ゼミ生が明日香村を視察

明日香村石舞台古墳の前

 2014年7月20日(日)塩路研究室の4年生と3年生が明日香村を訪れました。明日香村在住の吉兼秀夫教授の案内と解説のもと、飛鳥時代の歴史的史跡と現在の明日香村の建物や景観を歩いて見てまわり、古代と現代の空気を感じ、村を活気づけようとする住民の活動について学ぶことができました。

 塩路研究室では、2014年秋に、吉兼研究室と協力して明日香村のイベントのお手伝いを通して、明日香村との関わりをつづけていきたいと考えています。

自然と歴史が共存する飛鳥を歩いて…

国際観光学部 4年生 吉川慎也

 7月20日にゼミ活動として明日香村を訪れました。明日香村に住み、イベントの企画にも携わる吉兼先生に同行していただきました。朝に飛鳥駅に集合し、まず万葉文化館へ向かいました。今回は路線バスを利用しました。ダイヤは約30分毎ですが、電車で訪れる観光客にとって近鉄と連絡している為、待ち時間少なくスムーズに目的地へ向かうことができます。バス以外にも駅前にはレンタサイクル店があり、電動の自転車を借りることができます。その他にも、駅前から観光エリア各所へ延びる遊歩道もあり、徒歩で巡ることもできます。天気や体力、時間を考慮して観光客がこれらから選択することができます。
 万葉文化館は飛鳥駅からバスで約15分の距離にあります。明日香村の歴史や出土品などが展示されている資料館ですが、当日はあいにく、閉館日で見学することができませんでした。
 次に見学した飛鳥寺には、日本最古の飛鳥大仏が約1,400年もの間、動くことなく飛鳥の歴史を見守っていました。小さな寺には不釣り合いな程、大きな仏像の前に座り、住職さんが参拝者へ、寺の歴史や仏像にまつわる話をして下さいました。境内には最古の瓦などの資料も展示されていました。そこから歩いてすぐの所には、乙巳の変で飛んだ首が落ちたとされる入鹿の首塚を見学することもできます。
 飛鳥寺から10分ほど歩くと飛鳥京跡があります。飛鳥京跡は、大半が田んぼの下に眠っています。そうすることで文化財の保護をしていることを知りました。このような田んぼに挟まれるように文化財が点在しており、結果的に明日香村ののどかな景観を形成していると感じました。都会では触れることのない豊かな自然も重要な観光資源となっています。
 

 その後、明日香村の顔とも言える石舞台古墳に向い、併設されているレストラン夢市茶屋で昼食を取りました。ここでは明日香村で採れた食材を使っており、古代米や野菜の定食を提供していました。この他にも、古代米ソフトクリームなどがあり、明日香村の自然を活用して考えられたものがありました。ここから歩いてすぐ石舞台があります。石舞台は、様々な説がありますが、埋葬者は蘇我馬子とした説が有力な古墳です。一つの石が何百トンといった巨大な石が組み合わされ、石室が構成されています。石室内は約10畳の空間があり、高さは約3メートルありました。夏場でもひんやりとした石に囲まれ、風が通らなくても涼しさを感じました。
 石舞台を出て、川沿いの遊歩道を歩き、最後に高松塚古墳に向かいました。高松塚古墳は、色彩豊かな壁画が発見されたことで有名な古墳ですが、現在壁画は古墳とは別に保管され、見ることはできません。その為、壁画の模写を展示した資料館が併設されており、そちらを見学しました。施設内では鮮明に模写された壁画が、発見時と色が落ちている箇所を復元した二種類が展示されていました。実物を見られない問題をカバーし、観光客に配慮した施設であると思いました。
 明日香村を朝から夕方まで巡りましたが、徒歩で巡れる範囲に文化財があり、比較的コンパクトな観光地であることが改めてわかりました。今回は吉兼先生の解説があり、案内板だけでは感じることのない雰囲気を感じながら見学できました。歴史を知れば知る程、楽しめる観光地であり、まだ多く残る謎を個々に想像しながら巡ることが醍醐味であると思いました。途中、訪れた物産展や資料館では、ボランティアの方が多く活躍されており、地元にも愛される観光地づくりが進んでいると感じました。これは行政との長年の信頼関係からなるものだと思います。コンパクトな観光地であるからこそ、行政、住民、ソフト(文化財)が密接に結びついていると思いました。

明日香村を散策して

国際観光学部 3年生 伊藤豪士

 私は、7月20日(日)に、ゼミ4年生と一緒に奈良県明日香村を1日散策しました。明日香村に行くのは初めてだったので、どのような場所かとても楽しみにしていました。明日香村は、飛鳥時代に日本の首都にもなっていて、聖徳太子が生まれた土地でもあります。また、日本史では有名な乙巳の変の舞台でもあります。そんな明日香村ではありますが、今回の視察でとくに印象に残っていることをいくつか紹介したいと思います。
 まずは、日本最古の飛鳥大仏が祭られているという飛鳥寺です。この飛鳥寺は、第32代祟峻天皇元年(588)に蘇我馬子が発願し、33代推古天皇4年(596)に創建された日本最初のお寺と言われています。飛鳥寺に入ってすぐの部屋には本尊飛鳥大仏があります。製作者は鞍作鳥(止利仏師)です。この大仏、正面に座ってみて気づいたのですが、少し斜めを向いていました。その理由が、聖徳太子の生まれた地を向いているからだそうです。伝承として残っているだけで、定かな情報ではないとのことでしたが、このようなお話を聞くと、大仏1つ1つに思い入れがあるのだと考えさせられました。
 
 

 つぎに、石舞台古墳です。ここは、横穴式石室をもつ方形墳です。この石舞台古墳の天井に使われている石の重さは北側64t・南側77tもあるといいます。この古墳全体の総重量は2300tにもなり、かなり大規模な古墳になっています。建造方法も、途方のない作業で驚きました。外は夏ということもあり、かなり暑かったのですが、石舞台古墳の中は涼しかったです。中は思ったより大きく感じました。
 そして、何よりも私の印象に残っているのは、明日香村の風景です。山に囲まれた土地に、見渡す限り田んぼが広がっており、どこまでも緑が続いていました。それだけで、普段の日常から抜け出し、非日常の空間に来たような感覚になるのですが、その風景の中にある民家も屋根が瓦造りで風情を感じました。明日香村の家屋はすべて屋根が瓦造りになっているのですが、これは明日香法で定められているそうです。

 明日香村の魅力は、遺跡やお寺、そして大自然を通してはるか昔の時代の街並みとほとんど変わらない光景を、五感全てを通して感じられる点ではないでしょうか。お寺や遺跡が大好きな方はもちろん、ハイキングのような軽い散歩で訪れてみても十分に楽しめます。今回は、暑い日の散策だったので少し大変でした。レンタサイクルで散策出来ればより良いと思ったのですが、乗り捨てできる場所が決まっており今回は断念しました。そのため、レンタサイクルの乗り捨ての融通がもう少し効けば便利だと思いました。次に行く機会があれば、すこし涼しくなった時期、それも紅葉の季節に行ってみたいです。