私たちは北海道網走市の若年層に対する認知度向上と観光動機の促進を目的に、活動を行いました。
 網走市の年間観光客数は1992年度の約230万人をピークに減少傾向にあります。2021年度は新型コロナウイルスの影響もあって約141万人、2023年度は約144万人となっています。また、40代以上の認知度はほぼ100%であるのに対し、20代では約77%と差があります。今後世代交代が進むにつれ、網走市の認知度が低下し、観光客が減少することが懸念されます。
 そこで、私たちは博物館網走監獄やオホーツク流氷館などの既存の観光資源に加え、若年層が興味を持つような新たな観光資源を発掘するため、冬季と夏季の2度網走市を訪れました。そして、網走市には魅力的な観光資源が多くあるものの、若年層に対してその魅力をうまく伝えられていないということがわかりました。また、SNSの利用実態調査では若年層が旅行先を選ぶ際にSNSを重視しており、その中で10~20代のTikTokの利用率はどちらも50%を超えているということがわかりました。これにより、若年層にアプローチするにはTikTokを使うことが有効であると考え、TikTokの特徴を調査しました。インパクトがある写真や動画が最初にあること、ナレーションはレジャー施設や旅館などの動画で使われていること、場所の説明などの文字は少ないこと、奥行き感や複数の色が使われていること、動画と静止画を組み合わせた動画は少ないことがわかりました。これら5つの特徴を重視し、現地調査で撮影した写真や動画を使用し、2つの動画を作成しました。
 以上の現地調査とSNSの調査結果を踏まえて、「網走市における若年層の認知度向上のためのSNS活用方法」についてリモート形式で網走市観光協会へ成果報告を行いました。今後は、網走市観光協会からご指摘いただいた点を修正し、再度動画を提案します。
(国際観光学部3年 坂上 真悠)

学生活動状況報告

国際観光学部3年 古本 涼馬

 私たちは若年層に対する北海道網走市の認知度向上と観光動機の促進をめざし、以下の3つに取り組みました。
 1つ目は2度の現地調査です。1度目は網走市にある有名な観光資源を、2度目はサイクリングコース、ドライブコースをそれぞれ2案作成し、調査しました。それぞれのコースにさまざまな感想がありましたが、ゼミ生全員が共通して、大阪では見ることのない雪や野生動物、9月とは思えない涼しい気温に感動し、どの季節でも訪れる価値が十分にあると思いました。
 2つ目は網走観光協会への聞き取り調査です。聞き取り調査の結果、網走市の現状と課題をうかがうことができました。また、若年層に向けた観光政策やおすすめの観光地などもお聞きできました。
 3つ目は若年層に該当する私たちの自身について細かく分析しました。私たちがSNSを使うとき、どのような動画を見て、どのような媒体を使っているのか調べました。その結果、動画が長すぎたり文字が多すぎたりすると、そもそも見ることなく飛ばされてしまうことや、TikTokの「旅行」のキーワード検索で上位100個を抽出、分類割けし、どのような動画が見られているのかを調べました。
 これらの結果を2月23日に網走市観光協会に報告させていただきました。私たちの思い込みや説明不足のところなど、まだまだ甘いところがありました。今回の経験を通して、次回はより効果的な提案ができるよう、さらに精進したいと思いました。
  
 

連携先コメント

一般社団法人網走市観光協会

 網走市は通過型の観光地になっているため、網走市を起点に摩周湖や神の子池など、他のエリアまで足を運ばれる方ももちろんいます。しかし、網走市以外の広域が入っているものを網走市として一括りに動画にしてしまうと、観光客に誤解を与えてしまう可能性があるのではないかと感じました。また、発表内で出てきた『おーろら号』は、『網走流氷観光砕氷船おーろら』が正しいので、修正いただきたいです。TikTokの動画に関しては、ジェネレーションギャップもあり、速いテンポで動画が切り変わっていくのが少し目まぐるしく感じました。私個人の意見ですが、それが良いのか悪いのかはわからないです。
 今回の意見交換にて、皆さんや今の世相に自分がどれだけハマっていないのか、改めて認識する機会になり、私自身も大変参考になりました。今後の網走市の観光PRにぜひ役立てたいと思っております。ありがとうございました。

教員コメント

国際学部 国際観光学科
森重 昌之 教授

 今年度は北海道網走市を調査対象とし、若年層の認知度向上に向けた網走市の魅力の発掘とその発信方法について検討しました。網走市の夏季と冬季では魅力が異なるため、2月と9月に2回現地調査を実施し、網走市観光協会への聞き取り調査も行いました。また、これらの魅力を発信するため、若年層がどのようにSNSを活用しているかを分析し、その結果をもとに動画も作成しました。今回のキャリアゼミを通じて、知識を得るという点では積極的に取り組み、一定の成果が得られたといえます。
 一方、学習においては知識を得るだけでなく、「考える」という要素も重要です。最後に網走市観光協会に成果報告を行いましたが、学生が伝えたいことは発信できたものの、先方が聞きたい内容になっていたかどうか疑問が残りました。プレゼンテーションそのものは良かったですが、今後は「相手の気持ちを理解する」プレゼンテーションもできるよう、4年次の活動に向けてスキルアップに努めたいと思います。

参加学生一覧

吉本 慧悟、山田 さくら、稲毛 悠陽、古林 広暉、坂上 真悠、古本 涼馬、岡田 健伸