昨年同様、2020年度も3チームに分かれ、株式会社エイチ・アイ・エス、Peach Aviation 株式会社、タイ国政府観光庁と共同研究を行いました。しかし本年度は当初から、コロナウイルスのために企業の方と直接ミーティングをすることできず、また毎年行っているタイへのバンコク研修ツアーも中止となり、現地調査ができず、研究を進めることがかなり難しくもありました。そのような中で、企業とはオンラインミーティングを重ね、SNSを利用したアンケート調査や電話調査などを駆使し研究を進めました。
 研究発表の場についても、学会の学生ポスターセッションが中止となり機会が少なくなりましたが、毎年出場している観光力推進ネットワーク・関西学生連絡協議会主催の「学生研究発表会」が2月にオンラインで開催され、エイチ・アイ・エスチームとタイ国政府観光庁チームが出場し、エイチ・アイ・エスチームが「学生連絡協議会賞」を受賞しました。
 企業に出向いての最終研究報告については、エイチ・アイ・エスチームがハルカスキャンパスで、この研究を担当してくださっているエイチ・アイ・エス大阪団体営業所の三谷様に向けて、ワーケーションのサブスクリプションに関しての報告を行い、企業で検討できる可能性のある研究であると評価をいただきました。この4月にあと2チームがオンラインで企業に報告を行う予定です。

2020年度各チームの研究テーマ

  • エイチ・アイ・エスチーム:「H.I.S.今後の旅行会社としての施策 ~Withコロナ時代を生き抜くために~」
  • タイ国政府観光庁チーム:「新型コロナウイルス後のタイ旅行の需要調査と新規地方ツアーの提案」
  • Peach Aviationチーム:「Peach Aviationの機内デジタルサービスに伴った新サービスの提案」

株式会社エイチ・アイ・エス チーム 飯塚日奈子

 新型コロナの影響により観光需要が激減する中で、「エイチ・アイ・エスがwithコロナ時代を生き抜くための国内旅行事業戦略の検討」を目的に研究を行いました。現状分析の結果、リモートワークの普及により休暇期間中にテレワークでの業務を認める「ワーケーション」という新たな過ごし方が注目されていることが分かりました。また、企業の方から頂いたヒントを参考に、今後の旅行会社を支えるカギは法人営業にあるのではと考え、ワーケーションを活用した法人ビジネスの仕組みとして「企業向けのサブスク型ワーケーション」を発案しました。これらは地域と旅行会社の中長期的な関係構築と収益を可能とし、単なる旅行会社のビジネスではなく、地域をも巻き込んだ地域貢献事業として活用できるのではと考えました。主な研究方法として、自分たちで集めた資料と先生や企業の方から頂いたアドバイスを参考に議論を重ね研究を進めましたが、最後に検証として「和歌山ワーケーションネットワークス」の運営を行う和歌山県情報政策課ICT利活用推進班の大谷様からワーケーションの現状とこれからの在り方についてお聞きすることができ、より説得力のある提案内容にまとめることができました。
 また、私達のこれらの研究は、2月11日(木)に行われたNPO法人観光力推進ネットワーク関西・学生連絡協議会主催の学生研究発表会で、学生連絡協議会賞を頂くことができました。新型コロナの影響で状況が目まぐるしく変わる1年の中で行った研究は、先が見えず苦戦することもありましたが、チームでひたすらに努力を続けたことが形となり評価して頂けたことに非常に嬉しく思います。

タイ国政府観光庁(TATチーム) 桑原あかり

 タイ国政府観光庁(通称TAT様)と共同研究では、タイの現状がバンコク一都市に集中するオーバーツーリズム問題があったこと、新型コロナウイルス感染症による海外旅行のニーズの変化したことから、「自然」と「地方」の2点に着目して研究を進めました。タイ国政府観光庁では、以前からバンコクのオーバーツーリズム問題を解決するために、地方都市のプロモーションに力を入れており、コロナ後の旅行ニーズも踏まえ、タイの地方都市「12の秘宝」に観光客を誘致するチャンスだと考えました。12の秘宝とは、まだ観光客にあまり知られていない自然やタイの文化が詰まったタイの地方都市のことです。この点に着目し「12の秘宝を利用した専用車で巡る地方ツアーの提案」を目標として取り組みました。ツアーの実現性と可能性を調査するために、学生や社会人約200名へGoogleフォームにてアンケートを実施しました。また、TAT様へのヒアリングも行いました。そして、タイの新型コロナウイルス感染症への対策の取り組みを調べ、タイは感染症対策を国全体として厳重に行っていることがわかり、コロナ後の旅行で安心して旅行を楽しむことができるツアーを提案しました。2月に行った学生研究発表会では、研究の方向性の課題を新たに見出すことができ、また研究を簡潔にわかりやすく伝える難しさも実感しました。
 2年次から所属したゼミ活動では、自分たちの力だけではなく、TAT様や先生、ゼミ活動の先輩方からの協力もあったことから、既存の旅行会社も取り組んでいない商品を提案することができました。
 本年度は新型コロナウイルスの影響で、タイの現地調査が行うことができず、インターネットの情報やヒアリング調査等で研究を進めることになり、難しさもありましたが、チームでできる限りの情報を集め、議論を交わしながら取り組みました。これらの経験のように、困難でも目標に向かって、全員で努力をした経験や学びは、今後の社会人になっても、活かせると考えています。

Peach Aviation株式会社 チーム 浅川峰楠実

 私達、Peach Aviationチームでは、新型コロナウイルス感染症という状況下の中で、機内で新しくデジタルサービスを導入し始めるというPeach Aviationの方針に伴って、学生目線から機内で行える新しいサービスを提案するということを目標に研究を進めてきました。新型コロナウイルス感染症が拡大する前と拡大が広まっていく最中での社会状況やPeach Aviationの現状況を比較し、会社側が今後何を視野に入れていくのか、Peach Aviationを使用されるお客様が今後、飛行機内で過ごすにあたって何を求めるのかを念頭に置き研究を進めました。他大学とのオンライン発表会では、他大学の先生方から貴重なご意見をいただくことでより良い内容のサービスを提案することができました。
 Peach Aviationの方々に発表をするにあたって、私達が新しく提案する機内デジタルサービスが本当に有効性のあるものなのか調べるためにグーグルフォームのアンケート機能を使って、10−50代を対象に幅広い年齢層から回答をしていただきサービス内容の改善点を見つめ直しました。その結果、私達の新しく考えた機内デジタルサービスが、さまざまなお客様に興味を持っていただいていることや、お客様が実際に機内で過ごすにあたって何を求めているのかを改めて知ることができました。

参加学生一覧

藤山 夏美、浅川 峰楠実、飯塚 日奈子、鵜澤 向日葵、浦田 光洋、大浜 賢太郎、岡本 亜里紗、久保 遥輝、桑原 あかり、主原 実咲、福本 琳太郎、藤岡 桃子、山田 陸、レ ホアンミー