清水ゼミ「南大阪地域大学コンソーシアム事業“南大阪の歩き方”参加報告」

 清水ゼミでは南大阪地域大学コンソーシアム事業の一環である「南大阪の歩き方」に毎年参加をしています。学生の視点で南大阪の地域を歩き、観光資源を発掘するという主旨の元に行なわれ、2013年度はゼミから4チームが参加をしました。調査を行なった地域は、松原市、堺市、岸和田市、羽曳野市の4市です。各チームは「松原市における新たな観光資源 〜河内松原老舗巡りツアー〜」「堺の魅力発見!雑貨とカフェめぐり」「だんじり祭りの文化と供に ~通年を通しての地車見学会~」「地産地消を取り入れた観光まちづくり ~羽曳野市の特産品を利用して~」というテーマで研究を行ないました。各チークは10ページに及ぶ研究終了後報告書を作成し、その成果は南大阪地域大学コンソーシアムのホームページに掲載されています。是非ご覧下さい。
 4チームの中の1チームが自分たちの企画したツアーを、企画するだけでなく実施しました。多くの関係者にご協力いただき成り立ったツアーです。以下は、企画、実施を行なった学生からの報告です。

「松原市における老舗巡りツアーを企画して」
岡本英里香

 ゼミの取り組みで、昨年2013年9月から南大阪のまちづくりを課題に研究を進めてきました。私たち4人のチームは阪南大学がある松原市において、学生の視点で観光地として活性化することはできないかと思い、松原市について研究を始めました。文献調査やフィールドワークを重ねる内に、松原市の様々なことがわかりました。多くの寺院・神社、古墳・街道が観光スポットとなってはいるものの、新たな観光地としての魅力はありません。しかし南大阪線河内松原駅周辺では、様々なジャンルの老舗がある点に私たちは注目し、松原市民の皆さんに、1日で老舗の魅力を再発見できるツアー企画を進めました。
 まず、ツアー開催日の2014年4月19日(土)を決め、その日程に向け企画を考えていきました。今回、老舗企業やお店の方は、「学生のツアーなので応援したい」など、ツアーに快く許可をいただきました。「食べる・見る・体験する」をテーマに、老舗をいろいろな観点で楽しんでいただけるよう、駅前の名代とんかつ千房で昼食、バスで移動し幸南食糧株式会社でお米の工場見学、最後に御菓子司 吉乃屋の店主さんに和菓子作りを教えてもらうという内容のツアースケジュールを考えました。年齢層や参加人数で時間配分が大きく変わるため、ツアーの流れに無理はないかなど、不安な点はいくつもありました。しかし、詳細を決める際、何度も協力してくださるお店に相談すると、私たちが見落していた点についても的確な指摘をいただき、そうやって気づく点も多かったので、地域の方のサポートがあってこそツアーができるのだと、地元ツアー企画へのやりがいも感じました。
  • 季節の和菓子作り体験

  • チーム写真(左から 木島・山際・西村・岡本)

 ツアー当日は晴天に恵まれ、参加者全員の11人の方に参加していただきました。心配していた時間配分も問題なく、成功を収めることができました。少人数でのツアーであったため、私たち4人だけでも上手くサポートができました。実施後は本当にやり遂げることができた喜びと、ツアーに参加してくださった皆さんが1日笑顔で楽しんでくださったことが、心の底から嬉しかったです。また学生企画ツアーと言っても、到底私たちだけの力では開催することは出来ず、今回たくさんの方々に協力やアドバイスをいただき、また親身になって相談にも乗っていただきました。そしてツアーを実施しなければわからなかった、今後の課題もたくさんありました。参加者の方からの感想の中には、「ぜひ次回もあれば参加したい」という声もあり、今回は1回限りでの催行でしたが、次回催行へ向けてより良いツアーになるよう、これからも活動・研究を続けていきたいと思います。

初めて自分たちで考えたツアーを終えて
山際麻里奈

 ゼミの研究活動の一環で、4月19日(土)に私たち学生が考えたツアーを実施することができました。
ツアーの参加者は11人です。正直なところ、集まるのかと皆不安ばかりでした。学生主催で旅行会社のサポートもありません。ツアーのPRをどうするかが、一番の問題でした。これには松原市の広報にツアー案内を載せていただいたり、大学先生や職員の方に松原在住の方を紹介してもらったり、ゼミの先輩のご家族にお願いしたりと、集客で苦労をしました。結局、松原市の広報を見ての参加はひとりと、ツアー企画よりも集客の困難さを実感しました。
 事前準備では困難を極めましたが、私たちにとって初めての学生主催・進行を務めたツアーは、成功したのではないかと思います。

 朝11:15に河内松原駅に集合し、お昼ごはんのために駅から徒歩1分の「名代とんかつ千房」へ向かいました。人気のあるランチメニューを人数分事前にお願いしていたので、到着後すぐ食べることが出来ました。店の味を長年守ってこられた店主にもご挨拶いただき、とてもリーズナブルで食べ応えのある老舗のとんかつ店は、参加者に満足いただけたと感じました。

 次に市役所で市のマイクロバスをお借りし、「幸南食糧」へ向かいました。幸南食糧は「おくさま印」ブランドでお米の卸売販売をしている企業で、工場見学と説明を聞くのに約1時間必要なのですが、当日は無理を言って約40分という制限の中で工場見学・説明をしていただきました。工場見学の際には、衛生管理のため簡易的な上着と帽子をかぶり、衛生室で汚れを落としてから入室します。普段なにげなく食してるお米ですが、多くの方の手を経て、しっかり安全管理されたうえで、私たちの食卓に上ることを実感しました。最後には幸南食糧で企画している商品、お米とつゆと具材がパックされた「さくら海老ご飯」をお土産にいただきました。細やかなホスピタリティがとても印象的で、すばらしい企業だと感じました。

 最後は「御菓子司 吉乃屋」の店主に講師をお願いし、和菓子作りを体験しました。店主さんには何度かお会いしてお話させていただき、スタッフは事前にお菓子作りも体験させていただいていました。その楽しさにツアーの成功を感じていました。当日は4つのテーブルに分かれて和菓子作りを体験したのですが、店主とアシスタントの方がテーブルを回り、細かいところを優しく教えてくださったり、見本を見せてくださったりと全員が笑顔の絶えない時間を過ごしました。参加者の皆さんが、まるで子どものように「うまく出来ない!」「綺麗に出来た!」などと笑いながらお菓子づくりに専念している姿は本当に楽しそうで、このツアーを実施出来て良かったと心から思いました。

 思っていたよりも早く予定の個数を作り終わったこともあり、店主の計らいでもう一つ作らせていただけることになり、持ち帰り用にとパッケージや袋まで用意していただいて、店主の優しさを実感致しました。それと共に、やはり私たちだけでは決して成功させることが出来ない、それがツアーなのだと再認識しました。
 チーム4人で何回も繰り返し試行錯誤して作ったツアー。協力していただく企業や、諸関係者の方々に自分たちで連絡をして進めていくことの大変さや大事さ、うまく出来た時の嬉しさなどは企画をする醍醐味ではないでしょうか。仲間とツアーを作り上げていく楽しさや、時には意見の相違なんてものもあったりして、楽しいことばかりではないことも痛感しました。先生にも意見をいただいて内容を考え直し、本当に完成するのかと焦る気持ちが日に日に増えて行きましたが、そういう時にチームで相談をしてみると考えが落ち着いて、ゆっくり見つめ直すことが出来ました。
 「結果良ければすべてよし」というわけではないですが、参加者の方に「楽しかった」「次もまた参加したい」などたくさんお褒めの言葉をいただいて、思わず頬が緩みました。私たち学生だけでは成し得なかったこのツアー。ご協力いただいたお店の方々、参加者の方々、先生方、その他にもたくさんの方にアドバイスをいただいて出来たツアーでしたが、本当に成功と言える結果を残せて良かったと思います。最後までやり遂げることが出来て、とても充足感に溢れています。ありがとうございました。