長崎県西彼杵半島の西方に位置する池島にはかつて炭鉱があり、1970年代には7~8,000人が暮らしていました。しかし、閉山とともに過疎化が進み、現在は人口80人にまで減少しました。島内には廃墟が残り、「第2の軍艦島」とも言われ、本物の炭鉱跡や炭鉱住宅などを見学する「炭鉱体験ツアー」も行われています。
今年度のゼミ生は、過疎化の進む池島において、単純に観光客の増加を考えるのではなく、誰にとって、何のために池島で観光振興を図るのかについて考えてきました。そして、「観光客」にとっては国内で唯一トロッコに乗って炭鉱を見学できるツアーの魅力を継続すること、「島民」にとっては観光が池島の生活やインフラを支える一助になること、池島を離れた「元島民」にとっては無人島になってしまった後も訪ねる機会を維持することというそれぞれの観点から、観光振興が必要であると結論づけました。そして、観光客、島民、元島民にとって必要な観光振興を図るために、認知度向上に向けたSNS用のPR動画を作成しました。
今年度のゼミ生は、過疎化の進む池島において、単純に観光客の増加を考えるのではなく、誰にとって、何のために池島で観光振興を図るのかについて考えてきました。そして、「観光客」にとっては国内で唯一トロッコに乗って炭鉱を見学できるツアーの魅力を継続すること、「島民」にとっては観光が池島の生活やインフラを支える一助になること、池島を離れた「元島民」にとっては無人島になってしまった後も訪ねる機会を維持することというそれぞれの観点から、観光振興が必要であると結論づけました。そして、観光客、島民、元島民にとって必要な観光振興を図るために、認知度向上に向けたSNS用のPR動画を作成しました。
学生活動状況報告
国際観光学部3年 清水 隆世
現地調査に行く前に、池島にどのような観光資源があるのか、観光客を呼び込むための新たな観光資源があるのかについて話し合い、現地調査の目的を定めました。同時に、長崎市外海地域センターと連絡を取り、現地での聞き取り調査対象者の選定や具体的な調査地点の抽出を行いました。そして、飛行機やフェリー、宿泊先などを予約し、効率的に調査を進めるためのタイムスケジュールを検討しました。
2023年9月19日から4日間実施した現地調査では、1日目に大阪から大村市まで移動しました。2日目は池島に移動した後、自治会長への聞き取り調査と池島の資源調査のグループに分かれて調査を実施し、終了後に全員で結果を共有しました。3日目午前は池島で唯一の観光地といえる炭鉱体験ツアーに参加し、ガイドの案内や観光客の様子を調査しました。また、午後は天候に恵まれたので、新たな観光資源の可能性がある写真映えするスポットを訪れ、写真の記録を残しました。そして、4日目に池島を離れ、帰阪しました。
2023年9月19日から4日間実施した現地調査では、1日目に大阪から大村市まで移動しました。2日目は池島に移動した後、自治会長への聞き取り調査と池島の資源調査のグループに分かれて調査を実施し、終了後に全員で結果を共有しました。3日目午前は池島で唯一の観光地といえる炭鉱体験ツアーに参加し、ガイドの案内や観光客の様子を調査しました。また、午後は天候に恵まれたので、新たな観光資源の可能性がある写真映えするスポットを訪れ、写真の記録を残しました。そして、4日目に池島を離れ、帰阪しました。
参加学生一覧
廣内 晴翔、
藤井 励、
清水 隆世、
中西 隼士、
西村 虎流、
福田 壮吾、
堀 洋範、
牧 宏興、
松本 真宏、
宮本 柚人、
藪内 はづき、
山田 雅也
連携先コメント
長崎市北総合事務所外海地域センター
今回は、観光に特化した調査、お疲れさまでした。池島における新規の観光事業につきましては、次のような理由からかなり厳しい状況にはあります。
・池島のほとんどの土地が旧炭鉱会社の土地であり、土地の賃借ができるか調整が必要。現在実施している炭鉱体験が終了し、旧炭鉱会社が池島から撤退すれば、ほぼ不可能。
・観光事業を立ち上げようにも受け入れ団体がなく、また若い世代がいないため、起業はほぼ不可能。
・これまで他の観光資源の確立を旧炭鉱会社に提案したが、新規事業に従事できない旨の回答があった。
今後の池島を考えた時に、炭鉱体験に代わる観光事業(例えば、草が繁茂している箇所を有効活用し、クルマで乗り入れられるキャンプ場をつくるなど)を立ち上げたい気持ちはありますが、イノシシ対策も必要となるなど、頭が痛いところです。
この考えはあくまでも私見であり、行政の考えではありませんので、ご容赦ください。
この度は、長崎市外海地区を訪問いただき、誠にありがとうございました。
・池島のほとんどの土地が旧炭鉱会社の土地であり、土地の賃借ができるか調整が必要。現在実施している炭鉱体験が終了し、旧炭鉱会社が池島から撤退すれば、ほぼ不可能。
・観光事業を立ち上げようにも受け入れ団体がなく、また若い世代がいないため、起業はほぼ不可能。
・これまで他の観光資源の確立を旧炭鉱会社に提案したが、新規事業に従事できない旨の回答があった。
今後の池島を考えた時に、炭鉱体験に代わる観光事業(例えば、草が繁茂している箇所を有効活用し、クルマで乗り入れられるキャンプ場をつくるなど)を立ち上げたい気持ちはありますが、イノシシ対策も必要となるなど、頭が痛いところです。
この考えはあくまでも私見であり、行政の考えではありませんので、ご容赦ください。
この度は、長崎市外海地区を訪問いただき、誠にありがとうございました。
教員コメント
国際観光学部
森重 昌之 教授
今年度のキャリアゼミ活動は、テーマが何度も変わりました。当初は奈良県葛城市で移住者獲得の取り組みおよびPR方策の検討を目的としました。しかし、葛城市でなぜ移住者が増加しているのか、その要因を客観的に示すデータが得られず、調査対象地を長崎県池島に変更しました。
その後、離島での新たな観光資源の発掘をめざしましたが、現地調査を行い、島の方々にお話をうかがう中で、かつて7,000~8,000人が暮らしていた島の人口が80~100人にまで減少し、地域社会の存続すら危うくなる現状を目の当たりにしました。そこで、ゼミ生全員で再度話し合い「池島において観光とはいかにあるべきか」というテーマに変更して取り組むことになりました。その結果、島で生活する住民、かつて島で暮らしていた人びと、観光客の3者の立場から観光のあり方を考え、現在の炭鉱体験を維持し、PRすることが重要であるという結論に至りました。
ゼミ生が池島で触れた姿は、人口減少や少子高齢化が進む日本の多くの地域で今後起こり得る姿といえます。観光振興というと、観光入込客数や観光収入の増加に目が行きがちですが、観光について考えることは決してそれだけではありません。今回はテーマの設定に紆余曲折がありましたが、事前調査の重要性、将来の日本の姿やそこでの観光のあり方を考えることができたという点で、とても有意義な研究になったと評価しています。
その後、離島での新たな観光資源の発掘をめざしましたが、現地調査を行い、島の方々にお話をうかがう中で、かつて7,000~8,000人が暮らしていた島の人口が80~100人にまで減少し、地域社会の存続すら危うくなる現状を目の当たりにしました。そこで、ゼミ生全員で再度話し合い「池島において観光とはいかにあるべきか」というテーマに変更して取り組むことになりました。その結果、島で生活する住民、かつて島で暮らしていた人びと、観光客の3者の立場から観光のあり方を考え、現在の炭鉱体験を維持し、PRすることが重要であるという結論に至りました。
ゼミ生が池島で触れた姿は、人口減少や少子高齢化が進む日本の多くの地域で今後起こり得る姿といえます。観光振興というと、観光入込客数や観光収入の増加に目が行きがちですが、観光について考えることは決してそれだけではありません。今回はテーマの設定に紆余曲折がありましたが、事前調査の重要性、将来の日本の姿やそこでの観光のあり方を考えることができたという点で、とても有意義な研究になったと評価しています。