しまなみ海道で2度目の現地調査を実施しました

宿泊施設と新たなサイクリングコースについて調査しました

 今年度の森重ゼミ3年生は広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶしまなみ海道を調査対象地に選び、これまで下見を兼ねた現地調査や尾道市役所へのオンライン聞き取り調査を行ってきました。これらの調査を踏まえて議論を重ねた結果、しまなみ海道にある宿泊施設の魅力をどのように発信するか、また離島をのんびり巡るサイクリングコースが提案できないかについて検討していくことになりました。
 そして、10月1日(土)にグループに分かれ、尾道市の向島、因島、生口島の宿泊施設を訪問し、聞き取り調査を行うとともに、3つの島のサイクリングコースの提案に向けた資源調査を行いました。当日は天候に恵まれ、秋晴れのもと気持ちよく調査を行うことができました。今回は日帰りの現地調査で時間も限られていましたが、事前に調査計画をしっかり練ることで、効率よく調査を進めることができました。今後は調査で得たデータを取りまとめ、具体的な提案を考えていく予定です。(森重昌之)

当日の現地調査の様子

  • 生口島での宿泊施設の調査の様子

  • 向島で調査した民宿の外観

  • 因島での宿泊施設で調査の様子

  • 後藤鉱泉所(向島)の店内の様子

  • 生口島・ベルベデールせとだのオブジェ

  • 参加したゼミ生で記念撮影

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参加したゼミ生の報告

宿の魅力と経営者の思いを学べたフィールドワーク
 国際観光学部3年 井上友音

 私たちは10月2日にしまなみ海道で、2度目のフィールドワークを行いました。今回は目的を2つに分け、グループに分かれて調査することとしました。1つ目の目的はサイクリングの新コースの開拓、もうひとつは宿泊施設のPR不足の解消です。
 私は宿泊施設のPR不足の解消で、大学生をターゲットに滞在する観光客を増やし、地域にお金を落としてもらうことを目的とし、生口島を主に調査しました。まず、宿泊予約サイトに掲載されていないという条件で調査対象の宿泊施設を絞り、島内の宿泊施設に聞き取り調査を行いました。また、SNSで宣伝するために、宿の外観や部屋の写真、動画を撮らせていただきました。
 まず、「民宿一休」という宿で聞き取り調査を行いました。宿は海に面しており、自然豊かで、すべての部屋に太陽の光が差し込むよう建てられているほか、部屋には季節を感じられる花が生けられており、いっそう明るく感じられました。客層は大学生から高齢の方までと広く、コロナ禍前には外国人の宿泊者も見られたそうです。
 次に、「やすらぎ瀬戸田」にうかがいました。宿主はとても気さくな方で、多くの宿泊者に訪れて欲しいと強く願っていらっしゃいました。1号館と2号館があり、それぞれ案内していただきました。1号館は広く、家族や団体向けの部屋となっており、2号館は1~3人が泊まれるほどの大きさの部屋でした。宿のアピールポイントは、価格が他の宿よりも安く、チェックイン、チェックアウトの時間もフリーなため、気軽に泊まることができるということでした。
 次にうかがう予定にしていた「御宿さざなみ」と「民宿さくら」、「soil setoda living」は宿主に会うことができず、お話をうかがうことができませんでした。
 最後に、「談話室 村上」へうかがいました。コロナ禍で開業した宿で、自宅の2階スペースを1日1組のみで提供していました。そのため、宿泊者は未だ外国人1名のみだそうです。宿のアピールポイントは、恵まれた環境の良さやロケーションの良さであり、ゆったりとした上質な空間を宿のコンセプトとしていました。2階から見える海は素晴らしい景色で、ぜひ宿泊者にはこの感動を味わっていただきたいとおっしゃっていました。
 調査を終え振り返ると、どの宿も宿泊者に快適な宿を提供しており、ぜひPRしてほしいとおっしゃっていました。しかし、調査できなかった宿も含め、大学生をターゲットにするには難しい宿もあると感じました。バス・トイレが共同の宿や年季が入った和室の宿は、大学生ではなく、より広い年齢層にターゲットを変えても良いのではないかと思いました。最終的には、尾道市役所にこのPR企画を提出したいと考えているため、今後はフィールドワークで撮った写真や動画を組み合わせ、しまなみ海道に訪れた観光客が「ここに宿泊したい」と思えるようなPR動画の作成に励みます。

宿泊施設のPR不足を感じたフィールドワーク
 国際観光学部3年 玉置瑞季

 私たちのゼミは、しまなみ海道ではサイクリングなどの通過型観光が主流となっているため、滞在型観光地に変え、地域により多くのお金が落ちることを目的に活動しています。事前調査では宿泊施設が十分あるにもかかわらず、あまり知られていないことがわかりました。そこで、現状把握とPR策を検討するため、10月1日にフィールドワークを行いました。
 向島では、「江戸時代古民家民泊 花」と「B&B潮風」の2つを訪ね、宿のコンセプトや顧客層、アピールしたいポイントなどいくつか質問し、最後に内観、外観の写真を撮影させていただきました。「江戸時代古民家民泊 花」では、関東や九州からの観光客が多く、家族で訪れる方や友人と訪れる方など、さまざまだということがわかりました。また、一棟貸しなので広々使用でき、リラックスできる空間だと感じました。一方、「B&B潮風」は、サイクリングや里帰り、商売など、顧客層がさまざまでした。おひとりで経営されていることから、1日1組を希望されていましたが、もっとPRしてほしいという意見をいただきました。
 因島では、「民宿ふかうら」と「民宿 玉屋」、「民宿 満寿美荘」、「民宿 布刈」、「民宿 見高荘」の5つを訪れました。しかし、「民宿ふかうら」はビジネス客しか受け入れていないとのことで、また「民宿 満寿美荘」と「民泊 布刈」は時間の都合が合わず、詳しく話をうかがうことができませんでした。「民宿 玉屋」では、新型コロナウイルス感染症が流行したことから食事の提供を辞めざるを得なくなっていることや、リピーターが多く1ヶ月の長期滞在をする方もいることがわかりました。現在はウェブサイトに施設が紹介されていませんが、近々掲載したいと考えておられました。最後に訪れた「民宿 見高荘」はウォーキングやサイクリング、広島東洋カープファンが訪れることが多いそうです。さらには因島出身である「ポルノグラフィティ」の写真やグッズなどを置いている宿であることから、ファンの方たちが多く訪ねてくるとのことでした。
 今回のフィールドワークでは7つの宿泊施設しか調査していませんが、他にもたくさん宿泊施設があるにもかかわらず、ウェブサイトに記載されていないことから、やはりPR不足なのではないかと考えました。ウェブサイトで紹介していない理由として、観光客の受け入れをせず、ビジネスマンのために営業している宿もあったので、これからPR方法を考える際には気をつけなければいけないと思いました。具体的なPR方法はまだ決定していませんが、しまなみ海道の宿泊施設を多くの方々に知ってもらうために、自分たちができることを見つけ、地域により多くのお金を落としてもらえるよう、これからのゼミ活動を頑張っていこうと思います。

向島サイクリングで見つけた観光の形
 国際観光学部3年 森直輝

 私たちは10月1日(土)に再びしまなみ海道を訪れ、島ごとのサイクリングロード開発と民宿などの宿泊施設PRを目的とした調査を行いました。
 以前、5月21日と22日に行った下見と尾道市役所に聞き取り調査を行った結果をもとに、私たちはしまなみ海道でゆったりサイクリングを行うコースと宿泊施設を見つけてもらうための方法を検討し、サイクリングは向島と生口島、宿泊施設はサイクリングに因島を加えた3つの島で調査することに決めました。私は向島のサイクリングコースを担当し、下見の情報とSNSを使って人気のある場所をいくつか絞り、そこを他のメンバーと手分けして巡ってみる計画を立てました。
 当日12時頃、私たちは尾道港にてクロスバイクをレンタルし、尾道渡船を使って向島へ向かいました。港から向島までは5分程で着き、まずは後藤鉱泉所へ向かいました。後藤鉱泉所は昔ながらの瓶入りサイダーが有名で、レトロな雰囲気を感じることができる店で、港から自転車で10分ほどのアクセスの良さからか、多くの観光客で賑わっていました。
 そこから私たちは3方向に分かれ、各自でルートを決めて巡ることにしました。私は右周りのルートを担当し、次に昼食も兼ねて「まるひ商店」へ向かいました。後藤鉱泉所から自転車で10分ほど、島の東側へ少し離れたところにあるまるひ商店は、古民家とアンティーク雑貨の心休まる空間が特徴で、季節のフルーツを使ったケーキや焼き菓子を販売しています。イートインも可能で、縁側では外の景色を楽しみながらまったりとした時間を過ごすことができます。
 まるひ商店での昼食を終え、次は海岸線を通って向島洋らんセンターへ向かいました。しかし、海岸線へ出るには山道を越えなければならず、ここまでくると他の自転車は一切見かけませんでした。ただ、山道を越えてから見える海の景色は達成感もあるからか、とても煌びやかに見えました。海岸線から少し離れた向島洋らんセンターには、山道もあってか45分ほどかかりました。向島洋らんセンターは洋ランの販売と小さなキャンプ場がセットになった場所で家族連れが多く、植物園のような印象を受けました。
 最後に向かったのはUSHIOチョコラトルという店です。ここはカカオ豆から一貫して製造する工場でもあり、世界各地のチョコレートやブレンドチョコ、カカオを使ったドリンクなどを扱っています。山の中腹と少し行きづらい場所にあるものの、店内にはチョコレートを求める数多くの人がおり、瀬戸内海の風景を見ながら味わい深いチョコレートで一息ついていました。その後、私は海岸線に沿って島を一周する形で港へと戻りました。サイクリングをしていた時間は5時間ほどで、一つの島を一周するだけでも十分サイクリングを楽しむことができることがわかりました。
 クロスバイクで向島を一周し、山道を越えるには少なくとも電動アシスト付きのものでないと心もとないと思いました。実際、島の東側は自転車より自動車が多く見られ、西側では自転車の方が自動車よりも多く確認できました。観光施設も東の海岸線にはほとんど見当たらず、基本的に西部にあることがわかりました。後藤鉱泉所から分担した他のルートでも、島の東側にはあまり重要な資源を確認できませんでした。しかし、その分西側には多くの観光資源を確認することができ、カフェなどを巡りながら海の景観を楽しむコースなどがつくれるのではないかと考えられます。今回の調査の結果をもとに、向島でゆったり楽しむコースの制作に取り組んでいきます。

生口島一周サイクリングコースの開発に向けて
 国際観光学部3年 平山ひな

 私たちは自分たちで調査対象地を決定し、その地域の問題を見つけて解決するという目的で、ゼミ活動を行っています。5月に1回目のフィールドワークを終え、今回しまなみ海道へ2回目のフィールドワークに行ってきました。前回のフィールドワークを終えてから、私たちは島をいくつかに絞り、集中的に調査する必要があると考えました。今回、私は生口島で島を一周するサイクリングコースを検討するため、実際に生口島を一周してきました。フィールドワークに行く前に、ターゲットを私たち世代の大学生と決め、短時間で手軽にサイクリングを楽しみたい人たち向けにコースを組むことを意識しました。生口島は西から東にかけてサイクリングする時、島の北側には食事ができる店や生ジュース・ジェラートを取り扱うカフェなどもあり、休憩ポイントがあることは下調べでわかっていました。しかし、島の南側には飲食店や休憩スポットがないという課題があったので、特に南側の調査に力を入れました。
 スタートは生口島の西に位置するしまなみロマンという店で、車体が黄色で島の名物レモンをイメージしたレモンバイクを借りました。そこから自転車で東に5分ほど進み、しおみち商店街を抜けると耕三寺に着くので、そこでまず写真を撮り、向かいにある「瀬戸田大将ちどり」でタコ飯を食べました。この店は有名人が来店したり、テレビ取材でも取り上げられたりしており、店内にはサインが多く飾られていました。そこから北方向に進み、島の形に沿って外周をサイクリングしました。
 当日は雲ひとつない快晴で、10月の初めでしたがとても暑かったです。しかし、海沿いを進んでいくと風が気持ち良く、「もっと漕ぎたい」と遊び心がくすぐられる感覚でした。しばらくして下調べしていた生ジュース・ジェラートを扱うカフェが出てきたので、立ち寄ってレモンジェラートを食べました。火照った体にジェラートが染み渡っていく感じがして、とても美味しかったです。
 そこからまた漕ぎ進め、生口橋の袂を通過し、ここからがメインである南側の新しい資源探しです。しかし、自転車を漕いでも左側には海が見え、右側には山が見えるという同じ景色が続きます。坂道を上ったり下ったりの繰り返しで、一周の後半部分にも差し掛かり、自分との体力勝負でした。下調べの通り、店や休憩するスポットは見当たりませんでした。私たちは3人で行動していたのですが、しばらくずっと自転車を漕いでいたので、「休憩も兼ねて海辺に行こう」となり、次に出てきた角を曲がりました。すると、そこに生口島で有名な「ベルベデールせとだ」という黄色のオブジェが建つ道につながっていました。海の中に建つ黄色のオブジェは、潮の満ち引きの関係で、近くで写真を撮れる時と撮れない時があります。私たちが着いた時には満潮で、遠くから見ることしかできませんでした。しかし、そこで気づいたことは、引き潮のタイミングで行けば黄色のオブジェの円に入って写真を撮ることができるということでした。たまたま入った道が「ベルベデールせとだ」につながっていたことが、今回のフィールドワークで1番の発見でした。
 その後、サイクリングを再開して南から西へ向かう道にサンセットビーチがありました。そこは名前の通り、夕日がとても綺麗に見えるビーチです。私たちが到着した時間は16時頃だったので夕日は見られませんでしたが、ロケーションは最高で、サイクリングで疲れた身体を綺麗な景色を見て癒すことができました。そこから5kmほどでスタート地点のしまなみロマンに戻ります。最後のサンセットビーチからしまなみロマンまでの道はヤシの木がずっと続き、南国気分を味わうことができます。そして約3時間で生口島一周を終えました。疲労感はありましたが、同時に達成感に溢れていました。途中同じ景色が続いてひたすら一本道を漕ぐ時間帯はしんどいですが、所々で見える景色や自然を体で感じ、心も体も充実した島一周サイクリングになりました。
 2回目のフィールドワークを終え、実際に島を一周してみると、インターネットに書いてること以外に景色やその時の気持ちなどがたくさんあり、友人や家族に生口島の島一周サイクリングを勧めたくなりました。そのために、ターゲットである同世代の大学生・短時間でサイクリングを楽しみたい人たちに向け、今回のフィールドワークで私たちが実際に見て回ったものをもとに、明確なサイクリングコースをつくりたいと考えています。