2018年夏に塩路研究室3年生5人が、イギリス、フランス、スペインに調査旅行にでかけました。今回は、各自が関心を持ったテーマについて現地で見聞きし、考察した内容を報告します。

魅力溢れるヨーロッパの美術館
 3年生 上田 綾子

 ヨーロッパにはたくさんの美術館がありますが、私は今回2か所の美術館に行きました。一つ目は、イギリスのロンドンにある「ナショナル・ギャラリー」です。ここは、ロイズ保険組合の発展に寄付した銀行家が残したコレクションをイギリス政府が買い取り、市民のコレクションから始まった美術館です。コレクションの大半が寄付された絵画だということに驚きました。また、世界有数のコレクションを誇っており、13~20世紀初頭のヨーロッパ絵画を2300点以上所蔵しています。レオナルド・ダヴィンチやゴッホの「ひまわり」など有名画家の作品を見ることが出来ました。無料で入れるということもあり、気軽に立ち寄れ見ごたえのある美術館だと感じました。美術館の前にはトラファルガー広場があり、地面に絵を描いている人や芸をしている人がいてにぎやかな場所でした。
 二つ目は、三大美術館のひとつである「ルーヴル美術館」です。ルーヴル美術館は、パリにあるフランスの国立美術館です。世界最大級の美術館であり、ヨーロッパで最も古い美術館のひとつに数えられています。また、世界最大級の史跡のひとつでもあります。歴史的な建物に近代的なピラミッドが融合しているのが特徴的だと感じました。収蔵品38万点以上で、先史時代から19世紀までの様々な美術品35,000点近くが、総面積60,600平方メートルの展示場所で公開されています。しかも世界で最も入場者数の多い美術館で、毎年800万人を超える入場者が訪れているそうです。訪れたときピラミッドに入り口があることに驚いたのと、建物が美術館とは思えないくらい広大で、1日~2日では全て充分に見ることが出来ないと言われることに納得できました。そのため、有名な作品を優先して見に行きました。広くてマップがないと目的の場所に行けないほどでした。ルーヴル美術館は特にモナ・リザが有名で、作品の前には人だかりができていました。また、ミロのヴィーナスやサモトラケのニケの彫刻は、石で作られたとは思えないほど、なめらかに見えてその技術の素晴らしさに感動し、神々しさを感じました。
 これらの美術館にはソファや椅子があってじっくりと眺められるようになっているというのが共通して見られました。絵画を見ながらキャンバスを持ち込んで模写している人がいて、日本では見ないようなヨーロッパらしい光景だと感じました。絵画などだけでなく、内装もとても魅力的でした。エリアごとに赤や青といった明るい壁の色でしたが、絵画の邪魔をせず、落ち着いた雰囲気も感じられました。その点で、日本では普段、美術館には行かない私でも、そして絵画など詳しく知らなくても、いろいろな作品と建物や室内の雰囲気を含めて十分楽しむことができました。

未完成の世界遺産
 3年生 大橋 麻実

 9月4日から2週間、ヨーロッパに調査旅行に行った際、私たちはスペインにも行きました。スペインは以前からずっと行きたい国で、その理由は世界遺産であるサグラダ・ファミリアがあるからです。本やテレビなどで見た際に、とても印象に残ったので最も行きたい世界遺産でした。
 サグラダ・ファミリアは建築家ガウディが設計し、着工から100年以上経過している今もまだ建設中の世界遺産です。完成予定は2026年と言われていて、私は完成前と完成後の両方を見たいとずっと思っていました。
 スペインに訪れた人の多くが行くサグラダ・ファミリアは、観光客であふれていて、日本人もたくさんいました。外観からまず、建物の大きさに圧倒されました。目の前にある公園は撮影スポットでここにも人がたくさんいました。少し離れて全体を見たときと真下で見るのでは迫力が全然違い、私たちが行った日は少し曇っていましたが、晴れているとより綺麗に見えると思います。とても細かい彫刻で人が創ったとは思えないほど凄く、フルーツのような彫刻や鳥などもあり可愛らしい印象も受けました。
 建物の中に入るとステンドグラスが真っ先に目に入り、とても綺麗に輝いていました。両サイドの壁面にある大きなステンドグラスは左右で色が違い、左側が青や緑の寒色系、右側が赤やオレンジの暖色系の色で、左右で違った印象を持つことができました。
 聖堂内は樹木をモチーフにした柱が建ち並んでいて、天井部に近づくにつれ枝分かれしているのでまさに樹木のようでした。このような聖堂内外の特徴やガウディの建設に込められた思いなどが、オーディオガイドで全て説明を聞くことができるので、楽しんで見ることができます。大勢の観光客が訪れるということで、いくつかの言語にも対応しており、日本語もありました。
 生誕のファザードと受難のファザードの2つがあり、私たちは生誕のファザードに登りましたが、登る際はエレベーターで登り、帰りは螺旋階段で降ります。最初に外で見ていた上部の細かな彫刻も間近で見ることができ、バルセロナ市内を一望できます。人気があるのは生誕のファザードだそうです。
 ずっと行ってみたいと思っていたサグラダ・ファミリアでしたが、様々な魅力があり、また行きたいと思える場所でした。スペインは2泊3日だったので、他のガウディの作品がある場所に行くことができなかったのがとても残念でした。次はグエル公園やカサ・ミラなどにも足を運んでみたいと思いました。

パリの建造物と景観
 3年生 薮内 拓真

 私たちは9月3日から9月18日まで2週間、イギリスのロンドンとフランスのパリへ行きました。フランスへはイギリスからユーロスターで行き、有名な凱旋門やエッフェル塔、ルーブル美術館やパリのディズニーランドに行きました。私達はフランスで地下鉄の切符の買い方が分からず苦労し、慣れたころにはもうイギリスに戻る日になっていました。
 私が興味を持ったのは、フランスの建造物だったので、パリの街並みや実際に訪れた世界遺産について書きたいと思います。まずパリの街並みは、全体的に並木通りが広がっていて、建物の色が白っぽいベージュかグレーのものが多く、統一されていて、とくに「シャンゼリゼ通り」はおしゃれで「さすがパリ!」というような美しい街並みでした。また「シャンゼリゼ通り」では日本にもあるマクドナルドやH&Mの外装も他と同じような色に統一されていました。この点は日本の京都と似ていると思いました。セーヌ川沿いを歩いくといたるところで絵画が売られていて、さすが芸術の街パリだと感じました。
 私はなぜこんなにパリの街並みは統一されていて美しいのだろうと不思議に思ったので、調べてみました。まずパリには日本の京都以上に厳しい景観条例があり、建物の高さの制限も細かく設定されていました。フランスの人々は自国の文化に誇りを持っており、建物に対する意識は日本人よりはるかに上のようです。また、パリでは「都市の美術館化」が進められていて、これは、ある街並みや風景を美術館に展示されている絵画や彫刻のように、変化しないものとして保存の対象にすることです。そして、その風景が元々持っている価値を保つ、もしくはその風景に価値を持たせることで観光的価値のあるものへ変化させる取り組みのことです。こうした取り組みや人々の意識の高さによって、パリの美しい街並みを生み出し保つことができるのだと思いました。
 このような美しく統一感のある街並みの中に、ひとつ突飛な建物があります。それは私が最も見たかった世界遺産、エッフェル塔です。鉄の貴婦人と呼ばれるエッフェル塔は建築家のソーヴェストルと技師ギヨーム・エッフェルが1889年パリ万国博覧会のために建てた鉄骨記念建造物です。高さは321mあります。この建造物は,力学の解析に基づく合理的な形態、それを支える圧延鋼技術の完成など、当時の建築技術の最高水準を示すとともに、単純明快な近代建築の美的表現の先駆をなしました。新しい工学技術の産物として高く評価される一方で、伝統を重んじる多くの文化人,芸術家からパリの美しい景観が損なわれるとして一斉に非難を浴びたそうです。エッフェル塔は、当初万博のために作られた建物だったので解体される予定だったのですが、軍事用に電波塔に使用するという案が挙がったため運よく残ったそうです。今ではパリには欠かせないシンボル的な存在となっていることを思うと時代の変化を感じました。

イギリスの建造物の魅力
 3年生 井手 駿介

 私は今年の夏休みにイギリスの建造物をテーマにイギリスへ調査に行きました。
 実際に現地のコテージを借り、イギリスの住居に宿泊する体験をしました。日本の建造物と比べると色々な違いがあることに気が付きました。
 まず、木製のドアが多く、鍵穴は2種類あり、1つはドアを閉めると自動にロックされるタイプともう1つは日本にもあるカギを挿し回すタイプでした。前者の鍵はイギリスで泊まったホテルにも使用されており、この国ではこの様式が主流なのだと感じました。コテージの中には暖炉があり、初めて暖炉で火をおこして暖をとる事ができました。コテージ周辺の家の上部を見ると、煙突がついていて、時代的にヒーター等が普及していない訳でもないのに暖炉を使用しているところが昔ながらの風習を受け継いでいるのだなと感じました。その暖炉があるおかげでアンティークな家具との組み合わせで室内がとても良い雰囲気で居心地がよかったです。
 次に、ロンドン市内の建造物を見学しました。初めて見学した時、日本とは建物の建築様式も異なるので町全体の風景は違って当然ですが、自分の住んでいる地域とここまでも違うのかと驚愕しました。イギリスの建物は全体的に高く作られており、歴史的建造物からモダンなビルまでありました。日本の町の風景は飲食店などの看板が並び看板が目立つ風景ですが、ロンドンはあまり店の看板がなく、建物の高さや色の統一感があり外観がとてもきれいにまとまっていて美しかったです。
 また、歴史的建造物ではバッキンガム宮殿、ウエストミンスター寺院やセントポール大聖堂を見て回りました。一つ一つ丁寧に模様が彫られており、これを全て手作業で完成させたのかと思うと昔の人々の知恵と技術に感心しました。その中でも、私が最も興味を持ったセントポール大聖堂は、何度も焼失したにもかかわらず再建を繰り返したことを知りました。また、同大聖堂はロンドンで最大の建築物であり、中心にあるドームが特徴的で、大聖堂全体が十字の形をしています。
 イギリスでは、古い建物を日本のように再開発し新しいビルに立て直すといったことをあまりせず、古い建物を大事にしつつ近代建築であるミレニアムブリッジなどを取り入れ、古いものと新しいものを融合させることによって歴史を感じさせることを学びました。そのような見ていて飽きない景観を生み出すことが、イギリスの建造物の魅力の一つだと思いました。

イギリスとフランスの食体験
 3年生 川本 策也

 私は、9月3日から9月18日までの夏休み期間に、ゼミのメンバー5人でイギリスとフランスの2か国に行きました。ゼミ生全員が同じ場所に行くのではなく、数グループに分かれて、各々行きたい国に行きました。なぜ、ヨーロッパを選んだのかというと、祖父がよくヨーロッパの話をしてくれるので、聞いていて私も興味を持ったため、ヨーロッパに行けば何か良い経験やスキルアップできるのではないかと考えたからです。海外は人生で初めてだったので、楽しみな気持ちと何事もなく無事に帰れるか不安な気持ちがありました。この調査旅行の目的は、海外でのフィールドワークで、さらに個人研究として、日本とイギリスやフランスの食文化の違いを実際に体験し調査することでした。
 私たちはイギリスに10日間、フランスに4日間滞在しました。関西国際空港を出発して香港でトランジットし、イギリスのガトウィック空港に到着しました。人生で初めての機内食を食べました。機内なので狭くて食べにくかったですが、味は意外と美味しくて満足しました。
 イギリスに到着すると、見たことのない別世界が広がっていました。建物はすべてレンガ造りで大きく、日本では見ることができないので、とても新鮮味がありました。ロンドンは都会でありながら、公園などの緑もあり、とても住みやすい場所だと実感しました。公園も日本と比べると、何倍もの大きさのものがいくつもありました。イギリスでは、初めコッツウォルズ地域のモートン・イン・マーシュに行き、コテージを借りました。そこでは飲食店など近くにはなく、コテージから数キロ先のスーパーに買い出しに行き、自炊をしました。自炊はゼミの仲間が主に料理をしてくれて、牛肉やソーセージ、豚肉や野菜を食べました。肉はすぐに硬くなり、ソーセージも日本で食べるような柔らかいものではなく、噛み切るのに苦労しました。何よりもイギリスでは野菜が苦くておいしくありませんでした。その後、ロンドに行きましたが、イギリスでの朝食はベーコンとソーセージ、パンに目玉焼き、豆にマッシュルームが主だったことが印象に残りました。日本ではパン派とごはん派がいますが、イギリスではパン派のみでした。総合的にイギリスの食事や飲み物は値段が高い割に味があまり美味しくないと感じました。逆に、フランスでは、イギリスよりも物価が安い割に食べ物が美味しく、中でも肉が軟かくて食べやすく、とても美味しかったです。飲み物も美味しく、フランスは全体的にとても好印象でした。
 イギリスもフランスも住みやすそうな国ではありましたが、治安が悪い部分や料理があまり美味しくないこともあり、やはり私にとっては日本のほうが住みやすく、改めて良い国だと感じました。

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