【連載講座】日本の2大テーマパークのマーケティング戦略
その1 はじめに:日本の2大テーマパークの実力と“なぜ?”
このコラムを読んでくれている方の多くは、東京ディズニーリゾート(以下TDR)やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下USJ)を知っているでしょうし、行ったことがあるという人も多いと思います。これら2つのテーマパークは、東の横綱TDR・西の横綱USJであるだけでなく、今や日本を代表するテーマパークとなっています。例えば、入場者数を見れば2015年度のTDRとUSJの合計は、日本における遊園地・テーマパークの年間総入場者数の約45%となります。また、アメリカ・エンターテイメント協会による世界のテーマパークのランキングを見れば、1位はマジックキングダム(フロリダ・ディズニー・ワールド)、2位はディズニーランド(アナハイム)とアメリカのテーマパークになりますが、3位は東京ディズニーランド(以下TDL)、4位がUSJ、5位が東京ディズニーシー(以下TDS)となります。特に、USJは、本家アメリカのユニバーサル・スタジオ・ハリウッド(18位)を大きく引き離すだけでなく、USJより規模の大きいユニバーサル・スタジオ・フロリダ(9位)にも勝っているのです。すごいことですよね。今年はブラジル・リオでオリンピック、パラリンピックが開催されましたが、オリンピック競技に例えれば、TDLは銅メダルですし、USJやTDSも堂々の上位入賞なのですから。
表1 世界のテーマパークランキング抜粋
世界順位 | テーマパーク名 | 国 | 入場者数(単位:万人) |
---|---|---|---|
1 | マジックキングダム(フロリダ) | 米国 | 2,049 |
2 | ディズニーランド(アナハイム) | 米国 | 1,827 |
3 | 東京ディズニーランド | 日本 | 1,660 |
4 | ユニバーサル・スタジオ・ジャパン | 日本 | 1,390 |
5 | 東京ディズニーシー | 日本 | 1,360 |
9 | ディズニーランドパリ | 仏国 | 1,036 |
10 | ユニバーサル・スタジオ・フロリダ | 米国 | 958 |
11 | ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー | 米国 | 938 |
12 | アイランズ・オブ・アドベンチャー | 米国 | 879 |
18 | ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド | 米国 | 709 |
19 | 香港ディズニーランド | 香港 | 680 |
出所)アメリカ・エンターテイメント協会
こうしたTDRやUSJの業績は、それぞれの企業が来ていただいたお客様に“喜んでいただこう”“満足してもらいたい”と考えて、実行してきた努力の賜物であると言えます。それでは、TDRやUSJはお客様に喜んで満足してもらうためにどのような企業努力をしてきたのでしょうか?また、それと同時に皆さんによく考えてもらいたいことがあります。それは、TDRもUSJもアメリカから来たものであるということです。ミッキーマウスというキャラクターを考案し、ディズニーランドというテーマパークを最初にロサンゼルス・アナハイムに作り上げたのはウォルト・ディズニーというアメリカ人です。ユニバーサル・スタジオは、ユニバーサル映画というアメリカ・ハリウッドにある映画会社が作り上げたテーマパークです。まさにディズニーランドもユニバーサル・スタジオもアメリカを代表するテーマパークであるとも考えられますが、私たち日本人はアメリカ発のテーマパークを受け入れてきたのでしょうか?
このコラムでは、これら2社の世界戦略と日本でのマーケティング戦略について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
このコラムでは、これら2社の世界戦略と日本でのマーケティング戦略について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。