堀内准教授が担当する若桜町フィールドワークをお届けします。

 10月13日(土)から15日(月)にかけて、堀内ゼミは人口減少地域が抱える課題を発見し、その解決策を考えるため、鳥取県若桜町でフィールドワークを実施しました。若桜町でのフィールドワークは2年目です。
 いま中山間地の多くが人口減少に伴う様々な課題に直面しています。若桜町も、人口減少はもちろんのこと、獣害や観光客の減少などの問題に悩まされています。
 2年目となる今年のフィールドワークでは、2年生・3年生合同で、若桜町の観光資源調査だけでなく、ジビエ料理の新レシピの開発、地元の小学生との交流などを行いました。以下、参加した2年生の中の7名から感想を報告してもらいます。

国際観光学部2年 
 住田 冴織

 若桜町では、野生ニホンジカから農林業被害を受けており有害駆除に伴う捕獲数も年々増加しています。その肉を捨てるのではなく、ジビエとして有効活用して特産品化をおこない、家庭でも普及するよう、宣伝に努めていました。しかし、まだ十分に、地元の人がジビエ料理に親しんでいないそうです。とくに子供たちが、鹿肉に関心をもっていないと聞いていました。そこで私たちは鹿肉を使った新しい料理の考案を行いました。
 鹿肉は道の駅やわかさ29工房(ジビエ加工処理施設)で購入しました。町にはスーパーマーケットが1店舗だけありそのほかの食材の購入に利用しました。1日目、私は鹿肉ラーメンを作りました。材料は家庭でも作れるようにと、鹿肉の味がしっかり味わえるように化学調味料を使わずに作り上げることにしました。そこで野菜類や鹿肉から出し汁を取ったのですが生姜やセロリといった辛味が主張しているにもかかわらず、味の薄い出汁になってしまいラーメンというよりかは薬膳スープのような味になってしまい想像通りにならなかったです。そのため翌日、前日の改善点を挙げもう一度作ることにしました。改善した点は、セロリや生姜の量を減らすこと。特産品でもある「あごだし」や梨、昆布、などを入れ出汁をまろやかにし、しっかりとした味が出せるようにすること。鹿肉をもっと美味しく食べられるように一度出汁で使い、火が通り柔らかくなった鹿肉を取り出してバター、塩コショウで焼いてラーメンの上にチャーシュー代わりに乗せることでした。その結果、味もしっかりしていて鹿肉の良さをより引き出したラーメンをつくることができました。また並行して鹿肉を使ったバーガーも作りました。こちらも鹿肉とニンニク、塩コショウのみで焼いたパティとチーズ、レタスを挟んで食べごたえのあるバーガーに仕上げました。若桜町を鹿肉で盛り上げようという意味も込めてこのバーガーを若桜バーガーと名付けました。
 ジビエ料理を作ってみた結果、鹿肉はとても食べやすく作れるレパートリーが多いと感じました。今回のフィールドワークで、特産物を合わせてその地域でしかない料理の開発にとても興味を持ちました。まだまだ鹿肉には未知の美味しさや可能性があると感じられます。
※作成した鹿肉レシピは地方創生ゼミのHPに紹介しています。

国際観光学部2年 
 上野 翔子

 私たちは、2泊3日のフィールドワーク最終日に若桜学園の小学生と交流をしました。若桜学園は、小学1年生から中学3年生までの生徒たちが同じ学校で過ごしており、全校生徒ほとんどがお互いの顔と名前を知っているほど仲が良い学校です。その学校で、私たちは地元の小学生たちにジビエ料理をもっとたくさん食べてもらいたいと思い、鹿肉のおいしい食べ方についてプレゼンテーションをするためにアイスブレイクを行いました。
 始めは、二つのチームに分かれてジェスチャーゲーム対決をしました。最初は恥ずかしがっていた小学生たちも2回戦目に入ると全力でお題のジェスチャーをしてくれました。そして結果は、1対1で引き分けに終わりました。次に、6年生のみんなが考えてくれた新聞紙復元ゲームをしました。6チームに分かれてみんなで協力し合うことによって、自然とコミュニケーションが生まれ、一気に距離が縮まりました。
 アイスブレイクが終わると、みんなで給食の用意をしました。グループでたくさんお話をしていると、今全世界で話題の『TikTok』が学校ではやっているとペアの女の子が教えてくれました。それを聞いて私は、小学生の時にガラケーですら持っていなかったので、時代の違いを感じました。お昼休みにはグループを超えて3回生の方も含めて、鬼ごっこをしました。12歳の6年生のみんなはとても元気で20分間ずっと走り回っていましたが、私は少し走っただけですぐに疲れてしまいました。お昼休みが終わるとみんな切り替えをして、黙々と掃除に励みました。
 掃除もすべて終えると、教室に戻り本来の目的であるジビエ料理のプレゼンテーションが始まりました。私は前に立ってプレゼンテーションをしたわけではありませんが、後ろから見ていて6年生のみんなが真剣に聞いてくれていることが背中から伝わり、とてもうれしく思いました。最後の感想の発表では、ジビエ料理により興味を持ってもらえたことが分かったので、とても良かったです。

国際観光学部2年 
 田中 水菜

 ゼミのフィールドワーク活動の一環でおこなった小学生との交流後の質疑応答で、小学生と大学生の今回の交流の感想を聞き、住民の特徴が表れていると感じました。
 地元住民は自分たちの住む地域を田舎だと言い、「なにもない」や「つまらない」という意見を持つ小学生が多くいました。また、田舎は田舎で小さな世界が確立されているという意見を持つ方もいらっしゃいました。一方、都会から来た大学生は若桜町には自然があり、星空も綺麗で、意外な場所を発見できたとプラスの感想が多く出たことが印象的でした。
 観光において情報は必要不可欠なものです。地方創生には地元住民が自分の地域の情報を持つことが重要なことではないかと感じました。このような意見交流を続けることによって地元住民が地元のプライドやいいところを持つきっかけとなればいいなと思いました。

国際観光学部2年 
 安藤 敦仁

 若桜町FW一日目と二日目、若桜鉄道の駅である若桜駅周辺を散策しました。
 一日目:若桜に到着して、若桜駅から仮屋通りまでを歩きました。仮屋通りには昔ながらの建物が残っている地域があり、戦国時代には尼子、毛利、織田などの戦国武将が訪れた状宇迦町でした。仮屋通りの坂を上っていくと最初に「昭和おもちゃ館」がありました。ここは昔ながらの駄菓子屋の様な佇まいで10円や20円のお菓子が買えます。そしてこのお店の二階には鉄腕アトムの商品を集めたアトム展が行なわれていました。このアトム展は10月28日名で開催されており、普段は月光仮面がトレードマークになっています。
 二日目:お昼ご飯を食べるお店を探すためにもう一度仮屋通りへ訪れました。あまり飲食店や喫茶店などを見かけない街並みなのですが、そんな中、歴史を感じる建物を利用した「カリヤ食堂」というお店がありました。このお店は地元の野菜と豚肉を使った料理を中心とした料理を出していて、とんかつや豚重、一日5食限定の角煮丼などがありました。私はピリ辛豚重をいただきました。サラダとお漬物、お味噌汁もついていて男性も満足できる量でした。

国際観光学部2年 
 増本 華乃

 私は若桜町フィールドワークの初日、その日の全ての活動が終わり、明日のために身の回りの色々を片付けて寝る用意をしていました。しかし他のメンバーが外に出て、星がきれいだった、と口々に言っていたので、少し外に出ることにしました。
 見上げたら、星、星、星。無数の星が空に浮かんでいます。じっと見続けると、よりはっきり、ひとつひとつが輝いているのがわかります。あまりに壮大で、「すごい」「きれい」「うわぁ」等、ありきたりな言葉しか出てきませんでした。私自身、大阪の田舎に住んでいて、晴れていたら星空が見えます。しかしその日、私は本物の星空を、今日初めて見たのだと実感しました。
 今思い出してみても、あの光景は壮大すぎて、「見る」以外の全ての五感が失われていたような気さえします。私たちは自然の風景と言われて、田畑や山々を思い浮かべがちですが、若桜町には、決して人間が手を加えることが出来ない、確かな自然がそこにはありました。
【ふつうのカメラでは写真が撮れませんでした。下リンクを参照ください】

国際観光学部2年 
 中村 宇宙

 若桜町にフィールドワークに行ったが、観光と移住に関して課題を何点か発見することができた。そもそも、若桜町ではあまり自分の町のことについて情報をあまり発信してない。公式ホームページはあるものの、魅力があまり伝わってこないのが正直な感想である。しかしながら観光資源はたくさんあるのでそこをもっとアピールできれば観光客や移住を考えている人を呼んでいけるのではと考えている。
 またこれは観光だけでなく、他地域から移住してもらうためにも改善していくべきだと思ったのが交通網の整備である。電車の時刻表やバスの時刻表を調査してみるとかなり移動がしにくいということが分かった。一時間に一本、多くても3本しかないのである。車がないと移動ができないのはさまざまなコストがかかるため若桜町へ足を運んでもらうプロモーション活動を進めつつインフラ整備も確実にやるべきだと私は考えている。

国際観光学部2年
 田中 沙耶

 鳥取県八頭群若桜町では、シカ等による農林業被害が目立つようになり、捕獲を行っています。以前は捕獲後には埋設などをして処理していましたが、それではもったいないと考え、シカ肉の解体・加工処理施設を行う「わかさ29工房」を設立しました。私たちはそこで解体見学をさせていただきました。私たちが見たシカは、すでに血抜きがされていて、冷蔵庫にしまわれていましたが、毛皮や頭はついたままでした。そのシカのうちの一体が吊るされました。解体は最初から最後まで一人で行い、使う道具はナイフ一本のみでした。はじめ、4本の足が、一本ずつ、ナイフで切断されました。切断した個所から血が出るわけではないのですが、茶色の毛皮の向こう側に、白色の筋肉組織が見えたのが印象的です。骨もうっすらと見えましたが、簡単に、それこそ「ポキ」と音が出るようにして、4本の足が取り払われました。そのあと、お腹が裂かれ、中から飛び出した臓器が、一気に取り除かれました。音は聞こえませんでしたが、「ドバ」「ボト」と聞こえたかのような気がしました。取り除かれた臓器は、バットに入れて健康なシカかどうか確認が行われていました。衝撃的でしたが良い経験になりました。