産官学連携先:名美アパレル株式会社
2024年11月19日、商品開発論及び流通学部基礎演習・専門演習(キャリアゼミ)として池澤ゼミ2・3期生(3回生・2回生)は名美アパレル株式会社の前野いずみ様より講義及びゼミで質疑、意見交換を行いました。前野先生は、2008年に「キアレッタ」というシニアファッション向けのブランドを立ち上げ、ユニバーサルファッションをデザインから製作まで長らく携わってこられました。商品開発論では、片麻痺の障がい者向けの洋服がプロのバイオリニストの演奏のしやすさにつながるなど、片手による着易さというニーズが演奏の可動域を広げるという別のニーズを満たす背景を説明して下さり、ユニバーサルファッションの「ユニバーサル」の真の意味を考えさせられるお話をしてくださいました。また、基礎演習・専門演習では、ゼミナール大会に向けた繊維産地の研究の中で、前野様より羊毛、毛織物のお話とご助言を頂きました。学生たちは、ファッションの多様性に触れると同時に、障がい者に寄り添う商品開発のインサイトのあり方や、繊維に関わる背景まで、広い領域で学ぶことができました。
2024年11月19日、商品開発論及び流通学部基礎演習・専門演習(キャリアゼミ)として池澤ゼミ2・3期生(3回生・2回生)は名美アパレル株式会社の前野いずみ様より講義及びゼミで質疑、意見交換を行いました。前野先生は、2008年に「キアレッタ」というシニアファッション向けのブランドを立ち上げ、ユニバーサルファッションをデザインから製作まで長らく携わってこられました。商品開発論では、片麻痺の障がい者向けの洋服がプロのバイオリニストの演奏のしやすさにつながるなど、片手による着易さというニーズが演奏の可動域を広げるという別のニーズを満たす背景を説明して下さり、ユニバーサルファッションの「ユニバーサル」の真の意味を考えさせられるお話をしてくださいました。また、基礎演習・専門演習では、ゼミナール大会に向けた繊維産地の研究の中で、前野様より羊毛、毛織物のお話とご助言を頂きました。学生たちは、ファッションの多様性に触れると同時に、障がい者に寄り添う商品開発のインサイトのあり方や、繊維に関わる背景まで、広い領域で学ぶことができました。
学生コメント
流通学部2年 福田 はるな
今回の講義を通して、顧客の感じる価値や体験・経験に焦点を置くサービスドミナントロジックの考え方を、実際の商品企画においてどう活用していくのか、障害をもつ方が着やすい服の商品企画から学びました。ナラティブベースドアプローチの手法を用いることで、顧客の心の声を拾い、真のニーズを捉える事ができると心得ました。
また、前野先生は商品企画において、他者承認・自己肯定の向上する仕掛けをファッションの中に取り入れていたことが衝撃的で、ファッションの秘めた魅力や私達に与える影響を感じる事ができました。
また、前野先生は商品企画において、他者承認・自己肯定の向上する仕掛けをファッションの中に取り入れていたことが衝撃的で、ファッションの秘めた魅力や私達に与える影響を感じる事ができました。
連携先コメント
名美アパレル株式会社
前野 いずみ 様
【プロフィール】
ユニバーサルファッション、多様性対応クリエーター。
2級ユニバーサルデザイン・コーディネーター(11-2303-001698)
瀧定株式会社(現、瀧定名古屋)、宇仁繊維株式会社、舞台衣装デザイン(フリー)を経て2008年にユニバーサルファッションブランドChiarettaを立ち上げる。
自身の事業を通して高齢者の暮らしと洋服の可能性を研究。
サービスデザイン、人間中心設計、ナラティブ・ベースド、回想法等を実践しながら事業のリフレーミングを行い「個別性が高く、嗜好性の強い」高齢者・障がい者ファッションにおいてCXを実現。
【主な著書・研究発表】
・想いを伝える布仕事-背守刺繍とユニバーサルファッション-(共著:福山市立大学・正保正惠教授 大修館書店)
・アパレルの高齢化対応における量産商品開発-ユーザー中心の商品開発における限定された市場の拡張プロセス-(優秀発表賞受賞:共同発表:福岡大学・森田泰暢教授)
【コメント】
高齢社会と言われて久しい現在、多様性や持続可能性に対する人々の意識は大きく変化してきました。
しかし、高齢社会に対しての、とりわけ高齢生活における暮らしの課題は多く、「困った」と感じながらも置き去りにされたままになっているのが現実です。
自動運転や認知症対応薬の開発は進んでいるものの、肝心の免許返納や認知症検査を受けることを頑なに拒絶するといった、高齢者本人の意思や感情が技術や医療の進歩を受け入れない難しさが浮き彫りになっています。
人生の大先輩であり正論が通用し辛いという、独特の特徴を持つ高齢者に対して、商品やサービスの提供者である年下の現役世代はどのように向き合えばよいのか。
このような状況に対して、洋服は根本的な解決はできないけれど「想い出の共有」や「愛情の見える化」という形で暮らしに溶け込みそっと支えることができます。
着るだけではない洋服の可能性を是非皆さんに知って頂きたいと思います。
ユニバーサルファッション、多様性対応クリエーター。
2級ユニバーサルデザイン・コーディネーター(11-2303-001698)
瀧定株式会社(現、瀧定名古屋)、宇仁繊維株式会社、舞台衣装デザイン(フリー)を経て2008年にユニバーサルファッションブランドChiarettaを立ち上げる。
自身の事業を通して高齢者の暮らしと洋服の可能性を研究。
サービスデザイン、人間中心設計、ナラティブ・ベースド、回想法等を実践しながら事業のリフレーミングを行い「個別性が高く、嗜好性の強い」高齢者・障がい者ファッションにおいてCXを実現。
【主な著書・研究発表】
・想いを伝える布仕事-背守刺繍とユニバーサルファッション-(共著:福山市立大学・正保正惠教授 大修館書店)
・アパレルの高齢化対応における量産商品開発-ユーザー中心の商品開発における限定された市場の拡張プロセス-(優秀発表賞受賞:共同発表:福岡大学・森田泰暢教授)
【コメント】
高齢社会と言われて久しい現在、多様性や持続可能性に対する人々の意識は大きく変化してきました。
しかし、高齢社会に対しての、とりわけ高齢生活における暮らしの課題は多く、「困った」と感じながらも置き去りにされたままになっているのが現実です。
自動運転や認知症対応薬の開発は進んでいるものの、肝心の免許返納や認知症検査を受けることを頑なに拒絶するといった、高齢者本人の意思や感情が技術や医療の進歩を受け入れない難しさが浮き彫りになっています。
人生の大先輩であり正論が通用し辛いという、独特の特徴を持つ高齢者に対して、商品やサービスの提供者である年下の現役世代はどのように向き合えばよいのか。
このような状況に対して、洋服は根本的な解決はできないけれど「想い出の共有」や「愛情の見える化」という形で暮らしに溶け込みそっと支えることができます。
着るだけではない洋服の可能性を是非皆さんに知って頂きたいと思います。
前野先生を囲んで。池澤ゼミ2・3年生と意見交流。羊の油は口紅に使うんですね!
商品開発論のゲスト講義では、ユニバーサルファッションの豊富な事例を紹介していただきました。
「着れる服」(機能的価値)から「着たい服」(情緒的価値)へ。障がい者に寄り添う商品価値を作り出します。
会場からも質問が出ました。大量生産の商品開発とは異なる要素があります。
家庭科の教科書・副読本として、前野先生と正保正惠先生(福山市立大学)の共著が出版されています。
「ユニバーサルファッション」は教育の現場でも盛んに紹介されています。
正保正惠・前野いずみ(2024)『想いを伝える布仕事 背守り刺繡とユニバーサルファッション』(大修館書店)
前野様。貴重な時間をありがとうございました。
教員のコメント
経営学部
池澤 威郎 教授
今回は、名美アパレル株式会社の前野いずみ先生からファッションや繊維に関わる貴重なお話をうかがうことができました。シニアマーケットや障がい者向けの商品開発はターゲットが多様であり、大量生産・大量消費のアパレル産業とは異なる、カウンセリングや臨床的アプローチの必要な分野であります。その領域を長年にわたって追求してきた前野様の功績は大きいです。これからは、こうしたマーケットを追求していく意義は極めて大きいです。日本をトップランナーに諸外国、成長著しい東南アジア諸国なども次第に高齢化社会になっていきます。単なる利便性や機能的価値の追求ではなく、情緒的価値や、周囲を取り巻く介護者やターゲットのもつ「生きる意味」に共感したファッションが生まれていきます。商品開発の素養は、モノだけでなくユーザーを取り巻く環境にも目配りをしなければならないです。学生たちは一様に感嘆していました。
参加学生一覧
(3年生)
牛島 敬介、
四方 美裕、
作田 美結菜、
杉原 大樹、
杉村 暁洋、
竹田 英烈、
中上 元、
中澤 怜大、
栁本 怜音、
岩本 大輝、
三浦 由有
(2年生)
北口 碧乃、
北村 颯介、
中橋 果音、
箱崎 未帆、
橋本 陽奈、
別所 櫂人、
三宅 萌香、
宮西 唯