン博物館」の中の展示物も左右対称に展示されていて、似たようなものが飾られている部屋だと、どこから見たかわからなくなりました。そして、「カールトン庭園」も同様で、木の位置や広場の形、建物の風貌も左右対称でした。人間は対称の形を好む傾向がある上に、美しいと感じることも多いので、実際に見た街並みは美しいと感じることばかりでした。
 日本との街の違いで最も印象に残っていることは、ゴミ箱がコンスタントにあることです。日本は、ゴミ箱は公園や建物の中にはありますが、歩道にゴミ箱はほとんどありません。置いてあったとしても、一つだけでゴミの分別は関係ないように感じます。オーストラリアではゴミ箱が歩道に常備されているのが普通で、燃えるゴミとリサイクルで分別されていました。日本では、途中でゴミが出た時もゴミ箱があるところまで持ち歩かなければならなません。メルボルンで道路にゴミ箱が常備されているのは、街並みや歩道の美しさを保つために意識されていることだと思ったので、素敵なことだと思いました。
 2週間の滞在で様々なことを学びました。自分自身の調査テーマである街並みはもちろん、現地の人々が優しく、英語がそんなに得意ではない私たちは、周りの人達に助けられてばかりだと感じました。オーストラリアで初めての海外を経験して、芸術や街並み、文化などたくさんのことを学びました。

訪れて感じたメルボルンの魅力
3年生 中野 慶華

 私たちは2023年8月29日から9月10日の間、メルボルンでフットパスを目的に滞在しました。毎日違う観光スポットを訪れて日本とメルボルンの違いや歴史を学びました。
 メルボルンには様々な観光スポットがあり、色々な場所を訪れました。その中でも私は「STATE LIBRARY OF VICTORIA (ビクトリア州立図書館)」が最も印象に残りました。ビクトリア州立図書館は「世界で最も美しい図書館」の1つとして常にランクインしている図書館です。訪れてみると、魔法の世界に行ったような気持ちになるほど美しい図書館でした。まず入口には巨大なチェス盤があり、地元の人達で賑わっていました。図書館に入ると、6階まで吹き抜けで芸術作品のような彫刻が施されたドームになっており、扉が全て内開きの自動ドアになっていて魔法の学校に来たような感覚になりました。ビクトリア州立図書館にはおよそ200万冊の図書が蔵書されていますが、本を読んでいる人は少なくデスクワークをしている人の方が多く感じました。ふらっと入って、ちょっと作業して出ていくのも当たり前で、地元の方によると暇つぶしに来たりもするとのことでした。
 別日には「スカイデッキ88」を訪れました。ここは南半球一の高さを誇る展望台で、ビル自体の高さは300メートルです。デッキは280メートルの地点にあり、庭園都市メルボルンの全景を一望できます。南側にはポートフィリップ湾が満々と水を湛え、北から東の方向には緑豊な森が地平線まで続いています。スカイデッキ88は普通の展望台だけでなく、「エッジ」というユーレカ・タワーの88階から突き出たガラスのキューブで、来場者が空中に吊り下げられてスリルを楽しむプランやメルボルン市街の上空285メートルにある板に乗ってバランスを取るという、エキサイティングなバーチャル・リアリティ体験ができ、子供から大人まで楽しめるスポットになっていると思いました。
 また、メルボルンでは、日本と違って交通手段がとても便利だと感じました。Mykiカードというものに毎日10$チャージすることで電車もバスも乗り放題でほとんど歩かなくていい生活が送れます。しかし、メルボルンでは電車が18時には無くなってしまい、ほとんどの電車が遅延していて時間に正確な日本の交通とは全然違うとも感じました。
 今回メルボルンを訪れて日本との違いやメルボルン特有の習慣など、行ってみないと感じられない事がたくさんありました。私にとってメルボルンは、日本に帰ってきてからもう一度行きたいと思うほど居心地がよく、暖かい人ばかりで、すっかりメルボルンの虜になりました。今回の経験からメルボルンだけではなく、日本と他の国との様々な違いを知りたいと思い、この気持ちを活かして様々な国でフットパスをしていきたいと思いました。

メルボルンの芸術に触れる
3年生 江原 葵香

 9月29日から約二週間、私たちはオーストラリアのメルボルンを訪れました。メルボルンはオーストラリアの南東部の海岸沿いに位置し、シドニーに次ぐ二番目に大きい町です。また気温も20度前後で比較的過ごしやすく、時差は日本と1時間差であり生活リズムのずれもあまり感じられませんでした。
 今回、私はメルボルンの芸術について調査しました。メルボルンでは落書き通りが多くみられました。落書きというと、日本ではいい印象を持ちません。しかし「Street Art(ストリートアート)」と呼ばれ、世界的に評価されている芸術の一つです。ストリートアートの原点は1920年から30年代にかけて、ニューヨークでギャングたちが電車の車体や壁に描いた落書きだとされています。また、街をキャンバスとしてペンキやスプレーで描かれています。作品の多くはゲリラ的な手法で描かれており、社会的なメッセージを持つものもあります。
 私がスタンダードストリートで実際に見た作品は、具体的に書かれているものが多く見受けられました。全身が青色の女性の絵や、男性の絵と共に「原生林の伐採を終わらせるべき時間がきた」という強いメッセージを持った作品まで様々なものがありました。また無数のスマイリーフェイスの絵など、描いた人がどのようなメッセージを残したかったのか考えさせられました。
  ストリートアート以外にもメルボルンの芸術はたくさんあります。サウスバンクにあるビクトリア国立美術館もそのひとつです。ビクトリア国立美術館は、1861年にオープンしたオーストラリア最古の美術館です。約7万点ものコレクションがあり、常設点であれば無料で入館することができました。館内は清潔感があり、ピカソやモネなど有名な画家の絵画から彫刻やオブジェのコレクションまで見ることができました。私が最も印象に残っているのは、天井が高い部屋の一面にたくさんの絵が飾られている場所です。そこには私よりもはるかに大きい絵が多く展示されていて圧倒されました。上の方に展示されている絵は、よく見えないぐらい高い場所に展示されていました。展示されている絵を近くでみると凹凸やグラデーションの部分をはっきり見ることができました。また細かい人や動物の絵など、全体を見た時と部分的に見た時では違った面白さを感じることができました。館内は落ち着いてゆっくり鑑賞を楽しむことができました。
 
 今回、調査してみてメルボルンでは芸術に触れあえる場所が多いと思いました。街の路地裏も観光地化しており、歩くとオブジェや建物などの芸術が目に入る環境で新鮮さを感じました。またストリートアートという、日本ではあまり触れることができない芸術を多く見ることができました。ストリートアートは定期的に変化していくようなので、またオーストラリアを訪れた際は同じ場所に行き、比較してみるのも面白いと感じました。