教員からのご挨拶

 またも年度内に間に合いませんでしたが、昨年度のゼミ活動の報告を行います。6年目を迎えた本ゼミは、各学年でそれぞれ現地調査(フィールドワーク)を計画し、告知し、ゲスト参加者も積極的に迎えております。
 前期(4~9月)は映画作品の舞台を巡るミニツアーを組んで〈作品観光〉研究を行い、後期(10~3月)は特殊な観光資源をもつまちに出向いて〈テーマ観光〉研究の現地調査を行いました。
 まず、作品観光研究として、7月に映画「オオカミ少女と黒王子」の舞台を巡るまちあるきプランを作り、神戸市内をガイドしながら歩きました。また、夏休みには、京都を舞台にしたアニメ「おこしやす、ちとせちゃん」および「地下鉄に乗るっ」(京都市交通局制作)の舞台を巡りました。
 後期のテーマ観光研究は、グループワークとして、ラーメンのまち「和歌山」、招き猫のまち「愛知県常滑市」、新選組のまち「京都」、沖縄文化のまち「大正区」、川の上の駅のまち「阪神電車沿線」など、ゼミ生たちが特色ある観光資源をもつまちに入り、その資源をいかに工夫し、観光と結びつけているかについて調査を行いました。
 そして春休みには、昨年に引き続き、名古屋の熱田神宮を目指す〈歩き旅〉を実施しました。おととしから始まったこの企画は、今年で3年目、滋賀県彦根市から関ケ原を目指し、歩きました。

映画「オオカミ少女と黒王子」舞台探訪—神戸まちあるき 19/07/14

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京都作品観光—アニメ「地下鉄に乗るっ」と「おこしやす、ちとせちゃん」舞台探訪 19/09/21

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テーマ観光「特色ある観光資源をもつまち」現地調査
和歌山、愛知県常滑市、京都、大正区、阪神電車沿線 19/11/30~19/12/1

 3回生の〈テーマ観光〉のフィールドワークです。表題のとおり、特色ある観光資源をもつまちとして、ラーメンのまち「和歌山」、招き猫のまち「愛知県常滑市」、新選組のまち「京都」、沖縄文化のまち「大正区」、川の上の駅のまち「阪神電車沿線」などに、それぞれグループで現地調査に入りました。私は、阪神電車沿線のグループに同行しました。今回は、日帰りにしては遠いところにも調査に行き、力の入った報告を受けることができました。
 阪神電車は、なぜか川の上に、いくつか駅があることはご存じでしょうか。高級住宅地で知られる武庫川・香櫨園・芦屋などの駅舎は、川をまたぐようにして、掛かっています。実際に行ってみましたが、まるで橋のような役割を果たしています。風に当たりながら、南側を眺めると、川沿いに広がる松原の先には海が望めます。北側を眺めれば、もちろん六甲山麓ですので、待ち時間もここちよいです。駅を降りると、線路の下にもぐることもでき、そこからは鉄道ファンでなくても興奮する、電車の通過音と下部を楽しむ?ことができます。こういうマニアックなテーマ観光も、既存のまちあるきに組み込むことで、多様な観光の在り方のひとつになりうると考えます。その他のグループも、たとえば和歌山はラーメンだけでなくソフトクリームも推していたり、京都は新選組だけで見るより幕末で捉えたほうが面白いなど、さまざまな聞き取り調査や体験調査などから、事前学習では見えなかった結果も報告されました。学生にとっては、非常に有意義な経験ができたようです。お邪魔しました現地の皆様、この場を借りてお礼申し上げます。
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歩き旅「新幹線のみちのりを、あえて徒歩で—大阪から目指す名古屋熱田神宮」(3年目編) 20/02/27

 おととしから春休みを利用して、すこしずつ名古屋を目指しています。2018年は、3日歩いて、新大阪から滋賀県草津市まで進みました。2019年は、その続きとして、草津から彦根の手前の稲枝まで40kmほど歩きました。詳細については、このホームページのそれぞれの年を参照していただけると幸いです。
 さて、今年も始まりました。出発前には、いろいろと寄り道や施設見学も計画しておりましたが、コロナウイルス対策で、急遽、人の多い観光施設には立ち寄らないことにしました。この時点では、まだゼミ活動は認められておりましたが、私個人の判断で、不安を感じるゼミ生については参加しなくてよいことも伝えております。ゲスト参加者については、残念ながら不参加でお願いしました。よって、今年は例年よりはるかに小規模の行軍となっております。できるだけ人と接触しないよう、純粋に歩き旅に徹します。今年も旧中山道を通り、まずはひこにゃんが有名な彦根を目指しました。いろんな学年の学生が集まりますので、毎年のことですが、就活の話などでコミュニケーションを取っている姿は、なんとなく微笑ましいです。
 今年は、ずっと暖かい日が続いていたのですが、この日に限ってはなんと吹雪もまじるという荒天でした。長く歩く分には多少寒くても構いませんが、それでもつい我々はいったい何をしているのだろうなどと考えてしまいます。数時間あるいて、高宮宿に入ったときは、やはりほっとしました。おそらく昔の人もそうだったんだろうなと、切に感じました。なお、途中で「けいおん」の舞台になった旧豊郷小学校の前を通ったので、そこだけは少し立ち寄りました。
 予定よりやや遅れて、18時前に彦根駅に到着。ホテルに戻り、大学からのメールを見ると、政府の臨時休校要請を受けて、今後のゼミ活動中止の指示が出されていました。すごいタイミングです。よって、翌日に予定されていた関ケ原行きは、即中止です。残念でしたが、きっと来年には落ち着いていると思うので、つづきを楽しみに待とうと思います。
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2回生テーマ観光「特色ある観光資源をもつまち」現地調査
尾道,赤穂,阪急沿線 (20年3月に予定→中止)

 例年、春休みには2回生が初めてのフィールドワークに出ます。そのために昨年の冬から準備してまいりましたが、残念ながら今年は外出することができなくなりました。よって、この代は、まだ活動の様子をうかがわせる写真もありません。今となっては、ただただ、落ち着くことは願うばかりです。
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おわりに—4回生ゼミ最終日 20/01/24

 今年は4期生を送り出しました。この代は、学年の中でもとくに優秀な学生が多く集まり、すばらしい準備と実践、そして報告を繰り返してくれました。精神的にも自立している学生が多く、指導面でもほとんど手がかかりませんでした。全員で無事卒業できました。
 今年はコロナウイルスの影響で卒業式はありませんでした。この写真は、最後のゼミの日に撮ったものです。また卒業式の日にでも、と思っておりましたが、ほんとうに撮っておいてよかったです。この日は一人ずつスピーチをし、そのあとは手作りで簡単な打ち上げも用意してくれて、楽しく過ごすことができました。
 彼らとの3年間を振り返ってみると、私としては、このようなすばらしい学生たちに甘えすぎた面があり、逆にもっと手をかけてあげてもよかったかなという思いもあります。授業やFWはもちろん、打ち上げや歩き旅など、いろんな時間を共有しましたが、一番思い出すのは、なぜか最初に集まった日です。
 年を追うごとに指導技術は向上しますので、ゼミ自体はよくなっている、そういう手ごたえはあるのですが、学生にとっては一度きりの大学生活なので、その時々の至らなさを思うと、つい申し訳ない気持ちになります。後悔先に立たずとはよく言ったもので、今なら、あれもこれも・・・などと思いますが、それもまた、せんないことです。
 と、感傷的になってみても、学生たちにとっては、もちろん大学は通過点でしかありません。時間が止まるわけでも戻るわけでもなく、ましてや、このような社会情勢になると、今までの慣例や常識が通用しなくなる可能性もあります。彼らならどんな困難も乗り切れると信じておりますが、何が起きても自分たちで一から作り直す、そういう強い気持ちをもって、実社会に臨んでほしいと思います。
 落ち着いたら、またみんなで集って、できなかった卒業式の打ち上げを、ぜひ行いましょう。卒業おめでとう!