2024年11月4日に、本学大学院の海外提携校である広東外語外貿大学(以下、広東外大)から闫相斌(えんそうぶ)学長をはじめ5名を本学にお招きし、「2024年度阪南大学大学院国際シンポジウム」を開催しました。
今年度のシンポジウムのテーマは「ダブルディグリー人材育成の専門教育における海外大学との国際連携」です。AI時代を背景として外国語教育の方法や内容の改革が叫ばれて久しく、阪南大学と海外連携大学によるダブルディグリー学生養成課程をつうじた専門教育は重要性を増してきています。そこで広東外大との共同シンポジウムを企画し、国際ダブルディグリー人材養成のための専門教育の内容や方法について、理論的、実践的な側面から議論することを企画しました。
平山弘阪南大学学長の熱烈な歓迎のあいさつをもって開会し、闫相斌広東外大学長からはシンポジウムの盛会に向けて温かいお言葉を頂戴しました。シンポジウムは洪詩鴻教授の翻訳ならびに司会進行のもとで進みました。
基調講演として、楊暁輝(ようぎょうか)日本語語言文化学院長から、「広東外大日語言語文化学院—ダブルメジャープログラム編成と実学教育実践」と題してお話いただきました。広東外大の日本語学科ならびに2024年から始まったダブルメジャープログラムのご紹介、本学との交際交流や連携、本大学院出身者の海外での活躍の様子についてお話しいただきました。
本学大学院からは中條良美研究科長が、「外国籍大学院生に対する社会科学系授業の新展開」をテーマに講演しました。本学大学院の歴史から始まり、文系と理系の垣根を超えた教育と研究をつうじてワンランク上のキャリア形成を目指す特徴的な授業の紹介、さらには外国籍大学院生に対する社会科学系の授業およびグローバル人材の育成にむけての方向性が示されました。
つづいて周鵬(しゅうほう)国際交流部長に、「広東外国語対外貿易大学の国際交流協力—「国際交流協力PRIME」計画とグローバル人材教育」と題してご講演いただきました。とくに広東外大のPRIME計画とそのねらいについてご説明くださり、教育設備の最適化、海外学習機会の拡大、これらの実現を図る各種プロジェクトや、そこでの学生の活躍をご報告いただきました。
石井雄二名誉教授は、「社会科学系教育の指導法と国際連携の「アジア化」—中国、タイ、日本の経済学教育の比較を通して」と題して講演しました。石井名誉教授の三カ国におけるご経験をもとに、経済学教育の制度化、その中での未来志向的な教育方法、アジアを念頭においた連携の可能性についてお話しいただきました。
パネルディスカッションでは、「AIやデジタル化の時代における大学教育のあり方」と「アジアを踏まえたこれからの大学院教育のあり方」をめぐって、楊院長、中條教授、周部長、石井名誉教授の間で議論が重ねられました。それぞれの経験や専門をもとに、研究・教育の工夫、学部教育と大学院教育との接続の可能性、留学のメリットや海外との連携、これらを実現するための課題が提起され、あっというまに時間がすぎました。
会場には両校の教職員のみならず、本学大学院生さらには広東外大から本学への学部留学生も参加し、ダブルディグリーの意義について学びました。いずれの講演も研究・教育に対する熱意が込められ、かつユーモアとウィットに富んだものであり、会場はときに笑いに包まれました。
アカデミアに国境はありません。今回のシンポジウムをつうじて、両校の関係は国際的な研究・教育の発展を進める貴重な基盤になることを再認識しました。