日タイ中小企業ビジネスマッチングの運営に携わって
—2013年度国際インターンシップ(タイ)—

越智 静香

 2013年8月25日から9月8日までの15日間にわたって、国際インターンシップとして、受入機関であるタイ王国チュラロンコン大学サシン経営管理大学院日本センター(以下、サシン日本センター)を拠点に、タイの現地企業など視察を行いました。インターンシップのメインは、タイ進出を考えておられる企業の方々へのコンサルティング業務の補助、そして日タイ中小企業ビジネスマッチングの運営の補助でした。
 日タイ中小企業ビジネスマッチングは、2013年9月3日にサシン日本センターにて行われました。私は午前9時に、サシン経営管理大学院の入り口にて日本企業経営者の方のお出迎えをしました。そして午前10時からサシン日本センターの藤岡先生の講義を聞きました。講義内容は日本企業がタイに進出するにはどうすればいいのか、タイの経済状況やタイの重要性など約1時間半にわたり講義されました。午後1時から受付を担当しました。午後はタイ企業の経営者の方たちがこられ、英語での対応となりました。学生の中で英語が話せる人がいたので教えてもらいながらの対応で、発音などちゃんと話せていたかわかりませんが、経営者の方も理解してくれ案内することができました。
 また、並行して各部屋で行われているビジネスマッチングのタイムスケジュール確認を行いました。これは、時間内に終わっているか、押しているところがあれば空いている部屋に移ってもらうなどスケジュールを管理し、各部屋の担当に伝えました。ただ、さまざまな課題も出てきました。まず、出席はしていてもビジネスマッチング前に帰ってしまい1社だけだった日本企業の方のアポがなくなってしまったことや、ラウンジですでに終わらしてしまった方などでばたついたこと(タイムスケジュール通りに運ばなかったこと)などや、出席者の名簿が1枚しか準備していなかったため、受付メンバー全員で出席者の把握がシェアできなかったことです。
 タイの方たちとは英語で対応しましたが、語学力の足りなさにただ悔しさを感じました。前までの私は「英語が出来なくても日本で就職すれば別に問題ない。」と考えていました。ですが、タイの経営者の方と懇親会でお話しさせてもらったときや、こちらで日本人の代理店の方から聞いた話など、英語は必ず必要であると実感し、英語を話せる環境作りをしていこうと決心し、海外で活躍したいと感じました。今回、国際インターンシップに参加していなかったら、このようなことを思うことも行動することもありませんでした。また、ここで2週間ともに行動してきた14人の仲間がいたからこそ、苦しい時も乗り越えることができました。
 自分から一歩踏み出すことで、新たな経験をさせていただくきっかけにつながり、人と関わっていく大切さを実感しました。2週間という短い期間の中でたくさんの経験をすることができました。私自身が成長できるよう頑張っていきたいです。

藤岡 未鈴

 2013年9月3日(火)に、日タイ中小企業ビジネスマッチングの運営に携わりました。今回は、2012年度に続く2回目の開催ということで、1回目の去年より企業の参加社数が倍になり、盛大な会になりました。
 ビジネスマッチングでは、サシン日本センター藤岡先生による「アセアン経済共同体の先を見よ:30億市場への戦略アプローチ」を題材とした基調講演が行われました。30億人というのは、アセアンの6億人の人口に加えて、中国の13億人、インドの11億人といった周辺国の人口を足し合わせた人口総数で、今後、中間所得者層、富裕層の増大が見込め、巨大マーケットとして注目されています。
 藤岡先生の講演は企業の方の緊張をほぐすかのように、目の錯覚を利用した2つの絵を見せることにより、皆さんから笑いの声が響いていました。そこで、皆リラックスした状態でいい雰囲気で始められました。
 藤岡先生の話では、今の時代はセミ・グローバル化であるということです。韓国の焼酎で例えるならば、甘みを90%落とす、水やお湯で割れるようにする(韓国はほとんどがロックで飲みます)、パッケージを高級化にし、ウイスキーを競争相手にする、広告では韓国色を消す、といったように、日本人の舌に合うような商品を、再度開発していくのがセミ・グローバル化なのです。確かに国によってそれぞれの味があります。コーラ1つとっても、国ごとにその人たちの味があるので、味を変えていかなければならないのです。
 最近の日本は「空洞化」しているという言葉が飛び交っています。まず空洞化とは、日本のものづくりなどが、海外に出ていきすぎることによって、日本の産業が低迷しているということを言います。その言葉を置き換えると、古いものが出て行った後に、新しいものが何も出て来ないことを空洞化というのです。だから今、日本が行っているのは、日本産業の空洞化ではなく、日本の産業構造の変化なのです。古いものが新しいものへと変化していけば産業構造には何も問題がないのです。
 そしてタイ進出に成功した企業の方々から、学生に向けてのメッセージを聞くことができました。「今の間に実力をつけること。」今の自分が明日から何の仕事ができるかと問われた場合、すぐに行動にうつせるような人間になるために、今の大学生活4年間があるわけなのです。海外ビジネスには答えはありません。頭を固くし、賢く考えすぎると物事うまくいかなくなります。素直に受け止めることが大事になってくるのだと思い知らされました。

【全学インターンシップ担当:関 智宏】