離島をフィールドワークする(2)−観光実習I(国内)
沖縄県小浜島で移住者に聞き取り調査を行いました
今年度の「観光実習I(国内)」は、離島の人口減少に歯止めをかけ、移住者を増やしていくための取り組みを考えることをテーマにしています。7月の小豆島での調査に続き、9月8日から5日間、沖縄県竹富町の小浜島を訪問し、移住者に聞き取り調査を行いました。
最初は移住者のお宅を訪ねることに躊躇を感じていた学生も、1軒ずつ周りながら調査を続けていくうちに、移住のきっかけやその後の生活の様子、課題など、さまざまな状況を見出していきました。また、調査初日には「十五夜祭」が開催され、学生も綱引きに参加でき、地域の人びととの交流を深めることができました。今後はこれらの調査結果を整理し、12月に開催される日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションでの発表に向けた準備を進めていく予定です。
今回の調査を実施するにあたり、小浜島公民館長、前公民館長、聞き取り調査にご協力いただいた島民の皆さま、本学職員の仲村渠砂絵子さまに大変お世話になりました。ここに記して、感謝の意を表します。(森重昌之)
最初は移住者のお宅を訪ねることに躊躇を感じていた学生も、1軒ずつ周りながら調査を続けていくうちに、移住のきっかけやその後の生活の様子、課題など、さまざまな状況を見出していきました。また、調査初日には「十五夜祭」が開催され、学生も綱引きに参加でき、地域の人びととの交流を深めることができました。今後はこれらの調査結果を整理し、12月に開催される日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションでの発表に向けた準備を進めていく予定です。
今回の調査を実施するにあたり、小浜島公民館長、前公民館長、聞き取り調査にご協力いただいた島民の皆さま、本学職員の仲村渠砂絵子さまに大変お世話になりました。ここに記して、感謝の意を表します。(森重昌之)
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フィールドワークの様子
参加学生のレポート
離島での移住者受け入れに向けて現状を把握できた聞き取り調査
国際観光学部4年 水野巧基
9月8日から12日にかけて沖縄県小浜島を訪問し、移住者への聞き取り調査を実施しました。今年度の観光実習では、移住者の受け入れを研究テーマに設定し、政策として移住者の受け入れ体制を整えている小豆島で、7月に土庄町役場への聞き取り調査を実施しました。その結果を踏まえて、今回は移住者が移住先を決定する要因や移住後の生活について明らかにするために、移住者が多く、リゾート地でもある先島諸島の小浜島で聞き取り調査を実施しました。調査内容としては、公民館長にもご協力いただき、移住者の28軒への聞き取りを実施し、移住の理由や島民との交流、移住後の生活などの項目を設けて、お話を伺いました。調査は3日間にかけて午前から日没まで実施しました。移住者の方の多くはリゾートホテルやダイビングなどのレジャー業に従事されており、お会いすることが困難で、何度も訪問し、接触を試みました。その結果、20軒の移住者にお会いし、聞き取りを実施しました。
移住者の移住理由に関しては、小浜島に観光目的で来訪し、魅力を感じて移住を決意した方や、定年後の移住地を探していた際に小浜島に来訪し、自然に魅力を感じて移住を決定した方など、小浜島に来訪し、移住を決めたというパターンが多く見られました。その中でも、女性の多くは結婚を機に移住されていました。また、小浜島への移住を決定した理由として、石垣島まで高速船で約30分の距離に位置しているという意見も多く聞かれ、小豆島のように離島でありながら都市に近い位置にあることも移住を決定する際の大きな要因ではないかと考えます。
小浜島の十五夜祭では、集落を北と南の2つに分かれ、五穀豊穣などを祈願した綱引きが実施されていました。小浜島では、特に下半期にかけて毎月のように祭事があり、島民と移住者の交流機会がたくさんあります。しかし、移住者の中には、島民とあまり交流できていないケースも見受けられました。その理由として、これは小浜島だけでなく、沖縄の多くの離島や集落に見られる傾向ですが、その地域で生活をする島民しか参加ができない祭事などがあるという現状があげられます。残念ながら、移住者は島民ではなく、よそ者として捉えられることが多く、結果的に島民のコミュニティ活動に参加しづらいと言う方もいらっしゃいました。これらのことは、私たちが聞き取り調査を実施している際に、お声をかけていただいた島民の方が移住者の住んでいる場所を案内してくださったように、移住者として認識されていることからも強く感じました。一方で、移住者と島民の交流に関して、移住者は島の自然や景観に感銘を受けて移住を決定している方もおられ、そうした方々はあまり交流を問題視せず、適度な関係を築いておられる様子も見られました。今回の調査を実施するまでは、小豆島のように移住を受け入れる体制が整っていることが大きな移住条件ではないかと考えていました。
しかし、今回の調査を経て、移住を決定する際に移住地の自然や景観などの土地柄や、離島でありながら都市とのアクセスが良いという要因が大きいのではないかと考えました。今回の小浜島での聞き取り調査と前回の小豆島での聞き取り調査の結果を整理したうえで、離島の人口減少に歯止めをかけ、移住者を増やしていくための取り組みを考案し、12月に開催される日本観光研究学会の学生ポスターセッションにて発表する予定です。
最後に、調査を実施する上でご協力いただいた公民館長と阪南大学の仲村渠さん、小浜島の皆さん、引率していただいた森重先生にこの場を借りて感謝申し上げます。
移住者の移住理由に関しては、小浜島に観光目的で来訪し、魅力を感じて移住を決意した方や、定年後の移住地を探していた際に小浜島に来訪し、自然に魅力を感じて移住を決定した方など、小浜島に来訪し、移住を決めたというパターンが多く見られました。その中でも、女性の多くは結婚を機に移住されていました。また、小浜島への移住を決定した理由として、石垣島まで高速船で約30分の距離に位置しているという意見も多く聞かれ、小豆島のように離島でありながら都市に近い位置にあることも移住を決定する際の大きな要因ではないかと考えます。
小浜島の十五夜祭では、集落を北と南の2つに分かれ、五穀豊穣などを祈願した綱引きが実施されていました。小浜島では、特に下半期にかけて毎月のように祭事があり、島民と移住者の交流機会がたくさんあります。しかし、移住者の中には、島民とあまり交流できていないケースも見受けられました。その理由として、これは小浜島だけでなく、沖縄の多くの離島や集落に見られる傾向ですが、その地域で生活をする島民しか参加ができない祭事などがあるという現状があげられます。残念ながら、移住者は島民ではなく、よそ者として捉えられることが多く、結果的に島民のコミュニティ活動に参加しづらいと言う方もいらっしゃいました。これらのことは、私たちが聞き取り調査を実施している際に、お声をかけていただいた島民の方が移住者の住んでいる場所を案内してくださったように、移住者として認識されていることからも強く感じました。一方で、移住者と島民の交流に関して、移住者は島の自然や景観に感銘を受けて移住を決定している方もおられ、そうした方々はあまり交流を問題視せず、適度な関係を築いておられる様子も見られました。今回の調査を実施するまでは、小豆島のように移住を受け入れる体制が整っていることが大きな移住条件ではないかと考えていました。
しかし、今回の調査を経て、移住を決定する際に移住地の自然や景観などの土地柄や、離島でありながら都市とのアクセスが良いという要因が大きいのではないかと考えました。今回の小浜島での聞き取り調査と前回の小豆島での聞き取り調査の結果を整理したうえで、離島の人口減少に歯止めをかけ、移住者を増やしていくための取り組みを考案し、12月に開催される日本観光研究学会の学生ポスターセッションにて発表する予定です。
最後に、調査を実施する上でご協力いただいた公民館長と阪南大学の仲村渠さん、小浜島の皆さん、引率していただいた森重先生にこの場を借りて感謝申し上げます。
さまざまな価値観の尊重
国際観光学部4年 笹田真璃
観光実習Iの授業で、私たちは地元を離れて田舎で暮らしておられる移住者の方々について研究しています。今回はどのような条件や環境が移住に必要なのかを調べるために、移住者の方に聞き取り調査を行いました。調査を行ったのは、沖縄県石垣島からさらに西に位置する、小浜島という離島です。小浜島の公民館館長さんのご協力を得て、今回移住者の方に聞き取り調査を行いました。聞き取り調査では、小浜島の魅力や逆に生活面で苦労すること、なぜ小浜島に住もうと思ったのかなど、移住することへの考え方を中心にお伺いしました。
調査は3日間かけて行いましたが、想像以上に難航しました。まず移住者の方も普段はお仕事などをされていますし、お会いすることが簡単ではありませんでした。また、お会いできても、初対面の私たちに対して、ほとんどの方は警戒されますし、宗教の勧誘と間違われることもありました。しかし、私たちの研究内容やどのような目的で小浜島に来たのかといったことを理解していただけると、皆さん心を開いてたくさん話をして下さり、中にはお茶を出したり、手土産を下さったりする方もおられました。こうした経験から、聞き取り調査を行う時はまず、大阪の阪南大学から来たことや研究内容をしっかりと説明し、自分たちが理解や協力を求める姿勢を持つことが大切だと思いました。その気持ちを持って人と接するようになると、初めは警戒したり、冷ややかな態度であったりした方も、次第に雑談を挟みながら笑顔でお話ししてくださるようになり、和やかな空気へと変化するようになりました。私はもともと人見知りで、初対面の人と話すことが苦手なのですが、このことを学んでからは、聞き取り調査をするにあたって気持ちが楽になりました。
今回、聞き取り調査に挑んだ結果、普段観光目的で沖縄に滞在するだけではできないような、地元の人との温かい交流をすることができました。小浜島は離島で、沖縄本島や本州に比べて食品や衣類などの物が少なく、不便な面はたくさんあるようです。しかし、小浜島に住んでおられる移住者の多くは、そういった生活こそを気に入っておられました。「何もないところが良い」と笑顔で話されていた方がたくさんいらっしゃったことが驚きでした。便利で物が充実した生活はとても良い暮らしですが、「自分に必要な物を必要なだけ」というシンプルな生活も人には必要かもしれません。私にとって初めて来た土地で、初めて会う人との交流は簡単ではありませんでしたが、自分にはなかった新しい価値観を知ることができました。人との接し方や、生活環境などの価値観は人それぞれかもしれませんが、私はどのような人の考え方も否定することなく尊重する気持ちを持って、今後も研究を続けていきたいと思います。
調査は3日間かけて行いましたが、想像以上に難航しました。まず移住者の方も普段はお仕事などをされていますし、お会いすることが簡単ではありませんでした。また、お会いできても、初対面の私たちに対して、ほとんどの方は警戒されますし、宗教の勧誘と間違われることもありました。しかし、私たちの研究内容やどのような目的で小浜島に来たのかといったことを理解していただけると、皆さん心を開いてたくさん話をして下さり、中にはお茶を出したり、手土産を下さったりする方もおられました。こうした経験から、聞き取り調査を行う時はまず、大阪の阪南大学から来たことや研究内容をしっかりと説明し、自分たちが理解や協力を求める姿勢を持つことが大切だと思いました。その気持ちを持って人と接するようになると、初めは警戒したり、冷ややかな態度であったりした方も、次第に雑談を挟みながら笑顔でお話ししてくださるようになり、和やかな空気へと変化するようになりました。私はもともと人見知りで、初対面の人と話すことが苦手なのですが、このことを学んでからは、聞き取り調査をするにあたって気持ちが楽になりました。
今回、聞き取り調査に挑んだ結果、普段観光目的で沖縄に滞在するだけではできないような、地元の人との温かい交流をすることができました。小浜島は離島で、沖縄本島や本州に比べて食品や衣類などの物が少なく、不便な面はたくさんあるようです。しかし、小浜島に住んでおられる移住者の多くは、そういった生活こそを気に入っておられました。「何もないところが良い」と笑顔で話されていた方がたくさんいらっしゃったことが驚きでした。便利で物が充実した生活はとても良い暮らしですが、「自分に必要な物を必要なだけ」というシンプルな生活も人には必要かもしれません。私にとって初めて来た土地で、初めて会う人との交流は簡単ではありませんでしたが、自分にはなかった新しい価値観を知ることができました。人との接し方や、生活環境などの価値観は人それぞれかもしれませんが、私はどのような人の考え方も否定することなく尊重する気持ちを持って、今後も研究を続けていきたいと思います。
地元住民と移住者の複雑な関係性を知る
国際観光学部4年 白野紘平
9月8日から12日まで、石垣島と周辺の小浜島、竹富島に行ってきました。このレポートでは、9日から11日まで行った移住者への聞き取り調査について書きます。小浜島は、星野リゾートのリゾート施設やヤマハリゾートが開発したリゾート施設「はいむるぶし」、2001年に放送されたNHK連続テレビ小説「ちゅらさん」の舞台となったことで有名です。小浜島への交通手段は、石垣島から高速船で約25分、片道(大人)1,220円です。小浜島にはコンビニエンスストアやスーパーがなく、食料品の多くは、島に1、2軒の商店で手に入れることができますが、全体的に少し物価が高くなっていました。手に入れにくいモノは、石垣島に行くか、ネットショッピングで購入するそうです。
1日目は、大阪から小浜島までの移動日になり、夕方前に小浜島に到着しました。到着日は、ちょうど島内で「十五夜まつり」が行われており、多くの島民の方が参加していました。私たちも祭の始めに行われた綱引きに参加させていただきました。集落内の住むエリアでチーム分けをして、公民館を境に北側と南側に分かれました。私たちは民宿が南側にあったので、南側の綱を持ち、3本勝負で見事に勝ちました。その後、青年会館前で始まった「のど自慢大会」を見学しました。翌日、小浜島公民館の館長さんから、島の中心にある集落と島の北部にある「キャロット跡」と呼ばれているリゾート施設の跡地に約30軒の移住者のお宅があると伺い、集落とキャロット跡を2班に分かれて周りました。
聞き取り調査では、「出身や家族構成、職業などの基本情報」や「移住するようになったきっかけ」、「地元の方との交流」など約10項目の質問を、雑談を交えながら聞き取り調査をしました。訪問した初めは私たちに警戒心を持たれていた方も、事情を話すと快く調査にご協力いただけました。ご夫婦でお住まいのある方は、「宗教の勧誘だと思ったので出るか迷った。勧誘の人は日傘をさしているので。でも、学生のように見えたから出たのよ」と言われました。昼食の準備の最中にもかかわらず、「少しなら」と手を止めて話してくださり、冷たい飲み物と小浜島産の黒糖をお土産にくださる方もおられました。小浜島には、あまり知らない人が訪ねて来る人がいないのだと感じました。午前中からお昼時の調査では、お仕事に出られているお宅が多く、留守宅が目立ちました。夕方に再訪問すると、お仕事から戻られたお宅が多く、2日目のうちに大半のお宅への聞き取り調査が終わりました。3日目の聞き取り調査最終日は、前日の調査で留守だったお宅に、訪問時間を変えながら再び訪問しました。
聞き取り調査を通して、20代後半から40代、70代と幅広い年代の方が移住していました。現在の職業は、主にリゾート施設やマリンスポーツ施設の運営でした。移住してきたきっかけは、旅行で訪れたり、仕事で訪れたりして居心地が良く、そのまま移住してしまったという回答が多く集まりました。地元の方との交流は人により異なり、子どもがおられる家庭では「十五夜まつり」などのお祭りに参加するため、自然と交流が広がるそうです。一方で、移住者が参加できない行事などがあるため、「地元の方」と「移住者」という関係性が複雑で、どこまで入り込んでよいのかわからないという意見もいただきました。また、聞き取り調査の中で、小浜島が以前住んでいた場所と違いすぎて環境になじめず、島を出ていった方もおられ、実際に「観光で訪れる」ことと「移住者して生活をする」というところで、地元の方の対応も少し変わるような気がするというお話もお聞きしました。地元の方にとって、移住者は「よそ者」というイメージが完全に消えることがないように感じました。どれだけ地元の方とよそ者が垣根を越えて、交流を図れるかが移住してからの生活に必要になるのではないでしょうか。
今回の聞き取り調査では、移住者の方が中心でしたが、移住者を受け入れる側の地元の方が「移住者」や「移住について」どのように思っているのか意見を聞いてみるのもおもしろいのではないかと感じました。
1日目は、大阪から小浜島までの移動日になり、夕方前に小浜島に到着しました。到着日は、ちょうど島内で「十五夜まつり」が行われており、多くの島民の方が参加していました。私たちも祭の始めに行われた綱引きに参加させていただきました。集落内の住むエリアでチーム分けをして、公民館を境に北側と南側に分かれました。私たちは民宿が南側にあったので、南側の綱を持ち、3本勝負で見事に勝ちました。その後、青年会館前で始まった「のど自慢大会」を見学しました。翌日、小浜島公民館の館長さんから、島の中心にある集落と島の北部にある「キャロット跡」と呼ばれているリゾート施設の跡地に約30軒の移住者のお宅があると伺い、集落とキャロット跡を2班に分かれて周りました。
聞き取り調査では、「出身や家族構成、職業などの基本情報」や「移住するようになったきっかけ」、「地元の方との交流」など約10項目の質問を、雑談を交えながら聞き取り調査をしました。訪問した初めは私たちに警戒心を持たれていた方も、事情を話すと快く調査にご協力いただけました。ご夫婦でお住まいのある方は、「宗教の勧誘だと思ったので出るか迷った。勧誘の人は日傘をさしているので。でも、学生のように見えたから出たのよ」と言われました。昼食の準備の最中にもかかわらず、「少しなら」と手を止めて話してくださり、冷たい飲み物と小浜島産の黒糖をお土産にくださる方もおられました。小浜島には、あまり知らない人が訪ねて来る人がいないのだと感じました。午前中からお昼時の調査では、お仕事に出られているお宅が多く、留守宅が目立ちました。夕方に再訪問すると、お仕事から戻られたお宅が多く、2日目のうちに大半のお宅への聞き取り調査が終わりました。3日目の聞き取り調査最終日は、前日の調査で留守だったお宅に、訪問時間を変えながら再び訪問しました。
聞き取り調査を通して、20代後半から40代、70代と幅広い年代の方が移住していました。現在の職業は、主にリゾート施設やマリンスポーツ施設の運営でした。移住してきたきっかけは、旅行で訪れたり、仕事で訪れたりして居心地が良く、そのまま移住してしまったという回答が多く集まりました。地元の方との交流は人により異なり、子どもがおられる家庭では「十五夜まつり」などのお祭りに参加するため、自然と交流が広がるそうです。一方で、移住者が参加できない行事などがあるため、「地元の方」と「移住者」という関係性が複雑で、どこまで入り込んでよいのかわからないという意見もいただきました。また、聞き取り調査の中で、小浜島が以前住んでいた場所と違いすぎて環境になじめず、島を出ていった方もおられ、実際に「観光で訪れる」ことと「移住者して生活をする」というところで、地元の方の対応も少し変わるような気がするというお話もお聞きしました。地元の方にとって、移住者は「よそ者」というイメージが完全に消えることがないように感じました。どれだけ地元の方とよそ者が垣根を越えて、交流を図れるかが移住してからの生活に必要になるのではないでしょうか。
今回の聞き取り調査では、移住者の方が中心でしたが、移住者を受け入れる側の地元の方が「移住者」や「移住について」どのように思っているのか意見を聞いてみるのもおもしろいのではないかと感じました。
移住する理由は人とのかかわりだけではない
国際観光学部4年 坂本由貴
9月8日から12日までの5日間、沖縄県小浜島で移住者に聞き取り調査を行いました。小浜島は、石垣島から高速船で30分の位置にあり、マンタを見ることのできるダイビングがあることや、NHKで放送された「ちゅらさん」の舞台になったことで全国的に知られるようになり、今では観光客が多く訪れています。
1日目に地元のお祭りである綱引きと十五夜祭に参加しました。綱引きでは2つの地域に分かれ、豊作か豊漁か、どちらが勝ってもよい1年になるという行事がありました。子どもから大人までみんなで同じ綱を持ち、喜び合う姿はとても和やかに感じました。夜はのど自慢大会が行われ、お酒を飲みながらみんなで楽しむという、とても地元感が溢れるお祭りで楽しめました。
2日目からは聞き取り調査を行いました。まず、公民館長さんから移住してきた人の家を教えていただき、グループに分かれて1軒ずつ聞き取りを行っていきました。はじめに小浜島のリゾート地である「キャロット跡」と呼ばれる集落に向かいました。その集落は昔、リゾートがあったこともあり、建物も大きく、海がすぐ近くで見られる集落で話を聞くことができました。移住してきた理由として、第二の人生を過ごす場所を探している中で、この海と自然を感じることができる景観に魅了され、すぐに住むことを決意したと仰っていました。私も実際に訪れて都会では感じることのできない、何もない豊かさが魅力であると感じました。集落に住んでいる移住者に比べると、地元の人との交流は少なく、「必要なことがあればかかわるが、プライベートでのかかわりは少ない」ということを聞き、少し驚きました。
次に、地元の人も住んでいる集落で聞き取りを行いました。そこでは子どもがいる家族に話を聞くことができました。移住してきた理由としては、知り合い伝いやサトウキビの援農隊がきっかけで移住してきたと仰っていました。地元の人との交流はあり、子どもが行事に参加することがきっかけでかかわることが多いとのことでした。
住む地域や移住してきたきっかけで、地元の人との交流が大きく変わることに驚きました。また、話を聞いていく中で、沖縄特有の文化があると聞き、お祭りでも地元の人でしか参加できない行事があるとことを知りました。しかし、他の島に比べ、小浜島は石垣島からの交通手段が比較的よいことと、「はいむるぶし」の受け入れる風習で比較的移住しやすいのではないかと感じました。実際に小浜島の近くにある竹富島は重要伝統的建造物群保存地区に指定されていることもあり、地元の人の姿はあまりなく、観光客ばかりという印象を受けました。
今回のフィールドワークで、小浜島に移住してきた人は自ら探して自然や環境が気に入り、移住してきた人が多く、その中でも長い間住んでいたとしても、地元の人との交流には何らかの線引きがあるということがわかりました。移住することに人とのかかわりが大きいと考えていましたが、自然の豊かさや環境だけでも移住する人がいることも知り、地域によって考え方が違うということを感じることができました。
1日目に地元のお祭りである綱引きと十五夜祭に参加しました。綱引きでは2つの地域に分かれ、豊作か豊漁か、どちらが勝ってもよい1年になるという行事がありました。子どもから大人までみんなで同じ綱を持ち、喜び合う姿はとても和やかに感じました。夜はのど自慢大会が行われ、お酒を飲みながらみんなで楽しむという、とても地元感が溢れるお祭りで楽しめました。
2日目からは聞き取り調査を行いました。まず、公民館長さんから移住してきた人の家を教えていただき、グループに分かれて1軒ずつ聞き取りを行っていきました。はじめに小浜島のリゾート地である「キャロット跡」と呼ばれる集落に向かいました。その集落は昔、リゾートがあったこともあり、建物も大きく、海がすぐ近くで見られる集落で話を聞くことができました。移住してきた理由として、第二の人生を過ごす場所を探している中で、この海と自然を感じることができる景観に魅了され、すぐに住むことを決意したと仰っていました。私も実際に訪れて都会では感じることのできない、何もない豊かさが魅力であると感じました。集落に住んでいる移住者に比べると、地元の人との交流は少なく、「必要なことがあればかかわるが、プライベートでのかかわりは少ない」ということを聞き、少し驚きました。
次に、地元の人も住んでいる集落で聞き取りを行いました。そこでは子どもがいる家族に話を聞くことができました。移住してきた理由としては、知り合い伝いやサトウキビの援農隊がきっかけで移住してきたと仰っていました。地元の人との交流はあり、子どもが行事に参加することがきっかけでかかわることが多いとのことでした。
住む地域や移住してきたきっかけで、地元の人との交流が大きく変わることに驚きました。また、話を聞いていく中で、沖縄特有の文化があると聞き、お祭りでも地元の人でしか参加できない行事があるとことを知りました。しかし、他の島に比べ、小浜島は石垣島からの交通手段が比較的よいことと、「はいむるぶし」の受け入れる風習で比較的移住しやすいのではないかと感じました。実際に小浜島の近くにある竹富島は重要伝統的建造物群保存地区に指定されていることもあり、地元の人の姿はあまりなく、観光客ばかりという印象を受けました。
今回のフィールドワークで、小浜島に移住してきた人は自ら探して自然や環境が気に入り、移住してきた人が多く、その中でも長い間住んでいたとしても、地元の人との交流には何らかの線引きがあるということがわかりました。移住することに人とのかかわりが大きいと考えていましたが、自然の豊かさや環境だけでも移住する人がいることも知り、地域によって考え方が違うということを感じることができました。
移住には労働環境と主要都市へのアクセスが大切だと感じた
国際観光学部4年 浦上絵梨香
9月8日から12日まで、沖縄県小浜島に住んでおられる移住者の方に移住についての聞き取り調査を行いました。前回、小豆島で土庄町役場の皆さんにお話を聞いた時は、主に政策についての話をお聞きしましたが、今回は実際に移住してこられた方にお話をうかがいました。
小浜島は八重山諸島のほぼ中心に位置しており、周囲約16km、人口約560人の小さな島です。石垣島までは高速船で25分、西隣りの西表島までは2kmと近く、島の中心にある大岳からはその様子がよくわかります。また、面積の5分の1をリゾート施設「はいむるぶし」と星野リゾートの経営する「南西楽園小浜島リゾート&スパニラカナイ」が占めていて、ダイビングやゴルフなどのレジャーが楽しめる一方、集落には沖縄独特の赤瓦屋根の家屋が並んでいたり、サトウキビ畑が広がるシュガーロードがあったり、昔ながらの沖縄の集落の風景を眺めることができます。
今回移住者の方には、出身地・職業・家族構成などの基本情報、移住の動機、移住後の生活などをおうかがいしました。1軒ずつ家を廻っていく中で、はじめは少ししかドアを開けてもらえてなかったり、インターホンがなかったりする家があり、声をかけるのに苦労しました。しかし、事情を説明すると、皆さん協力してくださってとても嬉しかったです。
私は、移住というと定年退職された方が第二の人生をスタートさせるために来られているというイメージがあったのですが、私が聞き取り調査をした中ではそういった方は1人だけでした。実際にはリゾート施設で働くために来られた方や、サトウキビの援農で来てそのまま定住された方、海が好きで来られた方がほとんどで、年代は30〜40代の方が多かったです。石垣島や他の八重山諸島と比較すると、小浜島は働くところもあり、サトウキビ畑や石垣島まで25分で行けるので、住むのに適した環境であるということもわかりました。小豆島には空き家バンク・島暮らし体験ツアーなどの政策がありましたが、小浜島のある竹富町にはそういった制度はありませんでした。
前回の小豆島での聞き取り調査と合わせて感じたことは、移住には働く場所と主要都市へのアクセスの良さが大切だということです。小豆島のある香川県は全国の中でも有効求人倍数が高く、小豆島から高松までフェリーで30分です。一方、小浜島ははいむるぶしや星野リゾートなどのリゾート施設やサトウキビ狩りなど若い人が働ける環境が多いこと、石垣島まで高速船で25分という似た環境にありました。島暮らしという不便さの中にも、生活資材の調達やいざという時のために、高松市や石垣島といった主要都市へのアクセスのよさが必要だと感じました。
今後、移住者の方におうかがいしたデータを整理して、どういう人がどういう条件で移住しているのか、他の土地に生かすにはどうすればよいのかを考えていきたいと思います。
小浜島は八重山諸島のほぼ中心に位置しており、周囲約16km、人口約560人の小さな島です。石垣島までは高速船で25分、西隣りの西表島までは2kmと近く、島の中心にある大岳からはその様子がよくわかります。また、面積の5分の1をリゾート施設「はいむるぶし」と星野リゾートの経営する「南西楽園小浜島リゾート&スパニラカナイ」が占めていて、ダイビングやゴルフなどのレジャーが楽しめる一方、集落には沖縄独特の赤瓦屋根の家屋が並んでいたり、サトウキビ畑が広がるシュガーロードがあったり、昔ながらの沖縄の集落の風景を眺めることができます。
今回移住者の方には、出身地・職業・家族構成などの基本情報、移住の動機、移住後の生活などをおうかがいしました。1軒ずつ家を廻っていく中で、はじめは少ししかドアを開けてもらえてなかったり、インターホンがなかったりする家があり、声をかけるのに苦労しました。しかし、事情を説明すると、皆さん協力してくださってとても嬉しかったです。
私は、移住というと定年退職された方が第二の人生をスタートさせるために来られているというイメージがあったのですが、私が聞き取り調査をした中ではそういった方は1人だけでした。実際にはリゾート施設で働くために来られた方や、サトウキビの援農で来てそのまま定住された方、海が好きで来られた方がほとんどで、年代は30〜40代の方が多かったです。石垣島や他の八重山諸島と比較すると、小浜島は働くところもあり、サトウキビ畑や石垣島まで25分で行けるので、住むのに適した環境であるということもわかりました。小豆島には空き家バンク・島暮らし体験ツアーなどの政策がありましたが、小浜島のある竹富町にはそういった制度はありませんでした。
前回の小豆島での聞き取り調査と合わせて感じたことは、移住には働く場所と主要都市へのアクセスの良さが大切だということです。小豆島のある香川県は全国の中でも有効求人倍数が高く、小豆島から高松までフェリーで30分です。一方、小浜島ははいむるぶしや星野リゾートなどのリゾート施設やサトウキビ狩りなど若い人が働ける環境が多いこと、石垣島まで高速船で25分という似た環境にありました。島暮らしという不便さの中にも、生活資材の調達やいざという時のために、高松市や石垣島といった主要都市へのアクセスのよさが必要だと感じました。
今後、移住者の方におうかがいしたデータを整理して、どういう人がどういう条件で移住しているのか、他の土地に生かすにはどうすればよいのかを考えていきたいと思います。
小浜島の移住者の本音
国際観光学部4年 関伽緒里
9月8日から12日まで小浜島、竹富島、石垣島に行ってきました。小浜島では移住者の聞き取り調査を行い、移住する経緯や小浜島での生活などを聞きました。小浜島は石垣島から高速船に乗って25分で行けます。リゾート施設があるので、観光客も想像していたより多く感じました。自然がたくさんあり、のんびりできる場所で、自動車の数も少なければ信号もなく、自動車を運転するにしても安全だと感じられる部分を見ることができました。
到着したその日は運が良く、地元のお祭りに参加することができました。2つにエリアに分かれて綱を引き合う綱引きをしたのですが、これがまた見たこともない太さの綱でした。久しぶりの綱引きはすごく楽しかったです。夜はのど自慢大会が行われました。都会に住んでいる私には地元の人々で集まって盛り上がるという行事は、こういう機会でないと見ることができないのかなと思いました。
2日目から調査が始まりました。私は初めに、リゾート施設跡に住んでいる移住者の方にお話を聞きに行きました。この辺りに住んでおられる方が口を揃えて仰っていたことは、地元の方との交流は少ないということでした。なぜなら、もともと島の自然や景観にあこがれて移住してきたということに加え、島独特の文化があり、移住して来た人が参加できない地元のお祭りや行事などもあるからです。そのため、島民とは適度な関係を保っているとのことでした。
次に、島の集落に住んでいる移住者の方にお話を聞きました。リゾート施設跡では第2の人生で移住された方が多かったのですが、集落の方では嫁いできた方が多く、ここで大きな違いを見つけることができました。そして、集落に住んでいる方は子供などを通して島のお祭りや行事に参加するとのことでしたので、ここで2つ目に大きな違いを見つけました。この2つから集落から離れて住んでいる方と集落に住んでいる方とでは、大きい差があるのだと考えました。しかし、ひとつだけ集落に住んでいるか住んでいないか関係なく、皆さん同じことを口にされていたことが、「のんびり過ごせることが小浜島の魅力だ」と仰っていました。実際に3日ほど過ごし、本当にのんびり過ごすことができました。ただコンビニエンスストアがないことに不便を感じていましたが、小浜島に移住されてきた方は不便に思うこともなく過ごせていると答えていました。以前調査した小豆島とは180度違っていたので、移住という問題は簡単なことではないと感じました。
到着したその日は運が良く、地元のお祭りに参加することができました。2つにエリアに分かれて綱を引き合う綱引きをしたのですが、これがまた見たこともない太さの綱でした。久しぶりの綱引きはすごく楽しかったです。夜はのど自慢大会が行われました。都会に住んでいる私には地元の人々で集まって盛り上がるという行事は、こういう機会でないと見ることができないのかなと思いました。
2日目から調査が始まりました。私は初めに、リゾート施設跡に住んでいる移住者の方にお話を聞きに行きました。この辺りに住んでおられる方が口を揃えて仰っていたことは、地元の方との交流は少ないということでした。なぜなら、もともと島の自然や景観にあこがれて移住してきたということに加え、島独特の文化があり、移住して来た人が参加できない地元のお祭りや行事などもあるからです。そのため、島民とは適度な関係を保っているとのことでした。
次に、島の集落に住んでいる移住者の方にお話を聞きました。リゾート施設跡では第2の人生で移住された方が多かったのですが、集落の方では嫁いできた方が多く、ここで大きな違いを見つけることができました。そして、集落に住んでいる方は子供などを通して島のお祭りや行事に参加するとのことでしたので、ここで2つ目に大きな違いを見つけました。この2つから集落から離れて住んでいる方と集落に住んでいる方とでは、大きい差があるのだと考えました。しかし、ひとつだけ集落に住んでいるか住んでいないか関係なく、皆さん同じことを口にされていたことが、「のんびり過ごせることが小浜島の魅力だ」と仰っていました。実際に3日ほど過ごし、本当にのんびり過ごすことができました。ただコンビニエンスストアがないことに不便を感じていましたが、小浜島に移住されてきた方は不便に思うこともなく過ごせていると答えていました。以前調査した小豆島とは180度違っていたので、移住という問題は簡単なことではないと感じました。