島内の資源調査と島民への聞き取り調査を行いました

 森重ゼミでは、9月19~22日にかけて長崎県の離島・池島で現地調査を行いました。前回はゼミ生が炭鉱体験ツアーの様子を紹介しましたが、今回は島内の資源調査と聞き取り調査の様子を紹介します。
 池島はもともと炭鉱の島として栄えた歴史があり、現在も多くの炭鉱関連施設が廃墟として残っており、1つの観光資源となっています。今回はこうした観光資源となる可能性のあるものを探して周りました。また、島内をくまなく周る中で、島民の方々にたくさんの話をうかがうこともできました。
 今回の現地調査に行く前、ゼミ生は観光資源を見つけ出し、それらを活用して観光客を増やし、地域活性化をめざせばよいと考えていました。しかし、人口が極端に減少し、高齢化も進行する池島の現状を知るにつれ、池島にとってどのような観光が必要なのかを考えるようになりました。こうした観光の多面的な役割に気づいたことは、今回の現地調査の大きな成果であったと思います。今回の気づきをこれからの研究に生かしていきたいと思います。(森重昌之)

当日の現地調査の様子

  • 自治会長への聞き取り調査の様子

  • 四方山から池島全体を眺めるゼミ生

  • 四方山から見た炭鉱アパート

  • 島内の資源調査を行うゼミ生

  • 海が見える美しい風景

  • 島民に話をうかがうゼミ生

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参加したゼミ生の報告

聞き取り調査で知った池島観光の現状とこれから
 国際観光学部3年 堀洋範

 私たちは今回のフィールドワークで長崎県西彼杵半島の西方約7kmに位置し、長崎市に属する池島というところに訪れました。今回のフィールドワークの調査目的は、池島に現存する観光資源の確認と新たな観光資源になり得る資源の調査、そしてこれからの池島をどのように考えているのかを池島の自治会長の方に聞き取り調査を行い、それらを踏まえて池島をPRし、観光客を増加させるために調査を行いました。
 現地調査に行くまでの事前準備では、①1日目の大村市での活動を含めた旅程決め、②飛行機、ホテル、ツアーなどの予約、③池島で現在観光資源になっているものの事前調査、④自治会長への質問内容決めを行いました。現地調査当日は、①自治会長への聞き取り調査のグループ、②港側(池島の東側)の資源調査のグループ、③8階建てアパート側(池島の西側)の資源調査のグループの3つに分かれて調査を行いました。私は自治会長への聞き取り調査のグループでしたので、自治会長の林さんにお話をうかがいました。
 聞き取り調査では、3つの主な質問を順番に行い、その時に気になったことをそれぞれが質問していくという形で行いました。まず、「これから池島をどのような観光地にしていきたいか」と質問しました。それに対する回答では、「観光資源が一部しかない。住民が観光に力を入れたとしても、住民自体にお金が入るものでもない。また、住民の高齢化や何かをするにしても受け身な人が多いので、観光に力を入れようと考えている住民は少ない」とおっしゃっていました。次いで、「観光客に来てほしいのか」という質問に対しては、「スーパーや飲食店などが徐々になくなっていき、生活が不便になっているため、生活が不便にならない程度に来てほしい。しかし、撮影地や心霊スポットとして訪れる観光客もいるようで、生活スペースや立ち入り禁止区域に入られることに困っている」とおっしゃっていました。2つ目は、「生活していて感じる島の魅力として、どのようなものがあるか」という質問では、「島から見える夕日が綺麗」とおっしゃっており、続けて「資源に炭鉱体験ツアーがあるが、トロッコが壊れると部品がないので、ツアーが終わってしまう可能性もある。また、以前は市から補助金をもらって釣り大会も行われていたが、現在は行っておらず、イベントを行っても発信力があまりないので、観光客の誘致は見込めない」とおっしゃっていました。最後に、「これから人口が減っていっても島に残したいものはあるか」という質問に対しては、「さまざまなものがすでになくなっているので、もう残したいものは特にない」とおっしゃっていました。
 聞き取り調査を通して感じたことは、会長自身はマナーを守り、住民の生活が不便にならない程度なら観光客は来てほしいと考えていました。しかし、住民の高齢化や老朽化による立ち入り禁止区域の増加、土地を管理している企業が何かをしようとは考えていないなどの理由から、このまま何もせずに朽ちていくのを待っているだけというように感じました。
 今回、私たちは観光客を増加させることを目的に池島を訪れましたが、会長の話をうかがって、観光客が増えればマナーを守らない人が増えたり、住民の生活が不便になったりする可能性があることがわかりました。ただPRして観光客を増やすということは無責任であり、島民の方々に迷惑をかけてしまうかもしれないので、これからの池島をどのようにしていくかは慎重に考えていかないといけないと感じました。

現地の方に話を聞くことの大切さ
 国際観光学部3年 中西隼士

 私たちは9月19日~22日までの4日間、ゼミの研究として長崎県長崎市にある池島を訪れました。調査では、池島の現在とこれからについて考えていくことを目的にしています。現地調査に行くまでに事前に準備したことは、島民の方へどのような質問をするかや池島で資源になりそうなものをできる限り調べていきました。
 私たちは現地で自治会長の1人である林武美さんに聞き取り調査を行いました。私たちに丁寧に接していただき、さまざまなことを教えてくださいました。林さんがおっしゃっていた内容として、池島は1950年代から2001年までの約50年間炭鉱で一大産業を築いたが、現在は観光資源自体があまりなく、残っている炭鉱施設も一部しかありません。「SNSを見て観光客が来てくれることはとてもありがたいが、一部の観光客が立ち入り禁止区域や住民の生活スペースなどに入って写真を撮ることが少なからずあるので、そのことに対してはとても困っている」、「他にも困っていることはたくさんあるが、1つは野良猫があちこちで生息しており、野良猫の増えすぎが問題となっていて、フンの処理などに頭を悩ませている」とおっしゃっていました。
 調査を通して気づいたこととして、現地を訪れるまでネコはSNS映えも期待できるプラスの要素だと考えていましたが、現地で話を聞いていると、世話をする人がいないことや観光客が勝手に餌をあげてしまうことがあるなど、マイナスの面が浮き彫りになりました。このようなことは現地に行かなければ気づけなかったことでした。他にも、島にはスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの販売店がないとわかっていましたが、現地では個人で経営している方々がいて、最低限生活に必要なものが売られていました。そのため、必要なものを買うためにわざわざ船に乗る必要がなく、多少は便利でした。さらに、「池島には観光資源があまりない」とおっしゃっていましたが、私はそうは思いませんでした。なぜなら、都市に住んでいると見られない光景が池島にはあったからです。例えば、島を一望できる山からの風景などは観光資源に十分なり得るものだと確信しました。
 調査結果の取りまとめ方としては、池島の現状は把握できたので、これからの池島を少しでも現地の方々は自信を持って素晴らしい島であると実感し、観光客に対しては訪れてみたいと思えるような、魅力がある島であることを伝え、発信したいです。
 現地調査を通して、調査対象地に行くまでにいろいろ考えたとしても、現地に行かないとわからない問題などはどのような場所にもあり、その場所に暮らしている人びとに話を聞くことで、思いもよらないディープな内容を知ることができることがわかりました。

過疎地域での観光情報の発信のあり方
 国際観光学部3年 清水隆世

 私たちは、長崎県にある池島という、人口が約100人の炭鉱で栄えていた島で、現在は石炭の需要が少なくなり、炭鉱としての役割を終えて廃墟と化した島を訪れました。そこで新たな観光資源を再発見するという目的で現地調査を行いました。
 まず、調査の事前準備として、池島の歴史について調べ、最盛期と現在を比較して現状を確認しました。そこでは、最盛期には人口が約7,000人いたこと、島民が居住していた住宅や炭鉱の工場がそのまま廃墟として現存していることを把握しました。そして、地方自治体が考えている池島の今後のあり方を調べたり、市役所職員の方と連絡を取ったりしながら、池島の観光資源として、実際の炭鉱に入り、昔の炭鉱を見学できるツアーがあることがわかりました。
 私が調査した箇所は、居住している人も若干いるものの、数多くの廃墟が残っている島の西側を担当しました。まず、道路は獣道というより、きちんと整備されていて自動車が通れるくらいの幅はありました。しかし、確認した建築物のほとんどが無人で、建物はありますが人の声がなく、虫の声と海の波音しか聞こえない、とても不気味な雰囲気でした。また、展望台があると知り、足を運んでみたものの、そこは規制線が張られていて立ち入れないようになっていました。他にも立ち入り禁止の看板が多く見られ、飲食店やスーパーマーケットも潰れていて、錆びて崩壊している建物もあり、何も手入れをせず崩れてなくなることを待っているような印象を受けました。
 同時に、これらは昔の炭鉱作業員の暮らしを彷彿とさせるような街並みが時代を超えて残っている価値のある資源であると感じました。調査している途中、外国人観光客の姿も見られ、観光地として成り立っていることが感じ取れました。話はうかがえなかったものの、集客目的でつくられた観光施設や観光都市のような人工的な観光地と違い、ありのままの姿を残していることで希少価値のある資源になっているのではないか感じました。しかし、池島の人口減少が進み、高齢者比率が約80%のため、島では観光業に携わることのできる人がほとんどいません。近い将来無人島になってしまう危険性もあると感じ、まずは無人島になろうとしている島が存在していることを知ってもらう必要性があると感じました。
 今後は、池島で観光業に携わる人が少なく、継続して営むことが困難であるということも踏まえ、実際に来島されている方の中には、廃墟とアニメのコスプレ姿を融合させた写真を撮る人がいるということも知り、観光客自身で散策する観光が良いと考えました。さらに、不特定多数の観光客を募ると島民の迷惑に繋がり、オーバーツーリズムの問題にもなりかねないので、写真映えを目的として観光や日本の歴史を外国人に向けて伝えるなど、一定層に絞り、池島に価値を感じられる観光客に向けた情報発信が良いと考えています。

池島西側を探索して見た景色と問題点
 国際観光学部3年 薮内はづき

 池島は島民のほとんどが東側(港側)に住んでいるため、島民には滅多に会うことはないですが、きれいな景色がたくさんあるのが島の西側です。池島はぐるっと島を一周できるので、基本的にはどこを歩いていても海を一望でき、天気が良い日には近くの島が見えます。
 池島唯一の小中学校の裏に進むと、池島神社の鳥居が見えます。鳥居をくぐり、蜘蛛の巣のトラップをかわしながら階段を上っていくと、祭壇に到着します。私たちはそこで引き返しましたが、島民の方がおすすめのスポットは、さらに奥にあります。そこは景色の良い場所で、神社のその奥、ロープをたどって到着する場所でした。ドライブも楽しいですが、自分たちの足で登って着いた先に見える景色も良いものだと初めて思いました。
 次に、島で最も有名なアパート「8階建てアパート」のすぐ近くの路地に入ると、海が綺麗に見えるスポットがあります。頭上の看板の文字がかなり薄れていて、なんと書かれているのかよくわかりませんでしたが、海側から見ると「御苦労さん」という文字が書かれていました。今では立ち入りが禁止されており、施錠もされていますが、人口が多く、炭鉱が盛んに行われていた時代に、仕事でも景色を楽しむためにも多くの人びとが訪ねた場所なのだろうと思いました。風情があり、癒される場所でした。
 そして、池島の半周を越え、港側に下る坂道の途中に、島から近くの大きな虹のような形の岩が見えるスポットがあります。ここは、有名な夕日スポットの一つで、夕日が沈む頃にその大きな岩を見ると、岩の上に夕日が乗っかっているような景色が見られます。さらに、もう少し進むと、岩の間から夕日がのぞいているような景色も見ることができます。この近くに展望台もあるのですが、足場が崩れやすくなっているせいか、立ち入ることはできませんでした。周りに草木が生い茂っており、景色も見ることはできませんでしたが、海の音が聞こえてきました。もし展望台に入ることができれば、きれいな海を一望できるのだろうなと思いました。
 島の西側は夕日がよく見えるので、良いスポットが多数ありましたが、すべてを訪れることはできないので、港とほぼ真反対のスポットに行きました。この日は晴天ではなかったですが、雲があったおかげで雲と海にサンドされているような夕日を見ることができました。みんなで見ることができたからか、普段見る夕日より格別に心にしみるものがありましたし、綺麗な夕日だと思いました。
 確かに池島には廃墟が多く、観光といっても廃墟好きの人が見て周ったり、炭鉱ツアーに訪れたりするくらいですが、日帰りの観光には良い場所だと思いました。しかし、景色が綺麗に見えるスポットには、たいてい「立入禁止」の看板がある点が問題であると感じました。池島に行く前は「観光資源が見つかる気がしない」と思っていましたが、実際に池島を訪れて、「この島の魅力や島内散策の楽しさを知らない人にも発信したい」と思いました。また、みんなで訪問できたら、次は違う場所の夕日を見たいと思いました。

池島の港にある景色と島民による話からの学び
 国際観光学部3年 山田雅也

 池島の港側チームは、港に向かうまでに見える景色や島民への聞き取り調査を行いました。現地調査に行くまでに事前に準備したこととして、島民による聞き取り調査をするために何を聞き、何を知りたいのかを話し合いました。私たちは「池島には何がありますか」、「もしここに欲しいものがあるなら何が欲しいですか」、「池島で最も綺麗な景色はどこですか」などの質問項目を考え、そして池島を港のある東側、8階建てアパートのある西側、自治会長への聞き取り調査を行うグループに分かれ、4人1チームで調査しました。そして、私たちは池島の東側の調査を行いました。
 まず、私たちは島民があまりいそうにない場所に向かい、綺麗な景色が見えそうな場所を探しました。1日目は少し雲が多く、晴天のような写真を撮ることができませんでしたが、自転車やバイク、自動車などで走ると海もすぐ近くにあるので、風も気持ちが良いと感じました。ただ、背の高い雑草も多いので、草がなかったらもっと綺麗に見えているのにと、惜しい気持ちになった部分も多くありました。しかし、坂道が多く、目の前に綺麗な海が見える部分は2日目の晴れ間の時間に改めて写真を撮りに行くことにしました。晴天の中でとても綺麗な写真を撮れたため、見ていて気持ちが良かったです。坂道の途中には昔炭鉱で使われていたベルトコンベアや建物などが見え、右側には綺麗な海が、左側には幻想的な廃墟となった建物の風景が広がっていました。
 坂道を下った場所には、もともとベルトコンベアがあったと思われる跡地や広大な海が見え、跡地の近くには「龍神の祠」と言われる場所もあり、港まで下りると炭鉱跡地の廃墟の感じがとても幻想的に見えました。港には外海地域センター池島事務所がありました。そこは事務所と役場が一緒になった場所で、そこにいた方々に話をうかがうことができました。しかし、団地に住んでいる人びとも見かけたのですが、残念ながら話をうかがうことができませんでした。最後に私たちの宿泊場所に戻ろうとした時、ようやく島民の方に会えたので話を聞くことができました。シャッター街のような場所に1軒だけ店があったので、そこのお母さんにもお話をうかがい、事前準備の時に用意していた質問を一通り尋ねました。
 調査を通して気づいたことや感じたこととして、まず以前は自転車の貸し出しを行っていたようですが、現在は行われていません。これを再開できた時に周ってほしいと感じるルートをつくってもよいかもしれないと感じました。また、島民の方や店のお母さんに話をうかがった時に揃っておっしゃっていた「池島には何もない」、「景色が良いところは神社を抜けた山の上」、「池島に欲しいものはない、何かしらの工場やスーパーができれば人が来るだろうが、そんなことはできないから無理なのはわかっている」といったことを聞き、島の人びとは本当に諦めているのだと感じ、話をうかがっていて苦しく感じました。しかし、炭鉱で働いていた方々は皆さん揃って「仕事は楽しかった」と話されていて、30~40年間働いていて楽しいと思えると聞いた時に本当に素晴らしいと感じ、私もこのように感じられる仕事に就きたいと考えました。
 調査結果をどのように取りまとめるかについて、私は話を聞いたことだけなら、この島には私たちの力ではどうしようもないと感じました。しかし、景色は本当にどこにいても素晴らしく、海が見える道、廃墟だらけの道、夕暮れや曇っている時の幻想的な廃墟の光景、山の上から見える池島全体の景色など、見る人によってさまざまな価値に変化すると感じました。島民は昔のように賑やかになってほしいと考えていますが、残っている人びとや学校に通っている子どもたちのことを考えると何もできないと言うしかないと考えました。ただ、池島に1人もいなくなった時に、今学校に通っている子どもや本土に出ていった人びとが懐かしく帰って来られる島にしたいと感じました。
 一連の現地調査を通した学びとして、私は池島の景色と島民の話から多くのことを学びました。その理由として、まず景色は実際に行ってみて、ここまで綺麗に見える場所が初めてだったと言うこともありますが、雑草がなければ本当に一面海を見渡せ、幻想的な写真を撮ることができそうだからです。島民の話は皆さん同じように諦めている印象を受けましたが、本当はもっと活気づけたいと感じたからです。
 また、景色は写真などで見ても綺麗だと感じられますが、実際に訪れ、その場所で自分がどのように感じ、どのような写真を撮るのかは人それぞれだと考えます。実際、話を聞いて皆さん諦めるしかないのかもしれませんが、昔は祭りも花火も学校行事もできていたようです。しかし、人口が徐々に減っていき、それもなくなって島全体を管理しているところもほぼお手上げ状態になっています。今年は祭りを開催するようですので、それをきっかけにこれからの未来に向けて頑張ってほしいと感じました。
 最後に、自らは行かなかったであろう場所に行ってみて、景色は私たちが住んでいる場所では絶対に感じられないものでした。海を近くで見られ、港から撮る景色は何かしらのゲームの世界観のように感じました。島の方々も自由な暮らし方をされていて、話しかけると気さくに答えてくださり、話すことが好きそうな方々ばかりだと感じました。

港から見る池島の実態
 国際観光学部3年 牧宏興

 今回、私たちのゼミでは長崎県の池島の活性化について研究することに決めました。調査目的として、現状の池島に住んでいる人や観光客から、この先の池島のあり方や現状の池島の様子を聞くことや、港にあるものから何か観光客を集客できるようなものがあるか実際に目を通して考えていくこととしました。
 事前準備としては、インターネットにある情報で池島には何があるのかを調べました。すると、廃墟や猫、自然などがあることがわかりました。また、島民は100人余りの高齢者しかいないこともわかりました。そのため、池島から本土に行き来できる船も7便しかなく、夕方の5時頃で終了してしまいます。そして、週に1回移動販売車が来ること、画像を見る限り、あまり人の手入れも行われていないことがわかりました。
 実際に池島に足を運び、調査したところ、少し不満がたまる島でした。移動面を考えると、やはり島を移動するバスが1時間に1回のペースで、自転車の貸し出し施設では自転車が壊れており、貸し出しができないといったところがありました。島唯一の宿泊施設にも徒歩で30分近くかかってしまい、不便でした。
 港沿いの道はとても広々しており、廃墟や昔に使われていた炭鉱跡、実際に乗ることができるトロッコや、まるでジブリのような気分を味わえるような数多の自然が広がっていました。海沿いはとても涼しく、綺麗な海を見ることのできる坂道もあります。もし自転車が使えるのであれば、サイクリングとしての活用やサイクリング形式での池島ツアーが行えるのではないかと考えました。
 昔池島炭鉱で働いておられた70代の島民によると、池島に住んでいる人はいくつかの地区に分かれており、住民同士の交流は少ないとのことでした。そのため、地区間でイベントを行うことはあまりないそうです。また、現在池島に残っている方は、今の生活にある程度満足しており、何かあれば嬉しいが、自分たちで行動することは少ないとのことでした。何か経営するにしても、経費が売上を上回るため、経営も困難だとお話になられていました。
 多くの島民が消極的な姿勢であるため、住民と協力して新しいことを始めるのは難しいと感じました。しかし、島民の方に話しかけると気さくで明るい方が多い印象を受けました。やはり、若者のいない小さな島を活性化するには、大学生の力だけでは不十分だと感じました。そこで、まずは池島をPRするためにSNSで30秒から1分ほどで紹介したい場所をまとめるショート動画を作成したり、池島ならではの自然を紹介したりする写真をアップロードすることによって、池島をより知ってもらう活動が現実的だと感じました。
 また、事前調査の時には猫が観光資源として取り扱われていましたが、実際に行くと、その反対で猫に困っていました。このように、足を運ばないとわからない、勘違いした情報を鵜呑みにしてしまうところでした。事前調査で考えられたメリット・デメリットを自分たちの足で体験して、それをSNSに載せることによって、実態を知ってもらえることを理解できました。他には、昔には栄えていたが、若者が出て行き高齢者ばかりになってしまい、衰退していく地域にはそれ相応の理由があることを学びました。