教員からのご挨拶

 またも年度内に間に合いませんでしたが、昨年度のゼミ活動の報告を行います。5年目を迎える本ゼミは、各学年でそれぞれフィールドワークを計画し、告知し、他ゼミからの参加者も迎えております。
 前期(4~9月)は映画作品の舞台を巡るミニツアーを組んで〈作品観光研究〉を行い、後期は特殊な観光資源をもつまちに出向いて〈テーマ観光〉の研究調査を行いました。具体的には、7月に映画「破門」の舞台を巡るまちあるきプランを作り、大阪市内をガイドしながら歩きました。また、夏休みには、京都を舞台にしたアニメ「四畳半神話大系」および「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の舞台を巡りました。
 後期(10~3月)のテーマ観光研究は、グループワークとして和菓子のまち高野山、そうめんのまち竜野、くつのまち神戸、「けいおん!」のまち近江八幡、金魚のまち大和郡山、オムレツのまち橋本など、ゼミ生たちが特色ある観光資源をもつまちに入り、その資源をいかに活用しているかについて調査を行いました。
 そして春休みには、昨年から始まった名古屋の熱田神宮を目指す〈歩き旅〉の続きとして、滋賀県草津市から歩きました。
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映画「破門」舞台探訪—大阪まちあるき 18/07/14

 3回生の企画です。昨年の夏は記録的な暑さで、この日も気温は37℃でした。管理責任者として一抹の不安を覚えつつ、なんば駅をスタートします。ヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮が躍動する本作のメイン舞台は、やはりミナミのまちです。ただし、心斎橋エリアではなく、道頓堀川の西側です。この辺りは川沿いもきれいに整備され、湊町リバープレイスを中心におしゃれで落ち着いたまちへと変貌を遂げています。作品自体が近年に撮影されたということもあり、これも作品越しにみる新しい大阪の姿です。その後、中之島やハルカスといった作中舞台も押さえつつ、夕方までコンパクトで魅力的な大阪観光を示してくれました。ホストのゼミ生たちは趣向を凝らし、スマホを活用して、作品で描かれる場所と実際の場所とを比較してみせ、こちらも興味深かったです。
 なお、学生たちは暑さ対策として、下見の段階から地下を多く通るルートを設計してくれておりました。そのおかげで、無事終了。打ち上げも大いに盛り上がりました。
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京都作品観光—アニメ「四畳半神話大系」と映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」舞台探訪 18/09/25~26

 こちらも3回生の企画です。2日間の旅程で、初日はアニメ「四畳半神話大系」の舞台巡りとして鴨川周辺を、2日目は映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の舞台として、三条・白川・宝ヶ池などを回りました。6月に新たに迎え入れたゼミ2回生をゲストとして、ホストとゲストの視点を組み入れた研究活動となっております。
 こちらも学期中に事前準備や下見をして、案内はもちろん、ゼミ生がコース等もすべて決めております。とくに指示したわけではないのですが、作品との関連が深い場所では、パネル等を用いて説明をしてくれました。初日の「四畳半神話大系」に描かれる下鴨神社は外せないですが、この日はカステラ屋や京大吉田寮なども見所の一つとなり、作品観光ならではの一味違う京都観光が出来ました。後日、アンケートを集計した結果、この企画で一番面白かった場所は、その吉田寮ということでした。
 2日目の「ぼく明日」は2017年の話題作です。我々のゼミでは、もちろん作品の上映会をして巡る場所を検討するのですが、その上映会で涙する人が続出でした。荒唐無稽な設定も吹っ飛ぶほど、役者・舞台・演出いろんな意味でよく仕上がった作品です。
 朝、河原町に集合し、まず舞台となった祇園白川を歩きます。言うまでもなく、美しいです。しかし、映画を観たものとしては、やはり作中、頻繁に映し出される朱塗りの鳥居が輝いて見えます。その後、作中のデートコースを追うように、古川町商店街や宝ヶ池などを訪れます。そして、最後は、終わりと始まりの「駅」です。よい作品の舞台巡りは、味わいも格別です。ついでに宝ヶ池では、軽いハイキングも楽しめます。準備から実践まで、もちろん反省会も含め、ゼミ生のみなさん、今年もご苦労さまでした。
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テーマ観光「特色ある観光資源をもつまち」現地調査
神戸、竜野、高野山、中崎、京都 18/12/01~02

 3回生の〈テーマ観光〉のフィールドワークです。表題のとおり、特色ある観光資源をもつまちとして、くつのまち神戸、そうめんのまち竜野、和菓子のまち高野山、その他カフェや着物のまちとして梅田中崎や京都に、それぞれグループで現地調査に入りました。私は、そうめんのグループに同行しました。そうめんは夏のものですが、あえて冬に訪れることで課題や新たな魅力も見えてきます。にゅうめんやそうめん寿司目当てに、夏以外でも団体客がたくさん訪れていることを知りました。また、高野山や京都は、なにかテーマを設定しなくても観光客が多く訪れる場所ですが、そこにあえてモノというフィルターをかけることで新たな一面を見せるという工夫があります。リピーター対策ということもあるようです。
 モノの歴史やまちの歴史を学びなおし、現地で聞き取り調査をし、その土地の人々がどういう思いで、それらを観光資源として活用しているのかを知るよい機会になったと思います。この経験をぜひ卒論執筆に活かしてほしいと思います。
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歩き旅「新幹線のみちのりを、あえて徒歩で—大阪から目指す名古屋熱田神宮」(2年目編) 19/02/24~25

 昨年の歩き旅の続きです。昨年は、3日かけて、新大阪から滋賀県草津市まで進みました。昨年は、豪雨の中歩いた日もありましたが、今年は全日程とも快晴でした。たいへん気持ちよかったです。
 初日は10:00に草津駅に集合。琵琶湖の南側は、旧中山道が通っており、今回はその宿場町の風景を楽しめます。日曜日ということもあって、中山道ウォークをされている団体もおられました。まず栗東、守山を抜け、野洲川の土手で昼食を食べました。守山宿はとくによい状態で古い街並みが保存されており、おのずと気分も昂揚します。
 午後は、田圃のあぜ道を、行きかう新幹線を何本も見送りながら進み、そして初日は近江八幡駅で終了しました。夜は希望者で残って打ち上げをし、夕食をともにしました。これだけ運動したあとなので、おいしくないはずがありません。
 2日目は、近江八幡から彦根の手前まで約20km程度すすみました。まずは信長ゆかりの安土を目指し、のどかな風景を楽しみます。そろそろ平坦な道ばかりでも面白くないので、ここで山を越えます。たいした山ではありませんが、昨日の疲れも残っているので、なかなか堪えます。昼食は、近江ちゃんぽんのお店でちゃんぽんを頂きました。ちゃんぽんというと長崎が有名ですが、こちらも劣らず美味でした。2日目も旧中山道を中心に歩きましたが、途中通過した愛知川宿周辺などは、初日の守山宿同様、まだ風情の残る素晴らしい街道でした。かつては30名を超え、大名行列のように歩いた年もありましたが、今年などは15名ほどのこじんまりとした団体となりました。ゴール目指して来年も続けられるといいなと思います。 
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テーマ観光「特色ある観光資源をもつまち」現地調査
橋本,紀の川,大和郡山 19/03/08、03/20、04/05

 2回生初めてのフィールドワークです。3つのグループに分かれて現地調査に入りました。一つはオムレツのまち橋本、一つはフルーツのまち紀の川、一つは金魚のまち大和郡山です。学期中に準備計画をし、春休みを利用して、フィールドワークを実施しました。現地の方への聞き取り調査や、観光協会や商工会の方々へのヒアリング調査など、少しでも現場でお仕事されている方の思いを汲み取れるといいなと思っております。私は金魚のグループに同行しましたが、まずは大和郡山の街並みの美しさに目を奪われ、新鮮な驚きがありました。郡山城跡が有名ですが、全国金魚すくい大会等、金魚関連のイベントも多く打っており、金魚好きな人は(もちろんそうでなくても)ぜひ足を運ばれるといいかと思います。2回生は写真の撮り方も質問の準備もまだまだですが、おいおい慣れてもらうとして、まずは経験です。新学期にまとめて報告してもらう予定です。各地の観光協会の方々、お忙しい中いつも快くご協力くださり、あつく御礼申し上げます。
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おわりに—卒業式 19/03/18

 今年は3期生を送り出しました。ゼミというものは、各代で同じように調査や運営をしていても、やはり各代ごとにカラーが違います。この代は、個性もばらばらで、あまりまとまって何かをしたがる感じではないように映りましたが、ひとたび教室の外に出れば和気あいあいと活動するという不思議な代でした。卒論制作もとにかく大変でしたが、無事みな書き上げ、それぞれの船出をいたしました。きっと各地で頑張ってくれていることでしょう。いつでも遊びに来てください。