教員からのご挨拶

 またも年度内に間に合いませんでしたが、昨年度のゼミ活動の報告を行います。7年目を迎えた本ゼミは、各学年でそれぞれ現地調査(フィールドワーク、以下「FW」)を計画し、告知し、ゲスト参加者も積極的に迎え入れております。
 例年ですと、前期(4~9月)は映画作品の舞台を巡るミニツアーを組んで〈作品観光〉研究を行い、後期(10~3月)は特殊な観光資源をもつまちに出向いて〈テーマ観光〉研究の現地調査を行うのですが、今年はコロナ禍で、前期にFWに出ることができませんでした。よって、前期のうちにできること、たとえば下調べや準備をしておき、後期でFWに出れる機会に、日帰りで調査を行うことにしました。
 まず、作品観光研究として、10月に映画「プリンセストヨトミ」の舞台を巡るまちあるきプランを作り、大阪市内をガイドしながら歩きました。
 後期のテーマ観光研究では、例年ですとグループワークで、それぞれ関心のあるまちに入り、調査を行うのですが、今年は全員で、醤油の町として知られる和歌山県湯浅町を訪れました。
 そして春休みには、〈歩き旅〉として、神戸から京都に至る西国街道を歩くFWを実施しました。
 どの企画も、例年より規模は小さめです。ここに挙げた以外にも、いくつかのFWが中止、順延になりました。それでも、一年のなかで準備を続け、FWが許されたタイミングで、やれる限りの研究活動を実施しました。感染防止と研究活動の両立に気を配った一年でした。

映画「プリンセストヨトミ」舞台探訪—大阪まちあるき 20/10/25

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テーマ観光「特色ある観光資源をもつまち」現地調査
和歌山県湯浅市「しょうゆのまち」 20/12/06

 3回生の〈テーマ観光〉のフィールドワークです。表題のとおり、特色ある観光資源をもつまちとして、今年はしょうゆのまち「和歌山県湯浅町」に、みなで現地調査に入りました。例年ですと、グループワークで各自が関心のあるまちに入っていくのですが、ことしはグループでのFWが禁止ということで、一か所に絞りました。片道3時間ですが、日帰りでないと許可がおりなかったので、みな頑張りました。
 まずは駅舎を背景に記念撮影です。駅舎が醤油樽になっていて、おしゃれです。駅に観光案内所が付設されていたので、そこでヒアリング調査しました。コロナ禍でどうかなと思っていましたが、スマホを使ったイベントを打っていて、観光客はまずまず来ているとのことです。
 湯浅町は醤油以外にもシラス丼やみかんが名産です。近くにかどや食堂という有名なお店があるのですが、あいにく店休日でした。たまたまテレビで見た充電旅では、そちらにしっかり立ち寄っていました。代わりに、名物店主がいるたこ焼き屋さんで軽く食事し、醤油関連の施設を視察、昔の建物と今の建物が調和して、きれいな街並みになっていました。一方で、学生なりに課題も発見したようで、そこは次の週に教室で議論しました。近くに海がありましたので、すこしルートからそれましたが、潮風を浴びに行きました。
 最後に立ち寄った九曜蔵では、しょうゆづくりの工程を見学したり、ソフトクリームやミカンジュース、おみやげなどを買ったりして、売れ筋の調査をしました。あまりFWで楽しんではいけないのですが、楽しみつつ、しっかり調査できたのではないかと思います。
 
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歩き旅「旧西国街道を行く—神戸から京都東寺へ」 21/03/18

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2回生テーマ観光「特色ある観光資源をもつまち」現地調査
秀吉ゆかりの地「有馬温泉」 21/04/06

 例年、春休みには2回生が初めてのフィールドワークに出ます。今年は4月になってしまいましたが、有馬温泉に現地調査に入りました。
 有馬温泉はもちろん温泉の町として知られた観光地ですが、有馬について調べて見ると、秀吉関連の話がたくさん出てきます。秀吉ゆかりの地としては、まだ十分に知られていないのかもしれません。秀吉という存在を活用して、どのような取り組みがなされているのか、ゼミ生たちが関心をもちましたので、このまちが選ばれました。
 まずは、観光協会の方にヒアリング調査をさせていただきました。突然の訪問にもかかわらず、事務局長の小林様が、丁寧に対応してくださいました。学生のほうからは、事前に準備してきた質問がたくさん出て、インターネットでは分からないことを多く知れたのではないかと思います。これからは、新しい名産品として山椒を押していくそうです。
 その後、昼過ぎでしたので、この町のメインストリートでもある「太閤通」で、コロナ禍でも提供されているものを頂きました。楽しみにしていた「なま炭酸せんべい」は残念ながらいただけませんでした。そこから、湯泉神社や太閤の湯殿、太閤が秋の夜長に碁を打ったとされる瑞宝寺公園を回りました。立地のほぼすべてが坂ですので、足腰は鍛えられます。ゼミ生たちは簡単に音を上げますので、冗談半分ですが、もっと連れ回さなければいけないなと思いました。
 ここで感じた課題をもちかえり、これから授業の場で議論していきたいと思います。
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おわりに—卒業式 21/03/19

 今年は5期生を送り出しました。この1年は、どの写真もマスクばかりですが、去年の卒業生たちが卒業式ができなかったのに比べれば、それくらいは許せるかなと思いました。とにかく卒業式ができて、よかったです。
 この代は、去年に勝るとも劣らず優秀な学生が集まり、ゼミ生同士の関係も初めから良好で、課題提出や連絡が遅れるということもまずなかったです。この突然の不況下のなかでもみな就職を決め、卒論の修正の指示にもしっかり対応してくれて、もちろん全員が卒業できました。
 彼らとの3年間を振り返ってみると、去年の春休みから自由にフィールドワークが行けなくなり、この1年も前期がダメだったので、他の代より、一緒に外出する機会が少し減りましたが、コロナ禍になる前は、多くのフィールドに出ましたし、サマーパーティをやったりもしました。一緒に食事する機会も多く、いろいろと楽しい時間を共有できたと思います。ただ、この一年間、遠隔授業ばかりで、あまりにあっけなくこの日が来てしまい、なかには久しぶりに会った人もいて、涙の少ない別れであったようにも思えます。別れを意識して臨めば、もっともっと話をしておけばよかったと思ったりもします。
 ともかく、みな優秀な人材なので、社会に出るに当たっては何の心配もありませんが、もし何か困ったことがあればまた連絡ください。私はここにいます。世の中が落ち着いたら、ぜひ皆で集まりたいです。卒業おめでとう!