オンラインで研究成果報告会を開催しました

 2021年度の森重ゼミ3年生は和歌山県湯浅町を調査対象地に選び、Z世代から見た湯浅町の観光の魅力創出に取り組んできました。コロナ禍でなかなか研究が思うように進められませんでしたが、昨年10月と今年2月に現地調査を実施することができました。1月末の授業期間終了後も何度も大学で補講を行い、成果の取りまとめや発表練習を進めてきました。
 そして、3月9日(水)、まん延防止等重点措置が継続中のため、オンラインにて湯浅町ふるさと振興課の蜂谷さまに1年間の研究成果を報告しました。報告会では、普段何気なくSNS映えする写真と感じているものに共通する特徴や条件を言語化し、現地調査で撮影した写真の中から「食」、「景観」、「その他」のカテゴリーに分けて、50枚近くのSNS映え写真を紹介しました。また、特にインスタグラムでの活用を意識し、撮影した写真の並べ方についても、どのような工夫や配置が必要か発表しました。蜂谷さまからも関心を寄せていただくとともに、たくさんの質問をいただきました。
 今回の調査を通して、何もないと思っていた地域でも捉え方次第でさまざまな観光資源化の可能性があることがわかりました。こうした「観光のまなざし」は地域振興を考える上でも重要になってきます。最後に、学生に学びと成長の機会を与えてくださいました湯浅町ふるさと振興課の蜂谷さまをはじめ、湯浅町の皆さまに心より感謝申し上げます。(森重昌之)

当日の研究成果報告会の様子

  • ゼミ生による成果発表の様子

  • ゼミ生による成果発表の様子

  • 質疑応答の様子

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参加したゼミ生の報告

1年間の集大成
 国際観光学部3年 藤原一希

 2年生の終わりから取りかかっていた、森重ゼミ特有の自分たちで調査対象地を選定し、1年間をかけて行った現地調査ですが、3月9日に行われたオンラインでの成果報告会にて、一連の活動が幕を閉じました。
 成果報告会の当日、午後からの発表に備えて午前中から集まり、最終調整を行いました。発表するメンバーは自身が書いた原稿を発表し、皆でプラスできることはないか、おかしなところはないか確認しました。午後からの発表では、スライドが50枚以上あったため、発表の途中で質問の時間を挟み、1時間ほどで最終報告を終えました。私は発表中、それほど緊張はなかったものの、咄嗟の対応が苦手なため、予想外の質問が来たらどうしようと緊張していました。発表を終え、町役場の蜂谷さまからは「わかりやすく、勉強になりました」と言葉をいただけ、ようやく肩の荷が下りたと思いました。
 最終報告を終えて学んだことは、観光資源がないと思われている場所でも、ありふれた風景を工夫して写真を撮ることで、どのような場所でも観光資源となり得ることがわかりました。それは地域だけでなく、レストランや店でも同じことがいえます。また、若者は情報収集にインスタグラムをよく用いることがわかったので、インスタグラムでの話に限られますが、写真に共通する条件や特徴ごとに並べた方が魅力的に映ることもわかりました。
 この1年間を振り返ってみると、調査対象地の選定から波乱でした。私たち10期生は調査対象地がなかなか決まらず、いったんは石川県で決まったものの、コロナ禍のため近場である和歌山湯浅町に変更になりました。さらに、湯浅町で自転車マナーの問題を想定していましたが、あまり現地では問題になっていなかったため、これも変更になりました。最終的に、湯浅町の住民に誇りを持ってもらうために若者の観光客を増やすべく、若者が訪れたいと思う写真の条件を探った1年間でした。
 写真の良いところを言語化するにも、理由が説明できずに苦労しました。最初は写真の良いところなんて人それぞれでしかないと思っていましたが、議論を重ねるにつれ、意外に共通点がありました。例えば、赤や青、黄色などの原色が入っていると、何気ない風景でも目を引くのです。皆さんが撮った良いと思う写真にも、きっと原色が入っていることと思います。
 慣れない長期に及ぶグループワークはすべてが順調に行った訳ではなく、自分で思うように進まないなと感じていた時期もありました。その時の機転は、ゼミの数名で話し合ったグループの現状課題の共有だと感じています。私自身にも問題があり、自身で調べたり、友人や先生に相談したりすることで、今までの自身の課題も発見でき、意識して取り組むことで成長できたと感じています。

森重ゼミグループワークの集大成
 国際観光学部3年 松若彩

 2年生後期から行ってきたゼミでのグループワークが、3月9日のオンラインでの成果報告会を持って終わりを迎えました。フィールドワークの場所決めや、何を課題として取り上げるかで、半年間は話し合いを行いました。「Z世代が関心をひく観光資源の発見・発信」というテーマに決まった時は、「自分がZ世代の当事者であるのだから、簡単にまとめることができるだろう」と考えていました。
 しかし、それほど簡単なことではなく、いつも感覚でしか考えていなかったことに気づき、それらを言葉にする難しさを知りました。いつも「何となく良い」や「エモい」といった表現しかしてこなかった写真に対し、具体的にどこか、どのように良いのか言葉で伝えられず、もやもやすることばかりでした。例えば、ある写真の場合は「寄り」ではなく、「引き」で撮った方が店内の雰囲気が見ている人に伝わるから良い、別の写真の場合はインスタグラムに載せる時に横に並ぶ写真との相性も考えると、余白がある方が相性も良く、バランスが良いなど、気づかないうちに頭で考えていることを文字で表せた時はとてもすっきりしました。
 コロナ禍の影響もあり、どのような方法で研究を進めるか、いつであれば現地調査に行けるか、ゼミ生同士の意見のぶつかり合いも多く、意見をまとめることが一番大変でした。成果報告会の2日前の練習発表では、まだ何を伝えたいかをまとめきれていない状態でした。そこから、先生のアドバイスや他のゼミ生の意見を取り入れ、急いで原稿をつくりました。「今までのゼミ生13人の頑張りがこの成果報告で決まる」、「うまく湯浅町の方に伝えられるかは発表者の私にかかっている」という気持ちから、発表が迫るにつれ、とても緊張しました。私は、原稿に書いたことをもとに、間に挟む言葉のニュアンスや、ゆっくり話すことを意識して発表しました。
 発表を終えて、自身の準備不足を感じました。他のゼミ生の意見をすべて伝えられたのか、私の言葉で皆んなの意見を伝えられたのかと、後悔が残りました。しかし、終わった時の他のゼミ生の顔はすっきりしていて、達成感があるように見えました。その姿を見て、「私はみんなの意見をうまく伝えられたのかな」と少しばかり達成感を得ました。今までの約1年半のゼミ活動を振り返って見ると、本当に長くて疲れました。しかし、ゼミの一員として活動できて楽しかったです。今行っている就職活動でも、学生時代に頑張ったこととして、一番に「ゼミ活動です」と言い切れます。ゼミ生の見んなもお疲れ様でした。