1年生の観光実習導入では、現地調査を行なうことを授業目的のひとつにしています。大阪府・市では、海外から観光客、とくにアジアから外国人旅行者を呼び込むことを観光戦略の旗頭に挙げています。そこで清水ゼミでは、2013年11月23日に外国人が多く集まる大阪のターミナルやその周辺の商業施設における外国語の表記や、案内カウンターでの外国語対応やパンフレットについての調査を行ないました。以下、1年生のSA(スチューデントアシスタント)をしている学生のレポートです。
※この学生教育研究活動は阪南大学学会の補助を受けています。

SAを通じて学んだこと
4回生 瀬尾拓弥

 11月23日(土)、観光実習導入の一環で清水ゼミ1回生とフィールドワークを行いました。今回の実習のテーマは、大阪インバウンド戦略と外国人対応の現状と課題ということで、梅田と難波の2班に分け、大阪の主要施設等が行っている外国人旅行者への対応について考察しました。私は難波の担当になり、SA(スチューデントアシスタント)の立場として、今回の調査に挑みました。
 まずフィールドワークを行う前に事前研究を行うのですが、まだ1回生ということもあって「何から調べたらいいのか」、また「どうやって調べたらいいのか」、などと分からない学生が多くいたため、調べ方や調査計画などを教えるところから始まりました。そして、大阪のインバウンド戦略について、どこの施設に外国人が集まるのか、そこではどのような対応がなされているかなどを、グループに分かれて調べていきました。
 難波班では、南海難波駅、高島屋大阪本店、スイスホテル南海、なんばパークスを調査することにしました。またそれだけでは物足りないという意見があり、難波班からも2班に分かれて、外国人がよく集まる日本橋(でんでんタウン)と千日前道具屋筋商店街についても調査することにしました。主に調査することは、標識・パンフレットは何カ国語に対応しているか、また「利用者がどこの国から来ているのか」、「1日に何人の外国人が利用するか」などを担当の方にヒアリングすることです。そこで、各班にリーダー、写真、書記、パンフレット収集と係りを決め役割分担し、1人1人責任を持ってフィールドワークを行ってもらいました。
 当日は、大阪市ビジターズインフォメーションセンター・難波に集合し、まずチーム全員で高島屋、スイスホテル南海、南海難波駅、なんばパークスと周り、その後日本橋組と道具屋筋商店街組の二手に分かれて調査を行いました。1回生は初めてフィールドワークをする人が多く、最初は少し緊張気味でした。しかし、途中からは慣れてきて積極的にヒアリングを行ったり、写真を撮ったり、メモを取ったりなど意欲的に取り組んでいました。
 私は千日前道具屋筋商店街を担当しました。この商店街では、2013年4月1日から免税制度を導入し、「道具屋筋免税店街」という名前で外国人にアピールしています。確かに辺りの店を見渡すと、「TAX FREE」と書いたポスターやステッカーが貼ってあり、免税店が数多くありました。そこで、各店舗ではどのような取り組みがなされているのかを調べるために、ある免税店のオーナーにヒアリングさせていただきました。外国人とは英語、中国語、韓国語、フランス語の4カ国語でやりとりできるタブレット型の「翻訳アプリ」を使用して会話をするとのことです。それにより言葉の心配なく買い物を楽しむことができ、その評判を聞き、外国人観光客(特にアジア圏)が増加しているようです。免税は合計1万円以上の個人の土産物を対象とし、そのためにはパスポートが必要です。当日、商店街ではかなりの数の外国人が買い物を楽しんでいました。法被や提灯など、日本の商い文化を感じられる品も多い道具屋筋は、この免税制度を導入し、今後さらに外国人観光客が増えていくと感じました。
 今回フィールドワークを通じて、二点を学ぶことができました。一点目は、難波地区周辺ではすでに様々な外国人対応がなされているということです。普段は気づかない所でも外国人の目線に立って調査したことにより、看板だけではなく、案内所の設置や外国人への配慮など、事細かな外国人対応がされていることを知りました。二点目は、後輩に対する指導力とリーダーシップ力の必要性です。自身の経験を踏まえて、どのように説明したら伝わるか、どのようにして人をまとめていくかということを学びました。このフィールドワークを通じて多くのことを学べたのは、SAという後輩のアドバイス役を担当しているからこそだと思いました。教員の補助的な仕事や後輩のサポートをすることを通じて自分自身が成長できる、これがSAの醍醐味だと実感しています。

外国人目線で難波を現地調査 
3回生 石橋一希

 私は11月23日(土)、1回生の観光実習導入の外国人利用施設の調査のためのサポート役で大阪難波・日本橋に行きました。調査目的は、外国人が利用する施設において、案内・受け入れ態勢の現状を把握することです。日本は「観光」を重要視しており、今後の成長を期待されている産業でもあります。その背景としてあるのは少子高齢化です。なぜなら人口が減少することは日本のマーケット縮小に繋がるからです。こうなると企業の競争が激しくなり、大都市の企業は勝ち、地方は衰退します。そのことが大都市に人口が集中し、地方は人口が減少、さらに産業を減速する原因にもなります。ですが観光は地域の雇用を生み、経済を動かし、地方の人口減少の緩和に寄与する可能性があるといわれています。
 観光庁の施策では、2020年までにインバウンド数を3000万人とすることを目標としています。このような目標がある中で、外国人に対して具体的にどのようなサービスをしているのかを調査するため、今回難波・日本橋の現地調査を行ないました。
 なぜこの場所を選んだのかというと、大阪は北(梅田)南(難波・心斎橋)を中心として発展しています。また日本橋ではでんでんタウン・黒門市場が注目されていて、外国人にも人気のエリアです。この2つの点から外国人目線で調査するには適切な場所だと考えたからです。
 今回二班に分かれて調査をしました。調査場所は、大阪市ビジターズインフォメンションセンター・難波、南海難波駅、スイスホテル、なんばパークスを二班共同で調査し、日本橋エリアでは、私たちの班はJoshin電機、日本橋総合案内所を調査しました。
 まず大阪市ビジターズインフォメンションセンター・難波で外国人に対してどのような取り組みがなされているのか調べるために、受付に聞き取りを行ないました。その結果外国人の需要が高いFree Wifiの整備や、アイパッドを使用して観光地の情報を案内するサービスが実施されていることがわかりました。このアイパッドは英語・中国語・韓国語に対応しています。これによりインターネットの情報を使い、幅広い情報を外国人に提供できます。  
 途中、なんばパークスでお昼ご飯を食べながら、調査を続けましたが、メニューの言語表記を見ると英語・中国語でした。
 二班での共同調査が終わると、2つのグループに分かれて日本橋と千日前道具屋筋を調査しました。私の班が担当する日本橋では、多くの施設が韓国語と中国語に対してのサービスを行なっていました。たとえば、日本橋のショッピングエリアに韓国語の電光掲示板が設置されてあったり、Joshin電機では免税品コーナーを設置したり、免税案内に関しては主に家電製品の購入が多い中国の観光客に向けてのサービスが行われていました。
 私は後輩のサポート役のSAとして前期の大学入門ゼミと後期の観光実習導入に携わっています。今回の調査では、後輩に対しての指示や伝え方が思うように出来ず、自分自身のリーダー力不足を痛感しています。後輩の支援に携われる環境に感謝し、短所を克服出来るように頑張りたいと思います。