新たなメンバーも加え、標津町の観光振興に向けた調査を行いました

 国際観光学部では、2014年度から北海道標津町で現地の方々の協力をいただきながらフィールドワークを実施しています。今年度は道東の主要観光地を訪れた観光客が移動する際に標津町に立ち寄るようなドライブマップを作成すること、標津町の絶景スポットをまとめることをテーマに、1~4年生有志11名がフィールドワークの準備を進めてきました。そして、9月2日(日)から5日間の予定で、現地調査を行いました。
 ドライブマップの作成に向けた調査では、道東の主要観光地である釧路、阿寒・摩周、知床と標津町を結ぶルートを中心に、3つのグループに分かれ、道中にある魅力を探っていきました。今回はメンバーのほぼ半分が初めて北海道、標津町を訪れるということでしたので、彼らの視点を大切にし、何度も訪れているメンバーが魅力を補足しながら調査を行いました。後半は、町内の絶景スポットをめぐる調査や野付半島・北方四島の観光活用に向けたワークショップ、現地での中間報告会を行いました。
 帰阪予定の9月6日(木)深夜、われわれは釧路市で滞在中に地震に遭遇しました。釧路市内は地震による直接的な被害はなかったのですが、搭乗予定の飛行機が欠航になり、停電の影響で公共交通機関もストップし、釧路空港から移動できなくなってしまいました。途方に暮れていたところ、標津町役場の方が連絡してくださり、片道2時間以上かけて釧路空港まで迎えに来てくださり、標津町内で宿を手配してくださったほか、翌朝6時から再び釧路空港まで送ってくださいました。また、民宿では発電機で電気を確保し、部屋だけでなく、温かい夕食や風呂まで用意してくださいました。ご自身も大変な状況であるにもかかわらず、われわれのことを心配し、さまざまな支援をいただいたことを心より感謝申し上げます。標津町の皆さまの温かいお心遣いは、当日標津町で見上げた満天の星空や天の川、流れ星とともに、忘れない思い出になると思います。(森重昌之)

フィールドワークの様子

  • サイロと放牧風景

  • 歴史民俗資料館での見学の様子

  • 野付半島で全員で記念撮影

  • タブ山チャシ跡で解説を聞く

  • ワークショップでの発表の様子

  • 成果発表に向けた民宿での準備の様子

  • 標津町の皆さまに向けた成果発表会の様子

  • 民宿では発電機を使って、夕食を提供してくださいました

  • 先に帰阪するメンバーを見送る学生

参加した学生の報告

町民の方々の温かさと再認識した標津の魅力
 国際観光学部4年 佐古 健太

 9月2日から5日までの4日間、北海道標津町を訪れ、現地調査を行いました。標津町を訪れるのは今回が3回目でしたが、新しい発見がたくさんあり、楽しく、とても勉強になる調査でした。
 今回の調査では、道東地域を訪れた観光客に標津町を訪れていただくためのドライブマップ作成に関する調査、絶景スポット調査、そして標津町観光協会主催で野付半島と北方四島の活用についてのワークショップ、以上の3つを行いました。私はドライブマップの調査について報告します。
 標津町は通過型観光地と位置づけられることが多く、道東地域の著名な観光地である、知床や阿寒、釧路を訪れる観光客の方々がよく標津町に立ち寄られます。そこで、これらの観光地を訪れる観光客の方に、道中で標津町を通過もしくは立ち寄っていただき、標津町を知るきっかけをつくろうと考えました。今回は先生を含めたプロジェクトメンバー12人を3つのグループに分け、標津町から知床、阿寒、釧路へ向かうルートをそれぞれ考え、実際に調査を行いました。私は釧路のチームで、行きは標茶町を通って牧場や森林の中を走るルート、帰りは厚岸町や別海町を通る海岸線を多く走るルートを選びました。道中の観光地を訪れながら計280kmを走りましたが、2つのルートそれぞれに特徴がありました。移動時間は長かったですが、飽きることなく車窓の景色を楽しむことができました。北海道の道路の特徴でもありますが、まっすぐな道で信号が少なく、とても走りやすい道だと思いました。また、訪れた観光地も素晴らしいものばかりで、また訪れたいと思うところも多かったです。この調査をもとに、実際に観光客の方にも選んでいただけるようなマップを仕上げたいと思います。
 今回の調査を終え、帰阪のため釧路に滞在していた9月6日未明に、北海道の胆振地方で大きな地震がありました。私たちがいた釧路は、震源から離れていたこともあり、比較的小さな揺れでした。しかし、飛行機の欠航や北海道全域で停電になった影響で移動ができず、釧路空港で途方に暮れていました。そのような中、自身の生活に影響が出ているにもかかわらず、標津の方々が片道2、3時間かけて空港まで迎えに来てくださり、宿の手配までしてくださいました。そして、翌日も朝6時から空港まで送ってくださいました。また、宿の方々も急きょ受け入れの準備をしてくださり、食事や風呂など、停電の中で充分すぎる対応をしてくださいました。そして、1日遅れではありますが、無事に帰阪することができました。停電などで大変な状況の中で、送迎などのお気遣いをしてくださった標津町の方々には、何とお礼を申し上げてよいのか、感謝の言葉もありません。
 毎度のことではありますが、標津町の方々には大変お世話になりました。少しでもご恩返しができるよう、今回の調査をしっかり標津町に還元したいと思います。

豊かな自然と一体感のあるまち標津町を訪れて
 国際観光学部2年 山本名桜

 9月2日~5日まで北海道標津町にてドライブマップの調査、野付半島・北方領土についての学習、調査報告会を行いました。3日に行ったドライブマップ調査では、3つのチームのうち、私は標津町から釧路方面へ向かうチームで調査しました。
 下調べで、名所や休憩所などをポイントとしてあげ、ルートを決めて調査に臨みました。実際にそのルートを走っていくと、目的地と目的地の間に思わずクルマを停めて写真を撮りたくなるようなスポットがいくつもありました。例として「憩いの家かや沼」から「コッタロ展望台」の道中にあった「シラルトロ湖」の写真スポットがあげられます。パーキングマークとカメラマークの標識が立てられていたため、一目で写真スポットだとわかり、ドライブマップに活用することに適しています。さらに、マップにもこの地点に「シラルトロ湖」の写真スポットであることを記載することで、観光資源化できると考えました。
 また、マップに記載すべき項目がいくつかあることを発見しました。1つは「コッタロ展望台」までの長い砂利道のような、険しい道のりの忠告です。これを記載することで、観光客が思いがけずクルマを汚すことを防ぐことができます。もう1つは、防虫対策をすべき箇所です。「コッタロ展望台」の駐車場から頂上までの階段や「愛冠岬」までの森の中など、虫が多い場所が多く見られたので、この項目の記載が必要であると考えました。3つ目は、マップに記載する飲食店や休憩所の定休日です。3日の調査の際、下調べであげたポイントのうち2ヶ所が定休日でした。その飲食店や休憩所の基本情報に加え、定休日を記載することで、一目でそのポイントの重要な情報を得ることができます。これら3つの項目をマップに記載することで、観光客がより快適にドライブを楽しむことができると考えます。
 4日間の調査期間で現地の方々との交流の機会がありました。観光や水産業など、あらゆる分野に携わる方々と交流させていただきましたが、どなたの標津町活性化への熱意も確かなもので、一体感のある地域であることを肌で感じました。5日の調査成果発表会で、地域の方々は私たちの感じたことや意見を真剣に聞いてくださり、地域の方とともに標津町について考えることができました。また、6日の北海道東部を襲った地震で帰宅困難になった際にも、標津町の方々が空港まで駆けつけてくださり、学生たちの不安を汲み取り、あらゆる支援をしてくださいました。この滞在期間を通して、標津町の自然の豊かさや美しさに加え、地域の方々の標津町活性化に対する思いや訪れた人々への温かさを知ることができました。

酪農景観と防雪柵の活用
 国際観光学部2年 森下恭生

 2018年9月3日に、知床、阿寒・摩周、釧路を訪れる観光客に標津町を経由・宿泊して移動してもらうことを促すドライブマップを作成するための現地調査を行いました。調査方法は事前に3つのルートとグループを決め、インターネットを使ってルート上に存在する飲食店や観光名所などを調べ、現地で実際に調査するというもので、景観なども含め、どのようなドライブマップが観光客の目に留まるのかを、自分たちの目で確認・考察しました。
 私は標津町から阿寒・摩周方面を担当するグループでした。最初に「牧舎」というカフェを訪れました。テラス席で昼食をとりましたが、自然に囲まれ、ファストフードなどとは違った手づくり感溢れる料理を食べると、とても時間がゆっくりと流れるように感じられ、忙しい日々とはかけ離れた空間に「癒し」を感じることができました。また、牧舎ではさまざまなグッズも販売されており、Tシャツなどは若い世代の人でも普段使いができるようなものになっていました。標津町にはこれといったグッズがないようですので、北方領土や野付半島を絡めたグッズを製作、販売をしてもいいのではないでしょうか。
 次に、ひまわり畑と摩周アイスの店を訪れました。ひまわり畑はとても広大な土地にひまわりが植えられており、満開のシーズンはやや過ぎていましたが、それなりの感動を与えてくれました。しかし、大きな道のすぐ側にあるにもかかわらず、周りが森に囲まれており、ほとんどの人がひまわり畑の存在に気づくことなく通り過ぎてしまう現状でした。道路側の木だけでも伐採することができれば、さらに集客を見込めるのではないかと考えます。一方、摩周アイスは摩周湖の緑を彷彿とさせるもので遊び心があり、非常におもしろいと感じました。その後は男鹿の滝と神の子池、ヘーゼルグラウスマナーを訪れ、標津町へと戻りました。
 私は今回のドライブを通して、防雪柵にもっと可能性があるのではないかと考えました。冬は雪を凌ぐために使用されますが、夏はただの鉄柵であるように感じたからです。北海道の広大な牧草地が広がる光景は北海道独特のもので感動はありますが、長い距離を移動する中でどうしても飽きが来てしまいます。そこで、地元の小学生に標津町のオススメスポットなどの絵を描いてもらい、防雪柵に貼ったり、北方領土にしか生息していない貴重な動物の写真を貼ったりするのはいかがでしょうか。他にはない新鮮なドライブができるように私は感じます。頭の中でこの案を考えている間、道路交通法などを危惧していましたが、最終日に立ち寄った釧路市街で、道路標識の横に鶴や自然などの写真の引き伸ばしたパネルを確認できたので、道路交通法の問題はないように感じています。
 地域活性化において、資源はあるがそれを活かすための設備投資や広報のための資金がないということが一番の問題であると私は考えていますが、地域の学生や私たちのような地域振興を研究している全国の大学生、ボランティアなどと協力し、人件費などを削減することでお金を浮かし、グッズ販売などのより良い活性化につなげることができるのではないでしょうか。

北海道らしい景色を見たドライブ調査
 国際観光学部4年 井上佑太

 私たちは9月2日から7日にかけて、北海道標津町で調査を行いました。昨年度実施した観光客のアンケート調査結果から、道東を訪れた人は1カ所だけ訪れるのではなく、知床や阿寒湖・摩周湖、釧路など、道東の有名な観光地を周遊しながら行動していることがわかりました。そこで、今年度は周遊型観光を行っている観光客に、標津町をはじめとする根室管内に立ち寄り、滞在してもらえるようなドライブマップの作成を目的に、3つのグループに分かれて調査しました。
 私は標津町から摩周湖・阿寒湖に向かう道路を調査しました。途中の道中には、真っ直ぐに伸びる道や牛の放牧風景、牧場にそびえるサイロなど、北海道らしい景色が広まっていました。他にも、9月でも咲いているひまわり畑などを見ることもできました。また、舗装されてない林道を進むと、コバルトブルーの輝きを放っている神の子池に行くこともできました。牧草地の中にあるカフェで昼食をとりましたが、テラス席では目の前に広がる草原を見ることができ、フットパスのコースである北根室ランチウェイのグッズも豊富にあり、標津町の観光振興を考える上で、とても参考になりました。
 今回は3つのグループに分かれて調査しましたが、標津町から向かう道は、行先によってその道中の風景がまったく異なります。摩周湖・阿寒湖への道はまっすぐな道路や牧場風景、知床に向かう道は北方四島の一つである国後島を眺めながらの海の風景、釧路への道は釧路湿原を通る景色など、それぞれの道路で特徴が分かれます。これら今回の調査で気づいたことなども生かしながら、ドライブマップを作成し、提案できる段階までに仕上げていきます。
 今回調査を終え、大阪に帰る日の未明に胆振東部で発生した地震に見舞われました。幸い、私たちが宿泊していた釧路市は震度4でしたが、地震の数分後には停電しました。翌朝も空港に向かうために、ホテルの8階から荷物を持ちながら非常階段を降りたり、搭乗予定だった飛行機も欠航になったりするなど、帰宅できなくなってしまいました。その中で、標津町役場の方が片道2時間かけて釧路空港まで迎えに来ていただいたり、民宿では発電機を回して温かいご飯や風呂を用意していだだき、部屋にもロウソクを用意していただいたりするなど、本当に助けていただきました。私たちが都会で災害に逢えば、何もすることができずに救援物資を待つだけですが、地方に行くと住民が協力して乗り切ろうとする努力を感じることができました。今回も標津町の方には本当にお世話になりました。ご恩返しするためにも知恵を出し合い、標津町の力に少しでも慣れるように頑張ります。

足を運んでみないとわからないまち
 国際観光学部1年 大谷航太

 私たちは9月2日から5日にかけて北海道標津町を訪れ、標津町の調査と研究成果発表会を行いました。私自身初めての北海道標津町の調査で、冬の雪景色とは違う北海道を見ることができ、また過ごしやすい気候に驚きました。今回の調査は、昨年度の観光客アンケート調査で、標津町を訪れる観光客はリピーターが多いことがわかったので、知床や阿寒・摩周、釧路を訪れた観光客が観光地を移動する際に標津町を通過することで、標津町を知るきっかけをつくることを目的に、ドライブマップを作成しました。釧路、知床、阿寒の3つのグループに分かれてドライブマップ調査を行い、その中で私は知床・羅臼ルートを調査しました。標津町を出発し、羅臼町、知床峠を抜けて斜里町に行き、標津町に戻ってくるというルートでした。
 標津町に行く前に週に一度集まり、ルートの下調べや観光地、飲食店などの資料集めを行った上で、調査当日を迎えました。私たちの知床・羅臼ルートは、他のルートに比べて比較的観光地が少なく、下調べの段階でとても苦労しました。当日標津町を出発すると、天気が良ければ国後島を見ながらドライブすることができ、国後島を見ながらドライブできるのはこの知床・羅臼ルートだけではないかと思いました。その後、羅臼町農林漁業拝見実習館に立ち寄り、都会では感じることのできない大自然の空気を肌で感じることができました。次に、羅臼町方面に向かっていると知西別川があり、私たちは運よくそこで鮭の捕獲作業を見学することができました。皆さんも運が良ければ、捕獲作業を見学できるかもしれません。昼食には、ドラマ「北の国から2002〜遺言〜」で登場する純の番屋を忠実に再現した番屋で、目の前に広がる海に浮かぶ国後島を眺めながら、新鮮な海の幸をふんだんに使った料理を楽しむことができます。その後、道の駅知床・羅臼で変わり種アイスクリームである「昆布ソフト」と「深海層水ソフト」を食べることをお勧めします。また、この辺りには春から初夏にかけてシャチが見えるようで、今年のゴールデンウィークには30~40頭のシャチが見えたそうです。
 今回のドライブマップをつくるにあたって、事前に下調べした時には観光地や飲食店が少なかったですが、実際に足を運んでみると、オシャレなカフェや雑貨屋さんなどが多数見つかりました。これほどにも良い場所があるのに、知ってもらい、来てもらわないと意味がないと思い、もっとSNSを使ってPRすべきだと思いました。観光客はインターネットを使って旅先のことをリサーチすると思うので、Instagramやツイッターをうまく利用し、若い人にまずは知ってもらうことがこの町に観光客が訪れる一歩になるのではないかと思いました。

改めて感じた標津町の方々の温かさ
 国際観光学部4年 山本真由美

 私たちプロジェクトのメンバーは、9月2日から北海道標津町で現地調査を行いました。昨年に実施した観光客アンケート調査で、標津町を訪れる観光客はリピーターが多いということがわかりました。そこで、今年度は知床や釧路などの周辺の観光地を訪れた観光客が移動する際に、標津町を知るきっかけになるようなドライブマップを作成することを目的としました。今年から新メンバーが1年生、2年生合わせて5名加入し、全11名で釧路ルート、羅臼・知床ルート、摩周・屈斜路・阿寒ルートの3チームに分かれて、調査を実施しました。
 私は羅臼・知床ルートを担当しました。標津町を出発すると、右手には海が広がり、天候にも恵まれ、国後島を見ながら進むことができました。知床に近づいていくと、道の駅や飲食店が増え、観光客も多く見られました。「道の駅知床・らうす」と「道の駅ウトロ・シリエトク」には、そこでしか食べられないご当地のソフトクリームがあり、手軽に地域の食を味わいながら、ドライブを楽しめるのではないかと感じました。また、望郷の森や知床峠では、知床全体を見渡すことができ、美しい景色は羅臼・知床ルートの大きな魅力のひとつだと思いました。
 今回のフィールドークは釧路市での観光を含め、6日午前中に関西に帰る予定でしたが、午前3時頃に発生した地震の影響で飛行機が欠航となってしまいました。北海道全土で停電が起こり、公共交通やレンタカーも使えず、どうすればよいかわかりませんでした。そのような時、標津町の方々が私たちを気にかけてくださり、宿の手配や空港への送り迎えをしてくださいました。また、宿のご主人や奥さまも食事や風呂まで準備してくださり、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。改めて、標津の方々の温かさと優しさを実感しました。次の日からは早朝から空港でキャンセル待ちを続けて、無事に帰ることができました。
 今回のフィールドワークでは予想外のことが起こり、当たり前のことがどれだけありがたいかを強く実感しました。また、どのような時でも明るく、前向きなプロジェクトメンバーと一緒だったので、つらいことも乗り越えることができました。とても大変ではありましたが、チームの仲が深まり、良い経験になりました。
 標津町の皆さま、今回は本当にありがとうございました。今後も標津町の方々とともに、町の魅力の発信に力を尽くしたいと思います。北海道全土で、これ以上地震の被害が大きくならないことと同時に、早い復興を願っています。

温もりを感じた町・標津町
 国際観光学部1年 立住空

 9月2日~6日に北海道標津町を訪れ、標津町周辺や町内で現地調査を行いました。私は標津町を訪れるのは初めてでした。大阪と同じ日本とは思えないほどの広大な牧草地帯が広がり、まだまだ暑い夏が続いている大阪とは反対に涼しく、過ごしやすい気候でした。現地では、観光客が標津町周辺の観光地を移動する際に、標津町を通過することで、標津町を知るきっかけをつくるようなドライブマップの作成に向けた調査を行いました。私は4日に行った標津町内の観光地の調査についてレポートします。
 私たちは、2つのグループに分かれて調査を行いました。私は標津神社、旧根室標津駅転車台、ポー川史跡自然公園やサーモン科学館を訪れました。標津神社は古く、歴史のある神社です。その後に訪れたポー川史跡自然公園内のビジターセンターに展示されている江戸時代末期の標津町の様子を描いた標津番屋屏風にも、標津神社が描かれていました。標津神社は、その屏風と今の標津町を比較する際に目印となる神社であることがわかりました。
 次に訪れた旧根室標津駅転車台では、本物のSLを見ることができました。私は本物のSLを見たことがなかったので、とても魅力的なものに感じました。とてもデザイン性があり、写真映えするスポットだと思いました。
 ポー川史跡自然公園は時間が少なく、ビジターセンターのみの訪問になってしまったのですが、次は実際に公園内の伊茶仁カリカリウス遺跡や湿原も見学したいと思いました。ビジターセンターでは、標津町の歴史がわかる展示がたくさんありました。その中に、標津町内の中学校の先生、斎藤一さんが作成したアマチュアがわかりやすく、より標津町の昔の生活を想像することができました。
 最後に訪れたサーモン科学館では、サケの水族館でサケ科のさまざまな魚が展示されていました。また、チョウザメの指パク体験など、子どもから大人まで、さまざまな年齢層が楽しむことのできる施設だと思いました。屋上には展望台もあり、標津町周辺の雄大な景色を楽しむことができました。また、サーモン科学館に隣接するサーモン亭には、さまざまなサケ料理がありました。ドライブマップには標津町内に立ち寄ってもらえるよう、このような標津町内の多くの魅力溢れる観光地を入れたいと考えています。
 今回の調査では、最終日に北海道胆振東部地震があり、標津町役場の皆さまや観光協会の皆さま、民宿のご家族の皆さまに、たくさん助けていただきました。町内も大変なのに、片道何時間もかけて空港まで迎えに来てくださった役場の方々、その日の宿を手配してくださった観光協会の方々、温かいご飯と風呂、自家発電機で電気を灯してくれた民宿の方々に感謝し、御礼申し上げます。
 標津町の方々には本当にお世話になりました。皆さまに本当に優しく接していただき、人の温もりを感じられる町だと感じました。このような素晴らしい町をより多くの人に知ってもらい、訪れてもらえるように頑張っていきたいと思います。

初めて訪れ、新鮮で貴重な体験をした標津町
 国際観光学部2年 田中慎也

 9月4日午前、私たちは午後のワークショップに向けて、標津町の観光スポットを訪れました。私は標津町を訪れたのは初めてで、北海道を訪れたこともありませんでした。そのため、標津町で見る縦向きの信号機や、窓や玄関が二重になっている建物、停止線・中央線の看板、広大な大自然など、すべてがとても新鮮で、貴重な体験でした。
 最初に訪れた標津神社は、大きな錨がとても印象的でした。その後で訪れた標津町歴史民俗資料館の標津番屋屏風に、その特徴的な錨が描かれているのを見て、当時の様子を把握する重要な建物だということがわかりました。神社にあった説明書きに、屏風の写真を載せることによって、現地で変化を体感できるのではないかと思いました。
 標津町歴史民俗資料館では、竹馬などの日本文化の遊びや火おこし体験、パズル、磁石を使った魚釣り体験など、楽しみながら学習できる工夫が施されているように感じました。館内で特に目を引いたのが、標津中学校教員の斎藤一さんの作成したジオラマでした。その作品には、当時の人びとの暮らしの様子や標津町の春夏秋冬の風景などがありました。どれも細部まで再現されていました。人形一体一体にも工夫がこなされており、今にも動き出しそうな、とても躍動感のある作品でした。ジオラマは小さい子どもでも楽しみながら見ることができ、当時の暮らしの様子をより理解しやすいと感じました。
 野付半島では、今回は時期が合わず、フラワーロードの花をあまり見ることができませんでした。花が少ない季節にもフラワーロードを楽しむために、フォトコンテストなどを開催し、そこで選ばれた作品を駐車場などに展示することで、花の少ない時期でも楽しむことができるのではないかと思いました。ナラワラで見ることのできる、立ち枯れた木はとても不思議で、まるで日本ではないような風景でした。写真をうまく撮るコツや、フォトスポットの看板、カメラを置く台などがあれば、より便利だと感じました。写真が増えることで、SNS拡散による広告効果を期待できると思います。
 タブ山チャシ跡では、所有地ということもあり、入り口にはチェーンがかかっていました。そのため、初めて来る観光客には入りづらい雰囲気でした。タブ山からは、国後島を見ることができます。ベンチや望遠鏡を設置し、国後島を眺めるスポットをつくることができると考えます。
 最後に、北方領土館に来ました。中には、白黒写真や国後島の現在の写真が展示されていました。壁はほとんど白黒写真で覆われており、寂しく、暗いイメージを持ちました。2階には、国後島展望スペースがあり、望遠鏡が3台設置されていましたが、建物の前方の海には港があり、漁船が多く停泊しており、景観が損なわれているように感じました。奥には鳥やイタチの剥製が展示されており、その展示方法は無造作で横向きのものや、下に無造作に置かれているものもあり、悲しい気持ちになりました。白黒写真の割合を減らし、建物の配色を明るいものに変えるなど、暗い雰囲気を払拭し、館内に人が入りやすくすることが大切だと思います。
 標津町の観光スポットは素朴なものが多いですが、とても魅力的なものが多いことがわかりました。しかし、インターネットで検索をかけても情報量がとても少なく、もったいないように感じました。もっと多くの人びとに標津町の魅力を知ってもらいたいと考えています。そのために、さまざまな活動をしていきたいです。

初心に戻り温かさを感じたフィールドワーク  国際観光学部3年 高田有規子

 私たちはフィールドワークを行うため、9月2日から6日までの予定で北海道標津町を訪れました。今回のフィールドワークでは、標津町を含めた道東のドライブマップ作成の調査と、初めて標津町を訪れたメンバーに向けた町内の散策、野付半島と北方四島(国後島)の活用方法についてのワークショップを行いました。私はワークショップについてレポートします。
 ワークショップは9月4日の午後に実施し、前半は野付半島と北方領土館の見学を行いました。見学を行った日の野付半島は非常に風が強く、寒いと感じるくらいでした。フラワーロードと呼ばれる道は名称とは違い、あまり花は咲いていませんでした。もう少し早い時期に訪れると花が咲いているそうですが、道路わきにプランターを置いてみるなど、もう少し工夫が必要だと感じました。野付半島を訪れた後、野付半島を見渡せるタブ山チャシ跡を視察しました。敷地の所有者は個人の方ですが、自由に見学しても良いとのことです。高台から眺めてみると、野付半島の大きさを感じ、さすが日本最大の砂嘴だと感じました。景色は大変素晴らしいものでしたが、草が生い茂り、看板もわかりづらいため、観光客が立ち寄りにくい場所であると感じました。野付半島の見学の後、北方領土館へ向かいました。私は標津町を訪れて6回目になりますが、北方領土館を訪れたのは初めてでした。館内には日本人とロシア人との交流の様子や、北方四島に多くの日本人が暮らしていた頃の写真が多く展示されていました。北方四島にかつて暮らしていた日本人の家の場所に、住んでいた方の苗字が書かれた地図が展示されていました。かつて北方四島に住んでいた方が、この地図を見て自分の住んでいた場所を改めて知ることができたという話を伺い、とても興味を持ちました。
 後半は、標津町生涯学習センター「あすぱる」で、2つのグループに分かれ、野付半島と北方四島(国後島)の活用方法について意見を出し合い、発表を行いました。野付半島にかつてあった民宿の空き家を利用してビジターセンターや休憩所をつくる、強い風を利用したアクティビティなどが提案されました。どちらのグループにも共通して、フォトスポットの作成が提案されました。顔出しパネルやおしゃれなフォトスポットを作成することで、訪れた若者が写真を撮り、InstagramなどのSNSで発信することを狙っています。また、標津町から国後島までの直線距離は24kmしかありません。この24kmという距離を、実際の道路に反映させることを提案しました。ある地点から24kmの地点に印を付け、クルマや自転車で走っている人たちに標津町と国後島の距離を実感してもらうことを狙っています。今までのフィールドワークでは、今回のようなワークショップを行ったことがなかったので、多くのおもしろい意見が出て、とても興味深かったです。
 9月6日深夜、平成30年北海道胆振東部地震が発生しました。私たちは釧路空港から大阪へ帰るため、釧路市で宿泊中でした。航空会社から帰りの飛行機の欠航のE-mailが届き、想像以上に被害が大きいのだと思いました。ホテルが停電してしまったため、9階から非常階段を使ってロビーまで向かいました。釧路空港へ向かうまでの道のりは、道路が陥没するなどの被害は見られませんでしたが、ほとんどの信号が停電で点いておらず、警察官が手信号を行っており、手信号のない交差点もありました。釧路空港では、飛行機に乗れない人たちでいっぱいでした。私たちは団体であったため、全員の空席待ちを取ることはできませんでした。途方に暮れていたところ、標津町の方が迎えに来てくださるとの連絡があり、わざわざ片道2時間かけ、釧路市まで迎えに来てくださいました。標津町へ戻ると、フィールドワーク期間中に宿泊していた民宿に泊めていただきました。標津町内も停電していましたが、発電機を利用し、電気を使うことができました。民宿の方々が温かいご飯用意してくださり、風呂の準備もしてくださいました。本当に感謝しかありません。停電だったからこそ見られた満天の星空は、プラネタリウムのようでとても美しかったです。生まれて初めて流れ星も見ることができ、大変な地震の中でしたが、とても良い思い出です。翌日の朝も片道2時間かけて標津町の方が送迎していただいたおかげで、無事に大阪に戻ることができました。
 今回のフィールドワークでは、初めて標津町を訪れたメンバーが多く、自分が初めて標津町を訪れたことを思い出し、初心に戻る機会となりました。標津町の皆さまが交流会を開いてくださり、そこで食べたジンギスカンは絶品でした。また、地震に見舞われたにもかかわらず、長距離を迎えに来てくださり、寝床や温かいご飯、風呂を用意してくださり、本当に感謝に絶えません。標津町にたくさんの観光客に来てもらう提案を行い、魅力的な町であることを発信することが、お世話になった標津町の皆さまに私たちができることだと思います。今回いただいたご意見やご指摘をもとにまだまだ精進して参りますので、よろしくお願いいたします。

標津町の皆さんの優しさをより一層感じたフィールドワーク
 国際観光学部4年 世木杏佳

 私たちは9月3日~4日にかけて、フィールドワークを行いました。3日に、ドライブマップ作成のため、標津町から知床コース、阿寒・屈斜路・摩周コース、釧路コースの3つのチームに分かれ、ドライブ中に寄り道したくなるような体験施設や景観・食を中心に調査を行いました。
 そして、4日には北方領土館や野付半島に実際に訪れ、その後標津町に来て感動したことをみんなで書き出してまとめる作業と、「野付半島の標津町の活用について」と「北方四島(国後島)の観光資源の活用」の2つの題に沿って、2グループに分かれてワークショップを行いました。感動したことについてのワークショップでは、星がきれいや食事がおいしい、道がまっすぐ続いているなど、自然や食の意見が両チームとも多くで出ていました。改めて書き出すことにより、標津町にはたくさんの魅力があることを再認識しました。
 野付半島の活用と北方四島の活用では、それぞれすぐ実現できる短期的なアイディアと実現までに時間がかかりそうな長期のアイディアに分けて出し合いました。野付半島の活用に向けた長期の案では、民宿の空き家を利用してビジネスセンターや休憩所、カフェなどをつくる、ナイトツアーの実施、風を利用したアクティビティの実施があげられました。短期の案では、フラワーロードに花を増やす、フォトスポットの作成、インスタグラムでのハッシュタグ活用、サイクリングなどがあげられました。野付半島は海沿いのきれいな景観ですので、今回出した案が実現すると、さらに観光客に人気のスポットになると感じました。
 一方、北方四島の活用に向けた長期の案では、北方領土館のリニューアル、グッズ作成があげられました。短期の案では、標津町から国後島の距離を実際の道路に反映する、フォトスポットのパネルの設置があげられました。北方領土の名前は聞いたことがあるが、ピンと来ない人が多いので、実際の距離を道路に反映し、距離を体感してもらったり、北方領土館にグッズを置いたり、雰囲気を変えることで、より興味を持っていただけると感じました。そして、両テーマ共通で活用できるものとして、長期の案でタブ山チャシ跡の整備、短期の案では顔出しパネルの設置があげられました。今回出した案をもっと深く考えていき、実現できたらよいと考えています。
 私たちは6日に、北海道地震を経験しました。全域で停電が発生し、地震の影響で飛行機も欠航になってしまったため、帰ることができなくなってしまいました。空港から身動きが取れなくなっていたところ、標津町役場の方々が片道2時間もかかる距離を迎えに来てくださり、標津町に戻り、調査の際に宿泊させてもらっていた民宿にもう1泊するよう手配してくださいました。そして、急遽宿泊させていただいたにもかかわらず、緊急用の発電機を使って温かい食事と、風呂を用意していただき標津町の皆さんの優しさをより一層感じました。次の日に奇跡的に全員帰れたのも標津町の皆さんのおかげです。ご恩返しができるよう、また今後も標津町の方々の役に立てるよう、一層頑張りたいです。

今後の標津町の観光について深く考えることができた現地報告会
 国際観光学部3年 安田知弘

 9月5日に標津町生涯学習センター「あすぱる」において、現地報告会を行いました。今回の報告会の内容として、道東を訪れた観光客がドライブすることを想定したうえで、標津町を含んだ道東エリアの観光資源の魅力の発掘を知床、阿寒、釧路方面の3つのチームに分かれて調査した内容を発表しました。また、9月4日に野付半島と北方四島の今後の活用についてディスカッションしてまとめた内容も、同時に発表しました。
 昨年度の観光客アンケートの結果から、標津町を訪れる観光客はリピーターが多いことがわかりました。そこで、道東を訪れた観光客が移動する際に標津町を通り、知るきっかけをつくるということで、今回のドライブマップのルート作成を行いました。標津町は知床や根室、釧路といった有名な観光地が近くにありますが、通り過ぎるだけで、なかなか滞在するきっかけがありませんでした。そこで、私たちが道東の魅力的な観光地や景観、おしゃれなカフェを見つけ、マップに表示することで、標津町に少しでも滞在してもらえるよう、みんなでアイディアを出し合いながら考えました。
 私は、知床、阿寒、釧路方面の3つのチームの中で、釧路方面を担当しました。実際に調査すると、あらかじめ設定していた観光地の他にも、魅力的に感じられる観光地や景観を多数発見しました。また、道路状況についても、観光客にとって危ない場所や路面が悪い場所など、行ってみないとわからないところがありました。さらに、時間がかかり過ぎたり、逆に時間が短すぎたりするなど、たくさんの問題点もあがりました。報告会では、3つのチームがそれぞれ調査して感じたことや考えたこと、そして新たに見つけた観光地や問題点なども同時に報告しました。
 一方、野付半島と北方四島の今後の活用を考え、みんなで議論してまとめた結果、野付半島では、今からでも行動に移すことのできることとして、フォトスポットの設置やSNSの機能にあるハッシュタグを活用した野付半島の魅力の発信、そして長期的な提案として、かつて民宿があった空き家を利用してビジターセンターなどに生まれ変わらせることやナイトツアー、風を利用したアクティビティなど、さまざまな意見があがりました。北方四島の活用においては、短期でできることとして、標津町から国後島までの距離を道路に反映することやフォトスポットの顔出しパネルの設置などがあがりました。そして、長期的な提案として、北方領土館のリニューアルやご当地のオリジナルグッズの作成など、おもしろい意見があがりました。
 報告会では、標津町の観光関係者や町役場の方など、お忙しい中をたくさんの方々が来てくださいました。今回、私たちが提案した道東地域のドライブマップは標津町を知らなくてもルートに組み込むことで、新たに標津町を知るきっかけにつながるのではないかと考えています。そして、野付半島や北方四島の今後の活用は、これから観光客が標津町を訪れた際に、新たな魅力発見や北方領土問題を考えていただく良いアイディアであると感じています。これから、標津町にたくさんの人が来て、標津町の魅力を感じてもらうために、私たち若者の視点からアイディアを出し、標津町をさらに盛り上げたいと考えています。そして、今回も標津町のたくさんの方々にお世話になりましたことに対し、感謝申し上げます。