金剛山の魅力を実際に確かめ、利用可能性を探りました

 大阪府千早赤阪村との連携協力協定に基づいて実施している「金剛山活性化プロジェクト」ですが、今回は金剛山の魅力となる資源調査を実施しました。金剛山は多くのリピーターが登山する山として知られていますが、昨年10月27日に実施した来訪者アンケート調査で、リピーターの方に「金剛山のおすすめスポット」としてお答えいただいた資源を実際に確認し、金剛山の活性化に向けてどのように利用できるか調査しました。それぞれの魅力や課題などについては、プロジェクトメンバーが以下で報告します。
 調査前日に近畿地方で大雪が降ったこともあり、当日は樹氷や雪を楽しみに訪れる観光客で、ロープウェイやバス、山頂の食事場所のいずれも、長蛇の列ができるほど賑わっていました。これだけ多くの来訪者がいること自体が金剛山の魅力の1つといえますが、それらによる効果をどのように千早赤阪村に広げていくかが、これからの重要な課題といえます。今後はこれらの調査成果をまとめ、金剛山の活性化に向けた提案を行っていきます。(報告:森重昌之)

※この学生教育研究活動は阪南大学学会より補助を受けています。
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当日の活動の様子

  • 二ノ滝にて

  • 来訪者で賑わう山頂付近

  • 美しい樹氷が広がる金剛山

参加学生の報告

活性化にあたっての現実的な課題
国際観光学部4年 住田 直哉

 私たちは2月9日に金剛山にある資源の調査に行きました。その結果、金剛山を活性化するにあたって、2つの課題を見つけることができました。1つ目はアイゼンなどの装備品の貸し出し、2つ目は表示看板の改善です。
 私たちは現地に着いてから、ロープウェイで登るグループと登山道を通って山頂をめざすグループに分かれ、私は後者のグループに入りました。登山道入り口から山頂をめざすグループは、カトラ谷ルートを登る予定でしたが、冬の登山を甘くみており、アイゼンなどの装備品を持っていないメンバーがいました。そこで、登山道入り口付近の店でアイゼンを2,000円で購入し、比較的簡単なツツジオ谷ルートを登っていくことにしました。
 ツツジオ谷ルートへ入る際の目印は、ガードレールにマジックで書かれている矢印でした。山中での目印は足跡だけが頼りです。途中に丸太が3〜4本ほど架けられた橋や、くたびれたロープを掴みながら登るなど、多少危険な場所がありました。無事に山頂に辿り着き、山頂の広場に出ると、オートミールを食べている方や売店で買ったカップ麺を食べている方、持参したお弁当を食べている方が多くいました。私たちはさらに進み、香楠荘で昼食をとったのですが、当日はとても混んでいて、予約してから2時間ほど待ちました。帰りもロープウェイで下山するグループと、伏見林道を通って下山するグループに分かれました。私は後者のグループで下山しましたが、後ろからそりで降りてくる来訪者が散見されました。
 まず、1つ目の課題であるアイゼンなどの装備品の貸し出しについてですが、登山道入り口やロープウェイでアイゼンなどの装備品の貸し出しがあれば、初心者の方や登山に興味はあるが装備品を買ってまで登りたくないという方が、気軽に来て登ることができるのではないかと思います。貸し出す際は「デポジット方式」にします。借りる際に2,000円を払い、返却場所はロープウェイの山頂駅もしくは借りた場所まで戻って返却できるようにするため、2か所つくります。ロープウェイの山頂駅で返す場合は1,000円、借りた場所まで戻ってきて返却する方は1,500円が返ってきます。アイゼンをなくしたり、借りたアイゼンをそのまま持って帰ったりした方は、借りる際に支払った2,000円が返ってこないというしくみです。基本的に、しっかりと装備をしている方がほとんどですが、もっと登山の敷居を低くし、若年層や少し登山に興味を持っている方をターゲットにするためには、アイゼンの貸し出しが必要ではないかと思います。
 2つ目の課題は、表示看板の見づらさです。ロープを持って登ったり、危ない橋を渡ったり、看板がない場所を進んで行ったりするのは、道なき道を進んでいる感じがして、これこそが非日常を体験できる登山の醍醐味ではないかと思います。しかし、ガードレールにマジックで書いたり、木の幹に山頂の方向を書いたりするくらいであれば、しっかりとした表示看板をつくってもいいのではないかと考えました。

きれいな樹氷と初心者でも楽しめる工夫が必要だと感じた1日
国際観光学部3年 浦上 絵梨香

 2月9日に金剛山へ現地調査に行きました。前回のアンケート調査で教えていただいたおすすめスポットを中心に調査しました。
 当日は、樹氷を見るためにたくさんの人が訪れていて、河内長野駅で南海バスを乗るのに20分ほど並び、バスも満員でした。金剛山は前日から降っていた雪が積もっていて、一面真っ白でした。大阪でこれほどたくさんの雪が降るのは珍しかったですが、木に雪が積もり、山が真っ白になっている様子を初めて見て、「大阪ではないみたいだ」と思いました。そして、ロープウェイに乗って「ちはや園地」に向かいました。ロープウェイ乗り場は親子連れが多く、来訪者はそりを持っていて雪遊びに来たようでした。それに、ペット連れの来訪者もいました。ちはや園地でも親子連れがたくさんいて、そりや雪合戦をするなどして、雪遊びを楽しんでいました。昨年、ちはや園地を訪れた時は人があまりおらず、遊具だけが置かれている印象でしたが、今回は小さな山になったところからそりで滑るために順番待ちをしている人が見られました。遊具のアスレチックにも雪が積もっていて、階段や丸太の隙間にも雪が積もり、滑りやすい状態になっていたので、少し危ないと思いました。これほど雪が降ることは珍しいかもしれませんが、何か対策があった方がよいかもしれません。
 今後の金剛山には、初めての来訪者に向けた用意が必要であると感じました。そりや雪玉をつくる道具は持参している人が多かったです。山頂へ向かう途中でも販売していましたが、遠方から訪れる人や公共交通機関を利用する人は持参しにくいと思われます。樹氷を見るためにハイキングに来た親子など、別の目的で来た方がそり遊びをするためにも、これらの道具をレンタルができたらよいと思います。
 同じようにアイゼンもレンタルできるようにした方が良いと思いました。私たちのメンバーはアイゼンを持っている人がほとんどおらず、山頂まで向かうにはアイゼンを買わなくてはなりませんでした。頻繁に登山される方がほとんどであることと、アイゼンを持ち帰ってしまう可能性があるため、現在はレンタルされてないようですが、初心者でも気軽に登ることができる山ですので、アイゼンのレンタルがあると良いと思います。たくさんある登山口のどこで借りてもどこで返しても良いようにし、持ち帰り防止のために、借りる際に保険として1,000円を預け、きちんと返却された場合にはその1,000円が返ってくるといったシステムをつくる必要があると思いました。
 関西圏から近く、気軽に登ることができ、貴重な樹氷が見られるのは金剛山だけです。この貴重な資源を活かすためにも必要な制度だと思います。アイゼンを持っていないという理由で登山ができないのはもったいないと感じました。

金剛山の新たな魅力を知ることができた
国際観光学部3年 増森 千絵

 2月9日、私たちは金剛山でフィールド調査を行いました。今回の調査目的は、私たちが金剛山の活性化において提案した、ビアマウンテン&カフェに適した場所があるかどうか確認することでした。そもそも2月の最も寒い時期に金剛山で調査を行うことは初めてでしたので、冬の金剛山の名物である「樹氷」を見ることをずっと楽しみにしていました。
 この日、私たちは「ツツジ尾谷コース」で調査を行いました。しかし、このコースを登る前から、他の登山客に「ツツジ尾谷コースは初心者にはとても危ないコースだよ」と言われていました。また、今回の調査の事前準備として「ツツジ尾谷と周辺の滝に」ついて調べていた際も、「ツツジ尾谷は地面が特に急斜面で、足元には注意しなくてはいけない」という言葉ばかり見かけました。私は事前に調べた情報から、一体どれほど危ない道が続くのか、まったく想像することができませんでした。そして、実際に登ってみると、やはり事前に調べた情報と同様、足元にたくさんの木が倒れていたり、狭い道のすぐ真下に滝があったりと、なかなか危険で過酷な道が多かったように感じました。登り始めた頃は、私たちもツツジ尾谷で見られる景色や自然を楽しみながら登っていましたが、山頂近くになるにつれて険しい道も多くなっていき、しんどい、疲れたなどと弱音ばかり吐いてしまうほど、初心者には大変厳しいコースでした。
 しかし、今回の調査を通して、私は次の2点に気づきました。まず、金剛山ですれ違う登山客の方々はいつも元気そうで、冬の金剛山に登ることを心から楽しんでいるように感じたことです。ほとんどの登山客が私たちよりも年齢が高かったにもかかわらず、ほとんどの方がいきいきとした表情で登っており、とても体力のある方が多かったように感じました。次に金剛山の冬の魅力についてです。私は山頂近くのブナ林が広がっている場所から眺めた雪景色にとても感動しました。見渡す限りの真っ白な世界で、ひとつひとつの木々に樹氷ができており、まるで絵の中の世界にいるようでした。いつの間にか、登山調査を行っていたメンバーのほとんどが夢中で写真を撮っていました。ここで、私は前回の調査で金剛山に訪れた時とはまったく異なる、金剛山の自然の魅力を肌で感じることができました。今後、金剛山で調査を行う際には、今回とは異なる新たな金剛山の魅力に出会いたいと思いました。そして、今回の調査を通して学んだことを踏まえ、普段着ではなくしっかりと登山にふさわしい服装で調査を行おうと思いました。

気軽に樹氷が楽しめる金剛山
国際観光学部3年 小山 明日香

 私たち金剛山活性化プロジェクトでは、2月9日に2度目の登山調査を行いました。前日から今年最大の雪となり、当日の金剛山もアイゼンがなければ登れないほど、雪が積もっていました。また、日曜日だったこともあり、臨時バスが出るほど多くの人が訪れていて、樹氷やそり遊びを楽しんでいる様子でした。
 私たちは河内長野駅から南海バスに乗り、金剛山登山口で下車、豆腐のまつまさの隣の登山口からカトラ谷・ツツジ尾谷・腰折滝・一の滝・二の滝を見て、約3時間かけて山頂に行きました。
 冬の金剛山の魅力は、大阪ではなかなか見ることのできない樹氷です。デジタル大辞林によると、樹氷とは、水蒸気や霧が氷点下に冷やされ、樹枝などに衝突した際にできるものを主として、地表付近の気温が0℃以下となった時に、樹木や地物の表面に待機中の水蒸気が直接昇華したり、また過冷却雲粒が付着し凍結してできたりとった行為を繰り返すことでできるものだそうです。その氷を総称して霧氷といいますが、氷のでき方によって、名称が樹霜・樹氷・粗氷の3種類に分けられるとのことです。金剛山では、大阪などの近畿圏からでも気軽に樹氷を楽しむことのできるスポットで、山頂や展望台・ロープウェイなどから綺麗な景色を眺めることができます。特に山頂付近では樹氷のトンネルや、どこから風が吹いてきたかわかるほど多くの氷が付いた樹氷などを近くで見ることができます。
 今回のルートは、前回のアンケート調査で多くの方がおすすめスポットとして名前を上げていたカトラ谷・ツツジ尾谷を周る自然を身近に感じられるコースで、川を渡ったり、ロープを使って急斜面を登ったりと、多少危ない場所もありましたが、凍った滝など今まで見たことのないような景色を見ることができました。しかし、急斜面を登る際に使うロープが氷で覆われていて滑りやすくなっていた点など、危険に感じるところも見られました。また、特にコース順を示す目立った看板もなく、事前にインターネットなどで調べないとコース通りに山頂へ行けない可能性があるように感じました。実際に私たちも初め、足跡だけをたどって登山していたところ、道なき道に迷い込み、他の登山者に道を教えていただいたおかげで、無事に山頂までたどり着くことができましたが、改善していかなければならない点であると痛感しました。1回目の登山調査の時から道順を表す看板などの目印がないことが問題となっていたので、今後改善策を考えていきたいと思います。
 今回は、今の時期しか楽しむことのできない冬の金剛山を訪れることができ、本当に良かったです。この魅力をもっと多くの人に伝え、訪れていただけるように考えていきたいです。

千早赤阪村の観光地化に可能性を感じた冬の金剛山
国際観光学部3年 水野 巧基(プロジェクトリーダー)

 昨年10月に実施した金剛山でのアンケート調査の結果を踏まえて、2月9日(日)に金剛山の資源調査を実施しました。今回は、前回のアンケート調査で「金剛山のおすすめスポット」と回答していただいた資源を視察しました。前回のアンケート調査の分析を経て、金剛山を活性化するには観光目的で登山してもらう必要があると考えたので、金剛山にはどのような資源が観光資源になり得るのかを意識して視察しました。
 当日の金剛山は前日の降雪で雪山へと姿を変え、樹氷がとても印象的でした。樹氷を見るために多くの観光客で賑わっており、カウントはしていませんが、前回のアンケート調査でカウントした2,000人をはるかに上回る人が登山をされていました。私はカトラ谷コースを、アイゼンを付けて登山しました。山頂に到着するまでは、3時間ほどかかりました。私はあまり自然鑑賞には関心がなく、歴史資源や寺社仏閣をめぐることが多いのですが、実際に登山をして目にする樹氷や景観には感動しました。また、この樹氷や雪山へと姿を変えた金剛山から見る景観は、観光資源としても価値があると感じました。
 山頂付近では、ウェブカメラが設置されており、リアルタイムで自分たちを見ることができ、多くのメンバーが喜んでいました。このウェブカメラを、天候を知らせるためのツールとしてだけでなく、観光客向けに使うことができればおもしろいのではないかと感じました。また、山頂付近では多くの方が集まっており、カレーなどを自炊されている方もおられました。登山客同士がコミュニケーションをとるようなイベントやしくみを考えることもおもしろいのではないかと感じました。登山している際や山頂付近でも、多くの団体や家族で賑わい、写真を撮る姿を目にして、冬の金剛山は観光目的で登山される方が多いと実感しました。しかし、香楠荘などの飲食店は多くの人で溢れかえっており、十分な受け入れ態勢が整っていないのではないかと感じました。
 金剛山を活性化させるには、観光目的で来訪する登山客を増やすことが重要であり、そのためには観光客を受け入れるための飲食店やサービス、イベントが必要になってくると考えます。私たちの提案内容であるビアマウンテンの開催や山カフェの設置もこれにあたります。また、観光客にリピートしていただき、持続的な観光をめざすにあたって、観光施設の強化だけでなく、前回の千早赤坂村との連携協議会で提案させていただいた、リピーターによる観光ガイドを実施することも重要になってくると考えます。初めて金剛山に来訪される方が、リピーターの登山客に気軽に話しかけることができるしくみをつくることによって、金剛山だけでなく、金剛山にいる人びとの魅力が伝わると思います。観光をする際に、自然鑑賞や食だけでなく、現地で知らない人と話すことによって、その観光地の魅力が向上するのではないかと考えているので、リピーターによる観光ガイドの実現に向けて、提案内容を充実させていきたいと感じました。また、今回の視察を実施して、冬の金剛山は十分に観光価値が高く、集客力があることがわかりました。金剛山を活性化させるには、冬だけでなく一年を通して観光目的で登山する方を増やす必要があると考えているので、季節ごとに取り組みを提案するのも良いかもしれないと感じました。

冬の登山の安全性
国際観光学部3年 白野 紘平

 昨年10月に実施した来訪者へのアンケート調査をもとに、冬の金剛山で資源調査を行いました。今回は、森重先生と当初からのメンバー15名、新規メンバー2名の計18名で調査を行いました。当日は、アンケート調査で回答していただいた「おすすめのスポット」を1つひとつ確認しながら山頂をめざす予定でした。しかし、前日の大雪により、アイゼンなしで登山することが危険という判断から、2グループに分かれて登頂することになりました。登山コースから登頂するグループはアイゼンを購入し、山頂をめざしました、もう片方のグループはロープウェイを利用し、ロープウェイ付近の資源調査をすることになりました。
 私は、前者の班を選びました。実際にコースを登っていると、足元をすくわれそうになる場所が多く見受けられ、アイゼンの必要性を感じました。山頂付近に近づくにつれて木や草が凍りはじめ、綺麗な樹氷となっていきました。樹氷とは、主に地表付近の気温が0℃以下になったとき、氷の結晶が植物に衝突し、凍る現象のことです。樹氷や滝などの資源を確認しながら山頂に到着すると、既に多くの登山客が登頂されていました。山頂付近の資源を確認し、もう1つのグループと合流するため、山頂から少し離れた香楠荘という宿泊施設に移動しました。香楠荘に向かう途中、ダイヤモンドトレールの道と合流しました。ダイヤモンドトレールとは、大阪府によって整備され、大阪府、奈良県、和歌山県にまたがる総延長45kmの自然歩道です。ダイヤモンドトレールは、秋になると大阪府山岳連盟が開催する「縦走大会」というイベントが行われます。このイベントは会員の足試しとして、何十年も続く伝統的なイベントとなっています。そのダイヤモンドトレールの一部に金剛山が含まれています。ダイヤモンドトレールは綺麗に整備されているため、危険な所は少なく安全に通ることができました。
 今回の調査を通して、コースがあまり整備されていないことが気になりました。整備されていないということは、自然のままに残っているということで、景観を損なわないという利点がありますが、山頂までの標識がわかりにくかったり、足場の悪いところが多かったりすることから、遭難者や負傷者を出す危険性があるように思いました。コースの一部には、ロープでつくられた補助や階段などがありましたが、それでも足場が悪くなっていました。そのため、もう少し人の手によって、景観が損なわれない程度の整備をする必要があるのではないでしょうか。登山客が安全に楽しく山を登ることを前提に、美しい景観を残すか、登山客ではなく景観を大切にするかどちらが金剛山にとって良いことなのか、考える必要があると感じました。

ファミリー層が楽しめる金剛山
国際観光学部2年 小関 祐佳

 今回から金剛山活性化プロジェクトに参加した私は、金剛山の現状調査のため、2月9日に初めて金剛山を訪れました。当初は河内長野駅からバスに乗って登山口へ向かい、登山口からカトラ谷コースで登る予定だったのですが、雪が多く道が険しいため、アイゼンを購入して当初の予定通りカトラ谷コースを登るグループと、ロープウェイに乗るグループに分かれました。私はロープウェイグループになり、登山口から約2〜3?歩いてロープウェイ乗り場へ向かいました。
 金剛山ロープウェイは千早赤阪村営で、料金は片道大人(中学生以上)700円、小人(小学生)350円(往復大人1,300円、小人650円)で、昭和41年4月に開通しました。全長1,323m、高低差267m、運転速度は毎秒5mで、標高975mの金剛山駅まで、わずか6分で到着します。私たちが調査を行った日は多くの家族連れで賑わっており、中には犬を連れている人もいました。ロープウェイに乗ると、人が多いこともあって多少窮屈ではありましたが、窓から見える雪景色はとても美しく、わりと低い位置まで窓があり、背の低い子どもたちも大変楽しそうに景色を眺めていました。ファミリー層が多く利用するロープウェイだからこそ、大人だけでなく子どもも楽しめるのは大きな魅力ではないかと思います。金剛山駅に到着すると、下で見た景色とはまったくの別物で、どこを見回しても一面雪景色でした。宿で食事もできる香楠荘を通り過ぎると一気に視界が開け、雪化粧をした木々や澄んだ空が出迎えてくれました。ここで記念撮影をしている人も多く、私たちも記念撮影をしました。
 ソリや雪玉をつくるおもちゃを持った子どもたちは、「ちはや園地」でめいっぱい遊んでいました。ちはや園地は都心よりも約6℃気温が低く、夏は避暑、秋は紅葉、今回訪れた冬は樹氷や雪遊びができ、1年を通して楽しむことができます。また、バーベキュー場やキャンプ場でのアウトドア活動のほかに、隣接している「星と自然のミュージアム」では天体観測や自然学習ができます。
 ちはや園地から少し歩いたところにある展望台は前日の大雪の影響か、階段や手すりが凍っていて、登るのが危険でした。大人の私で危険を感じるので、子どもはもっと危険だと思います。自然が相手なので難しいでしょうが、ファミリー層が多く訪れるため、改善策が必要ではないでしょうか。しかし、景色はとても美しく、この日は天気が良かったので、大阪湾まではっきりと見渡すことができました。
 今回初めて金剛山に訪れて、山登りを楽しむ年配層やロープウェイで登ってバーベキューやキャンプ、雪遊びを楽しむファミリー層など、これほどにも家族連れが多いことに非常に驚きました。金剛山の自然を維持しつつ、それぞれに合う環境づくりをしていくことで、さらに幅広い客層を獲得し、金剛山活性化につながると私は考えます。

季節ごとに異なる魅力を持つカトラ谷
国際観光学部2年 福崎 美帆

 大阪府千早赤阪村にある金剛山は、雪が降り積もり、樹氷を見ることのできる2月に最も観光客が訪れます。毎日のように登山を行う常連の方もいれば、遠方から樹氷や雪を楽しむために訪れる方もおり、目的はさまざまです。私たちは2月9日に冬の金剛山を知るために登山を行いました。登山当日は前日から降り続いた雪が解けずに残っている状態で、ふもとにも5cmほどの雪が積もっていました。
 カトラ谷ルートは沢を登るルートです。季節ごとに異なる豊かな自然の中を登山することができる点が人気の1つであり、風景が大きく変わることが魅力になっています。登山道の途中には「カトラの水場」と呼ばれる水場があり、岩の間から水が湧いています。水場付近でタカハタ谷への分岐点があります。春はさまざまな種類の植物が楽しめることから、「花のカトラ谷」とも呼ばれています。特にニリンソウ畑が有名で、写真を撮るために毎年訪れる方もいます。コースの途中には小さな滝があり、沢登りコースとしても満喫することができます。急な斜面や細い道にはロープやはしごが設置されており、補助として使いながらちょっとしたアスレチック気分を味わって登山できます。春から秋にかけて登山を行うならば、初心者でも最適なコースです。ところが冬になると、雪が解けずに残って固い雪となり、滑って沢へ滑落するといった危険性が増すので、急激に登山のレベルが上がります。岩がむき出しの場所も多いため、安全に注意しながら登山をしなくてはいけません。冬場のカトラ谷コースは中級者向けになっています。しかし、雪山登山に関する基本的な知識と装備を持っていれば問題ないコースです。本格的な雪山登山を行う前に、金剛山で練習する人もいるそうです。
 昨年秋にアンケート調査を行い、アンケート対象者に各自が思うおすすめの場所を教えていただいたところ、カトラ谷をおすすめされた方が多くいらっしゃったので、カトラ谷コースに沿って登山をする予定でした。しかし、前日から残っていた雪の影響もあり、コースがわかりにくくなっていたため、別のルートに沿って頂上をめざすことになりました。基本的に山道にはコースの表記などがされていないので、まったく道を知らない素人だけでは危険だと思いました。特に、冬山は自然の影響を受け、ネットなどで調べた知識と見た目の風景が変わってしまいます。足元も滑りやすくなるため、細心の注意と事前準備が欠かせないと思いました。今回は通ることができなかったカトラ谷ルートですが、夏にもう一度挑戦したいと思います。

雪山の魅力と資源を知る重要性
国際観光学部2年 森本 貴仁

 今回は冬の金剛山の魅力を探る目的で、2013年2月9日に金剛山に調査に行きました。
 金剛山に登る前の事前会議では、一人ひとりに金剛山の観光資源の担当を振り分け、事前に概要を調べてくることとなっていました。私が担当したのは葛木神社で、金剛山の山頂付近にあり、古事記や日本書紀に出てくる「一言主」(ひとことぬし)を祭る神社です。
 調査当日は、日本各地を爆弾低気圧が遅い、各地で積雪を記録した時期のすぐ後であったため、金剛山は一面雪に覆われており、当初想定していたよりも登山が困難な状況になっていました。昨年3月にも同様の調査を行ったのですが、私は参加しておらず、今回が初めての参加になりました。
 私たちが今回登るコースはカトラ谷コースといい、金剛山の数あるコースの中でも険しいといわれているコースの1つです。そのため現地の人によると、この日のように雪が積もっている時に登山をする場合はアイゼンが必須であると教えていただきました。そこで私たちはアイゼンを購入して当初の予定通り調査をするグループと、ロープウェイで山頂へ上がるグループの二手に分かれることにしました。私は冬の登山というものを一度体験してみたかったので、山へ入ることにしました。
 カトラ谷コースは、人ひとりしか通れないような細い道、ロープを使わないと登れない険しい段差などで構成されており、登山初心者の私にとっては苦しい道中になりました。もちろん雪の影響も多大にありました。しかしが、その雪のお蔭で景色は幻想的で、見るものを魅了する力があると私は感じました。また、雪景色以外にも雪に浮かぶ滝や辺り一面に見える樹氷など、冬の金剛山を満喫できたと思います。
 苦難の末にカトラ谷コースを踏破し、私の担当であった葛木神社へと足を運びました。事前に調べていた内容では、創祀年代は不詳ですが、「葛木家系譜略」には山神・山主権現社とあり、弘和元年(1472)再興、文明4年に焼亡し、翌5年に再建したと記されています。貝原益軒の『南遊紀行』に、「絶頂には葛城の信者あり、一言主といふ」とあります。現在は金剛山守護神の葛城38社を合祀しており、今も葛城家が祭祀をしているとのことです。また、景光銘の太刀(県指定文化財)が貯蔵されています。
 他にも古事記では、天皇と一言主が邂逅した場所であると記されており、その時の天皇の問いかけに対して、「吾は悪事も一言、善事も一言、言い離つ神、葛城の一言主の大神なりと答える。大神が名乗ると天皇は畏敬して、帰途には見送った」ことが書かれています。この一言主は葛城氏の先祖神であると思われますが、この時点での天皇と葛城氏の力関係を示しているものとも取れます。
 私は普段、神社などはどれも同じように見えてしまい、あまり関心がないのですが、歴史的背景を知識として蓄えていたことで、実際に訪れた時には、ありふれた神社の1つとして素通りするのではなく、その時代の情景を思い浮かべることができ、葛木神社の放つ独特な雰囲気を肌身で感じました。
 今回の金剛山への調査を通して、雪山の厳しさを体感しましたが、厳しさ以上に得るものがあると私は考えます。それは景色であったり、山の中という非日常な空間であったりと、人によりさまざまだと思います。また、観光資源についての知識を持っているかどうかで資源に価値を見出せるかに大きな差が表れると今回の経験を通して感じたので、これからの活動では登山の魅力や観光資源の知識を広く伝える手段を模索して活性化につなげていきたいと思います。

たくさんの登山者で賑わっていた山頂と香楠荘
国際観光学部2年 上垣 彩夏

 登山歴がほぼ初心者の私たちが当日に選択したコースは、初心者向けのコースではなく、熟練者向けのコースでした。そこで、滑り止めの役割を果たすアイゼンを装着して熟練者コースを登るグループと、ロープウェイで登るグループに分かれることになり、私は前者のグループになりました。
 コースの序盤は比較的楽に登ることができましたが、途中から整備された道というより、登山者が歩くことでできた、縦一列にならないと通ることのできない「けもの道」のようになっていきました。斜面の角度も結構きつく、最初は歌を歌いながら楽しんで登っていた私も、途中から会話をすることが辛くなるほど、息を切らしてしまいました。登っている途中は上着がいらないほど暑かったのですが、中腹あたりの尾根に出ると、雪で濡れた髪が凍りつくほど寒くなり、本当に大変な道のりでした。
 そのような大変な思いをしながら約3時間半、やっと登った山頂では、たくさんの登山客がお湯を沸かし、カップラーメンやカレーライスを食べて休憩していました。私たちもそうでしたが、中には険しい道を登り切った達成感を感じている人もいたと思います。また、山頂の様子を映しているライブカメラがあったり、かまくらの前でたくさんの登山者が記念撮影をしていたりと、山頂は賑わっている様子でした。
 その後、香楠荘に移動しましたが、そこでは多くの人が食事を楽しんでいました。以前、平日に訪れた時には、お客様は私たちだけだったのですが、さすが休日となると混雑しており、料理が運ばれてくるまで時間がかかるという状況でした。壁にはフォトコンテスト作品である四季折々の金剛山の写真が飾られており、どれもきれいな写真ばかりでした。このフォトコンテストは、これからも続けていくとよいと、印象に残った取り組みです。
 香楠荘には宿泊施設もありますが、あまり新規の登山者には認知されていないのだろうなという印象を受けました。家族連れは目の前のミュージアムやちはや園地で雪遊びをして遊んでいました。香楠荘に泊まることで、普段見ることのできない夜の金剛山を楽しむことができるので、もっと香楠荘の宿泊設備をアピールできればよいと考えました。登山自体は初心者の私には辛く、途中で何回もくじけそうになりましたが、3時間半をかけて山頂にたどり着いた時の達成感は忘れないと思います。この気持ちに年齢や性別は関係ないと思うので、さまざまな年代、特に若い人に金剛山に来てもらい、この達成感を味わってもらいたいと感じた1日でした。

金剛山でお金を落としてもらうためには
国際観光学部2年 谷口 真帆

 2月9日(日)に金剛山で調査を行いました。今回は、昨年10月に行ったアンケート調査で登山客から回答していただいた「金剛山のおすすめスポット」を確認してきました。また、ビアマウンテンや山カフェを実施する際に、適した場所があるのかどうかという確認も行いました。
 「金剛山のおすすめスポット」はツツジ尾谷や国見城跡、ダイヤモンドトレールなど、たくさんの場所があげられており、その中から特に回答の多かったスポットの11箇所を中心に周ることにしました。当日は河内長野駅に9時半に集合し、南海バスを利用して金剛山へ向かいました。前日まで大雪だったこともあり、大阪ではなかなか見ることのできない雪景色を見ようと、金剛山行きのバス停はたくさんの登山客で大行列ができていました。数日前から金剛山のホームページで積雪情報を確認していましたが、2月9日(日)は積雪15cm、アイゼン必要とのことでした。私たちの計画した登山ルートは、カトラ谷コースで山頂まで登り、香楠荘で昼食をとり、ロープウェイで下山するというものでしたが、私たちはアイゼンを持っていなかったので、アイゼンを購入して計画通りのルートで登山するチームと、ロープウェイで上る2つのチームに分かれ、調査を行うことにしました。
 私はロープウェイのチームになり、香楠荘、ちはや園地、展望台、妙見谷のスポットを確認して回りました。ちはや園地は、小さい子ども連れの家族がたくさん訪れており、そり滑りや雪遊びをして楽しむ姿が見受けられました。また、登山客の方も休憩に一服しており、ちはや園地は憩いの場となってとても賑わっていました。しかし、雪遊びや自然観賞、健康のための登山はすべてタダでできるものであり、たんに美しい自然があるだけでは地域にお金は落ちないと思います。だからといって、利用料をとるという方法も違うと思います。金剛山に観光目的で来訪し、お金を落としてもらうためには、商品となるものが必要であると感じました。
 現段階で私たちが考えている商品は、ビアマウンテンや山カフェ、名物づくりですが、これらが正解かどうかはわかりません。また、今回実際歩いて確かめた「おすすめスポット」も価値のある商品となる可能性があります。今回の調査で気づいた点などを大学へ持ち帰り、プロジェクトメンバーでまた話し合いを進めていきたいと思います。金剛山が気軽に行けるレジャースポットで、また訪れたいと思ってもらえるような場所にすることが第一条件で、結果的にお金を落としてもらい、収益につながるような商品を提案したいです。

冬の金剛山の可能性
国際観光学部2年 小石川 幸福(プロジェクト・サブリーダー)

 数回の事前会議を踏まえて、冬の金剛山を登山しました。私自身、金剛山を訪れたのはアンケート調査時に次いで2回目ですが、山頂への登山は初めてでした。行きは長靴にアイゼンをつけて山頂まで登り、下山時はロープウェイを利用しました。その中でも特に印象に残っている山頂と香楠荘の様子について考察したいと思います。そして、最後に冬の金剛山活性化の可能性について述べます。
 まず山頂についてです。簡潔に言うと、多くの観光客で大盛況でした。事前会議での印象などでは、個人的に良い想像はしていなかったのですが、それは観光客の人数という点で見れば覆されました。加えて、山頂からの雪景色も素晴らしく、大阪では珍しい雪と触れ合える観光地として、とても魅力的で価値のある場所ということを、身を持って感じることができました。改善点を1点あげると、雪山グッズのレンタルを充実すべきだと考えます。山頂のロープウェイ乗降場ではアイゼンとそりをレンタルしていたのですが、伝える媒体があまりに少なく、私たち学生にも伝わりにくいと感じました。デポジットなどのレンタルのしくみを柔軟性のあるものにすれば、私たち学生のような初心者が買うほどではないと判断するものでも、レンタルというしくみを広く伝えることによって、多くの観光客が楽しめる時間がより長くなると感じました。
 次は香楠荘についてです。香楠荘は山頂に唯一ある宿泊施設であり、千早赤阪村が管理しています。宿泊施設に加えて、金剛山の湧水を使用した古代ひのき風呂やサウナ、会議場、食堂(蕎麦坊)などがあります。ここでは宿泊、日帰り(弁当・入浴・ロープウェイ半額付)、入浴(日帰り)プランの3種類が用意されています。今回は香楠荘の食堂を遅めの昼食として、午後3時頃に利用しました。食堂は遅い時間にもかかわらず大盛況でした。前回登山時に利用した学生の話では、お客様は少なかったと聞いていたので、驚きの結果でした。50人強が収容可能な空間が人いっぱいで、店員の方も精一杯の対応をしている様子でした。ご年配の方や特に家族連れが多く、下山までの休憩場所として利用している様子でした。20分ほど登ったところにある山頂では、インスタントラーメンやおにぎりを販売していましたが、休憩用のベンチの多くが雪に覆われていたり、座る場所が凍っていたりするなど、不便さを感じました。メニューの価格も1,000円程度とリーズナブルで、ゆっくりと山頂で休憩したいご年配の方や家族連れには、香楠荘が1つの選択肢として支持されると思いました。
 改善点を2点ほどあげると、多言語表記と香楠荘での入浴利用の可能性について言及したいと思います。1つ目の多言語表記についてですが、山頂の景色の素晴らしさからもわかるように、今後は外国人観光客も視野に入れることができると感じました。それについての詳しい言及は控えますが、香楠荘の店員の外国語指導または最低でもメニューの多言語表記が必要だと感じました。メニューはご飯ものや麺類が中心で、外国人観光客にも好まれると考えられます。残念ながら、今回の調査では外国人観光客はあまり見受けられませんでしたが、東アジアのビザ緩和の潮流や国の目標である2020年までに訪日外国人観光客2000万人を考えれば、早急な改善の必要と思いました。もう1つの入浴利用の可能性ですが、個人的な学生目線では、恐らく利用しないと思われます。なぜなら下山することを考えると、入浴後に再び汗をかいて不快に感じたり、気温差のために風邪を引いたりする可能性があるからです。事前会議での調査では、山頂付近での入浴はさぞかし気持ち良いだろうと思っていたのですが、身をもって感じたのが否でした。今回どれくらいの方々が利用していたかはわかりませんでしたが、入浴料金(大人500円・小人250円)を考えると、外国人観光客には十分に可能性があると考えます。従って、より多くの日本人または外国人観光客に利用してほしいならば、価格やプランの見直し、そして上記にも述べた多言語表記の充実を図る必要があると思いました。
 最後に冬の金剛山活性化の可能性についてですが、観光客の人数または年代面に見れば、すでに活性化していたと思います。私自身の予想と現場の様子は異なりましたが、体験登山を経験すれば納得のいく結果だと思います。これからは上記に述べた外国人観光客を踏まえての展望を一緒に考える必要があると感じました。

季節によって変化する観光資源の活用の難しさ
国際観光学部2年 山本 歩

 2月9日(日)、2回目の金剛山の現地調査を行いました。今回、金剛山の現地調査を行った目的は、昨年の11月に金剛山の来訪者に対して行ったアンケート調査の中に、「あなたがお勧めしたい、金剛山のスポットがありますか?」という質問があり、回答が多かった金剛山の観光資源をプロジェクトメンバーで視察することです。そして、リピーターの他に新たな来訪者に、金剛山の魅力を伝えることも含まれています。金剛山の現地調査日は積雪のため、ツツジ尾谷ルートを巡り、ブナ林や葛木神社などを調査するグループと、ロープウェイを利用して金剛山上にある千早園地や香楠荘などを調査するグループに分かれました。私は、今回の金剛山の現地調査で巡ったツツジオ谷ルートにある二ノ滝を紹介したいと思います。
 ツツジ尾谷にある二ノ滝は、千早赤坂村観光協会が作成している「千早赤坂村を楽しく歩こう! Mt.Kongo Walking Map」には記載されていませんでした。山中なので、特に標識がなく、雪道で先に登山をされた方の足跡を頼りに、二ノ滝に辿り着くことができました。金剛山をよく登るリピーターでないと、二ノ滝を見逃してしまうのではないかと思います。二ノ滝に辿り着くまで、不安定な丸太の橋や樹木が倒壊して登山ルートに支障を与えている場所が見受けられました。また、急な斜面では木と木の間にロープが張られ、ロープを頼りに登山をしました。私たちが調査した日は気温が低かったため、ロープの周りに氷が付き、素手でロープを持っていると滑る危険性があると思いました。ツツジ尾谷ルートの途中で、足の踏み場が悪かったのか転落している方がいらっしゃいました。積雪のため、地面の状態が把握できないことや足の踏み場が狭いことなど、危険が重なっていたことが原因だと考えられます。一方、登山ならではの登山者間のコミュニケーションをとることができました。ツツジ尾谷ルートを歩いている時に、すれ違う登山者の方と短い会話をしました。お互いが歩いてきたルートの状況を簡単に説明したり、頂上まで辿り着く時間を教えていただいたり、看板やルートがない代わりに登山者とコミュニケーションがとることができる環境は、山ならではだと感じました。
 昨年3月に、一度金剛山の現地調査を行いました。今回は、一度目の現地調査とは違った金剛山の景色や登山者の様子を見ることができました。現在、私たち金剛山活性化プロジェクトでは、リピーターの他に家族連れを新たな来訪者として考えています。しかし、今回の現地調査を行って、少し難しいのではないかと思いました。登山は安全が第一であり、危険が伴うようなことは、登山者はもちろん、家族連れにとっても回避したいことです。家族連れが安全に配慮しながら山の魅力を知ることができる範囲は、限られているのではないかと思いました。

金剛山の魅力を生かすための課題
国際観光学部1年 上江洲 清輝

 2月9日、金剛山にてフィールドワークを行いました。金剛山とは、大阪府千早赤阪村と奈良県御所市との府県境にある山です。大阪府の最高地点である1,056mを有し、標高は1,125mで、二上山や葛城山の連なる金剛山地の主峰です。現在、実際の山頂は葛木神社の神域となっており、立ち入ることはできませんが、一般に山頂と言われているところは、実際の山頂より少し低い位置にあり、売店や広場などがあります。観光スポットとして人気が高く、週末に観光を兼ねてハイキング登山に来られる方や、朝の出勤前、夕刻の退勤後に、毎日欠かさず登山をするという人も多いそうです。
 今回のルートは、南海高野線の河内長野駅から南海バスに乗り換え、金剛登山口で降車しました。その後、徒歩で金剛山ロープウェイ前に行き、ロープウェイに乗って山頂に上がり、ちはや園地、ちはや星と自然のミュージアムを見学しました。その後、香楠荘で食事をとり、展望台を見学し、アイゼンをつけて伏見林道を通って下山しました。その中でも、ちはや園地と香楠荘についてまとめました。
 ちはや園地は、大阪府内で最も高い、標高1,050m付近に位置しています。都心の温度よりも6度ほど低く、夏は避暑、秋には紅葉、冬には樹氷と雪遊びなど、四季を通じて楽しめる魅力があります。当日は、子ども連れのお客様が多く、そりを使って園地で遊ぶ人がたくさん見られました。しかし、そりは貸し出しをされておらず、購入して遊ぶというしくみになっていました。自家用車で訪れる人にはあまり不便ではないかもしれませんが、公共交通機関で訪れる人がそりを持って訪れるには不便ではないかと思いました。そこで、そりの貸し出しをすることがお客様のために必要ではないかと考えました。また、ロッカールームを設置し、荷物が多い人でも楽しめるようにしてはどうかとも思いました。
 香楠荘は、千早赤坂村が経営している和室、洋室を完備した宿泊施設です。また、会議場やサウナ付の古代ひのき風呂、食堂の蕎路坊が併設されています。食堂の蕎路坊では、金剛山の湧き水を使ったこしのある自家製そばがおすすめのようです。ロビーには、ソファーや漫画、新聞、子ども向けのおもちゃや自由帳がありました。山の自由帳には、多くの老若男女の「金剛山ありがとう」という文字が記されており、金剛山が多くの観光者に親しまれていることを実感しました。
 今回のフィールドワークを通し、金剛山が1年を通して、さまざまな季節を感じながら遊べることや、利用者に親しまれていることがわかりました。今後、家族連れや登山客以外の客層が訪れるにはどのような工夫が必要であるか、気になりました。