第二回現場見学会

 第二回の現場見学会を2019年7月27日(土)に実施しました。二回目の現場見学会を実施した理由は、新しい年度になって山内ゼミに新2回生が入ってきたため、彼らにも勉強してもらう必要があったことと、第一回の現場見学会から一年経過し、開通まで8ヶ月になって新しい施設や設備が建設されていることから、前回参加した学生も勉強し直す必要があったからです。
 今回の現場見学会で学んだのは、ドライバーに対する安全性と高速道路周辺の地域に対する快適性を確保する為に阪神高速大和川線で取り入れられた新技術や防災設備です。
  • 図5 滑り台式の脱出シュート

 ドライバーに対する安全性の点では、避難経路に設置された「滑り台による脱出シュート」です。阪神高速大和川線は、そのほとんどがトンネル耕造になっていますが、そうした閉じられた空間を走行するドラーバーにとって最も怖いのは交通事故とそれによって引き起こされる火災です。トンネル内で事故や火災に遭遇してしまった場合、“どこに逃げるか”“どうやって逃げるか”が問題になります。そこで阪神高速大和川線では、事故や火災で発生する煙はトンネルの上部に滞留することから、ドライバーは下に逃げるという方法を採用しました。つまり、トンネル内に設置された滑り台式の脱出シュート(図5)を使って(自動車が走行する)道路下部にある脱出トンネルに出て、そこから換気所を通じて地上に脱出するのです。
  • 図6 巨大なジェットファンと電気集塵機

 高速道路周辺の地域に対する快適性確保の点では、換気所に設けられた巨大なジェットファンと電気集塵機、消音装置です。阪神高速大和川線には一日に何百台もの自動車が走行することが想定されます。そうした自動車が巻き上げる粉塵は“ちりも積もれば山となる”の諺にあるように、一台当たりは少なくとも、何百台分が毎日となれば、ドライバーの運転に与える影響は大きくなります。そこで、その粉塵をトンネル外へ排出するために各換気所に巨大なジェットファンを設置し、掃除機のようにトンネル内の粉塵を吸い上げるようにしました。ただ、吸い上げた粉塵をそのまま排出したのでは、周辺地域の環境汚染につながりますので、巨大なジェットファンに電気集塵機(図6)を併設することによってクリーンな空気を排出することができるようにしました。
  • 図7 消音装置

 さらに、換気所で巨大なジェットファンがブンブン回れば、音が発生します。また、トンネル内を自動車が走行すれば、それだけでも音が発生してしまいます。そうした音も何台もの巨大ジェットファンが同時に動き、何台もの自動車が同時に走行することで、その音は騒音となってしまいます。阪神高速大和川線周辺に住む方々にとって、24時間365日騒音が聞こえる環境では生活することができません。そこで、トンネル内や換気所内で発生する騒音を限りなく無くすために、換気所に巨大な消音装置を設置し、周辺住民の方々の生活環境を守る努力をしています。