教員からのご挨拶

 またも年度内に間に合いませんでしたが、昨年度(2022年度)のゼミ活動の報告を行います。9年目を迎えた本ゼミは、各学年でそれぞれ現地調査(フィールドワーク、以下「FW」)を計画し、告知し、ゲスト参加者も積極的に迎え入れております。
 今年も、3月から本記事を書くために準備をすすめてきましたが、やはり新年度が始まると怒涛の日々が訪れ、結局、月末になってしまいました。
 昨年度のゼミ活動を振り返ってみると、すでに4月には大学の授業もほぼ対面に戻っており、FWを中心としたゼミ活動は支障なく実施できたように思われます。私のケガで中止となっていた歩き旅も、今年は3月に復活できました。本研究室では、前期(4~9月)は映画作品の舞台を巡るミニツアーを組んで〈作品観光〉研究を行い、後期(10~3月)は特殊な観光資源をもつまちに出向いて〈テーマ観光〉研究の現地調査を行っております。
 まず、作品観光研究として、7月に映画「思い、思われ、ふり、ふられ」の舞台を巡るまちあるきプランを作り、神戸周辺をガイドしながら歩きました。たまたまですが、神戸は昨年に引き続きとなります。9月にはアニメ「五等分の花嫁」の作品世界を追体験するツアーを企画し、実施しました。
 後期のテーマ観光研究では、近年、人気のスイーツ店が多く出店され、注目を集めているならまちを訪れました。奈良はなんといっても奈良公園が有名ですが、それだけに頼らない、新たなまちづくりがいかなるものかを研究室のみなで考えます。新たに入ってきた2回生13名も、こちらもたまたまですが、春休みに、同じく奈良で初めてのFWを行いました。

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映画「思い、思われ、ふり、ふられ」舞台探訪—神戸まちあるき 22/07/09

 まずは、3年生の作品観光で、舞台巡りツアーを実施しました。今回の題材は「思い、思われ、ふり、ふられ」で、浜辺美波、北村匠海主演の映画作品です。本作は、神戸周辺で撮影され、原作は『別冊マーガレット』(集英社)に連載されていました。例年どおり、作品を視聴し、舞台巡りの候補地の選定、ルートの下見、そして実施です。学内にポスターを貼り、ゲスト参加も促しました。
 神戸は、昨年の「フォルトゥナの瞳」に続き、2年連続です。もともと風光明媚な場所なので、ふつうに歩いていても楽しいですが、たとえば、今回立ち寄った大丸山公園は、作中で主人公たちがよく訪れる高台で、そこから見下ろす神戸のまちは、やはり画になる場所だと感じました。その他、夏祭りのシーンが印象的な長田神社などに連れて行ってくれました。ただ、全体的に歩く量が多く、さらに神戸は基本的に坂が多いので、ずいぶんと疲れるツアーとなりました。終了後にとったアンケートでもそのことが指摘されており、学生たちにとっては、いい意味で課題の残るツアーになったと思います。
 終了後は、みんなで南京町に立ち寄り、豚まんやあんず飴などをいただきました。
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アニメ「五等分の花嫁」作品世界の追体験—京都まちあるき 22/09/21

 つづいて、3年生の別グループの作品観光です。夏休みの終わり、秋口に実施しました。こちらはアニメ「五等分の花嫁」の修学旅行編を題材に、清水寺や伏見稲荷大社などに連れて行ってくれました。近年映画化され、人気声優が多数集結している作品としても知られています。
 いわゆるベタな京都観光にならないように、うまく作品での描かれ方と重ね合わせながら、スポットごとに説明してくれました。途中で、清水寺の参道付近に、評判のお団子屋さんがあり、そこで一休みしました。舞台巡りもいいですが、このような小休憩もツアーの楽しみの一つです。ツアーを企画する学生には、あらかじめ、食べやすいもの、すぐに出るもの、そこでしか食べれないもの、気が利いているものと口うるさく条件を出しているのですが、今回のお団子屋さんは、それらの条件を満たす品だったと思います。下見で偶然見つけたお店ということで、やはり下見は大事ですね。今回は、新しく入った2回生たちも同行しており、こちらも良い勉強になったと思います。
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テーマ観光「特色ある観光資源をもつまち」現地調査
ならまちで新たな魅力を探る 22/12/03

 3回生の〈テーマ観光〉のフィールドワークです。表題のとおり、特色ある観光資源をもつまちとして、スイーツの人気店が多く集まっていると言われるならまちに調査に伺いました。もともとはビールのまちとして吹田を訪れる予定でしたが、ビールミュージアムの予約がうまくとれずに、変更となりました。そのための下調べを進めていたので残念でしたが、コロナ禍も終わりが見え、遊びに来る人が多くなっていることは好ましいことです。
 ただ、奈良に行ったことで興味深い出会いもありました。JR奈良駅の前にある観光案内所はとても立派で、訪れるだけでも楽しくなるような施設ですが、そこでヒアリング調査させていただいた職員の方が、阪南大学出身の方で、土曜日でお忙しいにもかかわらず、たいへん親切に対応してくださいました。学生がした質問に対して、後日あらためて詳細な回答まで送っていただき、このような丁寧さが奈良という人気の観光地を支えておられるのだと実感いたしました。
 個人的には、奈良を訪れたのは中学校の修学旅行以来で、ゼミ生とも歩きながら話しましたが、全体的にキレイなまちに変わったという印象を持ちました。もとより観光資源としてのポテンシャルが高いならまちの景観と、そこにスイーツの人気店が出店されて、奈良公園の見学だけではなく、ますますまちあるきも楽しめるまちになっています。学生たちは、街中をくまなく歩いて、現状と課題を把握し、大学に戻ってからは議論を重ね、また試みに、ならまちをPRする動画も作成してみました。来年は卒業論文を書くことになると思いますが、ぜひ学んだ手法を用いて、よい個人研究につなげてもらいたいものです。
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歩き旅「西国街道をゆく—西宮~箕面編」23/03/04

 昨年、私のケガで中止となった歩き旅も今年は復活です。一年間のブランクを経て、引き続き神戸から西国街道をたどって京都へと向かいます。3月は、ほんとうに歩くにはよい季節です。今年はとくに温かく、気持ちよく歩くことができました。
 まずは、おととしの歩き旅で解散した西宮駅に再集合。そこから1時間ほど歩き、門戸厄神に立ち寄ります。昔の旅人のように、厄神さんに旅の無事をお祈りし、参道では厄除け饅頭をいただきました。ケガなく、1年が過ごせるといいなと思います。近くの門戸厄神駅で途中参加者たちと合流し、そこから歩を進め、武庫川沿いでは昼食をとりました。かつてはこの川を渡るための、髭の渡しがあった場所です。男子学生たちは、まだ元気が余っているのか、かけっこで競争したりして楽しそうでした。もちろん、体力のない私はしっかり体を休めて、午後に備えます。
 武庫川を渡ると、伊丹市内に入ります。すでに歩き始めて3.4時間で、歩き慣れない学生たちはそろそろ音を上げますが、適度に休憩を入れ、互いに励ましながら歩み続けます。猪名川付近にはご存じのとおり伊丹空港があり、何本もの飛行機を見送りながら、さらに歩みます。途中、足を痛めた人が脱落できるように、北伊丹駅にも立ち寄りましたが、みなそこでは休むだけで、誰も脱落しようとはしませんでした。その電車に乗れば、大阪はすぐなのですが、みな決めたゴールまでは頑張りたいということで、頑張ってくれました。そこからさらに1時間ほど歩くと、もう夕方です。一日はあっという間で、本日のゴールの阪大石橋前駅にたどり着きました。今年はここでおしまいです。また来年は、ここから続きを行います。今年新たに参加してくれたゼミ生たちが、懲りずに参加してくれることを願っております。
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2回生テーマ観光「特色ある観光資源をもつまち」現地調査
かき氷のまち「奈良県奈良市」 23/04/02

 2年生の初めてのフィールドワークです。今回は、かき氷のまちとして、近年注目が集まっている奈良に向かいました。先に書いたように、じつは3年生のFWでこの数か月前に奈良に行っているのですが、今回はあえて、前回からまだ間もない月日に行ってみることにしました。引率する私も、土地勘がある状態です。
 まずは、駅前の観光案内所で、かき氷のまちとしてどのような工夫をされているのか、人気店の状況などをヒアリング調査しました。驚いたのは、とにかく外国人観光客の多いことです。案内所内で何するわけでもなかったのですが、ずいぶん話しかけられました。慣れない英語で一苦労です。完全にコロナ前の状況に戻っている印象です。
 人気のかき氷店「ほうせき箱」での実食調査は、前日に予約して入りました。我々は予約していたので良かったですが、予約なしのお客さんは、4時間待ちと言われていました。味はもちろんおいしいのですが、やはりインスタ映えするメニューが人気の秘密なのだろうと思いました。お店の方も、快くインタビューに応じてくださいました。その後、町内のかき氷関連のものを探す調査、最後に奈良公園を抜けて、かき氷のまちの基となった氷室神社も訪れてみました。氷みくじが、外国人観光客に人気のようでした。全体的な印象としては、まだ、かき氷のまちとして発展途上という感じがしましたが、かき氷関連のイベント等も売っており、奈良公園以外の新たな起爆剤として、さらなる観光客を誘致できる可能性を感じました。
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おわりに—卒業式 23/03/20

 今年度は7期生が卒業しました。2回生になって研究室に入ってきたときはコロナ禍が最高潮で、私も感染対策に気を張り詰めながら授業したことを覚えております。1年生の入門ゼミから見てきた学生が4名ほどそのまま上がってきており、彼らに対しては、まさに大学生活をともにした感があります。この代は個性派ぞろいで、卒論指導も苦労しましたが、みな無事に書き上げ、卒業していきました。卒業式の日に撮った写真もあるのですが、諸般の事情から全員が揃わなかったので、この写真は授業の最終回で撮った写真です。実践向きの学生が多かったので、きっとこれからは社会で大いに活躍してくれるでしょう。卒業おめでとう。3年間、ありがとう!