「お福分けめぐり」マップの作成に向けた調査を行いました(3)
沼島を船で周遊し、新たな魅力を発見しました
森重ゼミでは、5月31日(土)から6月1日(日)にかけて、「お福分けめぐりマップ」を作成するための地域資源調査を実施しました。今回はその報告の第3弾です。2日目午前中は淡路人形座で人形浄瑠璃を見学するグループと淡路瓦の創作体験をするグループに分かれました。そして、午後から淡路島の北東にある沼島を訪れ、上立神岩や下立神岩、世界に2例しかない鞘型褶曲などを船で見学しました。2日目のフィールドワークの様子をお伝えします。
今後は昨年度から調査を行ってきた資源も加え、「いやし・感動」、「教養」、「体験」をテーマとした「お福分けめぐりマップ」を作成してまいります。(森重昌之)
今後は昨年度から調査を行ってきた資源も加え、「いやし・感動」、「教養」、「体験」をテーマとした「お福分けめぐりマップ」を作成してまいります。(森重昌之)
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参加したゼミ生の報告
さまざまな形で利用される淡路瓦
国際観光学部4年 浦上絵梨香
5月31日から6月1日にかけて、「お福わけめぐり」のマップづくりのために向けたおすすめスポットの調査として、淡路島を訪れました。今回は淡路島の名産、淡路瓦の瓦粘土を使った、作品づくりを体験しました。
淡路瓦は南あわじ市を中心に、飛鳥時代から生産されているといわれています。現在の事業者数は約200軒だそうです。いぶし瓦は生産シェアの半分近くを占めており、関西という大きな需要地に近く、船でも大量に輸送できたことから発展したようです。淡路瓦は「なめ土」と呼ばれる細かい土でできていて、化学的手法を使わず、窯の炎の加減や時間で色合いに変化を付ける窯変瓦、いぶし瓦、釉薬瓦など、1,000種類以上があります。地震に強い、火災に強い、劣化に強い、水に強い、通気性が高い、圧力に強い、美しさが長続きするなどの特徴があります。最近ではモニュメントとしても使用されていて、街中には淡路瓦を使ったモニュメントを見かけることもできました。
今回私たちがお世話になった「安冨白土瓦」では、タイル状の瓦、屋根の最上部に使用する棟瓦、筒瓦など、好きな瓦を選んで彫刻することができます。初めに5分ほど、淡路瓦についての説明と体験時の注意事項のビデオを見てから、作業にかかりました。私は棟瓦を選びました。紙に下書きをして、イメージを膨らませてから瓦に彫刻していきました。ヘラや竹串で彫刻していくのですが、型抜きを使って、瓦をくりぬく作業に苦戦しました。瓦の厚みは2cmほどだったのですが、型を押しすぎると瓦が割れてしまうので、力の加減が難しかったです。厚みはあっても、粘土は柔らかいので、作業を続けていると、瓦に少しヒビが入ってしまいました。
瓦体験を終えた後は、隣の「かわらや」で食事をしました。かわらやでは、瓦の上でイノブタや玉ねぎなどの野菜を焼いて食べる、かわら焼きをいただきました。炭火の上に瓦を置き、食材を焼いて食べるのは初めての経験だったので、楽しかったです。この店では、地産地消にこだわっていて、イノブタをはじめ、玉ねぎや白米、藻塩などが淡路島産でした。藻塩、わさび醤油、ぽんずと、調味料を変えることでいろいろな味を楽しむこともできました。
淡路瓦を見て、触ってみて、屋根に使用するだけでなく、鉄板の代わりに使用したり、モニュメントとして使用したり、さまざまな形で使われていることがわかりました。私たちの他に体験していた人で、赤ちゃんの手形を瓦につけ、記念としてつくっている人もいました。お福分けめぐりのマップには、瓦体験のことだけでなく、そのような魅力も伝わるように工夫してみたいと思います。
淡路瓦は南あわじ市を中心に、飛鳥時代から生産されているといわれています。現在の事業者数は約200軒だそうです。いぶし瓦は生産シェアの半分近くを占めており、関西という大きな需要地に近く、船でも大量に輸送できたことから発展したようです。淡路瓦は「なめ土」と呼ばれる細かい土でできていて、化学的手法を使わず、窯の炎の加減や時間で色合いに変化を付ける窯変瓦、いぶし瓦、釉薬瓦など、1,000種類以上があります。地震に強い、火災に強い、劣化に強い、水に強い、通気性が高い、圧力に強い、美しさが長続きするなどの特徴があります。最近ではモニュメントとしても使用されていて、街中には淡路瓦を使ったモニュメントを見かけることもできました。
今回私たちがお世話になった「安冨白土瓦」では、タイル状の瓦、屋根の最上部に使用する棟瓦、筒瓦など、好きな瓦を選んで彫刻することができます。初めに5分ほど、淡路瓦についての説明と体験時の注意事項のビデオを見てから、作業にかかりました。私は棟瓦を選びました。紙に下書きをして、イメージを膨らませてから瓦に彫刻していきました。ヘラや竹串で彫刻していくのですが、型抜きを使って、瓦をくりぬく作業に苦戦しました。瓦の厚みは2cmほどだったのですが、型を押しすぎると瓦が割れてしまうので、力の加減が難しかったです。厚みはあっても、粘土は柔らかいので、作業を続けていると、瓦に少しヒビが入ってしまいました。
瓦体験を終えた後は、隣の「かわらや」で食事をしました。かわらやでは、瓦の上でイノブタや玉ねぎなどの野菜を焼いて食べる、かわら焼きをいただきました。炭火の上に瓦を置き、食材を焼いて食べるのは初めての経験だったので、楽しかったです。この店では、地産地消にこだわっていて、イノブタをはじめ、玉ねぎや白米、藻塩などが淡路島産でした。藻塩、わさび醤油、ぽんずと、調味料を変えることでいろいろな味を楽しむこともできました。
淡路瓦を見て、触ってみて、屋根に使用するだけでなく、鉄板の代わりに使用したり、モニュメントとして使用したり、さまざまな形で使われていることがわかりました。私たちの他に体験していた人で、赤ちゃんの手形を瓦につけ、記念としてつくっている人もいました。お福分けめぐりのマップには、瓦体験のことだけでなく、そのような魅力も伝わるように工夫してみたいと思います。
イメージとは違う、エンターテイメント性を感じた淡路人形座
国際観光学部4年 関本健人
淡路島で2日間にわたり、ゼミのフィールドワークを行いました。今回の目的は、以前淡路おみなの会の皆さんに発表させてもらった、「お福分けめぐり」をパンフレットという形にするために、私たちが事前に選んだスポットが実際にどのような観光資源なのかを調査する目的で行いました。1日目は、2つのグループに分かれ調査しました。私たちのグループは、淡路島フルーツ農園でのいちご狩り、淡路夢舞台、ノマド村を調査し、2日目は2つのグループが合流して、瓦体験、淡路人形座、沼島を調査しました。
中でも、私は淡路人形座を担当しました。淡路人形座は以前行ったフィールドワークで、私以外のゼミ生たちが訪れたことがあり、その感想を聞くとおもしろかったとのことでした。しかし、実際それを見るまでは、人形浄瑠璃など見たこともない私にとっては、まったく想像がつかず、不思議に思っていました。そこで、今回みんなが瓦体験をしている時間を利用し、淡路人形座を訪れてみました。
淡路人形座に到着するまで、京都にあるような歌舞伎座のように昔ながらの日本の建物を想像していましたが、実際は栄えた港町に建てられており、最近その場所に移ってきたということで、建物も3階建てで、1階は駐車場、2階が劇場という近代的な造りでした。中には売店、受付、劇場があり、売店では講演の終わりに買い物をするお客さまがたくさん見受けられました。
肝心の人形浄瑠璃ですが、受付時にプログラムをもらい、そこに演目の詳しい内容が書かれていて、それを読めば大体のストーリーが理解できるようになっていました。私が訪れた当日の演目は、素浄瑠璃、人形解説、戎舞(えびすまい)というものでした。本来は人形浄瑠璃なので、人形を使った講演ですが、素浄瑠璃とは人形なしで、義太夫(話し手)と三味線だけで演じられ、人形がなくても義太夫の読み方だけでストーリーの情景を想像させられるもので、感情の込め方が印象的でした。
次の人形解説では、一体の人形を3人で操る方法や、感情を表す動作などがわかりやすく解説されていました。そして、戎舞では実際に人形を使った演目で、戎様が淡路人形座にやってきてみんなの願いを叶えるために幸せを運び、舞うというのがこの演目です。戎様のキャラクターを生かした、笑えるようなシーンや太鼓のリズムに合わせて舞う、エンターテイメントの要素もあり、楽しむことができました。
今回、淡路人形座を調査してみて、人形浄瑠璃に対する少し難いイメージが変わったような気がします。人形浄瑠璃を知らない私にも理解できる内容でしたし、何より、演じている人たちが若い人たちが多いことにびっくりしました。淡路島に伝わる伝統が受け継がれていることを実感し、またそれを島外に発信できればと思いました。
中でも、私は淡路人形座を担当しました。淡路人形座は以前行ったフィールドワークで、私以外のゼミ生たちが訪れたことがあり、その感想を聞くとおもしろかったとのことでした。しかし、実際それを見るまでは、人形浄瑠璃など見たこともない私にとっては、まったく想像がつかず、不思議に思っていました。そこで、今回みんなが瓦体験をしている時間を利用し、淡路人形座を訪れてみました。
淡路人形座に到着するまで、京都にあるような歌舞伎座のように昔ながらの日本の建物を想像していましたが、実際は栄えた港町に建てられており、最近その場所に移ってきたということで、建物も3階建てで、1階は駐車場、2階が劇場という近代的な造りでした。中には売店、受付、劇場があり、売店では講演の終わりに買い物をするお客さまがたくさん見受けられました。
肝心の人形浄瑠璃ですが、受付時にプログラムをもらい、そこに演目の詳しい内容が書かれていて、それを読めば大体のストーリーが理解できるようになっていました。私が訪れた当日の演目は、素浄瑠璃、人形解説、戎舞(えびすまい)というものでした。本来は人形浄瑠璃なので、人形を使った講演ですが、素浄瑠璃とは人形なしで、義太夫(話し手)と三味線だけで演じられ、人形がなくても義太夫の読み方だけでストーリーの情景を想像させられるもので、感情の込め方が印象的でした。
次の人形解説では、一体の人形を3人で操る方法や、感情を表す動作などがわかりやすく解説されていました。そして、戎舞では実際に人形を使った演目で、戎様が淡路人形座にやってきてみんなの願いを叶えるために幸せを運び、舞うというのがこの演目です。戎様のキャラクターを生かした、笑えるようなシーンや太鼓のリズムに合わせて舞う、エンターテイメントの要素もあり、楽しむことができました。
今回、淡路人形座を調査してみて、人形浄瑠璃に対する少し難いイメージが変わったような気がします。人形浄瑠璃を知らない私にも理解できる内容でしたし、何より、演じている人たちが若い人たちが多いことにびっくりしました。淡路島に伝わる伝統が受け継がれていることを実感し、またそれを島外に発信できればと思いました。
提案内容の実現に向けて可能性を感じた沼島
国際観光学部4年 水野巧基
今年度のゼミ活動では、前回の淡路島での現地報告会で提案させていただいた、国生み神話のイメージを活用した「お福分けめぐり」の実現に向けて、マップづくりを進めることになりました。そこで、お福分けめぐりのマップ作成に向けて、5月31日と6月1日の2日間で現地の観光資源の視察を実施しました。
お福分けめぐりを提案した背景として、淡路島の観光イメージの統一をめざすうえで、何か1つに絞るのではなく、淡路島には老若男女が楽しめるような魅力ある観光資源がたくさんあり、この数多くの資源を1つの言葉でまとめることができないだろうかとゼミメンバーで議論を重ねてきました。その結果、国生み神話を活用して、淡路島にある資源は国生みの神が与えてくれた恵みであると設定しました。どのような恵みがもらえるのかという点では、「感動・癒し・教養」と設定し、観光客それぞれの目的にあったジャンルを選択してもらい、マップにルートを記載し、周遊してもらうしくみがあれば良いのではないかと考えました。そこで、今回は資源のジャンルを仕分けするために、2日間かけて淡路島と沼島を周遊しました。
その中でも、私は2日目に視察した沼島に着目しました。沼島は、国生み神話の中で記載されているオノコロ島とされる場所で、淡路島の土庄港からフェリーで10分程の距離にあります。現地に到着し、淡路おみなの会の投石会長に引率していただき、沼島の漁師の方のガイドをお聞きしながら、1時間半程かけて沼島周辺の海上をフェリーで周遊しました。海上を周遊し、平バエや鞘型褶曲、上立神岩、下立神岩を視察しました。鞘型褶曲は、1億年前の地球の「シワ」が残る珍しい岩石であり、世界ではフランスと沼島の2カ所でしか発見されていない貴重なものです。フェリーから望遠鏡を使って見ることができました。
上立神岩と下立神岩は男性と女性の象徴ともされている岩であり、国生み伝説によると、イザナギとイザナミの二神が上立神岩に降り立ったとされており、ここから左右に分かれて島巡りをし、女性が左、男性が右を周り、龍宮伝説の舞台と言われている平バエで落ち合い国づくりをしたと言い伝えられています。この名残から、島を周遊する際に島民の方は左回りのことを女周り、右回りのことを男周りと呼んでいます。下立神岩は真ん中が空洞になっていたそうですが、昭和9年の室戸台風の直撃を受けて、現在の形になっています。ガイドを務めていただいた漁師さんの計らいで下立神岩に上陸することができました。とても神秘的な場所で、貴重な体験だと感じました。海上の周遊を終えた後に陸路で周遊する予定でしたが、時間の関係で沼島庭園しか視察できませんでした。
今回の視察を終えて、沼島は国生み神話と深い関係のある歴史ある島であり、淡路島の国生み神話という観光イメージを設定するための「お福分けめぐり」を実現するうえで非常に重要な島であると感じました。また、海上周遊を地元の漁師さんがガイド付きで取り組んでいることや、島内のパンフレットを見て着地型観光に力を入れている地域だと感じました。今回は、十分に島内を視察できなかったので、マップの作成を終えるまでにもう一度沼島を視察したいと感じました。最後にこの場をお借りして、引率していただいた淡路島おみなの会の投石会長と森重先生に御礼申し上げます。
お福分けめぐりを提案した背景として、淡路島の観光イメージの統一をめざすうえで、何か1つに絞るのではなく、淡路島には老若男女が楽しめるような魅力ある観光資源がたくさんあり、この数多くの資源を1つの言葉でまとめることができないだろうかとゼミメンバーで議論を重ねてきました。その結果、国生み神話を活用して、淡路島にある資源は国生みの神が与えてくれた恵みであると設定しました。どのような恵みがもらえるのかという点では、「感動・癒し・教養」と設定し、観光客それぞれの目的にあったジャンルを選択してもらい、マップにルートを記載し、周遊してもらうしくみがあれば良いのではないかと考えました。そこで、今回は資源のジャンルを仕分けするために、2日間かけて淡路島と沼島を周遊しました。
その中でも、私は2日目に視察した沼島に着目しました。沼島は、国生み神話の中で記載されているオノコロ島とされる場所で、淡路島の土庄港からフェリーで10分程の距離にあります。現地に到着し、淡路おみなの会の投石会長に引率していただき、沼島の漁師の方のガイドをお聞きしながら、1時間半程かけて沼島周辺の海上をフェリーで周遊しました。海上を周遊し、平バエや鞘型褶曲、上立神岩、下立神岩を視察しました。鞘型褶曲は、1億年前の地球の「シワ」が残る珍しい岩石であり、世界ではフランスと沼島の2カ所でしか発見されていない貴重なものです。フェリーから望遠鏡を使って見ることができました。
上立神岩と下立神岩は男性と女性の象徴ともされている岩であり、国生み伝説によると、イザナギとイザナミの二神が上立神岩に降り立ったとされており、ここから左右に分かれて島巡りをし、女性が左、男性が右を周り、龍宮伝説の舞台と言われている平バエで落ち合い国づくりをしたと言い伝えられています。この名残から、島を周遊する際に島民の方は左回りのことを女周り、右回りのことを男周りと呼んでいます。下立神岩は真ん中が空洞になっていたそうですが、昭和9年の室戸台風の直撃を受けて、現在の形になっています。ガイドを務めていただいた漁師さんの計らいで下立神岩に上陸することができました。とても神秘的な場所で、貴重な体験だと感じました。海上の周遊を終えた後に陸路で周遊する予定でしたが、時間の関係で沼島庭園しか視察できませんでした。
今回の視察を終えて、沼島は国生み神話と深い関係のある歴史ある島であり、淡路島の国生み神話という観光イメージを設定するための「お福分けめぐり」を実現するうえで非常に重要な島であると感じました。また、海上周遊を地元の漁師さんがガイド付きで取り組んでいることや、島内のパンフレットを見て着地型観光に力を入れている地域だと感じました。今回は、十分に島内を視察できなかったので、マップの作成を終えるまでにもう一度沼島を視察したいと感じました。最後にこの場をお借りして、引率していただいた淡路島おみなの会の投石会長と森重先生に御礼申し上げます。