ゼミ2年生が「みんぱく」見学
知ることで深まる食への感謝
2年生 山口 実土里
みんぱくは、世界のさまざまな民族の社会や文化に関する展示が各地域ごとに分けられており、それらを見学しながら学ぶことができる施設です。まず最初は、ゼミ生全員で全ての地域を見学しました。どの地域も魅力的でしたが、私はアメリカ大陸エリアに関心を持ちました。広大なアメリカ大陸の多様な自然環境や、植民による外来の文化の浸透に応じて変化してきた衣・食・宗教を中心とした展示が数多くありました。
普段から食について関心があるので、特に文明を育んだ栽培植物について興味を持ちました。私たちが普段何気なく口にする食べ物には、新大陸原産の物が多く存在します。16世紀、コロンブスが新大陸に到達したことにより、それらが旧大陸にも伝わり、やがて世界中の食生活に大きな変化をもたらしました。アメリカ大陸原産の主な食べ物に、カボチャがあります。野生のカボチャは実が小さく苦いのですが、アメリカ大陸の人々は長い年月をかけて改良し、さまざまな品種を生み出したそうです。
これらのように、世界中で親しまれている食べ物は、貿易などを通してそれぞれに異なる歴史をたどり、世界中に広まったということを学びました。食べ物が辿ってきた背景を知ることにより、美味しく頂けることへの感謝や有り難さを改めて実感しました。今後はアメリカ大陸だけでなく、より深く世界の食文化についての知識を深めていきたいです。
みんぱく世界一周
2年生 永田 稜
アイヌといえば首飾りの印象がありました。印象の通り何種類もの「タマサイ」と呼ばれる首飾りが展示されていて変わった形をしているものや重さが数キロあるものまで見比べることができます。色彩は青と黒が主で、そこにアイヌの特徴を感じました。
アイヌ展示のほかに印象に残っているのは、日本の文化の祭り展示です。全国の色々な祭りを紹介していて行ったことのあるもの、TVで見たことがあるもの、全く聞いたことのないものなど多種多様にありました。その中でも富山県高岡市で開催されている「つくりもんまつり」は地元に因んだ話題や時事的な話題を題材に野菜や乾物などを用いて作られる一式飾で全国的にも変わった発想だと思いました。個人的に一度は行って見てみたいと思いました。
今回、「みんぱく」内で世界一周する事ができ、世界の文化や民族についての知識が増えました。世界の事だけでなく日本の文化や民族についても知ることができ、特にアイヌについては強く興味が湧いたのでもっと深く生活や歴史、現在の状況などについて調べていきたいと思いました。もともと興味のあった地域も全く興味のなかった地域もありましたが、世界には地域によって特色があり、知らなかった地域にも興味が湧きました。民族の生活や文化についてモノを通して様々な角度から見比べるという「みんぱく」ならではの学習ができ、大変勉強になりました。また、授業では教えてもらうことのない事や普段見ることのないモノを見ることができるなど博物館の役割について考え方が変わりました。今後、実際に世界中に行って現地の文化に触れてみたいという思いが強くなりました。
似ているようで似ていない東南アジアの国々
2年生 田中 葉月
多くの国や地域がある中で、私は“東南アジア”のエリアを担当しました。東南アジアはインドネシアやカンボジア、フィリピン、タイ、ベトナムなどの11ヵ国の国を指し、文化は非常に似ている部分もありながら、それぞれの個性が少しずつ出ているそんな地域です。たとえば芸能だと、水上人形や影絵人形、木彫り人形など様々なものがありますが、それぞれの国によって、人形の顔や装飾品などの特徴に個性がでており、比較していてその国の特徴というものがよくわかりました。日本と似ているものも見つけました。タイのアカ族が村の入り口に置いている“門柱”です。すぐ近くには男女の木偶が置かれており、門柱の上にわたされた笠木には犬の頭蓋骨や呪標などが乗せられています。病気を引き起こす悪霊などが村に侵入するのを防ぐために置くそうです。これが日本の“鳥居”のようで少し親近感が湧きました。それぞれの意味は少し違いますが、“境界線”という意味では似ているものがあると思いました。
この1日を通して、世界の歴史や文化などを目の当たりにして初めて知ることが多く、自分の知識不足を改めて実感しました。私が担当した東南アジアのエリアはもちろんのこと、日本人であるにも関わらず日本文化のエリアでも初めて知る歴史やモノなどが多く、とても勉強になりました。みんぱくで世界一周をしてみて、国それぞれの独特な個性に触れることで“異文化”というものに興味を持つことができました。今回の活動を通して学んだことを、今後の研究テーマとしてゼミ活動に活かしていこうと思います。
ヨーロッパの宗教と移民について
2年生 薗田 輝弥
私は、ヨーロッパの宗教について調査しました。宗教分野の展示の中でも最初に目に入ってくるのは「陽気な墓」です。これは、ルーマニアのサプンツァ村の墓地に林立されています。陽気な墓とは、木製の板のようなものに上から、屋根、十字架、故人の絵、故人の詩が描かれており、故人の絵の部分には生前の生活の様子や死因が青を基調にカラフルに描かれています。例えば故人が獣医であれば獣医の絵を、床屋であれば床屋の絵が描かれています。なぜこのような墓が始まったかというと、1935年にパトラシュという木彫り職人の青年が愛する人を失った人々の悲しみが少しでも癒えるようにと、明るいものにしようと思い、故人の絵と詩を彫り描いたのが始まりです。日本では墓石に名前などを彫り線香をたくというのが主流ですが、世界に目を向けると全く違う故人の敬い方があるのだなと感じました。
次に、ガラスイコン「嘆きの聖母」というものに注目しました。イコンとは特にモスクワが最大勢力をもっていた東方正教会で発達した特殊な形式の聖像のことをいいます。このイコンが板の代わりにガラスに描かれたのでガラスイコンといわれています。この多くは、聖母子像や救世主、聖人などが描かれています。
国立民族学博物館では世界のモノが展示されており、各地域の暮らしなどを詳しく知ることができました。今回の見学は、世界に目を向ければ全く異なる文化があることを学ぶと同時に、移民やテロという世界情勢について考える機会となりました。
圧倒的な祭り・芸能展示
2年生 舟引 千春
まずは『ねぷた祭』です。日本文化の入口の真正面に大きく展示してありました。ねぷた祭は昔「ねむた祭」「ねむり流し」と呼ばれ、現在も毎年8月2日〜7日に開催されています。最大の大きさが決まっており、幅約9m、高さ約5m、奥行き約7mとなっています。とても大きく、1つあるだけでも圧倒されるねぷたを、ぜひ見に行きたいと強く思いました。
愛媛県宇和島市の祭りで使われる牛鬼は、全長5〜6mもあります。また鬼のような顔に長い首、赤い布で覆われた胴体に、剣に似たしっぽをもっています。牛鬼にかまれると賢くなるという言い伝えがあり、祭の時は子供たちが頭をかんでもらうそうです。日本では有名な獅子舞と同じようなものなのかなと思いました。展示物はとても大きく、赤色の胴体が印象的でした。近くに行くとすこし怖く感じ、祭のとき子供たちは怖くて泣くだろうな思いました。
熊本県の八朔大造り物の仁王像は天井に付きそうなほどの大きさでした。毎年9月第1土曜日・日曜日に行われる矢部の八朔祭で作られています。またこの仁王像は、杉の葉や松笠やススキなど野山に自生する自然物のみで作られています。展示物をよくみると木の繊維などが毛のように見え、本物の人間のようでした。木だけで筋肉などが、とてもリアルに表現されており、その技術に驚きました。
日本の祭り文化や技術は他の国や地域の展示とはまた違った良さがありました。サイズが大きいものでも細部までしっかりとこだわる日本の技術のすばらしさを改めて感じることができました。日本の技術に圧倒された1日になりました。もともと興味があった日本の祭りですが、その技術や歴史・由来などを調べ、日本のすばらしい伝統をもっと知りたいと思いました。そして、観光にどのように繋げ地域を活性化させていけるかを考えたいと思います。
楽器が持つ様々な意味
2年生 中尾 美帆
まずは太鼓についてです。太鼓と言ったら叩けば音が鳴る楽器ですが、それだけではありません。東南アジアでは、複数の太鼓の掛け合いでひとつのリズムを作り出す演奏法がよく見られるそうです。実際に音声を聞いてみましたが、2台の太鼓だけで奏でているリズムには感じず、複数の楽器があるように感じました。また太鼓はリズム楽器と考えられることが多いですが、インドネシア、ミャンマー(ビルマ)、インドなどには音の高さが異なる太鼓を並べてメロディーを演奏する太鼓があります。そして太鼓の音はよく響くということから人間同士のコミュニケーションだけでなく、見えない存在に強い願いや思いを届けるためにも使われるそうです。
以上のことから2つのことを考えました。1つ目は、世界各地によって楽器のもつ意味が変わるということです。私の中で楽器はただ演奏し音を奏でるものだと思っていたので、様々な意味を持つことを知り楽器は奥が深いと感じました。それとともに自分の身近な楽器についても調べてみたいと感じました。2つ目は、祈りや冠婚葬祭で使われることが多いということです。日本ではあまりそのイメージがないですが、他国では楽器を奏でることで感情を表しているということに驚きました。楽器というものは演奏する、音を奏でるという面では世界共通ですが、国や地域によって異なりながらも大切な意味があるということをみんぱくの見学を通して知ることができました。
みんぱくヨーロッパの旅
2年生 萩原 竜太郎
パンの歴史は、目にとまる展示をしており、すぐに興味を持ちました。パンの種類はバウアーフロートと呼ばれるライムギ、コムギ、天然酵母、岩塩、水だけで作られており近年でも人気があります。他にはフランスパンとして知られるバゲットや最近いろいろなパン屋でも見かけるプレッツェルなど多くのパンの複製が展示されていました。ヨーロッパのパンについてはフランスパンくらいしか知らなかったので、種類の多さに驚きました。それらのパンの複製の共通点はどれも硬めの食感だということです。ヨーロッパでは、柔らかいパンよりも硬いパンのほうが好まれて食べられていたということがわかりました。
酪農ゾーンでは牛の乳からチーズ、バターを作るための道具が展示されていました。今ではほとんどの道具が金属製になっていますが、一昔前までは木製の道具がほとんどだったということを知りませんでした。容器の展示を鑑賞していて面白かった点は、木製の容器に細かい彫りが施されていたことです。花柄や細かい模様が容器としても芸術としても価値が高いと私は考えました。
キリスト教文化の展示では、磔になったキリストの十字架や儀式に使う祭礼具などが展示されておりキリスト教について詳しく知ることが出来ました。ローマ法王の祭服が展示されておりテレビでも観たことがある、あの特徴的な服が展示され間近で見ることが滅多にないので、とても感動しました。近くで見てみると凝った刺繍はなく、非常にシンプルな作りの服でした。
実際にみんぱくに行ってみると、今まで知っていた知識がより深まりました。テレビでみるよりも実際に博物館に赴き展示品を間近で見ることにより、新たな知識や感動を得ることができました。
太鼓とタイコ
2年生 三井 紅実子
特に印象に残ったのは、太鼓です。太鼓は力を使って思いや主張を伝えようとする動きが世界各地で出てきています。社会の中で弱い立場におかれた集団が、自分たちの歴史や文化を表現し、公平で平等な扱いを求めるために演奏しています。大阪の浪速は太鼓作りで有名で、戦後の和太鼓ブームにより打ち手は注目されるようになりましたが、太鼓職人は皮革への不浄観から差別されていました。1987年に地域の青年たちが「怒(いかり)」という太鼓集団を結成し、あらゆる差別をなくすために演奏活動を続けています。この「怒」は国立民族学博物館に太鼓や法被(はっぴ)、旗など多数展示しています。法被は種類があり、襟の部分に「太鼓故郷」と刺繍していて伝統を大切にしていることが伝わります。
今回、国立民族学博物館に行ってみて、南米・北米・アジア・日本など世界の文化に関するたくさんの展示物がありました。音楽ブースでは、世界の楽器をたくさん展示しています。同じ種類の楽器でも形や大きさが異なり、目で見て理解することができました。
世界観を広げた展示
2年生 藤原 ロッテー
私自身はアイヌに興味を持っているのでみんぱくに行く前に下調べをしてから行きました。実際に行ってアイヌの暮らしが分かり、動物を狩る道具の実物を実際に見て理解が深まりました。その中でもアイヌ民族の衣服で約40〜50匹のサケの皮を使って作る魚皮製衣服を実際に見ることができて技術的にも工芸的にも熟練技であることが分かりました。また、期間限定で開催されていたワークショップでアイヌの伝統的な木彫りを体験することが出来ました。一見簡単そうに見えましたが、実際にやって見ると集中力も使い、木彫りの完成まで約1時間半もかかってしまいました。展示物の木彫りの作品は長くても数週間はかかると言われ、アイヌ民族の木彫りの技術の高さも分かりました。
また、日本文化エリアには、日本の祭りや昔の生活、戦後の日本の生活用品も展示されていました。一つ一つが大事に保管されているので、今でも良い状態で展示されていることが分かります。祭りでは有名な「ねぷた祭り」から「曳山まつり」まで展示されていました。愛媛県にある牛鬼も実物を使って展示されていました。そこで、私は日本に来て初めて実物のわら人形を見ることが出来ました。わら人形は人を呪ったりする物で実物で見ると恐怖感が溢れ出しており、怖くて嫌な気分になりました。また奈良の昔の町並みを見て日本人の昔の生活が分かりました。畑仕事をするための道具や魚を狩るための道具もありました。船に付いている旗も迫力があって、かっこいいと思いました。また熊を捕まえるためにある罠や檻も展示されていました。檻がとても大きくて頑丈にできているので熊の大きさや強さを実感することが出来ました。
今回のゼミ活動では、世界中の民族や昔の生活、現在の生活、文化や祭りを実際に見て体験もすることが出来たので、自分の世界観を広げることが出来ました。みんぱくを訪れて、さらに観光に興味持つことが出来ました。
アフリカ in みんぱく
2年生 淵上 貴弘
普段世界の民族の文化など触れる機会がありませんでしたが、今回みんぱくで色々なものを見ることが出来て良い経験ができました。正面玄関から順路を遡ると出てくるのが日本の文化のエリアです。日本の文化のエリアでは北海道から沖縄まで、多種多様な地域文化、祭りと芸能、日々のくらし、沖縄のくらし等の日本文化の様相を展示しています。中でも最もインパクトがあったのが「八朔大造り物 仁王像」です。3mほどあるその像はほかの展示物と比べてとても迫力がありました。しかも完成度の高いその像は杉の葉や松笠やススキなど野山に自生する自然物のみを用いて作られていると聞いて更に驚きました。
次に、興味を持ったエリアは音楽です。ここでは、音楽と人々の存在の関わりについて、世界各地の太鼓、ギターなどが展示されていました。私はギターを少しやっていていたのですが、こんなにギターに種類があることに驚きました。形も今のように数字の8のように膝に起きやすい形ではなく楕円形のような形から四角形のギターまであってとても驚きました。
みんぱくに行って、自分の生活で何気なく使っている紙やペン、スマートフォンなどが私達の文化なのだと考えると、とても感慨深いものがありました。今回のみんぱく訪問ではとても重要な体験をしたと思います。長い歴史のなかで、多様な民族の伝統的な生活があってこそ、今の私たちの生活があるのだと思いました。
オセアニア・アメリカ・ヨーロッパ
2年生 徳永 豊
みんぱく内の展示は、オセアニア・エリアから始まっており、そこから世界一周する感じで最後に日本にたどり着くような構成になっていました。最初のオセアニア・エリアでは、海や島での暮らしの移動をするための様々な工夫をした生活用具が展示されていました。なかでも入ってすぐのところには船が展示されており印象に残っています。他にもモアイの実物大があり、先住民などの生活もわかりやすく説明されていました。
次のアメリカ・エリアでは、様々な自然環境の変化に対応した生活や現代的価値を見出した芸術家や工芸家などの作品が展示されていました。北西沿岸地域に暮らすハイダ族などといったインディアンの部族の習慣で自分の家系を表すクレストという木を用いたトーテムポールやカリブーというトナカイの毛皮で作られた、−30度まで耐えられる極北の衣装などが展示されていました。今回の見学で、私が最も印象に残っている展示がこのアメリカ展示にあったアステカの歴石です。映画のインディージョーンズで同じようなものが使われているのを思い出し、展示にも迫力を感じました。
世界の民族文化にふれて
2年生 沖本 光平
次に、アメリカ大陸のエリアでは、広大なアメリカ大陸に、極地から熱帯雨林までさまざまな自然環境が見られ、人びとはそれぞれの環境に応じた生活を営んできました。一方で、ヨーロッパ人による征服と植民の歴史を経験したこの地には、日常生活の隅々まで、外来の文化が浸透していきました。そのため、文化の多様性が激しく、それに対抗するように土着の資源に現代的価値を見出そうとする芸術家や工芸家が多く存在し、それらの作品が展示されていて、当時の芸術家たちの葛藤が感じられるようなエリアでした。
最後に、ヨーロッパ展示のエリアでは、ヨーロッパは、16世紀から20世紀にかけて、キリスト教や近代の諸制度をはじめ、さまざまな技術や知識を世界各地に移植しました。現代、この流れが逆転するなかで、世界中からの移民とともに、ヨーロッパの先住民の文化も社会の一部となりつつあります。そのなかでどのように先住民が順応していったかがよく分かる展示物があり、ヨーロッパの歴史とともに、改めて興味を持ちました。
今回訪問した国立民族学博物館は、想像以上に数多くの展示物があり、一つ一つの展示物に分かりやすい説明文が施されており、国際観光学部の学生としてはとても勉強になりました。
インドの服飾文化について
2年生 池側 杏
次にみんぱくに行ってきました。事前にそれぞれが興味を持った地域を下調べして行きました。私はインドやネパール、パキスタンなどの南アジアに興味があったので調べました。インドのエリアは、民族衣装、婚礼での贈り物、映画ポスター、ガネーシャ、バイクなどの展示があり、どれも色鮮やかでインドらしい雰囲気を感じました。みんぱくに展示されている世界各国の民族衣装を見学しましたが、色鮮やかで繊細な刺繍が施されているインドの民族衣装のサリーはとても綺麗で、私のなかで最も着てみたい民族衣装です。刺繍の模様も様々あり、糸は木綿糸、イラクサ糸、タッサールサン糸、エリサン紡糸、ムガサン生糸、家蚕生糸と他にも数十種類の糸があり、縫い方にも平織や綾織、たて紋織やよこ紋織と何種類もあり、糸が同じでも縫い方が異なっていたり、縫い方が一緒でも糸が違うだけで全く違う雰囲気になるのだと思いました。インドの繊維や縫い物の文化は素晴らしいものだと感じました。またインドでは婚礼のとき、花嫁の母方の叔父が赤い衣装や身の回り品を花嫁に贈る文化があり、婚礼のエリアには赤いものがたくさん展示されていました。日本にも嫁に行くときにはタンスを持っていく文化があり、物は違っても花嫁が家を出るときに何か持っていくという文化は似ていると思いました。そして婚礼用の衣装や首飾りや腕輪、花婿用のターバンなどのアクセサリー類さえも赤で揃えられていて、日本では白いウエディングドレス、白いタキシードが一般的なのに対して全ての物を赤で揃えるインドの文化は真逆だと思いました。
みんぱくに行ってみて、今まで勉強してきた世界の歴史だけでなく、それぞれの国の住まいや衣服、食や民族文化を実際に目で見て体験でき、より理解が深まり、さらに興味を持ちました。
アメリカ大陸の自然と工芸
2年生 山本 美帆
まず「着る」のところにはボリビアのラパス県のアルパカの毛が展示されていました。ラクダ科のアルパカとリャマは4000メートル近い南米のアンデス高地で飼育化された動物で、紀元前2500年頃から家畜として人に飼われていたそうです。アルパカは主に毛や肉を利用し、リャマは荷物運搬に使われます。なお、アメリカ大陸の牧畜は、旧大陸と違って乳の利用が見られません。アンデス高地にはラクダ科の野生種ビクーニャとグァナコも生息していて、近年、ビクーニャは、その繊細な毛が高級毛織物の材料として注目され飼育されるようになりました。アルパカという動物は最近かわいいと有名なので知っていましたが、何千年も前から良質な毛の材料とされていたのには驚きました。
染料としては、ペルーのアヤクーチョ県のコチニールといってカイガラ虫が展示されていました。赤色の織物染料として古代から養殖され利用されてきたそうです。ウチワサボテンに群生し、白く粉を吹いたように見えます。虫を手に取ってつぶすと、血液のような赤色の体液が出てきて乾燥コチニールは口紅や食物の着色剤として今でも世界中に流通しています。一見すると、砂のような感じに見えたのが虫だったのにとても驚きました。そしてその虫の体液を着色剤として利用していて、口紅だったら知らない間に私も使ってしまっているのかと考えたら少し気持ち悪いなと感じました。
これは、メキシコ南部オアハカ州オアハカ市周辺の農村で制作されている木彫の名前で、主に地元産の木材を利用して、動物や植物、人形や怪物などが彫られています。どれも不思議な形をし、カラフルな色が塗られているため、現地では、ファンタスティコ(スペイン語で「空想的」という意味)な民芸品として知られているそうです。これは本当にどれも色使いが綺麗で模様は点々が多かったのですが、それがとても細かくて素敵なものでした。形は動物が多く展示されていて、中でも龍の木彫は木で作ったとは思えないほど細かくて驚きました。
世界の民族文化について
2年生 唐崎 隼
オセアニア地域を見学した際、アボリジニの文化や先住民の海上での生活などが詳しく説明されていました。モアイ像のレプリカもあり、見たことがなかったので昔の人はどのようにモアイ像を作り、動かしたのか気になりました。
日本文化のコーナーでは、各地域の祭りごとや昔の日本の暮らしについて展示されていました。皿やコップの陶芸品で作った置物や、ねぶた祭りの展示品には驚かされました。アイヌについての展示もあり、同じ日本人なのにまったく違う文化や暮らしがあることが分かりました。
音楽のコーナーでは、世界の民族楽器が飾られており、ギターだけでも壁一面に展示されていました。タッチパネルでどのような音が鳴るのか聞くことができ、子供から大人まで楽しめる展示方法だと思いました。
広大なアメリカ地域は、極寒地帯から荒野、高地で生きていた様々な先住民の服や生活用品が多く展示されていました。ヨーロッパ人による征服と植民の歴史を経験し外来の文化と混ざり合った衣、食、住に焦点を当てた展示になっています。主な展示物の祭壇「パチャママの門」は派手な色使いがされており印象に残っています。
ヨーロッパ地域は、近代的な展示物から各国の民族衣装まで飾られており、初期のミシンなどもありました。ルーマニアのサプンツァ村の墓地には、亡き村人の生前の姿をユーモアとともに、絵と物語で描き出した「陽気な墓」が多くあるようです。この墓は、亡くなった人の個性に応じた内容を墓に絵と文章で描かれています。
アジアの地域では、西アジア、南アジア、東南アジア、中央、北アジアに分かれて展示されていました。西アジアの人びとは中東ともよばれていて北アフリカと深い関係を保ってきました。ユダヤ教やキリスト教発祥の地でもあります。地球規模の変動の時代に移りゆく人々の暮らしを、信仰、砂漠の生活、女性の装い、音楽と芸能をテーマに展示されていました。主な展示品はキスワと呼ばれるメッカの聖モスクの中心のカアバ神殿にかかっている黒い幕や、ラクダ用の装身具です。キスワは黒の背景に金色の装飾がされていて細かいとこまで丁寧に作られていました。ラクダの装身具は派手な色使いで目立つように作られていました。
国立民族学博物館では、一つ一つの展示物に丁寧に説明がなされていて、世界各地の歴史や民族学についてあまり知らなくても楽しめ、また興味を持てるような展示になっていました。館内では学芸員の方もよく声をかけてくださり、世界の民族文化について深く知ることができました。