体験型旅行プランの作成-国際観光学特講2

国際観光学部教授 小林弘二

 授業での学びの目的は、観光交流による地域活性化を目指している国内地域と、観光を学んでいる学生達が交流・連携することによって新たな発着地交流型旅行プランを開発、そして、国内外地域から観光客を誘客、地域活性化に貢献することです。
 旅行プラン作成過程で、重要なことは、地域観光資源を「観光地側」の視点と「訪問者側」の視点を交えることによって「地域観光素材」をターゲットニーズに基づいて如何に味付けすることが出来るかです。
 このような味付けの工夫が、多様な交流人口(観光客)を生み出し、観光振興による地域活性化につなげてゆくことになります。
 優秀な旅行プランは、単なる思い付きではできないものです。まず、企画の背景として、地域の観光政策や戦略の分析から始めます。次に地域の観光素材を深く探ってゆきます。世界遺産級の素材でない限り、1つの観光素材だけではなかなか集客を促すことはできません。そこで、特に誰に来てほしいのか、ターゲットを設定します。そして、ターゲットニーズを想定、地域の歴史や文化等を参考に旅のテーマを設定し、いくつかの観光素材を組み合わせ、テーマに沿ったストーリーを創造します。その際、重要なポイントとなるのは、観光客が何らかの形でストーリーに参加、体験できることです。これら一連の作業が、観光素材への味付けになります。このように、本授業の特徴は、ツアープランを企画する過程で、ターゲット設定、地域の魅力発掘、商品構成、価格設定、情報発信等、観光を含むすべてのビジネスで必要不可欠とされるマーケティング手法を実践的に身につけることができることです。また、授業では、グループ単位で企画作成に取り組むことを前提としています。プラン作成過程で、チームワークの大切さ、個人の責任感等も同時に醸成されることにもなります。
 差し詰め、コロナ禍が叫ばれている現在では、発着地共通の旅のテーマは安心・安全の確保というところでしょうか。

※関連記事