経済学部村上准教授による「データから考える日本の貧困−ワーキングプア・生活最低限−」を開催しました

あべのハルカスキャンパスでは、本学の副学長および各学部を代表する教員が講師となって本学が得意とする分野の知の財産を惜しみなく提供する『ハルカスアカデミー』を開催しております。

このたび1月28日(土)午後2時より、あべのハルカスキャンパスにおきまして経済学部村上雅俊准教授を講師としたハルカスアカデミー「データから考える日本の貧困−ワーキングプア・生活最低限−」を開催いたしました。
昨今働きながらもその所得水準が最低生活水準に満たないワーキングプアの問題や、国が最低生活維持の権利を保障する生活保護とその不正受給などがメディア等で取り上げられることが多くなりました。
講座では、まずアプローチの仕方により規模を正確に捉えることが難しいワーキングプアについて、統計学的にどう捉えるかを実際の数字資料をもとに様々な解析方法を示しながら説明がなされました。
そして「3ヶ月以上労働市場で就業・求職活動したが貧困世帯に属する個人および収入が最低生活基準額に満たない世帯」という現在一般的なワークングプアの定義をもとに、統計から見た現状の規模と構成について解説を行いました。

そして講座の後半は、「生活最低限」の考え方について、研究の歴史的推移と人々の意識について説明がなされました。
ある社会実験から生活保護給付額について、他人の場合と自分の場合とで金額の意識に差が出るという問題を取り上げ、国が保障する生活保護について「誰しもに起こりうる生活上のリスク・収入の中断にみんなで対処しよう」という制度であることと、その認識のための教育の重要性について指摘しました。

講座終了後には受講者からたくさんの質問が出るなど、この問題に対する関心の高さがうかがえ、受講者から「イメージではなく、統計学的な根拠から問題解決を考える重要性がよくわかった。」という感想が多数寄せられました。

あべのハルカスキャンパスでは、今後も時事問題や現代社会に生かせる教養をテーマに定期的に公開講座を開催していきます。詳しくは大学ホームページを参照してください。