経済学部では、学部の「特色ある教育」を更に充実させるため、社会(人)・企業との接点を学生に提供する授業の一環として、2023年度の「営業活動実務」(経済学部非常勤講師 村田敏也先生ご担当)において村田先生の豊富な人脈を活用したゲスト講師による講義を実施しています。
 2023年11月20日(月)、株式会社川東履物商店代表の川東宗時様(通称ムネさん)をお招きし、「川東履物商店の挑戦」が学生の皆さんの営業活動にも参考になるのではないかといことで授業をしていただきました。

 以下、村田先生にその内容(要点のみ)をご報告いただきます。


株式会社川東履物商店について

 川東履物商店が、つっかけやご近所履きとして愛されたサンダルをアップデートし「HEP」のサンダルのホームページです

川東宗時様について

 奈良県大和高田市生まれ。京都府の大学を卒業後、繊維商社で4年間勤務。のちマレーシアの企業への転職を経て2017年に地元へ帰郷した。1952年に奈良で創業した川東履物商店の4代目として、2020年にサンダルブランド「HEP」を立ち上げた。

授業の内容

やりたい気持ちがあれば、できないことはない

 奈良産で日本でもシェアの高い、つっかけや便所スリッパ(便所サンダル)、漁業従事者専用のサンダル(ギョサン)などの販売をしていたが、年々需要が激減してきたこともあり、新しく「HEP」ブランドで奈良の履物産業の復興を目指した取組の説明をしてくださいました。産業を復興させるという「私欲」と「夢」を掛け算すれば、何事もできないことはないという自らの物語を説明してくださいました。特に履物づくりの職人が激減している昨今、人手が不足しているなら自ら「やってしまえ」ということで川上から川下まので一気通貫のサプライチェーンを構築されました。

販売の戦略の基本は、いかに相手に共鳴・共感していただくか

 B2B(Business to Business)という卸の戦略とB2C(Business to Consumer)という直接お客様に販売する戦略の二つの戦略についての説明を頂きました。B2Bについては、展示会やPOP-UP店舗などにおいても、「いかにブランドのメッセージを共鳴や共感していただくことが大事なのか」、つまり「ブランディングの重要性」を訴えられていました。また、有名な企業とのコラボも増えてきているとのことで、今後は、ネット通販市場にてB2Cのビジネスを拡大させていくことも考えられています。

参考になる書籍の紹介

 奈良の中川政七商店の経営メソッドが書かれた中川淳著の『商売には「ビジョン」と「戦略」』が必要だ』を紹介して下さいました。起業や戦略に興味ある人は是非一読下さい。
 ちなみに、川東履物商店のHEPサンダルは、中川政七商店の店頭でも販売されています。

学生の皆さんの感想

 講義後に受講した学生からは、コメントや感想を頂き、川東宗時様にフィードバックしました。学生の皆さんの気づきの一部を紹介します。やりたいことがあれば行動、お客様第一主義などの学びがあったようで、学生の皆さんの行動の変化に期待しています。
  • やりたい事のためなら手段を惜しまないという精神に感動した。
  • 「あきらめる」ではなく「自分たちがやればよい」という気持ちに切り替えて行動できることが純粋にすごいと思いました。
  • 最初は配色も黒色だけしか作らないことで顧客の要望を聞くことができるという、お客様ファーストの考え方に感銘した。
  • 今回の学びは相手を納得させること。相手にどう感じさせどう行動させるかを操れることがいちばん強いと感じたので自分の状況や相手の状況を把握して何事にも取り組みたい。
  • 伝統を守りつつも、新しいものを取り入れていくことの大切さを忘れたくない。

※写真提供・文責およびグラフィックレコーディング:
 村田 敏也(阪南大学 経済学部 非常勤講師)