ChatGPT等の生成AI利用に関するガイドライン

(2024年1月9日版)

阪南大学長   田上 博司

情報センター長 前田 利之

学生の皆様へ

 ここ数年のAI(人工知能技術)の進化は驚異的です。データ分析の用途だけでなく、デジタル画像、文章等を生成するAIの技術の進歩はめざましく、広く利用されるようになっています。例えば、画像生成AIの Stable Diffusion やテキスト生成AIのChatGPT が代表例です。

 今やインターネットの利用に Google, Bing 等の検索エンジンが欠かせないように、ChatGPT等の生成AIも今後は私たちの日常生活に確実に組み込まれていくと思われます。既に生成AIはかなりの勢いで実用化されており、企業での業務の効率向上等に役立っています。将来的には、高度な専門知識を持つ生成 AIも登場し、PCやスマートフォンの標準機能として提供され、誰もが簡単に利用できるようになるでしょう。

 学修における生成AIの利用については、授業ごとに、使用の可否も含めて担当教員に確認の上で行う必要があります。その上で、ここでは学生が生成AIを利用する際の一般的な注意点について説明します。
  • AIの出力をレポート等の解答にそのまま利用することは自身の勉強になりません。将来の自分のために適切な行動を取りましょう。
  • 授業によってはAIの利用を禁止される場合があります。さらに、場合によっては剽窃(カンニング)とみなされる場合があることに注意が必要です。
  • 調査、アイデア出し等で使用する場合も、AIの出力には誤りが混ざっていることも少なくなく、AIの出力が正しい内容か誤った内容なのか、自分でしっかり確認する必要があります。一見もっともらしい書き方をされていても、それを鵜呑みにするのではなく、示された出典をあたる、自分でさらに調べる等により検証することが必要です。
  • 未発表の論文や秘密にすべき情報(個人情報やプライバシー情報等)を生成 AIに入力してしまうと、それらの情報が意図せず流出・漏えいしてしまう可能性がある点に気をつけなければいけません。
  • アイデア出し等では有用な場合もありますが、その場合
      -いつ、どのようなプロンプトでドラフトを生成して、
      -それを、いつどのように改良、修正したか
    のログ(作業日誌)を記録しておきましょう。そのことで、著作権を侵害していないことを立証しやすくなると思われます。
    ※プロンプト:ChatGPT 等生成AIに入力する、生成を促す文のこと
 生成AIはまだまだ発展途上ではありますが、現時点で考えられる利用するに際してのガイドラインをここにまとめました。なお、今後も生成AIの進歩にともなって、このガイドラインは改正されることがあることも留意しておいてください。

教員の皆様へ

 ここ数年のAI(人工知能技術)の進化は驚異的です。データ分析の用途だけでなく、デジタル画像、文章等を生成するAIの技術の進歩はめざましく、広く利用されるようになっています。例えば、画像生成AIの Stable Diffusion やテキスト生成AIのChatGPT が代表例です。

 今やインターネットの利用に Google, Bing 等の検索エンジンが欠かせないように、ChatGPT等の生成AIも今後は私たちの日常生活に確実に組み込まれていくと思われます。既に生成AIはかなりの勢いで実用化されており、企業での業務の効率向上等に役立っています。将来的には、高度な専門知識を持つ生成 AIも登場し、PCやスマートフォンの標準機能として提供され、誰もが簡単に利用できるようになるでしょう。

 教育分野でも生成AIが活用される可能性は十分あると考えます。その一方で、学生がこれらを利用することで、これまで行われてきた演習課題やレポート課題での教育効果が減少する、適切な成績評価が難しくなる、等の懸念もあります。

 現在の生成AIの出力は、非常に自然な文章であり、人が書いたものと見分けがつかないことが多いです。そのため、レポート課題等において、学生が真剣に取り組んで作成したものよりも、生成AIの出力をそのまま使用したものが正解に近い場合もあります。このことが、学生の自己成長や適切な成績評価において大きな問題を引き起こす可能性があります。

 これらの問題に対処するために、教員は生成AIの能力と限界を理解し、適切な利用方法を検討することが重要です。以下に、生成AIへの対応の一例を挙げます:
  • 教員は学生に、生成AIを利用する際の適切な使用法について意識的に指導することが重要です。生成AIの出力をレポート等の解答にそのまま利用することは学生自身の勉強にならない旨をしっかりと説明し、単なる コピーアンドペーストの代替手段としての利用を抑制する指導を行いましょう。また、生成AIの出力は常に正しいとは限らないこと(ハルシネーション)も理解しておく必要があります。
  • 上に関連して、教員は課題やプロジェクトにおいて、場合によっては生成系 AIの使用を制限したり、特定のガイドラインや条件を設けたりすることを検討する必要があります。一方、アイデア出し等には有用な場合もあり、単に利用を抑制するだけではなく、有意義な利用方法も教示するべきです。
  • 評価基準を再考することで、学生が生成AIを使用していても、独自の洞察や応用能力を評価に組み込むことで、成績評価の公平性を保つことができます。例えば課題に対し生成AIがどのような出力を行うかを事前に確認したり、レポート課題の形式ではなく教室で記述させる形式にしたり、提出物に対して自分の言葉で説明させた上で採点すること、等が考えられます。
  • 教員は倫理的な使用と著作権についての指導をしっかりと行い、学生に適切な引用やソースの明示を促すことが重要です。生成AIの学習データには他者の著作物が含まれていることもあり、著作権侵害や剽窃のおそれが生じることを注意する必要があります。上述のアイデア出しに利用した場合も、
      -いつ、どのようなプロンプト※でドラフトを生成して、
      -それを、いつどのように改良、修正したか
    のログ(作業日誌)を記録しておくことで、著作権を侵害していないことを立証しやすくなると思われます。
    ※プロンプト:ChatGPT 等生成AIに入力する、生成を促す文のこと
 生成AIはまだまだ発展途上ではありますが、現時点で考えられる利用するに際してのガイドラインをここにまとめました。なお、今後も生成AIの進歩にともなって、このガイドラインは改正されることがあることも留意しておいてください。

以上