文:藤田佑衣子 撮影:安坂百香
本学のサッカー部が、2024年度 第48回 総理大臣杯 全日本大学サッカートーナメント優勝と、第102回 関西学生サッカーリーグ優勝の2冠を達成しました。今回は、総理大臣杯トーナメント戦で3得点、関西学生サッカーリーグでは14得点を決め勝利へ導いた、経営情報学部2回生の中田有祐(なかだ ゆう)さんにインタビューさせていただきました。
一年前の意識の積み重ねが、今の自分を作っている
——:総理大臣杯と関西学生サッカーリーグの優勝おめでとうございます。
優勝した感想を教えてください。
中田:目指してはいたけど、まさか優勝できるとは思っていなかったので、自分もチームもびっくりしていました。それぐらい、夢みたいな感覚でした。
——:中田くんのポジションはどこですか?
中田:FWです。
——:FWとしてのチームでの役割を教えて下さい。
中田:やっぱり一番は、ゴールを決めることです。それ以外では、攻撃の起点となるプレーや時間を作るプレーが、自分のタイプ的に求められる部分かなと思います。
——:長所は何ですか?
中田:体が人より大きいので、それを生かしたプレーとなるヘディングかなと思います。
——:得意なヘディングを生かせた試合場面はありましたか?
中田:準々決勝の明治大学と決勝戦の新潟医療大学との試合では、ヘディングでゴールを決めることができました。
——:総理大臣杯2回戦の京都産業大(関西地区第2代表)との試合では初のゴールを決めていますが、どのような流れでゴールできたでしょうか?
中田:後半残り20分、1対3で負けていて、味方が1点を取って2対3で、あと1点のところで、同点ゴールを決めることができました。チームもいけいけという感じがあり、後ろからのパスにすべりながらギリギリのところでゴールを決めることができました。
——:後半残り20分で1対3だと、厳しい状況だったと思いますが、チームの雰囲気はどうでしたか?
中田:諦めてはいなかったけど、心のどこかでは「もうこれで明日帰るのかなー」というような気持ちが出てきていました。去年の試合の中で、一番焦った場面だったと思います。そんな雰囲気でしたが、3点目を取られた後、すぐに1点を取れたんですよ。続けて、2点3点と取れたので、あと1点なら取れるんじゃないかという雰囲気がありました。今思えば、自分が同点ゴールを決める前の2点目が、みんなを生き返らせてくれた、大きな1点だったなと思います。
——:総理大臣杯準々決勝の明治大学(関東地区第1代表)との試合では8分でゴールを決めていますが、どのような流れでゴールできたでしょうか?
中田:自分が外サイドの選手にボールをパスして、もう一回その選手から、高いクロスボールが入ってきて、自分の得意なヘッディングでゴールを決めることができました。
——:クロスボールだと、ボールの回転や高さがあるのでシュートが難しそうですね。
中田:キーパーがボールの方に寄っていたので、クロスボールが上がった時点で、あとは自分とキーパーとの勝負でした。目の前の相手より自分の方が大きいので、守られることはないから、もう飛んで当てるだけでした。
——:中田さんにしか決められないシュートだったのですね。
中田:自分的にはクロスボールでもう決まったなという感覚がありました。
——:関西学生サッカーリーグの得点ランキングによると、14得点でリーグ2位です。さらに出場試合数10試合以上の選手の中で、1試合平均1.11得点はリーグ1位です。前期リーグでは4得点でしたが後期リーグでは10得点で、後期になって得点力が急に上がりましたね。理由はどんなところにあると自己分析しておられますか?
中田:高校生の時は寮生活でチームメイトとみんなで過ごして、型にはまった生活でしたが、大学生になるといろんなことが自由になったことで、時間をどう使うかを考えるようになりました。大学に入ってからは、プレーや生活でもなんとなくしていたことを意識するように変わりました。その一年前の意識の積み重ねが、今の自分を作っているのだと思います。
——:試合中に意識していたことはありますか?
中田:点を取るために、シュートを打つことは常に意識しています。そのために、コミュニケーションを取るよう心掛けていて、チームの中でも多い方だと思います。
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2024年度第48回 総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント 優勝(写真提供:総務企画課)
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2024年度第102回 関西学生サッカーリーグ 優勝(写真提供:総務企画課)
栄養士の先生にデータを送って自己管理
——:サッカーを始めたのはいつ頃ですか?
中田:5歳からです。
——:これまで所属したチームを教えてください。
中田:小学生の時は、群馬県のファナティコスにいて、そこから東京の東京ヴェルディジュニアユースに声を掛けてもらい、宮城県ベガルタ仙台ユースに移りました。
——:ポジションはずっとFWでしたか?
中田:サッカーを始めたころからポジションはFWで、ずっと変わっていません。
——:FOOTBALL ZONEの記事によると阪南大学に入って「『このままでは置いていかれる』と大きな衝撃とともに壁にぶち当たった」とあります。具体的には、どんな点に衝撃を受けたのでしょうか?
中田:阪南大学だったからというのもありますが、大学と高校とでは、パワーやスピード感が違いました。
——:どのようにして克服しましたか?
中田:なんとなくプレーしていたことを、工夫するようになりました。プレー以外に体を作るための栄養についても勉強するようになりました。
——:食事はどのようにして管理していますか?
中田:ベガルタ仙台ユースの時からお世話になっている栄養士の先生と個人的に連絡を取っていて、毎月データを送って、管理をしています。大学生になってパワーやフィジカルの面が全然通用しないと感じたので、1年生の頃は増量するための食事を意識していました。
——:食事以外の体調管理についてはどのようにされていますか?
中田:よく寝るようにしています。他に特別なことはしていません。
——:チームでの練習は週にどれくらいの頻度であるのですか?
中田:基本は月曜日が休みで、土日に試合が入るので、練習は火曜日から金曜日です。
——:チームでの練習は1日にどれぐらいしていますか?
中田:そのときの、試合前やコンディションに変わりますが、基本は短くて1時間、長くて2時間です。
——:今までサッカーをしてきて辛かったことはありますか?
中田:高校2年生の時に、膝を怪我して5か月サッカーをできなかったことです。プロになることを目標にしていたので、高校3年の春に間に合うか焦りが大きく、サッカーができないという状況が辛かったです。
——:中田くんがサッカーを頑張っていくときに支えになったものはありますか?
中田:一番は家族です。小学校のチームから中学校のチームに移るときは、東京に家族みんなで引っ越しているので、経済面で負担をかけているし、弟2人も転校させているので、家族に協力してもらえなかったら、今までやってこられていなかったと思います。
学校は休まない
——:入試区分を教えてください。
中田:スポーツ特別推薦入試です。
——:出身校を教えてください。
中田:仙台大学附属明成高校です。ベガルタ仙台ユースと提携している高校で、ほとんどの部員が所属しています。
——:阪南大学に入学された理由を教えて下さい。
中田:サッカーのチーム選びの中で阪南大学に決めました。
——:経営情報学部を選んだ理由を教えてください。
中田:外国語はあまり得意ではないので、スポーツ推薦入試の枠の中から経営情報学部を選びました。
——:何ゼミに所属していますか?
中田:山内ゼミです。来年度からは松田ゼミに所属します。(注)
(注):経営情報学部・総合情報学部では、2年次ゼミから3年次ゼミに上がるときに所属ゼミを変更可能です。
——:山内ゼミではどんな勉強や活動をしていますか?
中田:松原マルシェの手伝いやUSJでフィールドワークを行いました。
——:サッカー選手として役立った科目はありましたか?
中田:「スポーツ技術」です。体の使い方の勉強ができ、学びになりました。
——(担当教員):中田くんは2年前期までの修得済単位数が70、GPAが2.89です。これは経営情報学部2年次生の平均修得済単位数60.1より10単位多く、平均通算GPA2.24を上回っています。中田くんは大学の勉強についてはどのような姿勢で取り組んでいますか?
中田:特別なことはしていませんが、学校にちゃんと来るようにしています。大学生になると授業に出なくても何も言われないようになりますが、授業に出れば、単位を取るために必要な環境が整っているので、休まないで来るようにしています。
——:目標の選手はいますか?
中田:ヴィッセル神戸の大迫勇也選手です。ポジションもプレースタイルも似ているところがあり、参考にしています。
——:サッカー選手としての目標は何ですか?
中田:プロになって、常に高いレベルで活躍できる選手になることです。プロだと、いろいろな可能性があり、いつサッカーを辞めないといけなくなるか分からないような世界なので、一日でも長く高いレベルでプレーし続けたいです。
——:最後に、これからの目標を教えてください。
中田:阪南大学で活躍し続け、プロ入りを目指して、これからも日々頑張ります。
担当教員注:中田選手はU-20全日本大学選抜メンバーに選ばれました。
中田有祐さんの主なメディア報道
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取材後記
改めまして、優勝おめでとうございます。取材を通して、中田さんからチームメンバーとの絆や夢への熱い気持ちが感じられました。これからも、ご活躍を祈念しております。お忙しい中取材を引き受けてくださり、ありがとうございました。
一年前の意識の積み重ねが、今の自分を作っているのだと思うと言う言葉に感銘を受けました。今回は取材に応じてくださり、本当にありがとうございました。
藤田 佑衣子
一年前の意識の積み重ねが、今の自分を作っているのだと思うと言う言葉に感銘を受けました。今回は取材に応じてくださり、本当にありがとうございました。
安坂 百香
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