2022年5月13日(金)、国際コミュニケーション学部FD・SD委員会は、「2022年度第1回国際コミュニケーション学部FD・SD研修会」を開催した。本研修会は、学部構成員間の研究活動に関する情報共有により、教員同士の学際的な共同研究の可能性を高めることを目的として実施された。
冒頭の権学部長の開会の挨拶に続き、「現代ロシアにおける法と宗教」をテーマに、今年4月に着任された柴田正義先生により、これまでの研究活動に関する紹介が行われ、研究情報の共有が図られた。研修会では、柴田先生がロシア法・宗教法研究に取り組まれることになったきっかけや研究上の関心、現在の研究動向、今後の抱負などを含む情報共有が行われた。現在、ロシアとウクライナ間の対立が激化している情勢を踏まえ、国際コミュニケーション学部教員の間でもユーラシア関連研究への興味が高まっている状況である。
柴田先生は、ソビエト連邦時代に国家が収用した宗教団体の財産の「返還」に関心を持ち、研究活動を開始した。現在では社会的・文化的マイノリティの権利保障を含む信仰の自由、政教分離、結社の自由などの憲法原則に焦点を当てて研究を進めている。報告内容の概要は次の通りである。
今日、マイノリティの存在は、グローバル化が進み価値が多様化する中で浮き彫りとなり、現代社会がクリアすべき課題を提示している。例えば、次に示す3つの問題もその一部として挙げられる。第一に、価値の多様化が進む社会を国家がどのように統合していくかという問題である。ここには、文化的・社会的少数者に対する抑圧を如何に克服するかという課題が含まれる。
第二に、少数者に対する無関心から不寛容な制度が生じるという問題である。日本において、こうした問題は特に宗教の領域において顕著だが、法学分野ではあまり光が当てられていない。現代では、家族関係や性が多様化する中で、様々な領域においてマイノリティの権利に関する議論が活性化しつつある。
第三に、旧ソ連圏や東南アジア等、社会主義体制からの移行を課題としている諸国家における立憲主義の移植に関する問題である。ここには、「普遍的価値」とされてきた欧米的な価値観と、体制移行諸国における文化との差違が顕著に表れており、グローバル化の課題を考える際に避けて通ることのできないテーマである。
柴田先生は、これらの最大公約数ともいいうるものとして、現代ロシアにおける人権保障の特質を主題とし、信教の自由・政教分離・結社の自由等の憲法原則に焦点を当てて研究を行ってきた。主要な研究業績の中で、帝政期以降の宗教法制史を概観した上で、帝政・ソビエト期のロシアにおいては宗教分野において「基本的自由」を認めるのではなく、国家が公認制度を通して「自由」が許容される範囲を確定していたことを明らかにした。そして、こうした「ロシア的特徴」が、現行の宗教団体法の下において継受され変容していく様相について分析を行った。
柴田先生の発表の後、参加した各先生方から、ご自身の専門分野と関連した多様な質疑応答が活発に行われ、かつてない活発な研究情報の共有が図られた。
冒頭の権学部長の開会の挨拶に続き、「現代ロシアにおける法と宗教」をテーマに、今年4月に着任された柴田正義先生により、これまでの研究活動に関する紹介が行われ、研究情報の共有が図られた。研修会では、柴田先生がロシア法・宗教法研究に取り組まれることになったきっかけや研究上の関心、現在の研究動向、今後の抱負などを含む情報共有が行われた。現在、ロシアとウクライナ間の対立が激化している情勢を踏まえ、国際コミュニケーション学部教員の間でもユーラシア関連研究への興味が高まっている状況である。
柴田先生は、ソビエト連邦時代に国家が収用した宗教団体の財産の「返還」に関心を持ち、研究活動を開始した。現在では社会的・文化的マイノリティの権利保障を含む信仰の自由、政教分離、結社の自由などの憲法原則に焦点を当てて研究を進めている。報告内容の概要は次の通りである。
今日、マイノリティの存在は、グローバル化が進み価値が多様化する中で浮き彫りとなり、現代社会がクリアすべき課題を提示している。例えば、次に示す3つの問題もその一部として挙げられる。第一に、価値の多様化が進む社会を国家がどのように統合していくかという問題である。ここには、文化的・社会的少数者に対する抑圧を如何に克服するかという課題が含まれる。
第二に、少数者に対する無関心から不寛容な制度が生じるという問題である。日本において、こうした問題は特に宗教の領域において顕著だが、法学分野ではあまり光が当てられていない。現代では、家族関係や性が多様化する中で、様々な領域においてマイノリティの権利に関する議論が活性化しつつある。
第三に、旧ソ連圏や東南アジア等、社会主義体制からの移行を課題としている諸国家における立憲主義の移植に関する問題である。ここには、「普遍的価値」とされてきた欧米的な価値観と、体制移行諸国における文化との差違が顕著に表れており、グローバル化の課題を考える際に避けて通ることのできないテーマである。
柴田先生は、これらの最大公約数ともいいうるものとして、現代ロシアにおける人権保障の特質を主題とし、信教の自由・政教分離・結社の自由等の憲法原則に焦点を当てて研究を行ってきた。主要な研究業績の中で、帝政期以降の宗教法制史を概観した上で、帝政・ソビエト期のロシアにおいては宗教分野において「基本的自由」を認めるのではなく、国家が公認制度を通して「自由」が許容される範囲を確定していたことを明らかにした。そして、こうした「ロシア的特徴」が、現行の宗教団体法の下において継受され変容していく様相について分析を行った。
柴田先生の発表の後、参加した各先生方から、ご自身の専門分野と関連した多様な質疑応答が活発に行われ、かつてない活発な研究情報の共有が図られた。